ホワイトベースからそう離れていない場所で戦っていたクリスとレコアは、最低限の補給を終えると、すぐに俺と共にルナ・ジオン軍が集まっている宙域に向かって進む。
『アクセル、貴方本当に大丈夫なの? 相手はキマイラ隊だったんでしょ?』
その移動中、クリスのヅダがガンダム7号機に触れ、接触通信でそう尋ねてくる。
「まぁ、取りあえず何とかな。精神的に疲れたのは事実だけど。機体を見れば分かるだろ? MSに傷の1つも存在しないんだ」
『……アクセルの操縦技術には、呆れるしかないわね。あのキマイラ隊と戦って、無傷で切り抜けるなんて』
感心……もしくは言葉通りに呆れの言葉を口にするクリスだったが、キマイラ隊との戦いは無傷で切り抜けたものの、キマイラ隊の中で撃破した敵の数も0だった。
正確にはイングリッドとかいう子供の乗っていたゲルググを撃破したが、パイロットのイングリッドは爆発前にコックピットを飛び出して生き残ったし。
とはいえ、あんな子供を殺さなくてすんだのは、俺にとっても幸運だったが。
イングリッドのような子供を殺してしまっては、寝覚めが悪いし。
「ガンダム7号機の性能もよかったしな」
そう告げるが、実際にはガンダム7号機の性能では俺の操縦についてこられず、もどかしい思いをしたのも事実だ。
マグネットコーティングをした上でそんな感じなのだから……このUC世界での技術の進歩に期待するしかないだろうな。
『ふーん。……そうそう、レコアのことも少し気に掛けてね。キマイラ隊との戦いで避難していろと言われたのを、少し気にしていたみたいだったから』
「だろうな」
まだそこまで長い時間一緒にいる訳ではないが、それでもレコアが気の強い性格をしているのは、十分に理解出来た。
また、ルナ・ジオン軍の中でも新兵の中では腕利きとして評価されていたらしいし、自分でもその実感があったのだろう。
だが……そんなレコアの自信も、キマイラ隊との戦いでは役に立たない……どころか、こっちの足を引っ張ると判断された事で、傷ついてしまったのだろう。
とはいえ、レコアは結局のところまだ新米パイロットでしかない。
新米パイロットの中では高い操縦技術を持っていても、そんなレコアよりも技量が上の存在は、それこそ数え切れないくらい存在していた。
そうである以上、本当の意味でここで折れるといったようなことになった場合、それこそこの先はパイロットとしてやっていけない。
この程度で折れるようなら、今はレコアよりも技量が低くても、精神的に強い奴……それこそ、根性のある奴の方が、期待出来る。
アムロを始めとして、天才的と言ってもいいような技量の持ち主であれば、多少精神的に脆くても期待はしてしまうが、レコアの場合は技量そのものは高いのかもしれないが、それは結局新米の中での話なのだから。
「ただ、今は特に何も言うようなことはないな。精神的な強さというのは、この先ずっと必要とするものだし」
『……冷たくない?』
「そうでもないと思うぞ。……それより、見えてきた」
全天周囲モニタには、カトンボやザンジバル級、ムサイ級のように、ルナ・ジオン軍から派遣されている軍艦が揃っている。
どうやら、俺達はかなり遅れてしまったらしい。
……俺達が戦っていた場所はかなり離れていたので、それを思えば俺達が遅くなってもおかしくはないのだが。
「カトンボに着艦するぞ」
『了解』
『分かりました』
先程までの接触通信ではなく、ルナ・ジオン軍用の通信でクリスとレコアに告げると、すぐに返事が来る。
それを聞きながら、カトンボに向かい……少し離れた場所に、サラミス級が3隻いる事を確認する。
どうやらあの3隻のサラミス級が、今回俺達と一緒に行動する連邦軍らしい。
シーマ曰く、評判の悪い部隊という話だったが。
ここで無意味にこっちに仕掛けてくるような真似は、恐らくはしないと思う。
連邦軍にとっても、今この状況でルナ・ジオン軍に喧嘩を売るような真似は、まずしないだろうし。
そんな風に考えながら、カトンボの格納庫に着艦する。
すると、すぐにメカニック達が近付いてくる。
……中には、俺がアムロの援軍に行った事で、また何か新しい鹵獲品があるかもしれないと、そんな期待をしているディアナの技術者もいるのだが。
ただ、生憎と今回は鹵獲品は存在しない。
あ、でも考えてみればアムロがエルメスを撃破したという事は、あの辺にはビットが幾つか残っていた可能性もあったのか。
それを考えると、ビットをもっと確保出来た可能性をみすみす逃したのは痛い。
ただ、アムロがあれだけショックを受けている状況で、まさかエルメスのビットを確保したいなんてことを言える訳がないのも事実だが。
そこまで考え、ふと気が付く。
そう言えば現在俺の空間倉庫に入っているビットだが……エルメスが撃破されたという事は、自爆装置とかが搭載されていても発動するという事はないのでは?
