「おわぁっ!」
突然影のゲートから出て来た俺を見た男が、驚きの声を出す。
以前も似たような事があったような……と、そんな風に思いながら、口を開く。
「昨日の一件、どんな情報が集まってる? それと、ソロモンで何か変わった事があったら教えて欲しい」
ソロモンなら、俺が通信機を使えば向こうと通信は出来るんだが……取りあえず、今はここで情報を聞いた方が手っ取り早い。
「え? あ、うーん……その……はい。色々と情報は入ってますよ」
我に返るのに少し時間が必要だったみたいだが、それでも男はそう言う。
ちなみに他にも部屋の中に何人かいた連中は、俺の相手はこの男に任せる事にしたらしく、自分達の仕事に戻っていった。
「そうか。聞かせてくれ」
そう言い、空間倉庫の中から取り出した緑茶……それもかなり苦いと言われているお茶の入ったペットボトルを男に渡す。
恐らく、昨日から情報収集で休むどころではなかったのだろう。
「はい。それで、何から聞きたいですか? ……苦っ!」
ペットボトルのお茶にそんな悲鳴を上げている男に、何から聞くべきなのかと迷う。
いや、聞くだけなら色々と聞きたい事はある。
だが、そのどれから聞くべきかとなると……うん、やっぱり迷ってしまうのは当然だろう。
「そうだな。まずはジオン軍から聞こうか。昨日の一件でリボーの内部に現れたジオン軍のMSはどこに消えたか分かるか?」
「いえ、ただ、コロニーの外には出ていない以上、リボーの内部にいると思います。……ちなみに、本当にちなみにですが、もしかして昨日連邦軍の新型MSに乗ってたのって……」
「ああ、俺だ」
ルナ・ジオンの諜報員なら隠す必要はないだろうと、そう答える。
そんな俺の言葉に、当然のように驚く男。
まぁ、シャドウミラーの代表が連邦軍の新型MSに乗ってるなんて、普通は思わないだろうしな。
「一応聞きたいんですが、一体何だってそんな事に?」
「成り行きってのが一番大きいな。勿論新型のデータも持ってきたから、何の意味もない訳じゃない」
実際、今回の一件は結構大きな意味を持っていた。
アレックスの実機を奪う事は出来なかったが、そのデータだけでもディアナの技術者にしてみれば値千金といったところか。
……俺から見れば、リニアシートくらいしか重要なデータはないように思えるのだが。
マグネットコーティングや全天周囲モニタは、ガンダム7号機で既に採用されているし。
それどころか、FSWSの成果たるチョバムアーマーにいたっては、フルアーマーガンダム7号機のファーストアーマーや重装フルアーマーガンダムのセカンドアーマーの方が技術的に進んでいる。
新型のビームライフルもあったらしいが、昨日の戦いはコロニーの中だったので、使う事は出来なかったし。
あ、でもビームサーベルとかは何気に進歩してるのか?
いや、でもビームサーベルならガンダム7号機でも十分強力になってるしな。
ガンダムの開発も、色々なラインがあるからな。
正統派と呼ぶべきラインは、俺が乗ってるガンダム7号機を始めとしたセカンドロットがある。
また、ニュータイプ用……アムロ用のMSという事で、アレックスがある。
他にも陸戦型に特化して量産された、陸戦型ガンダム。
陸戦型であっても量産型ではない、ピクシー。
他にも俺が知らないガンダムはかなり開発されていても、おかしくはない。
「そうですか。今回の一件は月にとっては大きな利益になったみたいですね」
「それは否定しない。それで、ジオン軍が次にどう動くのか分かるか?」
その問いに、男は首を横に振る。
「残念ですが、そこまで詳しい情報はありません。ただ……数日前にリボーの近くで戦闘をしたジオン軍の艦隊はまだ残ってるらしく、そちらで何か動きがある……かもしれません」
なるほど。ジオン軍にしてみれば、アレックスの存在が露わになり……しかもその性能がジオン軍の中でも精鋭だろうMS部隊を1機で撃退するだけのものとなれば、放置しておく訳にはいかないか。
普通に考えれば、別に撃破したり鹵獲したりしなくても、最悪リボーから運び出さないようにすれば、ジオン軍としては立派に役目を果たした事になる筈だ。
とはいえ、やはり最善の結果というのは奪取する事だろうが。
「ジオン軍が最低限の役目を果たすとなると……そうだな、露骨にリボーの周辺にそのジオン軍の艦隊が姿を現すという可能性も否定出来ないな」
