ジオン軍がリボーの街中に出た?
一瞬冗談か何かかと思ったが、研究室に入ってきた研究者の様子を見る限りでは、冗談でも何でもなく、本気らしい。
だとすれば……一体何を考えジオン軍はそんな真似を?
いや、それこそ考えるまでもないか。
元々、このリボーで開発していたアレックスは、北極基地で開発されていたのが、ジオン軍に襲撃されてここに来たのだから。
ともあれ、ジオン軍にしてみればアレックスを完成させて連邦軍の戦力にする訳にはいかないのだろう。
アレックスが具体的にどのような機体なのかは俺にも分からないが、それでも連邦軍の新型MS……それもジムのような量産機ではなく高性能機ともなれば、そのMSがアムロに渡った時に一体どれだけジオン軍にとって脅威になるのかというのは、考えるまでもなく明らかだ。
「それで、敵のMSの数は何機だ?」
「4機だ。ゲルググが2機にザクが1機、それと見たことがないMSが1機の、合計4機」
「はぁ!? 何だってコロニーの中にMSが4機もいるんだよ! どこから入ってきた!?」
「俺が知るか! ただ、街中を移動してこの工場に向かっているのは間違いないんだ」
新型機? ザクやゲルググはともかく、ジオン軍には他にも新型機があったのか?
いやまぁ、別に俺もジオン軍のMS開発の全てを知ってる訳じゃないが。
だが、地球から追い出され、ソロモンを攻略され、残っているのはア・バオア・クーと本拠地たるサイド3だけ。
そんな状況で、新型MSを開発しているだけの余裕があるのか?
いや、別にそれが悪い訳じゃないが。
ジオン軍にしてみれば、今の状況から一発逆転を狙う方法ともなれば新型MSとかに期待するしかないのかもしれないし。
ただ……アレックスもそうだが、ジオン軍の新型MSも確保しておきたいのは間違いない。
問題なのは、どうするかだな。
「おい、クリス中尉を呼べ! 最悪、アレックスを動かす事になるかもしれないぞ!」
「クリス中尉を!? 今からか!? 確か、クリス中尉はもう家に帰った筈だろ? それを迎えにいくとなると……」
「それでも、やるんだよ! でないと、アレックスがジオン軍に奪われるぞ!」
さて、どうするべきか。
そう考えたが、今の俺に出来る事が1つある。
それこそ、アレックスの実物は無理でも、データは入手し、ジオン軍のMSも入手する事が出来るという手段が。
ただ……これはかなり無茶な代物だ。
それこそ、場合によっては後々問題になるかも……いや、かもじゃなくて、完全に問題になると思ってもいいような、そんな無茶な方法。
だが、それでも今はその無茶を押し通すことが出来るだけの状況ではある。
何よりも大きいのは、そんな無茶を押し通さないと、この施設にあるアレックスがジオン軍のMS隊に破壊されるなり……最悪、奪われるということだ。
アレックスのパイロットは、先程の兵士の話やこの研究者達の話を聞く限りではクリスらしい。
見回りをしていた兵士達はシューフィッターとか言ってたが……多分、それは何らかの隠語とかだったのだろう。
で、そのクリスは現在ここにいはいない。
……まぁ、夕方くらいにクリスがこの工場から帰るのを確認してるしな。
そして見た感じでは、他にMSのパイロットが出来る人材はいないのだろう。
これが普通の連邦軍の基地なら、MSパイロットの予備くらいはいてもおかしくはないのだが。
それがいないという辺り、秘密工場である事の弊害なのだろう。
もしくは偶然……本当に偶然、そういうパイロットがいなかったのか。
ともあれ、だからこそ俺が付け入る隙がある訳で……
政庁で使った時と同じく、20代の外見になり、仮面を被った状態で影のゲートから出る。
勿論、影のゲートから出たのが分からないように、柱の陰から出たように見せかけてだが。
「MSパイロットはいらないか? それも腕利きだぞ?」
『え!?』
突然掛けられた声に、部屋の中にいた研究者達は驚きの声を発する。
