転生とらぶる1   作:青竹(移住)

2767 / 2848
2646話

「座標的には、この辺りの筈なんだが……クリス、何か分からないか?」

『あのねぇ、MSの性能差を考えてよね。ジムスナイパーⅡならともかく、ヅダはアクセルの使ってるガンダム7号機に比べれば、どうしても索敵能力は劣るんだから』

 

 俺の言葉に、呆れたようにクリスがそう言ってくる。

 まぁ、その言葉そのものは間違っていない。

 ヅダはこの戦争中に開発されたMSとしてはかなり高性能なMSではあるが、それでもやはりジオン軍の最新鋭機たるゲルググには劣るし、ガンダムのセカンドロットとして開発されたガンダム7号機と比べても当然のように劣る。

 そんなヅダで、連邦軍の未確認MSを見つけろというのが難しいのは分かっているが……それでも、戦力として数えられるかどうかと言われれば、十分数えられるのだ。

 

「それでも、この辺り……っと、あれか?」

 

 クリスとの会話中に、映像モニタに爆発の光が幾つか見えた。

 勿論、現在はア・バオア・クーを攻略する星一号作戦が行われている以上、この近辺で戦いが行われていてもおかしくはない。おかしくはないんだが……それでも、俺がラルから聞いた話では、この近辺では戦いは行われていない筈だった。

 とはいえ、そこら中で激戦が繰り広げられている以上、戦闘中に移動してこの宙域にやって来た者がいても、おかしくはないのだが。

 連邦軍にしてみれば、レビルの弔い合戦という意味があると同時に、この戦いで勝てばジオン軍にはもう後がない。

 ジオン軍にしてみれば、ア・バオア・クーを落とされれば、もう残っているのはサイド3だけだ。

 どちらにしても決してここで退けない以上、お互いが全力で戦うというのは間違いなかった。

 そんな状況である以上、この周辺にまで戦いながら移動してくる奴がいても、おかしくはない。

 

『どうするの?』

「取りあえず近付いてみる。結局のところ、誰が戦っているのかを確認しないと、こっちにはどうしようもないしな」

 

 そう告げ、スラスターを噴射させて戦闘の光のある方に向かって進む。

 その爆発光は未だに幾つもあり、それ以外でもビームの光が瞬いて見える。

 少し前なら、ビームの光というのは連邦軍のMSだけだったんだが……ゲルググが採用された今となっては、ビームの光と連邦軍のMSはイコールではない。

 もっとも、リックドムとかも一応拡散ビーム砲を持っていたが。威力に問題があって、目眩まし程度にしか使えないらしいが。

 そんな事を考えつつ戦場に近付いていくと、やがてその光景が映像モニタに表示される。

 そこに表示されたのは……

 

「ビンゴって奴か」

 

 映像モニタに表示されたMSを見て、そう呟く。

 そこに表示されたのは、俺が見た事がないMSだったのだから。

 ……実際には、見た事がない訳ではない。

 ぱっと見ではあるが、映像モニタに表示されているMSは何だかんだと俺に縁の深いジムスナイパーⅡをベースとして改修されたMSだったからだ。

 だが……それはあくまでもベースになっているというだけで、MSの外見はジムスナイパーⅡとは大きく変わっている。

 何よりも驚いたのは、その機体がジャイアントガトリングを使っていた事だ。

 そう、それはガンダム5号機が使っているジャイアントガトリングと全く同じ武器。

 同じ連邦軍の武器だし、そう考えれば使えても不思議ではないんだろうが。

 勿論、同じ連邦軍の武器だからといって、普通のジムがそのままジャイアントガトリングを使える訳ではない。

 実弾を連続で発射するジャイアントガトリングは、当然の話だがその反動も強い。

 もし普通のジムがジャイアントガトリングを使おうものなら、その反動を上手い具合に逃がせるかと言われれば、微妙なところだろう。

 また、目を惹くのはジャイアントガトリングだけではない。

 未確認機の前腕部には、ガンダム4号機や5号機と同じようなビーム砲があるのが分かる。

 他にもジムスナイパーⅡと色々と違うところはあるが……あの未確認機は、ジムスナイパーⅡをベースとしてガンダム4号機と5号機……いや、4号機が使っているメガビームランチャーの類がないのを考えると、ガンダム5号機の技術を融合したといった感じか。

