転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2661話

 最初に撃ったビームは、灰色のパーソナルカラーを持つゲルググのすぐ側を通り抜け、あらぬ方向に飛んでいく。

 牽制の為に放った一撃であった以上、この攻撃は外れて当然だった。

 そして予想通り、灰色のゲルググはビームの飛んできた方……ガンダム7号機の方を向く。

 取りあえず、これで灰色のゲルググの意識をこちらに向ける事には成功した。

 連邦軍の部隊は予想通りジムとボールという典型的な組み合わせの部隊だったが、その数はかなり減っている。

 それはつまり、それだけあの灰色のゲルググが強敵だったという事であり、その仲間のゲルググも精鋭揃いという事なのだろう。

 実際、ジオン軍にとってゲルググというのは、高性能なだけに数も揃ってはいない。

 そんなゲルググを多数配備している部隊なのだから、エース揃いのキマイラ隊程ではないにしろ、それなりに腕の立つパイロットが揃っているのは間違いないだろう。

 そして、当然のようにパーソナルカラー持ちのパイロットというのは、部隊の中でも中心的な役割を果たす事になる。

 そのエースの注意をこちらに引き受けるのだから、それを考えれば俺の行動は間違っていない筈だ。

 ……そんな俺の予想を裏付けるように、灰色のゲルググは持っていたビームライフルの銃口を、自分に向かって真っ直ぐ近付いてくるガンダム7号機に向け……トリガーを引く。

 そのタイミングを見計らい、スラスターを使ってその場から移動する。

 次の瞬間、ガンダム7号機のあった場所を正確にビームが貫く。

 パーソナルカラー持ちだけあって、その技量はさすがだな。

 それこそ、こんなゲルググのパイロットと、その仲間を敵にしてしまった連邦軍がここまで苦戦しているのは理解出来た。

 場合によっては、この灰色のゲルググだけを敵にしても、連邦軍は負けていたのではないかと、そう思ってしまう。

 

「連邦軍の部隊、聞こえているな? この灰色のゲルググはこっちで引き受ける。お前達は他のゲルググを相手にしていろ。すぐに他の援軍も来るから、それまで死ぬなよ」

『感謝する!』

 

 切羽詰まった様子で通信が返ってくる。

 恐らくは、連邦軍の部隊を率いている者だろう。

 向こうにしてみれば、灰色のゲルググを相手にするだけでもかなり絶望的だったんだろうから、そこに俺が来たというのは、天の救いといった形か。

 ……どちらかと言えば、俺は天じゃなくて地獄からの救いなんだけどな。異名が月の大魔王だし。

 そんな風に考えていると、灰色のゲルググはビームナギナタを構えつつ、もう片方の手でビームライフルを撃ちながら距離を詰めてくる。

 なるほど、射撃戦じゃなくて近接戦闘を希望か。

 それは決して間違ってはいない。

 実際、俺のステータスを見れば分かるが、射撃と格闘では射撃の方が数値は上なのだから。

 ……だからといって……

 

「格闘が苦手な訳じゃないんだけど、な!」

 

 こちらからも間合いを詰め、ビームライフルを握っているのとは逆の手でビームサーベルを握り、灰色のゲルググに向かって振り下ろす。

 その一撃をビームナギナタで受け止める灰色のゲルググだったが、次の瞬間ガンダム7号機の蹴りが灰色のゲルググの胴体を蹴り飛ばした。

 俺のステータスは、射撃の方が上なのは間違いない。

 だが、それはあくまでも射撃よりも格闘の方が低いという意味で、純粋な数値だけなら、それこそ格闘でもエース級の実力を発揮出来る。

 また、それ以外にもスキルでインファイトを持っている事もあり、近接戦闘は決して苦手ではないのだ。

 蹴り飛ばされた灰色のゲルググは、AMBACやスラスターを上手い具合に使い、すぐに体勢を整える。

 この辺りにどれだけの時間が掛かるかで、そのMSパイロットの技量が分かるんだが……そういう意味で、やはりこの灰色のゲルググのパイロットはパーソナルカラーを許されているだけはあった。