そして同時に、仮面を被って顔を隠している俺を見て、明らかに怪しんでいるような表情を浮かべた。
いやまぁ、その気持ちは分からないではない。
けど、顔を隠すという意味なら、このUC世界では有名なシャアだっているだろうに。
「誰……だ?」
「そうだな。取りあえずイザークとでも名乗っておくか」
「イザーク……? 聞いた事のない名前だ。知ってるか?」
俺に声を掛けてきた研究者が、戸惑ったようにそう言いながら部屋の中にいる同僚達に尋ねる。
だが、イザークという名前を知っている者は誰もいない。
イザークの名前はそれなりに使っている――それでもムウよりは少ないが――ので、もしかしたら知ってる奴がいるかもしれないと思ったんだが、どうやらそういう奴はいなかったらしい。
「で、どうする? ジオン軍のMSが攻めて来たのだろう? そしてMSパイロットのクリスはいない。そんな状況でこのまま放っておけば、それは多分……アレックスがジオン軍に奪われるか、破壊される事になるぞ?」
そう言いながら、実はまだアレックスが部品の状態だったらと、そんな風に考えてしまう。
もしそうだったら……そうだな。取りあえず部品が奪われないようにという名目で俺の空間倉庫に収納しておくといったような事をしてもいいんだが。
「そもそも、お前がジオン軍の工作員でないという証拠はあるのか!」
研究者の1人がそう叫ぶ。
だが……けど、そうだな。
今のこの状況……アレックスのパイロットたるクリスがいない状況で、ジオン軍のMS部隊がリボーの市街地に姿を現し、そのタイミングでMSを操縦出来るという俺が現れたんだから、タイミング的に考えて俺を怪しいと判断するのは当然だろう。
とはいえ、だからといって俺がジオン軍の軍人ではないことを証明するのも、また難しい。
実際に、俺は一時期ジオン軍の軍人をやっていたというのも、間違いない事実だしな。
「いや、ないな。だが……それなら、アレックスはどうするんだ? 今のままだと、間違いなくジオン軍に奪われる事になるぞ。それでもいいのか?」
「ぐっ、そ、それは……」
今、こうして悠長な問答をしている間も、ジオン軍のMS部隊はこの工場に向かって近付いてきているのは間違いのない事実なのだ。
研究者も、それを分かっているのだろう。
このまま何もせずに奪われるのなら……と、そんな方向に考えが傾いているのが、俺にも分かった。
もしこれで時間的な余裕が相応にあるのなら、俺の言葉に耳を貸すといった真似はしなかっただろう。
といか、時間的な余裕があるのならテストパイロットだろうクリスを呼んでくればいいだけなのだが。
しかし、今はそのような時間的な余裕は全くない。
だからこそ、研究者達は顔を見合わせ……
「その男を乗せてみよう」
研究者の中で一番年上の男、つまりこの研究室にいる中ではリーダー格と思われる男が、やがてそう告げる。
「本気ですか!?」
真っ先にその言葉に反対を口にしたのは、先程から俺を疑っていた男。
とはいえ、俺を乗せるのに反対であるのなら、他に何か案があるのかと言われれば、それもないようだったが。
ここに他のMSパイロットがいれば、俺に頼らなくてもよかったんだろうが。
もしくは、新型MSを開発しているという関係上、護衛のMSが用意されていてもいい。
だが、この工場が秘密工場である以上、そのような真似は出来なかったのだろう。
「勿論だ。考えてもみろ。こうまで露骨に怪しい男だぞ? 私としては、寧ろあまりに怪しすぎて、逆に怪しくないように思える」
「それは……まぁ……」
おい、そこで納得するのかよ。
思わずそう突っ込みそうになったが、何とかそれを堪える。
それで俺を怪しんでいる奴が俺を信用……とまではいかずとも、この場を任せるといったように考えを変えたのなら、それはそれでいいと、そう思ったからだ。
……けど、今の俺はそこまで怪しいか?
