提供してくれた鏡あきらさん、ありがとうございます。
今、クリスは何を言った?
俺の聞き間違えでなければ、間違いなくアクセルと、そう俺の名前を呼んだ筈だ。
いや、確かに俺の名前はアクセルである以上、その言葉は決して間違ってはいない。
だがそれでも、現在の俺を見て何故アクセルという名前が出て来る?
今の俺は、そもそもクリスの知っているアクセルよりも背が高い。
クリスの知っているアクセルは10代半ばだが、今の俺は20代の姿だ。
その上で顔も仮面で隠している以上、今の俺を見てアクセルという名前が出て来る要素はどこにもない筈だった。
……にも関わらず、クリスは間違いなく俺の名前を口にした。
アクセル、と。
「一体、何の事だ? 俺の名前はイザークだと、そう名乗った筈だったが?」
動揺を声に出さないようにして、そう告げる。
こういう時、表情を隠してくれる仮面を被っていたのは幸いだったよな。
もし仮面がなければ、アクセルという名前に驚いた俺の表情を間違いなくクリスに見られていたのだから。
だが……そんな俺の誤魔化しを聞いても、クリスは髪を掻き上げ――寝起きだからか、かなり乱れていたが――ながら、口を開く。
「貴方の事でしょう? アクセル。今日私と一緒に食事をしたのも忘れたの?」
理由は分からないが、クリスは確実に俺を……イザークと名乗っている今の俺を、自分の知っているアクセルであると、そう認識しているのは間違いなかった。
何故だ? どこで見破られた?
普通、顔はともかくとして体格が違う相手であれば、それを同一人物だとは思わない。
だが……間違いなくクリスは俺をアクセルだと、そう確信している。
「その妙な仮面は取ったら? 正体が知られている以上、そんな物を使う必要はないでしょ?」
駄目……か。
この様子を見れば、カマを掛けているとかそういう理由ではなく、本当に俺をアクセルだと認識しているのは間違いない。
溜息と共に、仮面を脱ぐ。
するとそこにはあったのは、20代の……クリスと年齢の近い俺の顔だった。
「あら、思ったよりもいい男ね。どこかちょっと軽そうにも見えるけど。ルナ・ジオンの建国宣言で見た時は、もうちょっと真面目に見えたのに」
俺がアクセルであるというだけではなく、シャドウミラーを率いるアクセル・アルマーであるというのも、どうやらクリスは予想していたらしい。
特に驚いた様子もなくそう言ってくる言葉に、数秒の沈黙の後で口を開く。
「……何で分かった? 普通なら、今の俺を見てアクセルだなんて認識出来ない筈なんだが」
「さて、何でかしらね。ただ、私が気が付いたのは、イザークとアクセルのちょっとした仕草が同じだったからよ」
「それで、俺がアクセルだと認識したと?」
女の勘。
そう言ってもいいのかもしれないが、だからといって女の勘で全てを片付けることも出来ない。
普通なら、例え同じ仕草をしても10代の俺と20代の俺を同一人物だと認識はしないだろう。
そうなると……もしかしてクリスもニュータイプとか?
一瞬そう考えたが、すぐにその考えを否定する。
そもそもの話、もしクリスがニュータイプなら今まで俺と接した時に何らかの反応を起こしてもおかしくはない。
だが、今まで俺とクリスは何度も接触しているが、セイラを始めとしたニュータイプ達と同じような空間に行ったりといったような事は一度も起きてはいない。
その辺を考えれば、クリスがニュータイプであるという可能性は皆無だろう。
……だとすれば、本当に俺の仕草だけを見て俺をアクセルだと認識したのか?