 だが、そんな灰色のゲルググに対し、俺は頭部バルカンで追撃を行う。

 ……頭部バルカンで攻撃をしても、至近距離ならまだしも、このくらいの距離が開いていれば、それは致命傷になるということはない。

 ただし、頭部のカメラに命中したりすれば、それは相手にとって致命傷ではないにしろ、面倒な真似をしていると、そう思ってしまうのは当然だろう。

 当然灰色のゲルググのパイロットも、そんな事は予想しているのか、シールドを顔の前に持ってくる。

 楕円形のその盾は、ギャンが最初に使っていた盾とは違って、純粋に盾としての性能を持った盾だ。

 これでギャンの盾のようにミサイルの発射口が盾の表面にあれば、そこに頭部バルカンの弾丸を叩き込んでやるといったような真似も出来たのだが、残念ながらそのような場所がない以上、攻撃するような真似は出来なかった。

 

「だが……それが命取りだな!」

 

 ゲルググのシールドは、ギャンのシールドとは違ってかなりの大きさだ。

 それは身体全体を防御するという意味では十分だったが、同時に取り回しが悪いという事でもある。

 そして頭部のカメラを庇った以上、向こう側からこちらの姿が見えなくなり……こっちの攻撃は、十分の威力を発揮する訳だ!

 スラスターを全開にして、ゲルググとの間合いを詰める。

 向こうもエースだけに、この隙を俺が突くというのは予想していたのか、シールドからビームライフルの銃口をこちらに向けて、トリガーを引いてくる。

 しかし、そのビームが放たれたのは俺がいたのとは全く別の方向。

 灰色のゲルググのパイロットも、これまでの経験からシールド越しであっても俺のいる場所を予想して撃ったのだろうが、生憎と俺の乗っているMSはその辺に存在するMSではない。

 MSがジムで、しかもそれを操縦していたのが連邦軍の新米パイロットだったら、もしかしたらビームが命中していた可能性も否定は出来ない。

 だが、生憎とここにいるのはガンダム7号機で、パイロットは俺だ。

 そして、見当違いの方向にビームを撃ったのは、俺にしてみれば絶好のチャンスだったのは間違いなかった。

 盾の横に回り込むようにして、移動し……ビームサーベルを一閃する。

 真っ直ぐに振るわれたその一撃は、シールドを持った左腕を切断する。

 だが……それでも、向こうの動きは衰えない。

 右手に持ったビームライフルをこちらに向けようとし……

 

「遅い」

 

 その右腕も、肘の辺りからビームサーベルの一撃によって切断される。

 これによって、両腕を失ったゲルググ。

 基本的にゲルググの武器は手持ちで、ガンダム7号機のように頭部バルカンの類も装備はされていない。

 そうである以上、両腕を失った灰色のゲルググに出来るのは……

 

「だろうな」

 

 ガンダム7号機の頭部を狙って放ってきた蹴りを回避し、ビームサーベルで右足を切断する。

 両腕を失い、機体のバランスも大きく崩れた状況でありながら、それでも尚こちらに向かって蹴りを放ってくる辺り、やはりこのMSのパイロットは相当の腕利きなのだろう。

 MSパイロットとして相応の技術がなければ、それこそ今のゲルググのような状態でこちらに向かって蹴りを放つといった真似は不可能なのだから。

 そうして、左足と頭部と胴体だけになった灰色のゲルググのコックピットに、ビームライフルの銃口を突きつけ、通信を送る。

 

「降伏しろ。そうすれば、命は助ける」

『ふざけるな! ジオン公国の命運を決めるこの聖戦において、そのような真似が出来る筈がなかろう! このヘルベルト・フォン・カスペンを侮るな!』

 

 通信で返ってきたのは、そんな怒声。

 MSはもう大破に近く、戦闘能力という点では皆無に等しい。

 だが、それでも向こうは降伏するつもりは一切ないらしい。

 ……この手の性格だったか。

 まぁ、ザビ家を強く信頼している者も多いし、中には信頼どころか崇拝の域にまで達している者もいる。

 そう考えれば、このカスペンとかいう男は、まだそこまで深刻な訳ではない。

 だからといって、この状況をどうにか出来るかと言えば、その答えはまた違うのだから。

 さて、だがそうなると、このカスペンをどうするか。

 ジオンの独立戦争を聖戦と認識しているというのは、正直非常に厄介だ。

 自分が正しいと思っているからこそ、こちらの話に耳を貸すような真似はまずしない可能性が高い。

 であれば、ここで撃破してしまった方がいいか?

