転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2616話

 核ミサイル。

 その言葉を聞いた瞬間、全員の表情が明らかに変わった。

 とはいえ、アルと話していた金髪の男は、信じられない、何かの聞き間違いなのではないかといったような視線を隊長に向けており、それ以外のサイクロプス隊3人の表情は、知られてはいけない事を知られたといったようなものだった。

 この様子からすると、俺が予想した核ミサイルを撃つという件は本当であり、しかもサイクロプス隊の中でも金髪の男以外は全員が知っていたといった感じか。

 金髪の男の扱いが妙に軽いような気がする。

 ……年齢的にも他の3人と合ってないし、身体の動かし方も他の3人に比べると、取りあえず訓練を受けましたといったような感じだ。

 だとすれば、恐らくこの金髪の男は元々サイクロプス隊のメンバーなのではなく、何らかの理由で後から追加された奴なんだろう。

 恐らくだが、あのザクに乗っていたのがこの男だと思われる。

 

「どうやらその表情を見れば答えは明らかだな」

 

 俺の言葉に隊長と太った男は再度銃口をこちらに向け、ガルシアも倒れていた状態から起き上がると、ナイフの刃先をこちらに向けてくる。

 転んだ時に、よくナイフで自分を傷つけなかったな。

 

「何だ? さっきのを見ていなかったのか? 俺を拳銃程度でどうにか出来ると、本当にそう思ってるのか?」

 

 そんな俺の言葉に、サイクロプス隊の面々は悔しそうな表情を浮かべる。

 そして、隊長が苦々しそうに口を開く。

 

「それで、俺達をどうするつもりだ?」

「簡単に言えば引き抜きだな」

「……何?」

 

 俺の口から出た言葉が、予想外だったのだろう。

 驚きの声を上げる隊長。

 

「引き抜き、スカウト、ヘッドハンティング。他にも色々と言い方はあるが、ともあれそんな理由だ」

「……本気か?」

「ああ。とはいえ、サイクロプス隊の腕はいいが、何の手柄もなく月に来るという訳にはいかないから、少し手柄を立てて貰う必要があるけどな。……例えば、中立のリボーに核ミサイルを撃ち込もうとしているジオン軍の行動を阻止するとか」

「俺達がそう簡単にジオン軍を裏切るとでも?」

 

 俺の口から出た条件に何か言うのではなく、自分達が本当にジオン軍を裏切るとでも思っているのか? と告げてくる隊長。

 

「使い捨てに等しい扱いをされて、上層部からも疎まれているのに……それでもジオン軍に……いや、ザビ家に忠誠を誓う必要があるのか? 月にはジオン・ズム・ダイクンの娘のアルテイシアがいて、本当の意味でジオンの意思を継ぐ国を作っているのに」

『……』

 

 俺の言葉に、サイクロプス隊の面々は皆が揃って黙り込む。

 サイクロプス隊の面々にしても、現在のジオン公国については色々と思うところがあるのだろう。

 また、本当の意味でジオン・ズム・ダイクンを尊敬するのなら、月に行くのが正しいのだという思いがあってもおかしくはない。

 だが……それでも、隊長は首を横に振る。

 

「それでも、俺達は軍人だ。その軍人たる者が、軍を裏切るなどという真似は出来ない」

「軍人か。……お前が思う軍人というのは、何の罪もない……とは言わないが、それでもアルのような子供が平和に暮らしているコロニーに対し、核ミサイルを撃つのか?」

「隊長! それ、本当なんですか!?」

 

 俺の言葉に、金髪の男が驚きと共にそう尋ねる。

 隊長はその言葉に、苦々しい表情を浮かべながらも頷く。

 

「その通りだ、バーニィ。……取りあえず、ここで話す事ではないな。全員、建物の中に入れ。そこで話をしよう」

 

 この周辺の工場はそこまで活気がある訳ではないが、それでもまだ働いている者も多いのだろう。

 というか、昨日の今日でまだ働いている奴がいるのが驚きだ。

 本来なら、いつまたMS戦が起きるかもしれないと思って、仕事を一時的に休みにしてもおかしくないだろうに。

 そんな場所で話していれば、可能性は低いがもしかしたら誰かに聞かれてしまうかもしれない。

 そう判断したのは、間違っていない。

 一瞬、工場の中に俺を誘き寄せて殺そうとするのかと思ったが、銃で俺を殺せないというのは、もう証明している。

 あ、でも俺を殺せないというのは、俺が銃弾を素手で受け止められるからこそだと思い、銃弾が命中すれば問題なく殺す事が出来るかもしれない。

 そう思ってもおかしくはないか?

