転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2670話

 取りあえず、ビグ・ラングとオッゴ達が揃って投降――ただし何機かはやはり投降せず、俺達と戦わずにこの場から撤退――するという結論にはなったのだが……問題はまだ残っている。

 

「モニクのMSをどうするかだな」

『それをやったのは貴方でしょう』

 

 モニクがパイロットスーツのヘルメット越しでも分かるようなジト目をこちらに向けてくる。

 いやまぁ、その言葉は決して間違っていない事実なので、俺からは何も言えないのだが。

 ただ、モニクのゲルググの四肢と頭部を破壊した時は、まだ敵対状態であった以上、俺は悪くないと思う。

 特にモニクの乗ってるゲルググはJ型という、ゲルググの中でも最高性能のMSなのだから。

 

『その、ビグ・ラングに収納するのはどうでしょう?』

 

 オリヴァーがそう言ってくるが、俺は首を横に振る。

 

「ビグ・ラングは少し大きすぎるからな。ルナ・ジオン軍の軍艦に収容するのも難しいし、何よりこの大きさだと移動する時に目立つ」

 

 もっとも、ビグ・ラングの先端部分はビグロそのままの姿だ。

 そしてルナ・ジオン軍はビグロを使っている。

 であれば、ビグ・ラングの姿を連邦軍に見られても問題はないのかもしれないが……念には念をだ。

 少なくてもEフィールドにいる連邦軍には、ビグ・ラングを見られている。

 であれば、その辺は気をつけるに越した事がないのは、間違いなかった。

 

『では、どうすると?』

「空間倉庫……まぁ、魔法の一種でどうにかする。そんな訳で、オリヴァーもモニクと同様に乗るMSがないんだよな」

 

 ガンダム7号機のコックピットは……まぁ、無理をすれば大人2人を入れられると思うが、その場合はかなり身動きが取れなくなる。

 

「オッゴには乗れないのか?」

『無理ですね。オッゴは見ての通りMSと比べてもかなり小さいですから、コックピットも相応に小さいです。パイロットの他に誰かが乗り込むのはまず無理かと』

「そうなると、俺のMSに乗る事になるのか。……ただ、大人が2人乗ったりしたら、かなり厳しいぞ。それこそ、ろくに身動きが取れなくなる」

『なら、モニク大尉はゲルググのコックピットに乗ったまま移動すれば……』

「止めておいた方がいい。多分大丈夫だろうとは思うけど、それでも手足と頭部がなくなってるんだ。何らかの理由で、いきなり爆発しないとも限らない」

 

 それをやった俺が言うべき事じゃないとは思うが。

 ただ、今の状況を考えるとゲルググの胴体で移動するのは止めておいた方がいいと思う。

 ……今まで散々ゲルググの胴体を掴んで戦っていたのは、取りあえず置いておくとして。

 

『仕方がないわ。彼のMSに乗りましょう。今は少しでも考えている時間が勿体ないし』

 

 結局モニクの言葉で、オリヴァーもそれ以上は不満を口に出す事はなくなる。

 

「それで、次の問題……というか、ある意味でこれが最大の問題なのだが、お前達の母艦だ。結局どうする事になったんだ?」

『誘わない事にしました。ヨーツンヘイム……母艦の名前ですが、その艦長は誇り高い人物です。今の状況で月に投降するという事は、まず受け入れては貰えないでしょう。あるいは、艦長が受け入れてもヨーツンヘイムの乗員の全員がそれに賛同するとは思えません』

 

 オリヴァーの言葉に、俺は納得の表情を浮かべる。

 実際、今のこの状況を考えると、それは十分に有り得るのだ。

 それ以外にも、色々と思うところがあったのは間違いない。

 だからこそ、オリヴァーの母艦には黙ってこのまま自分達だけがルナ・ジオンに投降するというのは、こちらとしては何の問題もなかった。

 そしてこっちに投降しないという選択をしたオッゴ達が、母艦……ヨーツンヘイムに帰還して、事情を話すと。

 

「分かった。こっちとしてはそれで構わない。それと投降した者の家族で、サイド3にいられないと判断して月に移住を希望する者に関しては、対応させて貰うから安心しろ」

 

