転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2654話

「うわ、これはまた……激しいな」

 

 カイから指定された宙域に到着し、最初に出た感想がそれだった。

 実際、この宙域ではまさに激戦と呼ぶに相応しい戦いが行われている。

 戦っている連邦軍のMSの中にはホワイトベース隊の所属ではない機体もいるが、これらもカイを含めてホワイトベース隊からの救援要請に応えたMSだろう。

 そして連邦軍の戦力が増えれば、当然のようにジオン軍側でもこちらに戦力を派遣してくる。

 連邦軍の中でも最強クラスの実力を持っているホワイトベース隊と、ジオン軍の中でもトップエースたるシャアが率いる部隊が正面から戦っているのだ。

 当然の話だが、双方共にここで退く訳にはいかないと、この辺りにいる部隊がそれぞれ援軍を送り込んできたのだろう。

 

『アクセル、私達もそろそろ参加した方がいいんじゃない? ……敵も気が付いたようだし』

 

 当然の話だが、こうして戦っている中でも敵はこの宙域に新たに来た援軍の確認は欠かさない。

 そうして欠かさなかったジオン軍の数機のMSが、こちらに向かって突撃してくるのがレーダーに表示されている。

 向こうにしてみれば、敵をこれ以上増やしたくないと、そう思ったからこその行動だろう。

 だが……その行動こそが、こちらも行動を開始するという事を選択させる。

 

「分かった。クリスは援護を頼む。レコアはさっきも言ったが、クリスの護衛だ。今のお前の腕だと、一線級の技量のパイロット達には全く通じない。それは分かってるな?」

『……はい、分かります』

 

 そう返すレコアだったが、その口調には悔しさが滲んでいる。

 かなりの負けず嫌いなのは間違いない。

 この戦いを、そして戦争を生き残れば、レコアもそれなりに高い技量を持ったパイロットになりそうではあるが……残念ながら、それは今ではない。

 

「そうか。なら、頼んだ」

 

 レコアが生きるも死ぬも、その辺りは本人次第。

 俺からはもう何度も注意したし、レコアはそれに頷いている。

 だからこそ、今のこの状況においてレコアがどう判断しようとも、自己判断となる。

 ともあれ敵が迫ってきてる以上、いつまでも話していられるような余裕はない。

 クリスとレコアをその場に残し、近付いてきたMSに向かって俺もまた突っ込んでいく。

 敵は、リックドムⅡが3機の1小隊。

 リックドムⅡとはいえ、ドムはドム。そんなドムが3機ともなれば、どこぞの三連星を思い出すが……取りあえず技量はそこまでではないのは、多分間違いない。

 自分達に向かって近付いてくるガンダム7号機に、リックドムⅡ3機は揃ってロケットバズーカを発射する。

 自分達に真っ直ぐに向かってくるだけに、楽に倒せるとでも思ったのか?

 その気持ちは分からないでもなかったが、だからといって俺がその攻撃を素直に受ける必要はない。

 ビームライフル……は勿体ないので、頭部バルカンを発射。

 こちらに向かって放たれたロケットバズーカの砲弾は、半分程距離を縮めた時点で爆散し……

 

「これはお返しだ」

 

 ロケットバズーカの砲弾が爆発した爆炎の中を、ガンダム7号機のビームライフルから放たれた一条のビームが貫き、その先にいたリックドムⅡの1機を撃破する。

 これでまずは1機。

 こっちに向かって来たのは3機だったので、残りは2機だな。

 そう思いつつ、ガンダム7号機のスラスターを全開にして爆炎……いや、今はもう爆煙となった場所に向かって突っ込んでいき、そんな俺をクリスのヅダが狙撃銃で援護する。

 ヅダ用に開発されたその狙撃銃は、ルナ・チタニウム製の装甲を持つMSを破壊する事は出来ないが、リックドムⅡの装甲であれば十分ダメージを与える事が可能だ。

 この場合、MSの中でも厚い装甲を持ち、重MSという風に分類されるリックドムⅡの装甲を貫くことが出来る狙撃銃を褒めればいいのか、それともそんな狙撃銃でも貫けないルナ・チタニウム製の装甲に呆れればいいのか。

 ともあれ、リックドムⅡのパイロットの片方は自分のすぐ側を通った弾丸に気が付いたのか、動きが一瞬鈍り……そして次の瞬間、弾丸が近くを通らなかった方のリックドムⅡが、こちらに向かって胸部の拡散ビーム粒子砲を放つ。