 とはいえ、実際には無意味なんだが。

 ともあれ、トラックはそのままにして……アルに見張りを頼み、それ以外の面々は工場の中に入る。

 そして工場の中に入った俺が見たのは、扉の近くにあった映像モニタ。

 本来なら、扉を閉めている時に誰かがやって来たら、それが誰なのかを確認する為の映像モニタなのだろう。

 それによって、トラックの荷台にいた俺を見て、アルが声を出した訳だ。

 自分が何故アルに見つかったのかを納得し、次に視線を向けたのは工場の中。

 そこでは、俺が戦ったMS4機がMS用のベッドの上に寝ており、修理されてた。

 アレックスを使って戦った時は、本気で撃破するような真似はしなかった。

 だが、それでも相応の被害は受けたので、それを現在修理中なのだろう。

 そうして工場の中に入ると、俺とサイクロプス隊の面々は向き直る。

 

「さて……そうだな。まずは自己紹介からにするか」

「そうだな。そうして貰えると、俺も助かる。俺の名前はアルから聞いてたと思うが、一応名乗っておく。アクセルだ」

 

 その言葉に頷き、サイクロプス隊の面々も自己紹介をする。

 バンダナの男がガルシア、太っている男がミハイル、隊長がシュタイナー、そして金髪の男はバーナード。

 アルにはバーニィと呼ばれていたみたいだが、どうやらバーニィというのは、愛称やニックネームの類らしい。

 ともあれ、自己紹介は無事に終わる。

 俺に向かってこうして自己紹介をしてきたという事は、ジオン公国を抜けて月に来るという気にはなっているのか。

 あるいは、俺に名乗った名前は実は偽名で、全く信頼していない……という可能性もある……か? いや、ないな。

 拳銃で俺を攻撃しても無意味だというのは、既に目の前で見せて証明している。

 そうである以上、ここでシュタイナー達が妙な真似をしても、俺をどうにかするのは不可能なのだから。

 

「アクセルか。……シャドウミラーを率いているアクセル・アルマーの関係者か?」

「まぁ、そんな感じだ」

 

 外見年齢が違いすぎるので、まさか俺をアクセル・アルマー本人だとは思っていないのだろう。

 年齢詐称薬の存在を知れば、どう反応するのかは分からないが。

 

「そうか。では……お前の言ってる事は真実なのか?」

「俺の言ってる事? 具体的にはどの件だ?」

「……色々と、だ」

 

 シュタイナーにしてみれば、俺の言葉を全て信じる事は出来なかったという事なのだろう。

 まぁ、自分達のこれからを決めるとなれば、慎重になるのは当然の話か。

 

「そうだな。俺が口にした内容には、基本的に嘘はない」

「……俺達が月に行ったら、どうなる?」

「その辺りはお前達次第だな。ただ、個人的には軍隊に入ってくれると助かる。ルナ・ジオン軍は精鋭が多いが、それ以上に新人も多いからな」

 

 現在が戦争中であるというのも関係しているし、シーマに憧れてという者や、ジオン軍でも知られた青い巨星や黒い三連星といった有名人がいるからか、ルナ・ジオン軍への入隊希望者は多いんだよな。

 だが、当然の話だが入隊したからといって、すぐに軍人として……より正確にはMSパイロットとして使う訳にもいかない。

 相応に訓練をする必要がある。

 今のルナ・ジオン軍のMSパイロットは、そんな連中も多くなってきているのだ。

 その辺の事情を考えると……いや、事情を考えなくても、腕利きのMSパイロットというのは是非欲しい。

 

「そっちのバーナードだったか? そいつも、見たところではMSパイロットとしてはまだ新米だろ? 正直、そういう奴が何でサイクロプス隊なんて精鋭部隊の中にいるのかは分からないが……」

「はぁ!? それって、俺を馬鹿にしてるのかよ!」

 

 俺の言葉に、バーナードは許容出来ないといった様子で叫ぶ。

 新人だけに……いや、新人だからか、自分の技量が侮られるのは面白くないのだろう。

 

「バーニィ」

 

 シュタイナーの言葉に、バーナードは黙り込む。

 それでも不満だといった様子を隠せていない辺り……甘いよな。

 とはいえ、俺も千鶴とかにはあっさりと考えてる事を察知されたりするので、バーナードの事は言えないんだが。

 それに、バーナードは正直才能という一点においては、かなり高いと思う。

 場合によっては、サイクロプス隊の中でもエースになるだけのものがあると、そう思っていた。

 もっとも、それはあくまでも俺が感じた事であって、何の証拠にもならないのだが。

 また、例え才能があってもそれを開花させられるかどうかというのは、また別の話だし。

 