 これはサイド3に残っているダイクン派の仕事になるんだが……ヘルシング艦隊の件もあって、かなり大変な事になりそうだな。

 とはいえ、ダイクン派の者にしてみれば、それがセイラの役に立っているのだから、満足するだろう。

 それに……ア・バオア・クーを占拠してしまえば、ジオンの負けは決定的となる。

 そうなれば、こちらとしてもダイクン派だけではなく、ルナ・ジオンの人員を普通に使う事が出来るのだから、そこまで大変な事にはならないと思う。

 ただ、敗戦の混乱で裏切った者の家が襲撃されるといったような事が起こる可能性もあると考えると、完全に安心出来るといったような事ではないのだが。

 

『ありがとうございます』

「気にするな。これも月の利益になると思えばこそだからな。……それより、話が決まったのならさっさと行動に移るぞ。降伏しないでヨーツンヘイムに帰還するオッゴは、さっさとここを離れろ。そして俺と一緒に来る奴は、俺の近くに集まれ。それとオリヴァーとモニクは、自分の機体から出てくれ。何とかガンダム7号機のコックピットに詰め込んでみるから」

 

 詰め込むという表現は少し不穏だったかもしれないが、取り合えずそれは置いておくとしよう。

 そんな俺の指示に従って、モニクとオリヴァーはコックピットから出る。

 ……胴体だけになったモニクはコックピットを開くのがかなり難しそうではあったが、それでも何とかコックピットから出る事に成功したらしい。

 この辺は、さすがと言うべきか?

 俺もまた、ビグ・ラングの近くまで移動すると、コックピットを開いて外に出る。

 生身で……それこそパイロットスーツもなく宇宙空間に出た俺を見て、オリヴァーとモニクは揃って大きく目を見開き、混乱している様子を見せていた。

 だが、俺がそのような状況でも平然としているのを見ると、大きく目を見開く。

 それこそ、眼球が目から飛び出るのではないかと、そんな風に思ってしまうくらいに大きく目を見開くのは……モニクのような美人がやる行動としては、正直どうなんだろうな。

 それに、この程度で驚いていては、空間倉庫を見た時はどうなるのやら。

 そんな風に思いつつ、ビグ・ラングに触れて空間倉庫に収納する。

 一瞬前までは確かに存在したビグ・ラングが、いきなり姿を消した事に驚きの様子を見せる2人。

 いや、実際にはオリヴァーとモニクの2人だけではなく、それこそオッゴに乗っている者達も同様に驚いているのだろうが。

 そして、続いてモニクが乗っていたゲルググの胴体も空間倉庫に収納する。

 胴体だけになった以上、あまり役立つとは思えないのだが……ミノフスキー物理学を使っており、このUC世界でしか作れないような物であっても、MSに搭載出来るサイズの核融合炉というのは非常に貴重だ。

 ……そういう意味では、ゲルググの胴体だけであっても使い道は幾らでもあったりする。

 とはいえ、最終的にはキブツの材料にして使えば、それで問題はないのだが。

 そうしてビグ・ラングとゲルググの胴体を収納すると、唖然とした様子で動けないモニクとオリヴァーの2人を連れて、ガンダム7号機に向かう。

 何気に、こうして俺がガンダム7号機を離れていた時って、もしオッゴの中に何か妙な事を考えているような奴がいたら、ガンダム7号機が奪われたり、場合によってはコックピットを破壊したりといったような事になっていたかもしれないんだよな。

 そう考えると、ちょっと迂闊だったか?

 いや、俺の身の安全という意味ではなく、純粋にガンダム7号機の安全という意味で。

 ともあれ、コックピットに入った俺達だったが、取りあえず俺はコックピットに座り……問題なのは、やはりオリヴァーとモニクだった。

 どっちか1人だけなら、まだある程度余裕があったのだが。

 取りあえず、俺はガンダム7号機を操縦するしかないので、コックピットに座るのは決定だ。

 座席の後ろにはそれなりに空間的な余裕があるので、そちらに2人……と思ったが、1人入るのが精一杯。

 何故かオリヴァーがそちらを希望し……そうなると、モニクが乗る事が出来るのは、コックピットに座っている俺の膝の上となる。

 勿論、モニクはパイロットスーツを着てるので、そこまで気にする必要はないと思うんだが……それはあくまでも俺の意見であり、実際に俺の膝の上に座るモニクとしては、気にするなという方が無理だろう。

 普通なら男の俺と接触するのなら、同じ男のオリヴァーの方がいいんだが……何故か、オリヴァーは全体的に周囲の様子を見る事が出来る後ろがいいと言って、聞かない。

 まぁ、ガンダム7号機のコックピットに入った時、全天周囲モニタに驚いていたようだったのを考えると、もっと詳しく全天周囲モニタを観察したいのだろう。

 実際、ザクとかの映像モニタと違い、全天周囲モニタというのはその言葉通りコックピットの全てがモニタになっている作りだ。

 それだけに、ジオン軍のMSパイロット……いや、ビグ・ラングに乗ってたんだから、MAパイロットか。そんなオリヴァーにしてみれば、興味深い存在なのだろう。

 