 リックドムの時の拡散ビーム砲は、戦闘機とかを相手にしてならともかく、MSを相手にするには威力が圧倒的に足りなかった。

 だが、統合整備計画によってリックドムⅡになるとその点は改良され、MSに向かっても攻撃が可能なだけの威力を持っている。

 ……もっとも、アプサラスⅢのようなMAとは違って、遠距離から使っても意味はない。

 あくまでも至近距離で使ってこそ、意味のある武器なのだが。

 そういう意味では、俺が近付いてきたのを見て取った瞬間に拡散ビーム砲を使ってきたのは的確な対応と言ってもいいだろう。

 とはいえ……それはあくまでも普通ならではの話だ。

 スラスターを使ってビームの軌道を読み、回避しながらビームサーベルを引き抜き、横を通り抜けながら、一閃する。

 コックピットを切断され、爆発するリックドムⅡ。

 そうした状況で、スラスターを使いながら無理矢理機体を180度反転させる。

 すると、目の前にはようやく振り向こうとしているリックドムⅡの姿。

 クリスの狙撃で動きが止まったのは一瞬だったが、それでもすぐにこちらに向けて反応をしようとした辺り、相応の腕利きなのは間違いないだろう。

 だが……そのリックドムⅡが振り向いた時には、既に俺はビームライフルの銃口を突きつけており……それに気が付いたリックドムⅡは動きを止め、その隙を突くようにビームライフルのトリガーを引く。

 MSの爆発の見ることなく、その場から移動し……改めて戦場を見る。

 カイから聞いた話によると、ここでアムロがシャアと戦っている筈なんだが……問題なのは、そのアムロとシャア、そしてエルメスがどこにいるかだ。

 結構な数のMSが集まっている関係もあって、具体的にどこにいるのかが分からない。

 こういう時、ミノフスキー粒子の厄介さが身に染みるよな。

 レーダーとかが普通に使えれば、一体どこにいるのかが分かるんだろうが。

 しょうがない。カイに連絡して聞いてみるか。

 

「カイ、どこにいる? こっちはもう戦場に到着して、戦いを始めているぞ。けど、アムロがどこで戦っているのかが分からない」

 

 そう通信を送ると、数秒後にようやくカイからの通信が返ってきた。

 

『アクセル! 来てくれたのか、助かる! とにかく、敵の数が多くなってきて、かなり面倒な事になってるんだよ!』

「だろうな。俺から見ても、そんな感じだよ。それで、どうする? 取りあえず俺は、ここにいる敵の数を手当たり次第に減らせばいいのか? それとも、アムロの援軍に直接向かえばいいのか?」

『ちょっと待ってくれ。……リュウさん、アクセルが来てくれたけど、どうするんだよ!?』

 

 カイのその言葉と共に、映像モニタにリュウの姿が映し出される。

 どうやら、俺がホワイトベースにいた時と同じく、MSの指揮はリュウが執ってるらしい。

 普通に考えれば、スレッガー辺りがMS隊の中では一番階級が高いんだから、スレッガーが指揮を執ってもいいと思うんだが……やっぱり、こういうのは経験が一番大きいという事なのだろう。

 何だかんだと、リュウはサイド7からずっとMS隊の指揮を執ってきたし。

 そもそも階級だけを言うのなら、ユウ……は寡黙だから指揮には向かないが、それ以外にもヤザンやフィリップといった面々もいる。

 にも関わらず、未だにリュウが指揮を執っていたのを考えれば、今の状況にも納得出来た。

 MSの指揮能力という点も大きいが、この場合はそれ以上に信頼性の方が高いのだろう。

 

『アクセル!? 本当に来てくれたのか!?』

 

