転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2652話

 システムXNの光の繭が消えると、そこは既にUC世界の宇宙空間……それも、ア・バオア・クーからそう離れていない場所だった。

 それを確認すると、ニーズヘッグのコックピットから出て空間倉庫に収納し、ガンダム7号機を取り出して、そこに乗り込む。

 クリスのヅダもまた、同様に。

 

「クリス、そっちの状況はどうだ?」

『……問題ないわ』

 

 不機嫌そうな様子で、そう通信が返ってくる。

 俺とレモンのキスシーンを見たのが、それだけショックだったのか。

 まぁ、クリスは美人と呼んでもいい顔立ちをしてるのに、生真面目な性格のせいでその手の事に初心だしな。

 だからこそ、余計にショックを受けたのだろう。

 

「そろそろ機嫌を直せ。そんなだから、シーマにからかわれるんだぞ」

『なっ!? ……あのねぇ、何で私が……いえ、いいわ。今はとにかく、戦場に戻りましょう。戦場から離れていた時間が30分近いわ。その間に、戦況がどう変化したのか確認しないと』

 

 30分もあれば、戦況というのは大きく変わる。

 それこそ、ソロモンで戦ったビグ・ザムのような強力なMAがア・バオア・クーから出撃してくれば、どうなるか。

 これでレビルがいれば、ビグ・ザムのようなMAが出て来てもどうにかなった可能性もあるが……そのレビルは、既に死んでしまっている。

 この場合、問題なのはレビルの代わりに現在指揮を執っている者達がそこまでの指導力を発揮出来るかという事だろう。

 レビルの派閥で高い地位にいる以上、当然の話だがその将官達は有能なのは間違いない。

 だが、有能だというのとカリスマ性があるというのは、全く別の話なのだ。

 

「まずはルナ・ジオン軍と通信が繋がる位置まで移動するか。そこで情報を貰おう」

『了解。私もそれでいいと思う』

 

 クリスも俺の言葉に頷いたということで、まずはルナ・ジオン軍と合流する事を目的にして、移動する。

 ミノフスキー粒子が散布されてなければ、ここからでもカトンボやシーマとかに通信を送れるんだけどな。

 もしくは、フォールド通信機が装備されていれば。

 だが、それこそフォールド通信の技術というのは、このUC世界において絶対に知られてはいけない代物だろう。

 ミノフスキー粒子のせいで、通信とかが出来ないこのUC世界で、フォールド通信が一体どれだけの価値を持つのか……それこそ連邦軍がそれを知ったら、その技術を奪う為に月に攻撃を仕掛けてきても、おかしくはない。そのくらい、重要な技術なのだ。

 ともあれ、ルナ・ジオン軍に合流するべく移動していると……やがて、リックドムⅡを撃破している、カスタム化されたヅダの姿を見つける。

 そのヅダの周辺には多くのMSがおり、そのMSを指揮しながら自分も戦っている辺り、宇宙の蜉蝣の異名持ちだけの事はある。

 

「シーマ」

 

 そう通信を送ると、シーマからの通信が入ってくる。

 

『アクセルとクリスかい? 暫く顔を見なかったけど、一体どうしたんだい?』

「ちょっと用事があってな。それより、星一号作戦の具合はどうだ? ……思ったよりも、連邦軍が有利じゃないな」

 

 あくまでもここから見た感じだが、どうにも連邦軍がジオン軍を押し込めていないように思える。

 それどころか、戦闘の光で確認する限りでは、連邦軍が押し込まれているような戦場も確認出来た。

 

『そうさね。どこもそうだけど……ジオン軍も後がないと分かっているから、ドロスを派遣してるのさ』

「ドロスか……」

 

 ドロス級は、ジオン軍の中でも有数の大きさを誇る軍艦だ。

 寧ろ、それは機動要塞と言ってもいいだろう大きさを持つ。

 ジオン軍の中で最強の軍艦は何かと言われれば、グワジン級とドロス級が双璧となるだろう。

 もっとも、そのコンセプトは大きく違うが。

 グワジン級は、ジオン軍で旗艦となるように構成された軍艦で、純粋に軍艦としての性能が高い。勿論MSの運用能力も高いのだが、その点ではドロスに劣る。

 旗艦としての性能を高めたグワジン級とは裏腹に、ドロス級はMSの運用を重視している。

 言わば、空母的な存在と言ってもいい。

 ……とはいえ、メガ粒子砲を複数装備しているので、純粋な攻撃力という点でも決してグワジン級に劣っている訳ではないのだが。

 

