転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2657話

 キマイラ隊が去ったと思ったら、聞こえてきた慟哭。

 それも普通の慟哭ではない。

 そもそも、俺とアムロのG-3ガンダムは、通信で話していた訳でも何でもないのだから。

 それでもこうして聞こえてきたのは……考えられるとすれば、アムロのニュータイプ能力が原因の可能性が高い。

 俺が持つ念動力は、ニュータイプ能力の上位互換的な能力だ。

 だからこそ、アムロのそんな慟哭が俺にも聞こえてきたのだろう。

 上位互換とはいえ、より感性的な能力がニュータイプである以上、俺に聞こえたという事は……恐らくこの戦場にいるニュータイプの多くがアムロの慟哭を聞こえていると思ってもいい。

 とはいえ、何故ここまでアムロが慟哭を上げたのか。

 俺もアムロの援護をする為にここまでやって来たのだが、キマイラ隊との戦いで完全にアムロとはぐれてしまった。

 俺が戦っていて移動したのか、それともアムロがシャアやエルメスと戦いながら移動したのか、そのどちらなのかは俺にも分からなかったが。

 まさかシャアの援護にエースだけを揃えたキマイラ隊を送ってくるとは思わなかったけに、完全に意表を突かれた感じだった。

 正直なところ、俺だから何とかキマイラ隊と戦って無事だったようなものだが、もし他のパイロットだったら、それこそアムロであっても無事ではいられなかったと思う。

 何しろ、キマイラ隊はエース級や準エース級を集めたにも関わらず、本来なら我の強いエース達が完全にジョニーを中心にして纏まっていた。

 エース達が有機的に連携をしながら攻めてくるのだから、厄介以外のなにものでもない。

 ……ニーズヘッグやサラマンダー、ミロンガ改に乗っていれば俺も何とか出来た気はするが、それはあくまでも結果論でしかない。

 それに、ガンダム7号機も決して悪いMSではないのだから。

 いや、寧ろ現在のUC世界においては最高峰の性能を持っているMSだ。

 問題なのは俺の反応速度にMSがついてこられない事だが、これは俺が人間ではなく混沌精霊である以上、しょうがないだろう。

 それこそ、俺の反応にきちんとついてこられる機体となると、ニーズヘッグのようにT-LINKシステムを使った機体しかないのだから。

 

「ホワイトベース、聞こえるか? ホワイトベース!」

 

 ともあれ、アムロに何があったのかを知るには、アムロとはぐれてしまった以上、ホワイトベースに連絡をとるしかない。

 

『こちらホワイトベースです。アクセルさん、無事でしたか』

 

 通信に出たのは、モーリン。

 切羽詰まった様子なのは、今のアムロの慟哭に関係あるのか、それとも他の何かに関係があるのか。

 その辺は俺にも分からなかったが、とにかく事情を把握するのが最優先だった。

 

「アムロはどうなった? アムロの援護をしようとしたところで、ジオン軍のキマイラ隊に襲撃されて、ついさっきまでそのキマイラ隊と戦っていたから、事情が分からない。アムロとも戦闘の混乱ではぐれたしな」

『キマイラ隊ですか!? あのエース揃いの!?』

 

 キマイラ隊という名前に、モーリンは驚愕の表情を浮かべる。

 どうやらキマイラ隊を知っていたらしい。

 まぁ、エースを集めた部隊だけに、ジオン軍の方でもプロパガンダは派手にやってもおかしくはないか。

 

「そのキマイラ隊だ。何とか撃退は出来たが、それでもこっちのビームライフルのエネルギー残量や推進剤は結構消耗している。ホワイトベースの方で補給を頼む。……で、アムロは?」

『補給の方は問題ありません。すぐにこちらに来て下さい。ただ、アムロ少尉の方は……』

 

 言いにくそうに首を横に振るモーリン。

 ホワイトベースでも事情を把握していないのか、それともホワイトベース以外の者には事情を説明出来ないのか。

 その辺は俺にも理解は出来なかったが、ともあれホワイトベースに戻った方がいいな。

 

「分かった。……ああ、俺と一緒に援軍に来た、クリスとレコアはどうした?」

『そちらは、ホワイトベース隊のMSと共に敵と戦っています』

 

