前線に出た俺達ルナ・ジオン軍も、連邦軍に味方してジオン軍と戦い始めたのだが……
「何でボールが前線に出る!?」
攻撃しようとしたザクとの間にボールが割り込み、咄嗟に狙いを変えながら叫ぶ。
ボールというのは作業用ポッドを改良した機体で、武器らしい武器は頭部に存在する低反動キャノンしかない。
いやまぁ、実際にはボールにも何種類か存在して、低反動キャノン以外の武器を使っているボールもいるのだが、それはともかくとして。
ボールが有する武器は基本的に頭部にある射撃武器だけだ。
その使用目的は、当然のように後方からの援護射撃。
前線でジムが戦い、ボールがそれを後方から援護射撃をするというのが、連邦軍の想定した戦い方だった筈だが……何故か、現在の戦場においてはボールがジムと一緒になって前線でジオン軍と戦っていた。
勿論全てのボールがそのような真似をしている訳ではなく、きちんとボールのコンセプト通りに後方から援護射撃をしているボールもいる。
だが……それでも、ジムと一緒に前線に出ているボールも、相応の数があった。
連邦軍はボールのパイロットに、どんなコンセプトの兵器なのかを教えなかったのか?
当然のように、前線で戦っているジオン軍のMSにしてみれば、ボールという存在は倒しやすい敵だ。
それこそ、サッカーボールのように蹴られて撃破されているボールもいれば、ザクマシンガンによってあっさり撃破されていたり……場合によっては、タックルや蹴りで吹き飛ぶボールの姿もあった。
「うわぁ……」
あまりの光景に、そんな声が出る。
ボールにも、当然のようにパイロットが乗っている以上、ああやって撃破されているということは……それこそ、よっぽど運がよくない限りは、死んでいる筈だ。
一応ボールのパイロットもパイロットスーツを着ているので、撃破される前に脱出したり、もしくは撃破された際にボールの部品で怪我をしなければ、何とか生き延びられるかもしれないが……正直、無理だろう。
『アクセル、どうするの?』
俺の隣で狙撃銃を構えているSP型のヅダに乗っているクリスから、そんな通信が送られてくる。とはいえ……
「どうするって言われてもな。俺達はあくまでも連邦軍の援軍としてここに来たのであって、連邦軍に対する指揮権はない。つまり、今の状況では俺達はどうしようもない訳だ。……精々、ボールの自爆に巻き込まれないように行動するしかない」
そう告げると、クリスが複雑な表情を浮かべる。
クリスにしてみれば、少し前までの同僚だ。
どうしても、連邦軍に対して同情や心配をしてしまうといったことがあるのだろう。
とはいえ今のクリスはルナ・ジオン軍所属だけに、そんな相手に対して何を言う事も出来ないのだが。
『そう。そうね。……出来れば、自分の乗っている機体特性を把握して、それに沿った操縦をしてくれるといいんだけど』
その台詞は、クリスがアレックスのテストパイロットをしていたからこその言葉だろう。
テストパイロットをしていたからこそ、その機体の本来の役目以外の行動をするのには、思うところがあるのだ。
……もっとも、中には想定外の使い方をして、それによって大きな戦果を挙げるといったような者達もいるのだが。
ただ、ボールで近接戦闘を挑んでいるような者に、それを期待するのは……難しいと思う。
「連邦軍のパイロットも、この戦いで勝てば戦争が終わると思っている者も多いだろうし、それ以外にもレビルの仇討ちだって思ってる奴が多いんだろうな」
レビルが慕われていた以上、当然のようにそのレビルを殺した敵に対して恨みを抱く者は出て来る。
だからといって、ボールでMS相手に近接戦闘を挑むのは自殺行為に等しいが。
AMBACがあり、運動性という点では非常に高いMSだ。
当然のように、作業用ポットを改修した程度のボールでまともにやり合って勝てる訳がない。
……それでも、連邦軍にも腕の立つMSパイロットがいるのか、中にはボールでザクを撃破しているようなのも何人かいるが、それはあくまでも少数だ。
とはいえ、出来ればボールでMSを撃破したパイロットの名前くらいは知っておきたい。
この戦争が終わった後で、可能なら月に引き抜きたいし。
そんな事を考えていると、当然のようにジオン軍もこちらの存在に気が付き、攻撃を仕掛けてくる。