『ジオン軍にしてみれば、ア・バオア・クーは絶対に落とさせる訳にはいかないって事なんだろうね。……それに、突撃機動軍も出て来て攻撃をしているよ。数そのものは少ないけど、精鋭が多いね』

「それはまた、厄介だな」

 

 突撃機動軍は、黒い三連星、サイクロプス隊、闇夜のフェンリル隊……それ以外にも、様々な特殊部隊を擁する事で知られている。

 つまり、少数で戦うというのは得意なのだ。

 そんな突撃機動軍に本領を発揮させているのは、正直面白くはない。

 面白くはないんだが、少数だけにその敵と遭遇するのが、難しいだろう。

 

『それに……連邦軍は、どうしてもレビルが殺されたからね。一応レビルの部下達が現在纏まって指示は出しているけど、どうしてもレビル1人でやっていたようにはいかないさ』

「だろうな」

 

 時間があって何らかの策略を考えたりする時であれば、複数の人員で相談しながら行うというのは、決して悪い話ではない。

 だが、戦闘の最中、特に即断即決が必要な時に何人もで話し合って行動を決めるとなれば、それが上手く行くとは到底思えない。

 

『それ以外にも、連邦軍よりジオン軍の方が腕利きのパイロットがいるというのも関係してだろうね。……もっとも、中には驚く程に初心者のような奴もいるけど』

 

 その辺りについては、俺からは何も言う事はない。

 ジオン軍の人的資源がそこまで減っているのは、それこそルナ・ジオンが大勢のジオン軍の軍人を引き抜いたから、というのが大きいのだろうから。

 

「連邦軍の状況は分かった。それで、ルナ・ジオン軍はどんな感じに動いてるんだ?」

 

 結局のところ、俺にとって一番重要なのはそこだったりする。

 連邦軍と協力はしているのだが、それでもやはり一番被害を受けて困るのは、ルナ・ジオン軍なのだ。

 

『そっちはあまり心配いらないよ。こっちは人数そのものは、連邦軍やジオン軍に比べれば少ないからね。腕利きがフォローするくらいは容易に出来るってもんさね』

 

 シーマが自信に満ちた顔でそう告げる。

 実際、その言葉はあまり間違ってはいないのだろうが。

 腕の立つ者達……具体的には、シーマを始めとする異名持ちや、それ以外であってもパーソナルカラーを持っているエース級……場合によってはベテランの一部もそれに当たるだろう。

 また、今回連れてきた者達の中には新人が多いが、新人の中でも腕利きを選んで連れてきている。

 つまり、新人の中でも期待出来る存在が、腕利きのパイロットのフォローを受けて初陣を迎えている訳だ。

 あるいは、初陣ではない者もいるかもしれないが……星一号作戦のような大きな作戦は初めてだろう。

 

「なるほど。なら、そちらの方はあまり気にする必要はないか。……黒い三連星とか、ラル隊に当たった連中にしてみれば、ご苦労さんって感じだけどな」

 

 黒い三連星もラル隊も、叩き上げが多い。

 つまり、それだけ下の苦労を知っている者が多く、結果として訓練は厳しくなる。

 ……もっとも、その訓練を生き延びれば相応の実力が身につくのは間違いないので、長い目で見れば黒い三連星やラル隊に教えて貰うというのは、幸運な事なんだろうが。

 とはいえ、教えて貰う方としては、本来ならシーマのような美人に教えて貰いたいと思う者も多いんだろうが……ぶっちゃけ、シーマの教え方というのは、黒い三連星やラル隊よりも厳しい。

 何しろ、シーマ達は海兵隊だ。

 それこそ、常に最前線で命を張る部隊だけに、その教えの厳しさは他の追随を許さない。

 まぁ、シーマのような年上の美人に罵られるのが好きだという者にとっては、それこそ訓練は喜びしかないのだろうが……そういう奴が一体どれだけいる事やら。

 

『そうだね。それで、アクセルとクリスはどうするんだい? 出来れば、そっちにも何人か引き受けて欲しいんだけどね』

「そう言われてもな。……どうする?」

『私は構わないわよ? とはいえ、私もヅダに乗ってからそれ程時間が経っている訳ではないから、あまり多くの人数を寄越されても困るけど』

『そうだね、じゃあ1人だけ送ろうか』

「1人?」

 

 1人だけを送ってくるというシーマの言葉は、俺にとっても完全に予想外だった。

 

『ああ。1人なら、クリスと一緒でもアクセルなら十分に面倒を見られるだろう?』

 