 いますという事は、現在進行形でまだ戦っているのか。

 アムロ達の戦いに何かがあったのは間違いないが、それが具体的にどのようなものだったのかは分からない。

 キマイラ隊が撤退したのは、あのイングリッドとかいう少女の安全を確保し、そのイングリッドを攻撃しなかった俺に対する感謝も含めての行動だったのかもしれないが。

 勿論、あの状況で戦闘が続いても、何だかんだと最終的に俺は勝てたと思っている。

 とはいえ、最終的に勝てるとしても、エースパイロットが有機的に連携してくる以上、ガンダム7号機で倒すのにはそれなりに時間が掛かったのは間違いないだろう。

 

「そうか。一応聞くけど、無事だな?」

『はい。クリスさんの援護は、かなり正確ですね。レコアさんもクリスさんの護衛の役目を十分にこなしています』

 

 モーリンが感心したように呟く。

 それはお世辞でも何でもなく、心の底からそう思っての言葉だというのは、明らかだった。

 どうやら、俺の指示した通りにあの戦場を離脱した後は、しっかりと役目を果たしていたらしい。

 

「分かった。そうなると、後はアムロがどうなったかだが……」

 

 そう言ったタイミングを計っていたかのように、アムロの乗っているG-3ガンダムが姿を現す。

 機体の数ヶ所に、ビームによるものか装甲が溶けていたが、機体そのものは無事なのは間違いない。

 問題なのは、MSから感じられる……そう、虚無感に近いものが何なのかだろう。

 その虚無感の理由が、先程聞こえてきたアムロの慟哭に関係しているのだろう事は、想像出来るが。

 具体的に何があってあのような……絶望と言い換えてもいいような慟哭をしたのかは、気になるところだったが。

 とはいえ、これだけは聞いておく必要があるだろう。

 

「アムロ、シャアとエルメスは倒したのか?」

『……シャアには逃げられましたけど、ララァは倒しましたよ』

 

 呆然と、それこそ自分でも何を言ってるのか分からないといった様子で通信を送ってくるアムロ。

 にしても……ララァ?

 今の話を聞く限りでは、そのララァというのがエルメスのパイロットだったのか?

 そして、ソロモンでビットを通じて俺と接触した影響で悲鳴を上げた人物……か?

 とはいえ、何故アムロがそのララァという人物を知ってるのかは、少し疑問だったが。

 ここで聞いてもいいのかどうかは、正直微妙なところだ。

 だが、そのララァというのがエルメスのパイロットだった場合、俺が以前ビット越しに接触したパイロットの可能性が高い。

 ビットという、無線のビーム砲台を自由に使えるだけのニュータイプ能力者ともなれば、その数はそこまで多くはない筈だ。

 だからこそ、そのララァというパイロットが俺の接触した相手だと、そう考えるのは当然だろう。

 

「その、ララァというパイロットはどういう奴だ? 名前の感じからすると、女らしいが」

『……それが、関係あるんですか?』

「あるかないかで言えば、ある。ソロモンで襲ってきた時に一度ビット越しに接触したしな」

 

 だからこそ、俺が最初に援軍に行った時、エルメスは俺に向かって集中攻撃をしてきたのかもしれないが。

 セイラを始めとして、俺と直接触れたニュータイプの多くは、驚異的にニュータイプ能力が上がっている。

 だが、中にはアムロのようにトラウマだけを抱えてしまったという者も多い。

 そんな中で、ビット越しに俺と接触したララァとかいう女の場合は、一体どうだったのか。

 ビット越しだったが故に、アムロと同じようなトラウマを植え付け、その上でビット越しだった為に、ニュータイプ能力も上がらなかった。

 勿論、アムロのように俺と接触してもニュータイプ能力が強まらない例もあるのを考えると、その辺は予想でしかないが。

 

『アクセルさんがきちんと手伝ってくれれば、ララァを助けられたかもしれないのに……』

「悪いが、俺もキマイラ隊の相手で精一杯だったんでな」

 

 恨み……とまではいかないが、恨めしいといった様子でそう言ってくるアムロにそう返す。

 しかし、今のアムロの言葉から考えると……シャアとララァの2人を相手にしたから、そのララァが死んでしまった?