 実際、それは決して間違っている選択肢ではないのだろう。

 戦意が全く収まっていない以上、攻撃する手段があれば攻撃してきてもおかしくはない。

 ……それこそ、ゲルググの核融合炉はまだ無事なのだから、それで自爆という選択をする可能性も、否定は出来ないのだ。

 勿論、その自爆が俺に効果があるのかどうかというのは、また別の話だったが。

 ともあれ、ジオン公国について盲信しているのなら……セイラの方にその対象を移すといった事は出来ないか?

 そう思うも、今の会話から考えると難しそうに思えた。思えたが……ならば、同じザビ家という事で、ガルマはどうか。

 セイラはダイクンの娘ということで、ザビ家信者にしてみれば忌避感があってもおかしくはない。

 だが、ギレンと同じザビ家のガルマなら。

 少なくても、マツナガの場合はこの選択で上手くいったのだ。

 ……もっとも、マツナガの場合は兄のように慕っていたドズルがガルマを可愛がっており、将来に期待していたというのが大きいのだろうが。

 それに比べると、このカスペンという男がガルマと繋がりがあるかどうかは……それこそ、俺では分からない。

 

「このままだとジオン公国の負けは確定する。その戦いの中で、お前も死んでもいいのか?」

『ふざけるなぁっ! ジオン公国が負けるなどという事はない!』

「そうは言っても、既にア・バオア・クーまで押し込まれているし、そのア・バオア・クーでもかなり劣勢だろう?」

 

 実際には、現状のジオン軍がそこまで劣勢という訳ではない。

 ドロス級を配備したり、ジオン軍の中でも精鋭が揃っているという事もあってか、ほぼ互角……どころか、場所に寄ってはジオン軍の方が有利な戦況となっている場所もあった。

 だが、それはあくまでも今ならという限定された状況での話だ。

 このまま戦いが続いた場合、恐らく……いや、ほぼ間違いなく連邦軍が物量でジオン軍を押し切る。

 幾らジオン軍の兵器が優秀で、パイロットの技量が連邦軍よりも勝っているとはいえ、それがいつまでも続くわけではない。

 いや、兵器の質という点ではこの戦いの間は続くだろうが、パイロットはどうにもならない。

 戦い続ければ、どうしても疲労する。

 ましてや、これが普通の時なら自分の疲労もしっかり認識出来る者も多いのだろうが、戦闘……命を懸けた戦いの中ともなれば、自分が本当に疲れているのかどうか、そして万全の状態で戦えるのかどうかというのは、判断出来ない事もある。

 戦いの緊張というのは、それだけ精神的に強い疲労を与えるのだ。

 だからこそ、今の状況が長く続けば、有利なのは物量で圧倒している連邦軍となる。

 ジオン軍がこの状況から勝利するには、有無を言わせず連邦軍に負けを認めさせるだけの被害を与える必要がある。

 具体的には、デギンとレビル、ついでにレビルの乗っていた軍艦の後方にあった連邦軍の艦隊を一撃で消滅させた、あの巨大なビームをまた発射するといったように。

 だが、あのビームが連射出来るような代物でないというのは、もう連邦軍に知られている。

 もし連射出来るのなら、それこそすぐにでも連射して本格的に戦いになる前に、連邦軍に大きな被害を与えておけば、それでよかったのだから。

 

『それでも、ジオン軍は決して負けるような事にはならん!』

「お前がジオン公国に強い思いを抱いているのは分かった。なら……その力、月の下でとは言わないが、ガルマ・ザビの下で活かすつもりはないか?」

『……何だと?』

 

 よし、どうやらガルマの名前はこのカスペンとかいう奴の気を惹くには十分だったらしい。

 

「ガルマ・ザビ。地球で死んだとされているが、もしそのガルマ・ザビが生きていたら、どうする? もし今ここでジオン公国が負けても、ガルマがいれば本当の意味で負けたといった事にはならないと思うが?」

 

 実際には、もしガルマが生きていても、ジオン公国が負けたという事実は変わらない。

 しかし、それはあくまでも俺の認識であって、この手の連中はそう思わない者も多かった。

 そういう意味では、やっぱりガルマが生きているというのは、カスペンに対する切り札になる。

 そう思ったのだが……

 

『ふざけるなっ! このジオン公国の一大事に駆けつけてこない者など、栄光あるジオン公国には不要!』

 

 そう叫び、唯一残った左足とスラスターを使って蹴りを放とうとしてくるが……

 

「そうか」

 

 その動きを見せた瞬間、ビームライフルのトリガーを引き、そこから放たれたビームは灰色のゲルググのコックピットを貫き……宇宙に爆発の華が1つ、生まれるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1265
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1632

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