「いい? 妙な真似をしたら許さないわよ」

 

 そして俺の膝の上に乗ったモニクは、そう言ってくる。

 パイロットスーツ越しなんだから、そこまで気にするような事じゃないと思うんだが。

 とはいえ、実際モニクはパイロットスーツ越しであっても、かなり女らしい曲線をしているのが分かる。

 そうである以上、その辺に厳しくなるというのも理解出来ない訳ではない。

 

「分かったから、騒ぐな。今の状況で暴れたりしたら、それこそ操縦ミスをしたりするかもしれないんだからな」

 

 そう告げると、さすがに黙り込む。

 モニクにしても、まさか自分が騒いだせいでどうにかなるというのは遠慮したかったのだろう。

 

「そうさせて貰うわ。……けど、1つだけ聞かせてちょうだい。今もだけど、パイロットスーツを着ないで、生身で宇宙空間にいたのは……あれも、魔法?」

「そう! それは私も気になっていました!」

 

 全天周囲モニタの様子を興味深く観察していたオリヴァーだったが、モニクの言葉が聞こえたのだろう。慌てたように俺の方に視線を向けると、勢い込んでそう尋ねてくる。

 

「そうだな。魔法の一種に違いはない」

 

 取りあえず、そう言っておく。

 とはいえ、それは決して全てが間違いではない。

 俺が生身で宇宙空間にいられるのは、あくまでも俺が混沌精霊だからだ。

 そして俺が混沌精霊になった大元は、エヴァの編み出した闇の魔法となる。

 闇の魔法も魔法の一種である以上、俺の言葉は決して完全に間違ってはいない筈だった。

 

「……そう、魔法……」

 

 モニクが興味深そうな様子でそう告げるのを見て、一応という事で言っておく。

 

「月に行ったからって、魔法を習えるとは限らないぞ。それに、もし魔法を習えるようになったとしても、個人の資質によって習得出来る魔法は変わってくるからな」

 

 それでも普通はそこまで極端に……例えば、その属性の魔法の矢とかすら使えないなんて事は、滅多にないんだが。

 それでも、闇の魔法は……正直なところ、色々な意味で危険な魔法なのは間違いない。

 俺も最終的には暴走したし。

 あやか達がいたからこそ、何とか無事に今の混沌精霊という状況に落ち着けたのだ。

 もっとも、俺が知らないだけで、実は他の属性魔法にも生身で宇宙空間にいるといったような事が出来る魔法はあるのかもしれないが。

 特に可能性が高いのは、やはり風の魔法か。

 とはいえ、宇宙空間には当然風の精霊とかはいない訳で……その辺をどうするのかが、また問題ではあるけど。

 

「分かったわ。ただ、それでも月に行けば魔法を習得出来る可能性があるというのは、魅力的だと思うけどね」

 

 俺の膝の上で、そう告げるモニク。

 それは間違いなく、月に移住してくるものの幾らかは、魔法に憧れてという者がいるのは事実だ。

 他にも、異世界の生物や植物、鉱石……変わったところでは、異世界の土を気にしている者もいるという話を聞いている。

 あるいは俺が知らないだけで、他にも色々な存在を目当てにやって来てる奴がいてもおかしくはないだろうけど。

 

「さて、取りあえず話はその辺にして……そろそろ行くぞ」

 

 いつまでも戦場の真ん中でする話でもないだろうと判断し、そう告げる。

 月についてもっと知りたいのなら、それこそカトンボに戻ってから……もしくは、月に帰ってからその辺の話をしっかりとすればいいんだし。

 

「オッゴ隊、こっちも振り切るような真似はしないが、この状況で戦場の中を移動する時間は、出来るだけ短くしたい。いいか? 何かあったら、すぐにでもこっちに通信を入れろ」

 

 オープンチャンネルで、ガンダム7号機と一緒に行動するオッゴにそう告げる。

 オッゴの推進力はMSに劣るが、同時にMSよりも重量が軽いのも事実だ。

 そうである以上、何気にそれなりの速度で移動出来る筈だった。

 そうしてオッゴ隊を引き連れ……俺は、ルナ・ジオン軍のカトンボ目指して移動を開始するのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1280
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1635

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