 もっとも、メガビームランチャーはまだ完全には完成しておらず、かなり不安定な武器なのだから、幾ら威力が高くてもそれを使おうと思わないのは当然かもしれないが。

 そういう意味では、あの未確認機がジャイアントガトリングを選んだのは、悪い話ではない。

 実弾なので、それを撃ちつくせばもうそれ以上使えなくはなるが……いやまぁ、それはビーム兵器も同じか。

 アレックスのビームライフルならEパックがあるので、何とかなるかもしれないが。

 

『アクセル、それでどうするの?』

 

 クリスのヅダが、接触回線でそう尋ねてくる。

 にしても……どうするか、か。

 ぶっちゃけた話、あのジムスナイパーⅡの改修機はそこまで興味深い代物ではない。

 ぱっと見、特に何か未知の技術を使っているようには思えないし。

 そういう意味では、そこまでして欲しいMSではないのは間違いない。

 だが……

 

「そうだな、もう少し見て……」

『ちょっと、アクセル。あれ!』

 

 と、俺の言葉を遮るように叫ぶクリス。

 一体何があった? とそんな疑問を抱き、再度映像モニタに視線を向けるが……そこに表示されたのは、完全に予想外のMSだった。

 

「あれは……ザク、か? いや、けど……」

 

 無理矢理に分類すれば、それはザクと言ってもいいだろう。

 だが、それは俺が知っているザクとは大きくその姿が違う。

 正直な話、とてもではないがザクには思えない、そんなザク。

 矛盾しているように思えるが、実際にそんな感じなのは間違いないのだ。

 そのザク以外は、普通のザクやリックドム、リックドムⅡ、ゲルググ……といったような、普通のMSなのだが。

 ともあれ、新旧様々なMSで構成されたその部隊は、今のジオン軍にしてみればそこまで珍しいものではない。

 それどころか、一般的であるとすら言ってもいいだろう。

 ……そんな中で、唯一異彩を放っているのが、あのザク。

 

「なぁ、あのザク……何だと思う?」

『それを私に聞くの?』

 

 分かる訳ないじゃない。

 実際に言葉にはしなかったが、それでもそう言いたいのは理解出来る。

 アレックスの開発に携わっていた以上、連邦軍系のMSについては詳しいだろう。

 ……もっとも、そんな連邦軍の部隊と戦っているジムスナイパーⅡをベースに改修した機体については、知らなかったらしいが。

 そんな風に会話をしている間にも、戦いは続く。

 

「って、おい。あれ……」

 

 驚きの言葉を口にしたのは、新型と思われるザクが腕を飛ばしたからだ。

 その新型ザクの腕は、通常のMSに比べて明らかに大きい。

 アンバランスであると言ってもいいくらいの大きさだ。

 そんな腕がロケットパンチのように飛んでいく。

 ただし……ロケットパンチと違うのは、飛んで行った前腕部と上腕部の間が有線で繋がっている事だ。そして……

 

「うわぁ……」

 

 飛んで行った有線の前腕部……正確には、指の部分から一斉にビームが発射される。

 あれだ。グフの指先はバルカンになっているが、それのビームバージョン。

 その上で前腕部と上腕部が有線で繋がっているので、かなり自由度の高いビーム攻撃を行える。

 それも一度に放てるビームの数は1発ではなく複数だ。

 というか、有線ビーム砲って……もしかしてこれ、ブラウ・ブロの発展系だったりするのか?

 ブラウ・ブロの場合はかなり巨大なビーム砲だったし、有線の部分も何気にかなりの太さがあった。

 だが、このザクの有線部分は明らかに細い。

 待て。ブラウ・ブロの発展系という事は、もしかしてあのザクに乗ってるパイロットはニュータイプだったりするのか?

 そうも思ったが、ブラウ・ブロの場合も有線ビーム砲はニュータイプではなくても、そちらに専念すればコントロール出来たのを考えると、あのザクのパイロットもニュータイプとは限らないのか?