「どんな方法で身体の大きさを変えてるのかは分からないわ。けど、魔法が存在する世界からやって来たんだから、そういう事が出来てもおかしくはないわよね?」
「……否定はしない」
実際には、俺の外見を変えられるのはネギま世界の魔法ではなく、混沌精霊だからこそだ。
とはいえ、ネギま世界には年齢詐称薬があるので、必ずしも魔法だけで外見を変える事が出来ない訳ではないが。
「それで? 寝ている女の部屋に入ってくるなんて、何を考えてそんな真似をしたのかしら? このコロニーに危機が迫ってる。そう言ってたわよね?」
この話はここで終わり。
そう態度で示すクリス。
……正直、色々と気になるところがあるのは間違いないが、それでも今の状況でその件について話すよりは、俺がここに来た本題を話す方が先だ。
クリスが早速本題に入ろうとするのは、やはりリボーに危機が迫っていると言った点も大きいのだろう。
「そうだな。結論から先に言えば……リボーの周辺にいるジオン軍の艦隊が、リボーに向けて核ミサイルを撃ち込もうとしている。それも明日の昼にな」
「っ!?」
俺の言葉に、目を大きく見開いて驚くクリス。
リボーの危機と口にはしたが、まさかそんな理由だとは思いもしなかったのだろう。
コロニーの住人として、その気持ちは理解出来ないでもない。
だが……これは、間違いなく真実なのだ。
「冗談……という訳じゃないみたいね」
「ああ。サイクロプス隊……アレックスを奪おうとしたジオン軍のMS隊に接触して、確認してある」
「待って。じゃあ……もしかして、アクセルがアレックスに乗ってジオン軍と戦った時は、もう繋がっていたの?」
クリスの言葉に疑問を抱くが、考えてみれば今の言い方ならそんな風に認識してもおかしくはないか。
「いや、違うな。サイクロプス隊と繋がったのはついさっき、ここに来る直前だ」
そう言い、俺はサイクロプス隊と接触した経緯を示す。
核ミサイルの危険性があるという事から、ジオン軍と接触する方法を探していたところ、街中でMSの部品に流用出来るパーツを買いに来たガルシアを見つけた事。
そして、ガルシアを追って敵が拠点にしている工場を見つけて接触して、情報交換をした事。
「ちなみに、何がどうなってそうなったのかは分からなかったが、アルがサイクロプス隊と一緒にいた」
「……え?」
俺の言葉が余程意外だったのだろう。
信じられないといった様子で視線を向けてくるクリス。
その気持ちも、分からないではない。
普通に考えて、自分の家の隣に住んでいる相手が……それも高校生とかくらいの年齢ならともかく、まだ小学生のアルが何故サイクロプス隊と一緒にいるのかと。
そんな風に疑問に思うのは当然だろう。
「えっと、その……それは冗談か何か?」
「いや、いたって真実だ」
恐る恐るといった様子で尋ねてくるクリスにそう断言すると、その顔は引き攣る。
クリスにしてみれば、完全に予想外の事態だったのだから、それも当然だろう。
「何でそんなことになってるの?」
「さぁ? 俺に聞かれても分かる訳ないだろ。事情も聞いてないんだし」
というか、気配遮断を使っているところをアルに見つかったのは、俺にとっても驚きだった。
元々見つかってもいいという考えでガルシアの側にいたのは間違いないが、それでもまさかアルに見つかるとは思ってもいなかったのだ。
「とはいえ、アルが何を考えてそんな真似をしていたのかは、大体予想出来るけどな。前々からMSとかに興味を持っていたみたいだったし」
これは、別にアルだから特別といったことではない。
アルくらいの年齢であれば、ロボットとかに興味を抱くのは当然だろう。
そんな中で、このUC世界においてはMSという本物のロボットがある。
そうである以上、アルがMSに興味を持つのは当然の事だった。
……疑問なのは、何でアルがサイクロプス隊と接触出来たのかという事だが。
「そう言っても……アルをこのままにはしておけないわ」
「安心しろ。サイクロプス隊の面々だって、ジオン軍ではあっても別に極悪非道といった性格をしている訳じゃない。実際、アルはまだ生きてるだろ?」
もしシュタイナー達が本当にジオン軍の事しか考えていないのなら、それこそアルを生かしておく必要はない。
協力者という意味でも、アルのような子供はとてもではないが信用出来ないのだから。
それを考えれば、アルを殺してしまった方が手っ取り早く、確実に安全なのは間違いないのだ。
その辺の事情を考えると、取りあえずサイクロプス隊の面々にアルを預けておいても問題はない。
明日の昼の戦いが終われば、サイクロプス隊はジオン軍を抜けて月に来るので、そうなった時にはアルをリボーに置いていく必要があるかもしれないが。
とはいえ、その辺をどうするのかは、俺が考えるべき事ではない。
サイクロプス隊の面々が、アルとどう別れればいいのかを考えているだろう。
「いいわ。私をそのサイクロプス隊がいる場所まで連れて行って。私がアルを説得するから」
「……本気か?」
「ええ。そもそも、サイクロプス隊は核ミサイルの攻撃を防ぐ為に行動するんでしょ? なら、一緒に行動した方がいいじゃない」
「いや、それはそうだが……随分と思い切りがいいな」
クリスってこういう性格をしてたか?