「そうですね。ですが、そのくらいの事で本当にどうにかなると思いますか?」
「どうにか……か。正直なところ、どうだろうな。連邦軍にしてみれば、新型MS……アレックスという名前らしいが、そのアレックスをソロモンに運ぶのは絶対にやるべき事だ」
クリスはともかく、俺を捕らえるように命令したグレイファントムの艦長……直接その顔を見た事はないから何とも言えないが、多分リボーにグレイファントムがあるということは、アレックスが完成したら、グレイファントムでソロモンまで運ぶつもりなのだろう。
手柄を立てるチャンスを、グレイファントムの艦長がそう簡単に見逃すとは思えない。
つまり、アレックスを運ぶという任務は絶対にやり遂げようと思っている筈だった。
そうなると、ジオン軍と連邦軍がリボー周辺でやり合う事になるのは、ほぼ確実と言えるだろう。
問題なのは、アレックスを運ぶ為にグレイファントムが無理をしようとした場合、ジオン軍がどう出るか。
「俺が遭遇したMS隊は、一般人に被害を出さないように気を遣っていたけど、ジオン軍の全部がそうなるとは思えないしな」
「ああ、そう言えば……アクセル代表が戦ったMS部隊の情報もありますよ。突撃機動軍の特殊部隊、サイクロプス隊というらしいです。かなりの腕利きが揃っているとか」
「……だろうな」
実際、そのサイクロプス隊と戦った身としては、その実力についての論評には頷かざるを得ない。
サイクロプス隊が使っていたMSも、どれも新型と言ってもいい程の性能だった。
サイクロプス隊の中で唯一腕が劣っていた……恐らく補充兵か何かだと思うが、そのパイロットが使っていたザクも、普通のザクと比べても明らかに性能は上だった。
その辺を考えれば、やはりサイクロプス隊が腕利きであるというのは否定のしようがないだろう。
ただ……問題なのは、今回の一件に関わっているのが、突撃機動軍……つまりキシリアだという事だ。
キシリアと言えば、目的の為に手段は選ばないことで有名なんだよな。
例えば、シーマに催涙ガスだと嘘を吐いてG2ガスという毒ガスを使わせてコロニーの住民を皆殺しにし、コロニー落としに使ったように。
勿論、コロニー落としを計画したのはギレンであり、ドズルも軍事の専門家としてコロニー落としについて知っていた以上、この件でキシリアだけを責める訳にはいかない。
だが……それでも、フラナガン機関の件にもキシリアは深く関わっていたという話だし、どうしても目的の為には手段を選ばないという印象が強い。
そうなると、最悪アレックスを連邦軍に届けさせない為には、リボーというコロニーを破壊するという選択肢に出るといったような、極端な手段に出ると言われても俺は驚かない。
いや、驚かないどころか、キシリアのやる事として納得すらしてしまうだろう。
「突撃機動軍が動いている以上、少しでも詳しい情報が欲しい。最悪の予想が当たった場合……連中、リボーに核を撃ち込むなんて事をやりかねないぞ」
「それは……」
俺と話していた男が、唖然とした表情を浮かべる。
いや、その男だけではない。部屋の中にいて俺と男の会話を聞いていた他の者達もまた同様に、こちらに視線を向けていた。
俺の口から出た言葉が、とてもではないが信じられないといったところだろう。
もっとも、その気持ちは分からないでもない。
コロニーに毒ガスというだけでも正気を疑われるのに、今度はそこに核兵器。
……とはいえ、ジオン軍が現在そこまで追い詰められてるというのは、間違いない事実なのだ。
最盛期は地球の半分以上を占領していたのが、今では地球から追い出され、更には地球の上空も奪い返され、そしてソロモンをも失った。
ジオン軍にしてみれば、今のこの状況は最悪でしかないだろう。
であれば、コロニーに核兵器……核ミサイルだろうが、それを撃ち込むなどといったような血迷ったような真似をしても、おかしくはない。
ただでさえ、ジオン軍……いや、ジオン公国は、ルナ・ジオンの建国によって多くの人材を奪われている。
それをどうにかする為の一発逆転の手段として、コロニーに核ミサイルを撃ち込むなどといったような真似をしても、おかしくはない。
実際にそのような真似をすれば、ジオン軍は全てのコロニーから敵対されてもおかしくはないのだが。