連邦軍だけを攻撃していればよかったものを。
「全機、攻撃開始だ!」
そう叫びつつ、こちらに向かって放たれたザクバズーカの一撃を回避しつつ、ザクとの間合いを詰める。
ちなみに、こちらに向かって攻撃してきたザクの近くにはリックドムがいて、こちらが攻撃を回避したところでジャイアントバズを撃ち込もうとしていたが、次の瞬間には俺とタッグを組んでいるクリスのヅダから放たれた狙撃銃が何発も連続で命中し、爆散する。
それを見ながら、俺もザクバズーカを構えているザクとの間合いを詰め……そして、横を通り抜けながらビームサーベルを振るい、その胴体をコックピット諸共切断して爆発させる。
「次!」
続いてもう1機、こちらに向かってザクマシンガンを構えていたザクに向かってビームライフルを撃ち、コックピットを貫き撃破。
周辺の様子を見てみると、連邦軍が押し気味だな。
これはジムがビームスプレーガンやビームサーベルというビーム兵器を持っているというのもあるが、それと同じくらいルナ・ジオン軍のMSが戦力として優秀な証だろう。
元々、ヅダはザクよりも高い性能を持っていた。
その上で、現在ルナ・ジオン軍で使われているヅダはそれを改修した代物なのだ。
当然のように、スペックもザクとコンペをしたヅダよりも上がっており、武器の性能はともかく、純粋な機体性能はそれなりに高く、腕利きのパイロットなら1人でゲルググと互角に戦える。
とはいえ、それはあくまでも腕利きならの話で……ゲルググを相手にすると、どうしてもヅダだとスペック不足なんだよな。
この辺は、ルナ・ジオンという歴史の浅い故の欠点といったところか。
これがジオン軍なら、幾つものMSを以前から開発していたりしているし、連邦軍の方でも、ジオン軍がMSを開発したという時から、少しずつ研究は行っていた。
それ以外でも、連邦軍はその圧倒的なまでのマンパワーが存在し……それにより、有能な人材がこれでもかと集まっていた。
有能な人材という点では、ルナ・ジオンも負けてはいない。
ジオニック社、ツィマッド社、MIP社……それ以外にも、多くの兵器メーカーだったり、そちらとは関係がない技術者だったりも集まっているし、連邦から来た研究者や技術者も多い。
だが……それでも、やはり新しい機体を開発するとなると、かなり大変なのだ。
ジオン軍で開発した奴をそのまま流用するといったことなら、出来ない訳でもないだろうが……そうなればそうなったで、色々と問題も出て来るし。
具体的には権利関係とか、そっちで。
とはいえ、ルナ・ジオンだからこそ出来る事もある。
ジオン公国では兵器メーカーがそれぞれ争っていたが、ルナ・ジオンではディアナとして1つの兵器メーカーになっているので、兵器メーカー同士の対抗意識は気にしなくてもいい。
もっとも、ディアナという1つの会社になっているとはいえ、対抗意識が完全に消えた訳ではないのだが。……具体的には、ジオニック社とツィマッド社の面々だな。
ジオン公国の3大メーカーという点で考えれば、MIP社もあるんだが……MIP社の場合はMSはズゴック程度で基本的にはMA主体なので、ジオニック社やツィマッド社とはあまり競業したりしない。
とはいえ、ジオン軍の水陸両用MSの中でも傑作と言われるズゴックを開発しただけに、MS技術も相応に高いんだよな。
「っと!」
そんな事を考えていると、新たに現れたザクが3機の小隊が、揃ってこちらにザクバズーカを撃ち込んでくる。
頭部バルカンで迎撃し、宇宙空間に3つの爆発が生み出され……その爆発に紛れるようにして、俺のビームライフルとクリスのヅダの狙撃銃がそれぞれ1機を撃破する。
相手が3機である以上、当然のようにまだ向こうには1機残っているのだが、その1機は次の瞬間には勝ち目がないと判断したのか、その場から離脱し……
「させると思うか?」
背後を向けた瞬間、俺が撃ったビームライフルに貫かれ、他の2機と同じ結末を迎える。
『アクセル、それでこれからどうするの?』
「うーん、そうだな。そうなると……」
一応連邦軍の協力をするというのは決まっている。