ただ、微妙に問題なのはエルメスとの連絡が取れなくなった時点で自爆するという可能性も否定出来ない事だろう。
無線でコントロールしていた以上、何らかの方法で通信をしていたのは間違いない。
であれば、その通信が出来なくなった時点で……というのは、フラナガン機関の研究者なら考えてもおかしくはなかった。
何しろ、フラナガン機関はサイド6の研究所を潰された件で、かなり神経質になっていてもおかしくはないし。
うん、そうだな。やっぱりビットの解析は月に戻ってから、人のいない場所で行うとしよう。
幸いにして、クレイドルを含めた月面都市の外には、幾らでも使われていない場所があるのだから。
「補給と整備を頼む。特にビームライフルの充電はホワイトベースで少しやった程度だから、かなりエネルギー残量が少ない筈だ」
何だかんだと、俺がホワイトべースにいた時間……具体的にはアムロと話していた時間は、そんなに長い時間ではない。
だからこそ、ビームライフルの充電に関しても、実際にはそこまで多くはされていないのだ。
この後でソロモンの一方向を俺達だけ……正確には連邦軍の部隊も含めてだが、とにかく少数で攻めるとなると、どうしてもビームライフルの威力は必須となる。
ビームライフルの威力は、非常に頼りになるんだよな。
メカニックに指示を出すと、ちょうどクリスとレコアもこちらに近付いてくる。
……何気に、俺はホワイトベースでそれなりに補給出来たけど、クリスとレコアの場合は、補給も出来ずに戦っていたので結構厳しかったんだよな。
とはいえ、基本的に遠距離からの攻撃を行うSP型のヅダに乗っているクリスは、銃弾はともかく、推進剤の方はそこまで消費していない。
レコアの機体も、基本的にはクリスのMSの護衛を行っていたので、推進剤や弾丸の消耗はそこまでないだろう。
そういう意味では、キマイラ隊と戦っていた俺の場合は消耗が激しくなるのも当然だった。
ビームライフルと実弾の違いとしては、現時点ではビームライフルは充電器で充電しないといけないので、次に使えるのは相応に時間が掛かる。
だがそれに比べて、実弾の方は補給用の弾丸を用意すればすぐにでも使える。
もっとも、実弾を使う銃の方も銃身を酷使しすぎると、銃身に影響が出て来るが。
「じゃあ、取りあえずブリッジに行くぞ。そこで色々と細かい情報を聞く」
「分かったわ。……けど、あのサラミス3隻が……?」
「ああ。クリスは聞いた事がないか?」
元連邦軍のクリスなら、連邦軍の部隊についても詳しいのではないか。
そう思って尋ねたが、クリスは首を横に振る。
「いえ、分からないわ。……そもそも、連邦軍はどれだけ大きい組織なのか、アクセルなら知ってるでしょ? とてもじゃないけど、連邦軍の全ての部隊を把握するなんて真似は出来ないわよ。……ホワイトベース隊みたいに、色々と有名なら話は別だけど」
「ホワイトベースが有名なのは分かるけど、そういう意味ならあのサラミスにいる部隊も色々と評判が悪いんだろ? なら、クリスが知っていてもおかしくはないと思うんだがな」
「知らないわね」
それが本当なのだというのは、クリスの目を見れば明らかだった。
「アクセル代表、そろそろブリッジに行った方がいいのでは?」
俺とクリスの話に割り込むように、レコアがそう告げてきたが……そうだな、そろそろ行った方がいいのは間違いないか。
「そうだな。そろそろブリッジに行った方がいいか。シーマを怒らせると、色々と危険だしな」
「そうなんですか?」
意外そうな様子で尋ねるのは、レコア。
これは、多分……月で流されているシーマの情報について、鵜呑みにしている形か?
