転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2668話

 モニクがオリヴァーの説得を始めてから、10分程……オリヴァーの乗っているビグ・ラングが、モニクの乗っているゲルググの胴体と共にガンダム7号機の方に近付いてくる。

 どうやら説得が終わったらしい。

 正直なところ、もっと短い時間でどうにかなると思っていたんだが……いやまぁ、今の状況を考えれば、色々と話し合う必要はあったという事か。

 特に母艦にいる連中や、オッゴとして戦っている面々なんかをどうするのかといったような問題も、この場合はあるだろう。

 ……俺としては、ビグ・ラングが入手出来れば、それで最低限欲しいのは手に入れられるので、特に問題もないのだが。

 

「で? 結局どうする事になったんだ? 随分と予想していたよりも時間が掛かったけど」

 

 普通に考えれば、10分というのはそこまで長い時間ではない。

 だが、それはあくまでも普通の時であればの話であって、戦っている中での10分というのは非常に長い……長すぎる時間でもある。

 

『オリヴァー中尉は、ビグ・ラングと共に投降する事を認めたわ。けど、母艦の方は……難しいと思う』

 

 モニクの言葉は、ある意味で予想通りではあった。

 そもそもの話、母艦の艦長が素直に投降を認めるかどうかが問題だったし、艦長が決めても、他の乗組員がどう反応するかは、また別の話なのだから。

 

「なら、どうする? このまま俺と一緒に行くか? ……その場合、どうやってオッゴを集めるかが問題になるが」

『それは問題ないわ。私はオッゴを率いる部隊に対する指揮権の一部を得ているから。……本来なら、カスペン大佐が最上位の人物だったのだけれど……』

 

 カスペン? と考えて、すぐに納得する。

 あのパーソナルカラーを持った軍人は、確かにそう指揮権の最上位に位置すると言われても納得出来るだけの人物ではあった。……俺が倒してしまったが。

 とはいえ、もしこの場にカスペンがいたとすれば、ルナ・ジオン軍に対して投降するといった事は絶対に許容されなかっただろう。

 それこそ、もしルナ・ジオン軍に投降すると言おうものなら、ジオン公国に対する裏切りだと判断して、即座に攻撃をしてきたりしても、おかしくはない。

 カスペンと直接会話した時間はそんなに長くはなかったが、それでもカスペンの性格を理解出来るくらいには強烈な性格だったし。

 

「そうか。なら、オッゴを集めて降伏すると伝えろ。ちなみに、どうしてもルナ・ジオンに降伏したくないという奴は……」

『待って! オッゴのパイロットは学徒兵が大半よ!』

「……なら、そういう連中を戦場に出すのが、そもそも間違ってると思うんだがな。それに何か勘違いしているようだが、別に降伏しない奴は殺せと言ってる訳じゃない。降伏しない奴は、母艦に帰らせろ。こっちも、向こうが攻撃してこない限りは手を出さない」

『え?』

 

 映像モニタに表示されているモニクの顔が、完全に予想外だといったような表情を浮かべる。

 いや、ルナ・ジオン軍はどれだけ非道な集団だと思われているんだ?

 とはいえ、戦場で敵に遭遇し……しかもその敵が攻撃してくるのなら、そんな相手の心情を理解しろというのが無理である以上、当然のようにそんな相手は撃破する。

 それが嫌なら、それこそ学徒兵だろうがなんだろうが、戦場に出て来なければいいのだ。

 戦場に出て来ている以上、殺し殺される覚悟は当然のように持っている。

 そう思うのは、当然だろう。

 ……とはいえ、学徒兵だと知った上で嬉々として攻撃をするといったような真似をすれば、それこそ月のイメージが悪くなる。

 だからこそ、こっちを攻撃してこないで母艦に戻るのなら、こっちとしても見逃すという選択をすることにしたのだ。

 

「だから、向こうから攻撃してこなければ、こちらからも攻撃はしない。俺達に降伏するのなら、保護をする。……いつまでも時間はないから、早くオッゴを呼び集めて、それを伝えろ」

『分かったわ』

 

 少し戸惑いながらも、モニクは俺の言葉に素直に頷き、通信を切る。

 わざわざ通信を切るような真似をしなくてもいいと思うが、モニクにしてみればこれから通信でオッゴに指示を出すにしても、ジオン軍の機密か何かを口にしたりもするのだろう。

 ルナ・ジオンに投降するにしても、ジオン軍の機密を俺に教えるような真似をしたくないというのは、律儀で好感触だ。

 そう思っていると、やがて通信が終わったのだろう。少し離れた場所にオッゴの姿が見え始め……やがて、こちらに向かってやってくる。

 