もっとも、1週間戦争の時に複数のコロニーを破壊しているのを考えれば、ジオン軍にとってはその程度、どうということもないというのが正直なところかもしれないが。
ともあれ、今のジオン軍ならそのくらいのことはやりかねないのは、間違いなかった。
ここにいる者達も、それが分かっているからこそ真剣な表情をしてるのだろう。
「ジオン軍に対する調査を最優先にします」
俺と話していた男が、真剣な表情でそう告げてくる。
現在の状況の切迫差が理解したのだろう。
ただ、問題なのは……どこまで時間的な余裕があるかという事だろう。
ジオン軍の中でも精鋭のサイクロプス隊が作戦を失敗した以上、ジオン軍が次の行動に出るまでに時間はそう多くはない。
というか、俺が操縦してみた感じではアレックスは既に完成している。
ぶっちゃけた話、アレックスで必要なのは最終調整くらいだろう。
そして最終調整は、別にリボーではなくソロモンでも行える。
……いや、リボーよりもソロモンの方が最終調整はやり易いだろう。
つまり、次の行動はすぐにでも行われてもおかしくはない。
それこそ、今日これからすぐにでも核ミサイルをリボーに撃ってきてもおかしくはないのだ。
「頼む。こっちも何かあったらすぐ対処出来るように準備をする。……問題なのは、MSをどうするべきかだよな。どこかMSがある場所を知らないか?」
一応といったように尋ねてみるが、当然のように首を横に振られる。
ここにいる者達は、潜入工作員とでも言うべき存在だ。
とはいえ、実際には破壊工作をする為の工作員ではなく、あくまでも情報収集をする為の工作員である以上、武器の類はない。
いや、正確には拳銃とかの武器は持っているだろうが、現在俺が欲しているようなMSは持っていないのだ。
フラナガン機関や高性能MSの開発とか、色々と無茶をやっているのを考えれば、MSの1機や2機を持ち込むような真似は出来そうな気がするんだが。
「そうか。となると……」
「一応自衛軍が持っているミドルMSというのがありますが……」
そう言ってくる男だが、さすがにミドルMSでMSに対抗するのは難しい。
混沌精霊としての実力を発揮すれば、ミドルMSでもどうにかなるのは間違いないが……出来れば、俺という存在については可能な限り隠しておきたい。
だからこそ、ミドルMSではなくしっかりとしたMSが必要な訳だ。
それも、ヅダのように一目で月のMSだと判断されないような、そんなMSが。
現状でそれらのMSを入手するとなると、やはり連邦軍かジオン軍から奪う必要がある。
そしてジオン軍……サイクロプス隊がどこに潜んでいるのかが分からず、更にジオン軍の本隊はリボーの外。
そうなると、やっぱり連邦軍か。
可能なら、アレックスを奪いたいところなんだが……
そう思うも、もしそんな真似をすればクリスが罰を受ける可能性が高い。
グレイファントムに搭載された後でなら、奪う事も出来るかもしれないが……それもまた難しい。
そうなると、いっそグレイファントムに侵入してジムスナイパーⅡや量産型ガンキャノンでも奪ってくるか?
最悪、空間倉庫の中にあるニーズヘッグは論外だが、ミロンガ改かサラマンダーでも使うか?
そう思うも、出来ればシャドウミラーの機体を使うのは避けたい。
サイクロプス隊がどこに潜んでいるのか分かれば、それもいいんだが。
出来ればケンプファーを奪えればな。
「取りあえずミドルMSは却下だな。後は……まぁ、最悪俺が所有している機体を使うから、気にしなくてもいい」
取りあえずそう言っておく。
具体的にどのようにしてMSを用意するのかは、まだ考えていないし、決まっていない。
それでも今の状況では何も出来ないと考えるようなことはなく……ここにいる面々に心配しないように、そう告げる。
本当にいざとなったら、何とか出来る手段があるからこそ、こういう風に言ったりも出来るのだろうが。
ともあれ、現在はMSを何とかする方法を考えないといけないな。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1190
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1617