だが同時に、だからといって具体的にどのように行動するのかは、こちらの裁量に任せられていた……正確には、連邦軍の指揮を執っている者達に通信を入れれば、どう行動して欲しいといったような事は言ってくるのだろうが、レビルならともかくそれ以外の面々となると、信頼関係を築いていないだけあって、その辺を任せる訳にはいかない。
『アクセル、ちょっといいか?』
と、そんな俺とクリスの通信に割って入ってきたのは、青く塗られたヅダ……ラルの機体だった。
「どうした? 何か問題でもあったか?」
ラル率いる部隊は、それこそジオン軍時代からの面々だ。
そういう意味では、数でこそシーマの海兵隊に劣るが、練度という点では全体的に見た場合、間違いなくラルの方が上だろう。
『妙な通信が入ってきた。……何でもア・バオア・クーの片隅で、連邦軍の未確認MSとジオン軍が戦いになっているらしい』
「……未確認MS? そんなのは、そこまで珍しくはないだろ」
連邦軍側であっても、色々なMSを開発している。
それこそ、最近ではアレックスなんかがいい例だろう。
であれば、他にも新型MSを開発していてもおかしくはない。
アレックスの件もそうだが、こちらとしても連邦軍が開発しているMSの全てを了解している訳ではない。
その辺を考えると、ラルの言葉はそこまで気にする必要はないと思うんだが……
『こちらが集めた情報によると、連邦軍でもあのMSについて知ってる者は殆どいないらしい』
「……連邦軍でもか?」
連邦軍が開発した新型MSであれば、こっちに情報がなくても連邦軍内部では情報が知られていてもおかしくはない。
だが、その連邦軍でさえ分からないとなると……これは、どういう扱いになるんだ?
普通に考えれば、連邦軍の中でも一部の者だけが理解しているという事なんだと思う。
だが、それでも普通に考えれば、そこまで知られていないという事は有り得ないと思うんだが。
『そうらしい。……この場合、考えられるのは、連邦軍の一部が周囲には知らせず自分だけで秘密裏に開発しているという可能性が高い。こちらに近寄らせるな!』
最後の言葉は、俺に向けての通信ではなくラル隊のメンバーにジオン軍のMSを近づけるなという意味だろう。
「話は分かった。それで、俺にどうしろと?」
『どうしろとは言わんよ。だが……連邦軍が秘密裏に開発したMSともなれば、それは大きな意味を持つのではないか? アクセルにとっては、興味深い存在だと思うのだがな』
「まぁ、それは確かに」
実際、未知のMSというのは興味深い。
この世界特有の技術が使われているのであれば、シャドウミラーの技術班に対する土産として有益だし、特に目新しい技術が使われていなくても、そちらはディアナで研究すれば、新型MSの技術的な蓄積となる。
とはいえ、連邦軍のMSを確保するとなれば、問題も多い。
特に現在の俺達は連邦軍に協力している立場である以上、連邦軍に攻撃を仕掛けるといった真似は出来ない。
……もし本当にそれをやるとすれば、それこそ絶対に知られないように行動する必要があった。
そこまでする必要があるとは思えない。
だが、その未確認のMSを見ておくのは、ルナ・ジオン軍にとっても利益となるだろう。
「分かった。その未確認MSがいる座標を教えてくれ。そのMSを確保するかどうかは分からないが、取り合えずデータの類は欲しいしな。それに……もしかしたら、こっちが手を下すまでもなく、その機体を入手出来る可能性がある」
こっちから意図的にその機体を攻撃するつもりはない。
だが……もし俺達がその場に到着した時、そのMSが行動不能になっていた場合は、そのMSパイロットを助けるという意味でも行動を起こす必要があった。
『よく言うわね』
俺の言葉に何かを感じたのか、クリスが若干呆れの視線を向けてくる。
俺がその新型MSに攻撃をすると言えば、クリスも素直に納得は出来なかっただろう。
だが、敵に攻撃されてる場合は助けるという事なら、クリスも納得しやすかったのだ。
「それで、座標は?」
『ああ、今送る。だが……これはあくまでもその付近にいる可能性が高いという話で、実際には分からんぞ』
ラルのその言葉に、俺は頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1230
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1625