 リュウが映像モニタに表示された俺の顔を見て、驚愕の声で叫ぶ。

 もしかしたら、リュウは俺が来るとは思っていなかったのかもしれないな。

 正直なところ、その気持ちは分からないでもない。

 何しろ、現在の状況ではア・バオア・クーでジオン軍と連邦軍の全面対決といったような状況になっているのだから。

 正面からの全面対決という点では、ソロモンのチェンバロ作戦でもそうだった。

 だが、あの時はソーラ・システムによってソロモンを守っていた宇宙攻撃軍に結構な被害を与える事が出来た上での全面対決だ。

 ビグ・ザムの出現によって、連邦軍も大きな被害を受けたのは間違いなかったが……それでも、ソーラ・システムのおかげで連邦軍が圧倒的に有利な状況だったのは間違いない。

 だが、このア・バオア・クーでは違う。

 ソロモンでは連邦軍がソーラ・システムを使ったのに対して、ア・バオア・クーではジオン軍が何らかの巨大な兵器を使った。

 その上で、連邦軍の要とも言うべきレビルをその一撃によって消し去り、更にはレビルの後方にあった艦隊に対しても、壊滅的と呼ぶに相応しい被害を与えた。

 ……ジオン軍の方でもデギンがその攻撃に巻き込まれて死んだが、ア・バオア・クーで指揮を執っているギレンにしてみれば、形式的にはまだジオン公国のトップはデギンだったが、実質的に現在のジオン公国を動かしているのは自分であると認識している以上、その辺は問題にならなかったのだろう。

 ともあれ、そんな理由で現在どちらが有利なのかと言えば……ぶっちゃけ、ジオン軍だ。

 そんな状況でも連邦軍が一気に押し負けるような事になっていないのは、連邦軍の物量がレビルやその指揮下にあった艦隊の多数を吹き飛ばされても、尚ジオン軍を上回っていた事や、レビルの後を引き継いで指揮を執っている軍人達が有能だったという点が大きい。

 勿論、ルナ・ジオン軍の活躍も現状を持ち堪えているかなり大きな理由の1つではあるだろうが。

 

「ああ、ホワイトベースのエースが危機だと知らされればな。それに……エルメスには、俺も興味があるのは間違いない。助ける以上、報酬は期待させて貰うぞ」

『その件は……まぁ、敵を撃破してMAがどうなったかなんてのは、この状況だと確認しようがないからな』

 

 なるほど。これは、俺がエルメスを奪っても知らない振りをすると、そう暗に言ってるのか。

 エルメスのようなMAは、連邦軍にとっても非常に貴重だろう。

 それこそ、現在の連邦軍ではニュータイプの研究はされていない。

 いや、もしかしたら研究されている可能性はあって、俺がそれを知らないだけという可能性も否定は出来ないが。

 ともあれ、連邦軍よりもジオン軍の方がニュータイプの研究が進んでいるというのは、間違いない。

 ……それどころか、月よりもジオン軍の方がニュータイプの研究が進んでいるのは。間違いないんだよな。

 これは月でニュータイプの研究をしている者達が、フラナガン機関の研究所で確保された研究員のうち、研究対象とされていた子供達に虐待的な扱いをしていなかった者達しか使っていないというのもあるし、月では人体実験の類は基本的に禁止しているというのも大きい。

 勿論、子供達に負担がない程度の人体実験なら許容はしているが。

 だが、そんな月でのニュータイプ研究に比べると、フラナガン機関は人権? 何それ美味しいの? といったような感じで人体実験を行っている。

 当然の話だが、人体実験の類を全く躊躇なく行えるジオン軍の方が、ニュータイプ研究に関しては先行するのは当然だろう。

 ニュータイプ研究という点で考えると、ジオン、月、連邦と明確に順番がついている。

 そういう意味では、この戦争終了後にサイド3へと進軍した時、月が欲している戦利品の1つが、ニュータイプ研究のデータなのだが。

 そのような現状である以上、連邦軍としてはフラナガン機関が総力を結集して開発しただろうエルメスは、是非欲しい筈だ。

 それでもリュウは、俺にエルメスを報酬として支払うことでアムロ達を助ける方を優先したのだろう。

 この辺りの情の厚さが、リュウが他の皆に慕われている理由かもしれないな。

 

「分かった。なら、俺はアムロの方に向かう。大体でいいから、どの辺りにいるのかを教えてくれ」

『頼む』

 

 その言葉と共に、アムロのいる大体の場所を教えて貰う。

 とはいえ、G-3ガンダムは高い機動性を持っており、その上で相手は機動力の高いMAのエルメスと、ジオン軍の最新鋭機たるゲルググだ。

 戦闘の激しさを考えれば、それこそリュウが指示した場所から移動しながら戦っていても、おかしくはない。

 

「クリス、レコア、お前達はどうする? ここからはかなり厳しい戦いになる。下手をすれば、お前達も撃墜される可能性があるぞ。それに、こっちの足手纏いになるようなら、見捨てるような事にもなりかねない」

『行くわ。ただし、あくまでも狙撃での援護に徹するけどね』

『……行きます。クリスさんの護衛をするくらいなら、私も出来るでしょうから』

 

 その返事を聞き、俺はアムロとシャア、そしてエルメスの戦っている場所に向かうのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1260
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1631

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