一件すると隣に住んでいる優しい美人のお姉さんといった印象を周囲に与えるのに。
いやまぁ、でも考えてみればそうおかしな話でもないか。
クリスはその外見とは違って、連邦軍の最新鋭機たるアレックスのテストパイロットに選ばれているくらいの実力はあるのだから。
それを考えれば、寧ろこのくらいは当然と言ってもいい……のかもしれない。
「取りあえずアルの件はどうやって核ミサイルを止めるのかをはっきりとしてからだ。……それで、正直どう思う? リボーにいる連邦軍の連中は協力してくれると思うか?」
「……難しいでしょうね」
数秒の沈黙の後、クリスそう言う。
その言葉にショックを受けたりは……しない。
グレイファントムに乗っていた軍人がどのような性格をしていたのかを考えれば、それは寧ろ当然の事だったのだから。
それでも一応といった感じで尋ねる。
「ジオン軍が核ミサイルを撃とうとしていたのを阻止したとなれば、それはグレイファントムの艦長の手柄になると思う。俺が見た感じ、グレイファントムの艦長は手柄を欲していた筈だ。それでも駄目なのか?」
「難しいと思うわ。そもそも、ジオン軍がリボーに核ミサイルを撃とうとしている証拠はないんでしょ? あくまでもアクセルの予想と、サイクロプス隊の人達が言ってるだけで」
「……そうだな」
これで正確な命令書の類でもあれば、クリスの言うきちんとした証拠になるのだろう。
だが、シュタイナーから聞いた話では、当然のようにそんな命令書などは存在していない。
当然だろう。核ミサイルを使うという事は、明確な南極条約違反なのだ。
それを破るように自分が指示したという証拠を残すような真似は、普通ならしない。
いやまぁ、信念を持っている軍人の類なら命令書を作るような真似もするのかもしれないが、シュタイナー達を捨て駒として使うような人物だ。
シーマの元上司だったアサクラのように、保身には長けていてもおかしくはない。
……そもそも、何を考えてサイクロプス隊という精鋭部隊を捨て駒にする気になったのやら。
あれだけ腕利きのMSパイロットは、そう多くはいない。
サイクロプス隊の中でも新人でまだ技量が未熟なバーニィも、その才能という点ではかなり高い。
それこそ、鍛えればニュータイプ以外……オールドタイプの中では最強クラスに入ってもおかしくないくらいには。
「そうなると、あるかどうかも分からない核ミサイルよりも、そのサイクロプス隊を捕らえた方が確実に手柄になる。そう考える人が艦長をしているわ」
「……もしサイクロプス隊を捕らえても、核ミサイルをリボーに撃ち込まれれば、その時点でグレイファントムも撃破されると思うんだが」
グレイファントムは、その外見からして現在連邦軍の中でも高性能艦たるホワイトベース級なのは間違いない。
だが、幾らホワイトベース級の軍艦であっても、核ミサイルの爆発の直撃を食らって無事であるとは到底思えない。
これがシャドウミラーの旗艦たるシロガネとかだったら、ある程度何とかなる可能性も……うーん、どうだろうな。核ミサイルの威力となると、洒落にならないものがあるしな。
だとすれば、やはりシロガネでも難しいか?
ともあれ、グレイファントムが保たないのは間違いない。
「そもそも、核ミサイルの発射というのが連邦軍を動揺させる為のブラフ。そう判断してもおかしくはないわ」
「そうか。……いや、そう考えるのはおかしくないんだけどな」
普通に考えて、南極条約違反の核ミサイルを実際撃つのと、撃つと見せて脅しを掛けるのの、どちらの可能性が高いかと言われれば、普通は後者なんだよな。
そういう意味で、グレイファントムの艦長の判断が間違ってるのかと言われれば……難しいところだ。
「そうなると、連邦軍の協力は得られないと思ってもいいのか?」
「……そうね。ただ……ねぇ、アクセル。アクセルがアレックスに乗るというのはどう?」
そう告げてくるクリスの言葉に、俺は驚きの視線を向けるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1190
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1617