 そうなると、アムロはそのララァという相手を倒すつもりはなく、何とか助けようとしていた……といったところか。

 ただ、正直なところそう言われても困るな。

 こっちはシャアと同等の異名持ちたるジョニーと、そのジョニーが率いる全員がエース級か準エース級といったような部隊を相手に戦っていたのだから。

 俺がキマイラ隊を抑えていたからこそ、アムロはシャアやララァとの戦いに専念出来た、と言ってもいい。

 もしアムロの戦いにキマイラ隊が乱入していればどうなったか。

 恐らく……本当に恐らくの話だったが、アムロは負けていただろう。

 そして宇宙での戦いで負けるということは、死ぬということを意味してもいる。

 そう考えると、俺がキマイラ隊を引き受けた事は、アムロにとっても幸運だった筈なんだが……アムロもそれは分かっている筈だ。

 にも関わらず、それでも我慢出来ずに俺に突っかかってくるという事は、もしかして……アムロとララァの間には、何か繋がりがあったのか?

 一瞬そう思うが、ジオン軍のララァと連邦軍のアムロが繋がりを持つなどといった真似は、普通は考えられない。

 とはいえ、その普通では考えられない事が起こるのが、物語の主人公であり……アムロはこの世界の主人公だ。

 そう考えれば、ララァという人物は……もしかしたら、原作ではアムロの恋人になっていた可能性もあるのか。

 

「ともあれ、まずは補給をするから、ホワイトベースに着艦する。詳しい話は、それからでもいいだろ? こっちも、キマイラ隊との戦いで弾丸やエネルギー、推進剤が限界に近い」

 

 ビームライフルの充電器は、ガンダム7号機のものであってもホワイトベースで使用可能な筈だ。

 連邦軍も、特定のビームライフルだけを充電出来るように何種類もの充電器を作るといったような真似は、効率が悪すぎるし。

 勿論、何にでも例外はあるので、場合によっては特殊な充電器でなければ充電出来ないというようなビームライフルがある可能性もあったが……それは、取りあえず今は関係ない。

 

『分かりました』

 

 アムロも俺の意見に反対はしないのか、素直にホワイトベースに戻る事を承諾する。

 さて、そうなると……取りあえず、星一号作戦がこれからどうなるかだな。

 連邦軍としては、物量では勝っているのだろうが、やはりレビルがいなくなったというのは痛い。

 一応レビルの派閥の有能な人材が集まっているとはいえ、多数で話し合いながら星一号作戦を進めるのは、どうしてもギレンが1人で動かしているジオン軍に比べて、対応が遅くなる。

 いっそ、ギレンとキシリアの対立が起こればいいんだが……それは、難しいだろうな。

 ギレンにしろ、キシリアにしろ、現在のジオン軍有利の状況が紙一重で何とかなっているというのは知ってる筈だ。

 そんな状況で内輪揉めをするような真似は……普通なら、考えられない。

 とはいえ、それはあくまでも普通ならだ。

 現在ジオン公国が置かれている状況は、存亡の危機と表現してもいいような極めて危険な状況だ。

 それを考えると、とてもではないが普通と呼ぶようなことは出来ないのは、間違いなかった。

 

「さて、そうなると……問題なのはこれから何が起きるのかが分からないって事か」

 

 呟きつつ、俺はホワイトベースの格納庫に着艦する。

 格納庫の中を見てみると、俺のガンダム7号機以外にMSの姿はない。

 全機出撃している最中といったところか。

 とはいえ、銃弾や推進剤の補給といった感じで、ホワイトベースに戻ってきたりする奴がいても、おかしくはないのだが。

 

『アクセル! ビームライフルをこっちに!』

 

 メカニックの指示に従い、ビームライフルを充電器にセットする。

 ちなみに、充電器は俺が使っている1つだけではなく、他にも幾つかある。

 ホワイトベースにはビームライフルを武器としているMSが多い以上、それは当然だろう。

 そして、ビームライフルの充電を始めると、俺はもうやるべき事は特にないのでコックピットから下りる。

 ホワイトベースの格納庫には、それ以外に特に何かやるべき事はないので、ガンダム7号機の補給と整備を行っているメカニック達を眺める。

 今のところ、格納庫にはガンダム7号機しかいないので、メカニック達も手の空いている者が全員ガンダム7号機の作業に集中していた。

 アムロももうすぐ戻ってくると思うので、そっちの準備もしておいた方がいいと思うんだが。

 そんな風に考えつつ……今のこの状況では、俺にとって特にやるべき事がないので、暇になる。

 ひとまずカイやリュウから依頼のあったシャアとララァ、アムロの件は終わったので……そうなると、やっぱりそろそろルナ・ジオン軍の方に戻った方がいいのか?

 そんな風に考えていると……やがて、アムロのG-3ガンダムが格納庫に入ってくるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1260
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1631

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