もしくは、シーマの情報で抱かれているイメージを信じているか。
とはいえ……これはそうおかしな話ではない。
月の住人で、普通に生活をしていてシーマと会う事というのは、基本的にまずないのだから。
だからこそ、シーマに抱かれるイメージが人によって色々と違ってきてもおかしくはない。
「そうなんだよ。言っておくが、シーマはその外見とは裏腹に気性が荒いぞ? 海兵隊を率いていたのは、伊達じゃないんだ。……女傑という言葉がこれ程に似合う女は、そういない」
能力だけで言えば、女傑と呼ぶに相応しい者はルナ・ジオンには何人もいる。
だが、そんな中でもトップクラスの女傑が、シーマなのだ。
外見だけなら、かなり美人なんだけどな。
それに騙されてシーマに言い寄った奴が酷い目に遭ったって話はそれなりに聞くし。
ともあれ、レコアがそんなシーマに影響されて、妙な風に成長しない事を祈りながら、ブリッジに向かう。
「待たせたか?」
『そうだね。けど、MSの補給とか整備があったんだろう? なら、その件で責めるようなことはないさね』
ブリッジの映像モニタに表示されたシーマが、そんな風に言ってくる。
シーマは海兵隊を率いる身でありながら、自分でもMSのパイロットとして働く。
そうである以上、MSについての補給や整備については、深い理解があって当然だろう。
これが、自分で直接前線に出ずに、データだけで全てを知ったつもりになっているような人物なら、その辺の重要性を理解出来ないんだが。
「助かるよ。さて、それで……俺達が攻めるEフィールドだが、一体どんな感じなんだ?」
『あたしが集めた情報によると、未確認のMS……いや、戦闘ポッドが多数確認されてるらしいね』
「戦闘ポッド?」
『ああ。連邦軍のボールとかあっただろう? あれと似てるような兵器らしい』
「……なるほど」
シーマからの情報は、ある意味で納得出来る部分があった。
何しろ、ジオン軍はとにかく数が足りない。
かといって、MSを連邦軍並に大量生産するにも、物資とかがそこまでない。
それは連邦軍もある意味同じで、だからこそ数を揃える為にボールを開発したのだから。
ただでさえ連邦軍よりも国力が少なく、それに比例して軍人の数が少なく……その上、更にルナ・ジオンの建国に伴って結構な数のジオン軍人が月に移住なり亡命なりしてきたのを考えると、ジオン軍の数が少なくなるというのは十分に理解出来た。
MSのパイロットが少なくなったのなら、戦闘ポッドのようなものじゃなくてMSを行き渡らせる事が出来るんじゃないかと、そう思わないでもなかったが……まぁ、そこまで単純な話ではないのだろう。
『その戦闘ポッドだけど、純粋な戦力として見た場合、ボールよりも上らしい』
「だろうな」
元々ジオン軍は連邦軍よりもMSの技術では10年先をいっていると言われている。
個人的にはビームライフル、マグネットコーティング、全天周囲モニタ、リニアシート、FSWS計画等々、決してそこまで差があるようには思えないが、それでも全体的に見た場合、やはりジオン軍の方が上なのだろう。
その上で、ジオン軍がMSを開発してきた中で得られた技術を活かして戦闘ポッドを開発すれば、それがボールよりも高性能になるのは、そうおかしな話ではない。
『そんな訳で、こっちに話が回ってきた訳だけど……』
「戦闘ポッドがボールより高性能でも、結局戦闘ポッドは戦闘ポッドで、MSには及ばないだろ? ましてや、連邦軍のMSはビーム兵器を標準装備してるのが大半なんだし、わざわざ俺達に任せるような事か?」
『実際には、あたし達が攻めるEフィールド以外から連邦軍がア・バオア・クーに攻める為の、囮や陽動だろうね』
「……ソロモンの時と同じか。あの時の一件で懲りたと思ったんだけどな」
ソロモンでのチェンバロ作戦でも、俺達は陽動だった。
しかし、その陽動が思っていた以上の効果を上げ、結果としてソロモン攻略の手柄の多くをルナ・ジオン軍が得る事になった。
勿論、連邦軍側でも相応の手柄を挙げているが、それでも予想していた流れとは大きく違ったのだろう。
「取りあえず、話は分かった。なら、ルナ・ジオン軍はその陽動に従うとしよう。その戦闘ポッドも、確保しておけば何らかの役に立つかもしれないしな」
そんな俺の言葉に、シーマは若干呆れ気味ながらも頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1260
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1631