 そう告げるシーマだったが、その言葉に映像モニタに表示されているクリスは若干不満そうな表情を浮かべていた。

 それでも不満を口にするようなことがなかったのは、自分からまだヅダの扱いは未熟であると、そう示したからだろう。

 もっとも、クリスは手加減した状態ではあるがシーマとやり合えるだけの実力を持っているし、連邦軍との模擬戦においてもかなりの成績を残している。

 新米パイロットという点では同じかもしれないが、クリスの場合は前々から訓練をしてきているので、地力そのものが違う。

 

「分かった。幸い、こっちは俺とクリスの2人だからな。もう1人来て3人になるのなら、全く問題ない」

 

 基本的にMSは3機で1小隊だ。

 そんな中で、俺とクリスの2機だけで行動している今の状況は、それだけおかしいのだ。

 だからといって、足手纏いを入れられるのは勘弁して欲しいんだが……シーマの話を聞く限りでは、恐らく俺達と行動を共にする奴は新人の中でもそれなりに腕の立つ奴なのだろう。

 

『なら、ちょっと待ってな』

 

 そう言いシーマは一旦こっちとの通信を切る。

 別に他の連中を呼び寄せるのなら、通信は繋がったままでもいいと思うんだがな。

 それだと何か不味い事でもあるのか?

 そう思わないでもなかったが、取りあえずシーマがそうする事にしたのなら、それに横槍を入れるような真似はしない方がいいだろうと判断する。

 

「どんな奴が来ると思う?」

『そうね。さっきの話から考えると、ルナ・ジオン軍の新人の中でもかなり腕利きなんじゃない? ……まさか、本当の意味での新人を、私ならともかくアクセルと一緒に行動させるとは思わないし』

「そういうものか? こっちとしては、腕利きなら助かるけどな」

 

 そんな風に話をしていると、やがてガンダム7号機の映像モニタに、こちらに近付いてくるヅダの姿が映し出される。

 強襲型のA型だな。

 これは、敵に攻撃する際に一気に間合いを詰めるような戦い方をする必要がある。

 そのような真似をする以上、当然の話だがかなりの度胸と技量の双方が必要となるのだ。

 さて、そうなると……新人でこのA型を使っているのは、シーマへの憧れからか、それとも自分なら使いこなせるという自信過剰からか、もしくは……本当にもしくはの話だが、使いこなせているのか。

 その辺りは、実際に実戦で見てみるまでは分からないか。

 

『アクセル、待たせたね。そのヅダがアクセルとクリスと一緒に行動する奴だよ。……自己紹介しな』

『レコア・ロンド准尉です』

 

 シーマの言葉に続いて、そう映像モニタに表示されたのは、まだ10代半ば……それこそ、今の俺の外見と同年代の女のようだった。

 オレンジの髪と意志の強そうな目が特徴的な……まぁ、美少女と言ってもいいくらいには顔立ちが整っている。

 にしても、レコア・ロンド? どこかでその名前を見た記憶があるが……いや、今はいいか。

 すぐに思い出せないという事は、多分そこまで重要な話じゃないんだろうし。

 

「アクセル・アルマーだ」

『クリスチーナ・マッケンジーよ。階級は今のところないから、クリスと呼んでちょうだい』

 

 そう言われてみれば、クリスって現在階級がないんだよな。

 一応クリスはサイド6のリボーで連邦軍として行動していた時は、中尉だった筈なので、一応中尉という扱いになってはいるが……それも正式な意味での階級ではない。

 そもそも、階級という意味なら俺はどうなる?

 シャドウミラーの代表だから……元帥とか、そんな感じか?

 だが、そうなるとシャドウミラーの戦闘では元帥がニーズヘッグに乗って真っ先に敵軍に向かって突っ込んでいくという事になり……それはそれでどうよ? と思わないでもない。

 また、そもそもこれはルナ・ジオン軍としての活動でもあり、シャドウミラーに所属している俺は、当然の話だがルナ・ジオン軍の階級はない。

 セイラ辺りに頼んで、ルナ・ジオン軍として活動する際の仮の階級を貰っておくべきか?

 大尉辺りなら、前線で戦っていてもおかしくはない。

 

「俺達の場合は色々と特殊だから、階級とかは特に気にしなくてもいい。その代わり、ビシビシと鍛えるから、そのつもりでいろ。それに……こっちの動きについてこられないと思ったら、すぐに言えよ」

『了解しました』

 

 レコアは、俺の言葉に真剣な表情で頷くのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1240
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1627

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