「バーナードだったな。お前が新人なのは間違いのない事実だろう? だが、この前の戦闘で感じたんだが、現在の技量はともかく、お前の才能という点ではかなりのものがあると思う。……それこそ、将来的には異名持ちになってもおかしくはないくらいのな」

「……え?」

 

 まさか、俺から褒められるとは思っていなかったのか、バーナードは戸惑った様子を見せる。

 ……それどころか、シュタイナーを含めた他のサイクロプス隊の面々までもが、俺の言葉を聞いてバーナードに本当か? といったような視線を向けていた。

 

「その辺は取りあえず置いておくとして。……ともあれ、月としてはサイクロプス隊というのは是非欲しい。今のように使い捨ての駒じゃなくて、その技量に相応しい待遇を約束する。それにさっきも言ったが、ザビ家ではなく本当の意味でジオン・ズム・ダイクンの意思を受け継いでいる国の為に働くつもりはないか?」

「……それは……少し、相談させて欲しい。正直なところを言わせて貰えば、俺はアクセルの言葉に魅力を感じているが、これは俺達だけで決める訳にはいかない。それに、中にはサイド3に家族を残している者もいる」

「分かった。そっちで相談してくれ。ちなみに家族の件は、サイド3から普通に出る事は出来ると思うし、それが無理でもこっちで手を回して脱出させる事は可能だ」

 

 この辺は、最悪俺がサイド3に向かえばどうとでもなるだろう。

 ともあれ、相談をするシュタイナー達をその場に残し、俺は工場から出る。

 そこでは、アルがしっかりと周囲の様子を窺っていた。

 シュタイナーに見張りを命令された、つまりは頼りにされているのが、嬉しかったのだろう。

 そんなアルに気が付かれないようにしながら、空を見る。

 ……空とはいっても実際にはコロニーの中だから上にあるのも地面なんだが。

 ともあれ、そんな空とも地面とも思える場所を見ながら、これからどうなるのかを考える。

 シュタイナーは昔気質の職人といった性格をしているように思えた。

 だからこそ、普通に考えればジオン軍を裏切れなんて事を言っても、素直に話を聞くとは思えない。

 だが……ジオン軍がコロニーに核ミサイルを撃ち込むとなれば、やはり話は違ってくるのだろう。

 ジオン軍に所属しているということは、当然の話だがサイド3出身の筈だ。

 ジオン軍の中には、サイド3出身者以外の者もいるらしいが、どうしてもその人数は少ないし、サイド3出身者以外であってもコロニーの出身者なのはほぼ確定だろう。

 そんな者達にしてみれば、コロニーという自分達が住む場所に核ミサイルを撃ち込むというのは、とてもではないが許容出来ない。

 そんな風に思ってもおかしくはなかった

 それでもルナ・ジオンという国がなければ、渋々そんなジオン軍に従っていたかもしれないが……この歴史においては、ジオン・ズム・ダイクンの正当後継者たるセイラが建国した、ルナ・ジオンがある。

 シュタイナーがジオン・ズム・ダイクンに心酔しているのかどうかまでは分からないが、それでも今のザビ家に支配されているジオン公国よりはマシと考えてもおかしくはない。

 

「あ!」

 

 と、周囲の様子を警戒していたアルが、俺の存在にようやく気が付く。

 別に気配遮断を使っていた訳でもない以上、もっと早くに俺を見つけてもいいと思うんだが。

 それを見つけることが出来なかったのは、やはりまだ子供だからか。

 

「何か怪しい奴はいたか?」

「ううん。……アクセルは中での話はもういいの?」

「ああ。俺からの条件は話した。後はシュタイナー達がどう判断するかだな」

 

 シュタイナー達がルナ・ジオンに来ないと判断した場合は、面倒な事になってもおかしくはない。

 おかしくはないのだが……それでも、最終的にはシュタイナー達は俺の提案に乗る筈だった。

 

「ふーん。……月かぁ……」

 

 アルも何気に興味はあるのか、そう言ってくる。

 だが、まさか本当にアルを連れていく訳にもいかないしな。

 そんな風に考えながら、アルと話をしていると……やがて30分程が経過し、工場から出て来たシュタイナー達は俺の提案に乗ると、そう告げるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1190
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1617

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