 ともあれ、あのザクのパイロットがニュータイプであるかどうかは別にして、あのザクの手が有線ビーム砲になっているのは、かなり興味深いのは間違いない。

 ブラウ・ブロですら、最終調整中だったのに……それを考えると、ジオン軍の技術力の高さが連邦の10年先をいっているというのも、決して否定は出来なくなるな。

 ましてや、ニュータイプとなるとフラナガン機関の仕事だ。

 俺達の襲撃によって相応に多くの者が捕まったし、クルストのように連邦軍に逃げた者もいる。

 そう考えれば、フラナガン機関の研究者はかなり減っている筈なんだが……それでもこうして新型のニュータイプ用の機体と思われる物を開発するのだから、素直に凄いと思う。

 とはいえ、あのザクの有線ビーム砲は、両手……つまり2つだけだ。

 ブラウ・ブロの場合は、もっと多かった。

 確か単相砲メガ粒子砲が2つに、連装メガ粒子砲が2つだったか。

 ……それに比べると、あのザクは両手の2つだけとなる。

 もっとも、ビームは指から発射されている関係で、合計で考えるとザクの方が上だったりするのだが。

 とはいえ……こうして見る限りでは、ジムスナイパーⅡをベースに改修した未確認機の方が不利な気がするが、戦いそのものは未確認機の方が有利に進めている。

 何と言うか……ジオン軍の方は、多数の機種がいるのはいいとしても、パイロットの練度がかなりチグハグな印象だ。

 腕の立つ奴は異名持ち程ではないにしろ、もう少しでパーソナルカラーを貰える程度の実力があるように思える。

 それ以外にも、ベテランくらいの実力の持ち主もそれなりにいる。

 だが……かと思えば、それこそMSを動かすのが何とか出来ているといった程度の者もいるのだ。

 同じ部隊にいる全員が同程度の実力を持っていないとは、思わない。

 いやまぁ、勿論それが最善の選択だというのは分かっているんだが、今のジオン軍にそんな事を望むのは不可能に近いだろう。

 多分……これ、サイクロプス隊と同じように、部隊の補充要員として新人が……それこそ、恐らくまだ初陣を迎えたかどうかといった程度の者達が派遣されてきたのだろう。

 ジオン軍にしてみれば、それが精一杯といったところか。

 しかし、サイクロプス隊の場合は、バーニィが偶然かなりの才能の持ち主だったが、そのような才能の持ち主はそう多くはない。

 そんな俺の予想を裏付けるように、映像モニタではザクやリックドムといったMSに乗っているジオン軍のパイロットが、次々と未確認機に撃破されていく。

 ジャイアントガトリングが、凶悪と言ってもいいような威力で数機のMSを纏めて撃破していた。

 その上で、近付かれればヒートホークやヒートサーベルの一撃をスラスターを使って回避しつつ、片方を腕部ビームガンの近距離からの射撃や、ビームサーベルの一撃で撃破していく。

 

「随分と腕が立つな」

『そんな表現では、ちょっと足りないわよ。あの動きは、とてもじゃないけど普通じゃないわ』

 

 俺の呟きに、クリスがそう返す。

 実際、あの未確認機を操縦しているパイロットの技量は、非常に高い。

 ジオン軍側にもう少しでエースパイロットと呼ぶに相応しい技量の持ち主がいるとすれば、未確認機の方は異名持ち級の操縦技術だ。

 連邦軍にこれだけ腕の立つパイロットがいたのなら、もっと前に名前が知られていてもおかしくはない。

 アムロやユウには及ばずとも、かなりの技量の持ち主なのは間違いない。

 何より驚くべきは、その反応速度だ。

 それこそニュータイプのアムロや、疑似ニュータイプ装置とも言うべきEXAMシステムを使っているユウに近い。

 ……というか、印象的にはEXAMシステムを使ってるユウの方に近いな。

 そう考え……待て。いや、だが……あの未確認機は、別に蒼く塗られている訳ではない。

 だが、ユウの乗るブルーデスティニー3号機も、外見は陸戦型ガンダムとそう変わらない。

 そもそも、EXAMシステムを搭載している機体を蒼く塗るのは、開発者たるクルストの嗜好によるものだ。

 クルストが死んだ以上、EXAMシステム搭載機を新たに開発したとしても、それをわざわざ蒼く塗る必要はない。

 とはいえ……EXAMシステムを新規に作る事が出来るのは、あくまでもクルストだけの筈であり、その製造数もブルーデスティニー3号機が最後の筈だ。

 そうなると、もしかしてEXAMシステムの作り置きか何かがあったのか?

 ともあれ、その辺りの疑いがある以上、確認する必要があるのは間違いない。

 

「クリス、悪いがあの未確認機に接触する必要が出来た。お前は援護を頼む」

『え? ちょっと、アクセル。本気?』

「ああ、本気だ。元々未確認機の様子を見る為にここまで来たんだから、不思議でも何でもないだろ?」

 

 そう言いながら、俺はガンダム7号機で未確認機の方に向かうのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1230
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1625

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。