「ルナ・ジオン軍に伝える。オッゴ……ジオン軍の戦闘ポッドは、敵から攻撃してこない限り、こちらからの攻撃を禁止する。オッゴを運用している部隊のトップらがルナ・ジオン軍に投降した。繰り返す、ジオン軍の戦闘ポッドのオッゴに対する攻撃は禁止する」

 

 オッゴが集まってくるまでの間に、俺もまたルナ・ジオン軍の通信回線でそう指示を出す。

 ボールがジオン軍に狙われやすいように、オッゴもまた連邦軍やルナ・ジオン軍のMSにしてみれば、狙いやすい獲物だしな。

 折角オッゴが大量に入手出来るかもしれないのに、それを破壊するような真似は絶対に避けたい。

 とはいえ、向こうから攻撃してきても反撃をするなとまでは思わないが。

 オッゴは欲しいが、それはあくまでもこっちに被害がない状況ならではの話だ。

 ルナ・ジオン軍の者の命とオッゴのパイロットの命。

 そのどちらかを選べと言われれば、俺は躊躇なく前者を選ぶ。

 モニクからの指示があって、それでもルナ・ジオン軍に攻撃をするような奴がいた場合は、そんな相手は必要ない。

 というか、そんなのを月に連れて行っても、それこそ自分勝手な理由で何らかのトラブルを起こし、最終的には農場に連れて行かれるという未来しか見えない。

 ……まぁ、農場で働く者は幾らいても多すぎるという事はないので、その辺りは問題ないんだろうが。

 それでも、別にわざわざそんなトラブルの元を引っ張ってくるというのは、とてもではないが思わなかった。

 だからこそ、オッゴが攻撃をしてきたら、反撃してもいいと指示したのだ。

 

『アクセル……今の通信はどういう事だい?』

 

 不満そうな様子で通信を送ってきたのは、シーマだ。

 ……何故かその近くにクリスとレコアのヅダもいるが、どうやらシーマと組んで行動していたらしい。

 シーマのヅダは強襲型のA型をベースに改修した機体であり、敵に突っ込んでいくような戦い方を行う。

 クリスのSP型はそれを後方から援護し、レコアのA型はクリスの護衛、と。

 そう考えれば、この3人で小隊を組むというのはおかしくはないだろう。

 ぶっちゃけ、俺とシーマの位置が入れ替わった感じだし。

 

「敵のオッゴを運用するビグ・ラングというMAのパイロットが、ルナ・ジオン軍に投降した。そうである以上、出来ればオッゴは多数確保しておきたい」

 

 オッゴには、技術的な面で見るべきところはない。

 ……戦力的にも戦闘ポッドである以上、MSには劣る。

 ただ、ルナ・ジオン軍の場合は最終的にキブツの材料として使うという手段があるんだよな。

 そういう意味では、別にオッゴでなくてもどんなスクラップであろうと……いや、それどころかデブリの類であろうとも、有効に使えるのだ。

 

『……なるほど』

 

 ビグ・ラングのパイロットを投降させたという事で、シーマもある程度は納得したのか、俺の方に納得の視線を向けてくる。

 好んで敵を増やす必要はないだろうし、ある意味で当然だろう。

 

「そんな訳で、もしオッゴが攻撃されているのを見つけたら、助けてやってくれ」

『しょうがないねぇ』

 

 完全に納得したという訳ではなく、あくまでも渋々といった感じではあったが、シーマも俺の言葉を承諾する。

 取りあえずシーマが承諾したとなれば、ルナ・ジオン軍がオッゴを攻撃するような真似はしないだろう。

 勿論、モニクの命令が聞けず、オッゴの方から攻撃してきたとなれば、話は別だったが。

 そういう奴の場合は、勿論反撃しても構わない。

 

『じゃあ、とにかく味方に指示を出すから、あたしはこの辺で失礼するよ、……あのビグ・ラングというMAは任せてもいいんだね?』

「ああ。それと、クリスとレコアも引き続きシーマと一緒に行動してくれ。俺の方は色々とやる事が多いから、一緒にいてもあまり意味はないしな。戦闘になる可能性も少ないし」

 

 普通なら、一国の代表が護衛もなしに戦場の中を移動するのは問題外だと、そんな風に思ってもおかしくはない。

 だが、生憎と俺の場合は普通とは違う。

 ……そもそも、現在俺が乗っているガンダム7号機は、現時点のUC世界においては最高峰の性能を持つMSだ。

 そんなMSを俺が操縦している以上、それこそデギンとレビルを殺したあの巨大なビームがいきなり発射されたりしない限りは、撃破される心配はない。

 ましてや、俺は人間ではなく混沌精霊である以上、もしあのビームが撃たれてガンダム7号機が撃破されても、その結果としては俺がただ宇宙空間に生身で存在しているだけとなる。

 そういう意味では、魔法の存在していないこの世界はネギま世界やペルソナ世界と違って、俺に取って非常に安全な世界であると考えてもいい。

 

『そうだね。じゃあ、そうさせて貰おうかい。クリス、レコア、あんた達もそれでいいね?』

 

 シーマが俺の言葉を聞き、クリスとレコアにそれぞれ尋ねる。

 クリスやレコアにしてみれば、色々と言いたい事はあるのかもしれない。

 だが、今のこの戦場を思えば、それに対して不満を言うよりも前に、やるべき事は多々あったのか、不承不承といった様子で頷く。

 クリスとレコアは、何気に双方ともそれなりの技量を持っている。

 取りあえずシーマに預けておけば、問題が起きるような事はない……と、思う。

 また、何か問題があってもシーマがいれば何とかなるだろうし。

 

『じゃあ、あたし達は行くよ。……ここの件はアクセルに任せるから、頼んだよ』

 

 そう告げ、シーマはクリスとレコアの2人を連れて、この場から立ち去る。

 俺にやるべき事が多々あるのと同様、シーマの方にもやるべき事は幾らでもあるのだろう。

 特にシーマは、ルナ・ジオン軍を率いるという立場になっているのだから。

 そうして、シーマとクリス、レコアは俺の側から他の場所に向かうべく移動する。

 それを見送っている間に、ビグ・ラングの側には多数のオッゴが集まってきていた。

 モニクの指示に従ってのものであり、これから自分達がどう行動するのかを決める為でもあるのだろう。

 こうしてみると、オッゴの数は何だかんだと結構多いな。

 ボールと同じような戦闘ポッドである以上、数が重要だというのは理解出来るが。

 何よりもオッゴを操縦しているのは学徒兵で、MSの操縦が出来ない……正確にはそれを教えているだけの時間的な余裕がなかったからこそ、オッゴという戦闘ポッドを開発したのだろうが。

 ともあれ、モニクとオリヴァーの説得でオッゴがどう判断し、どう行動するのかが分からない以上、今の俺に出来る事は……殆どない。

 ただ、周囲に余計な連中がこないのかを偵察するだけだ。

 ……カスペンの指揮下にあったゲルググ辺りは、この行動を疑問に思って様子を見に来てもおかしくはないんだが。

 来る様子がないのは、ルナ・ジオン軍と連邦軍が上手い具合に戦っているからか?

 それは俺にとっては悪い選択ではない。

 いや、寧ろ余計な戦闘にならないのだから、助かるとも言える。

 カスペンの部下ともなれば……少しカスペン本人と話した程度だったが、その性格はジオン公国に対する強い忠誠心を宿しているといったような感じだった。

 その辺の事情を考えると、その部下も似たような性格になっても、おかしくはない。

 だからこそ、もしここにそのような者達がいれば、どうなるか。

 ただ、俺が最初に鹵獲したオッゴのパイロットも、学徒兵という若い年齢だったからこそ、自分がジオン公国を守るのだと、そう考えていた。

 問題なのは、あのオッゴの中にそんな同類がどのくらいいるのかといったところか。

 そんな風に思っていると……不意に、オッゴの1機が爆発した。

 っ!? 何だ? 何が起こった?

 もしかして、オッゴ同士の間で投降するかしないか、迷って戦いになったのか?

 一瞬そう思ったが、ビグ・ラングやオッゴ、それにモニクの乗っているゲルググの胴体から、特にこれといった動きを見せていない。

 だとすれば……第三者の仕業。

 そう思って周囲の様子を確認すると、実弾のマシンガンをオッゴの方に向けているジムの姿があった。

 それも1機ではなく、3機。

 この光景を見れば、一体誰が先程の爆発を起こしたのかは、それこそ考えるまでもない。

 

「何のつもりだ? 通信で、あの連中はこっちに降伏するつもりだという連絡はいってる筈だが?」

 

 もしかして、先程黒い三連星に確保して貰った奴と同じく、ジオン軍に恨みを持っている連中なのかと思いながら、3機のジムに近付いていくのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1265
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1632

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