ぶっちゃけ、今の俺で怪しいところは頭に被っている仮面しかないんだが。
それ以外は普通の服装だし。
月の大魔王の異名に相応しいような、マントとかそういうのも身につけたりといったような事はしていない。
ましてや、混沌精霊としての姿になっている訳でもない。
なのに、ここまで怪しまれるのは正直どうかと思ってしまう。
「けど、別の問題もありますよ。あのクリス中尉ですら、アレックスの性能を十分に発揮出来てはいません。なのに、そんな……どれくらいの腕を持っているのかすら分からないイザークとやらに、アレックスを使いこなす事が出来るんですか?」
話を聞いていた別の研究者のその言葉に、他の研究者達がなるほどといったように納得する。
クリスは、この研究所の中でかなり信頼されているらしい。
士官学校首席卒業というのもあるし、人当たりのいい性格をしているというものあるんだろう。
だが……言ってみれば、クリスはMSパイロットという点において決して優れている訳ではない。
何故なら、MSを最初に開発したのはジオン軍で、連邦軍がそのMSの脅威を正確に理解したのはジオン軍の独立戦争が始まってからだ。
……まぁ、ヤザン達のようにMSパイロットとしての才能があると思われる者達を選抜してMSパイロットとして促成栽培した連中もいるので、必ずしも連邦軍が劣っているとは言えないのだが。
それでも、やはりMSパイロットという点で考えれば、連邦軍よりもジオン軍の方がどうしても質は上だ。
「その辺は実際に操縦しているのを確認して貰うしかないな。時間があれば、シミュレータとかで俺の実力を見せてもいいんだけど……その時間がないんだろ?」
「くそっ、分かったよ! けど、そこまで自信満々なんだ。これでアレックスを使いこなせないで敵にやられたなんて事になったら、どうなるか覚えておけよ! こっちだ、来い!」
そう言いながら、男は俺を研究所の外に案内しようとする。
そんな研究者の様子に、俺はこの場のリーダー格の、一番年上と思われる男に視線を向ける。
するとその男は短く……だが、はっきりと頷く。
取りあえず、これでこの場にいる研究者達の了解は得られたと思っていいだろう。
部屋を出て、廊下を走っている研究者の男に追いつく。
「それで、アレックスというのはどういうMSなんだ?」
そんな俺の疑問に、研究者の男は色々と言いたい事はあったようだがそれを口に出さず、アレックスについて説明する。
「アレックスはガンダムタイプのMSだ。主な特徴としては、マグネットコーティングによる機体の反応速度と、普通のMSとは違って全天周囲モニタとリニアシートが使われている。……どういうのか分かるか?」
「ああ」
そう頷きながらも少し驚く。
いや、全天周囲モニタに関してはガンダム7号機にも装備されているので、アレックスに使われていても納得は出来る。
だが、まさかつい最近アナハイムから発表されたばかりのリニアシートまで使われているというのは、俺にとってもかなりの驚きだった。
「……知ってるのか?」
俺がマグネットコーティングや全天周囲モニタ、リニアシートがどういったものなのかを知っているのに驚いた様子を見せる研究者の男。
まぁ、そのどれもがジオン軍では知られていない――あるいは知っていても技術者とか一部の者だろう――し、連邦軍でも最新鋭の技術である以上、知っている者は少数だ。
そんな技術を俺が知ってるというのは、向こうにとっても驚きだったのだろう。
「おわぁっ!」
廊下の向こう側から走ってきた連邦軍の兵士が、仮面を被った俺を見て驚きの声を上げる。
それでも即座に攻撃したりしなかったのは、俺と一緒に研究者の男がいたからだろう。
そんな兵士を無視しつつ、俺は次の話題に移る。
「武器は?」
「頭部バルカン、ビームサーベル、前腕部に装備されている90mmガトリング砲……はチョバムアーマーを装備しているから、今は使えないな」
「チョバムアーマー?」
「簡単に言えば、MSの増加装甲だ」
なるほど。FSWS計画の成果か。
それは、俺にとっても馴染み深い。
何しろ、俺のガンダム7号機もFSWS計画が前提のMSで、フルアーマーガンダム7号機、重装フルアーマーガンダムといったように名前が変わるくらいに、外見や性能も変わるのだから。
だが、研究者の男に詳しい――それでも簡単にだが――説明を聞かせて貰った限りでは、アレックスの増加装甲……チョバムアーマーというのは、先程の説明通り本当にただの鎧らしい。
ガンダム7号機のように、増加装甲にスラスターや武装が内蔵されているといったような事はないらしい。
この辺、ちょっと疑問だよな。
俺のガンダム7号機はFSWS計画ではアレックスよりも進んでいるが、コックピットはリニアシートを使ってる点でアレックスの方が進んでる。
この場合、どの性能を重要視しているのかといったところか。
「分かった。他に武器は?」
「アレックス用の新型ビームライフルとハイパーバズーカがあるが、コロニーの中では威力が強力すぎて使えない。それと……ああ、チョバムアーマーの素材を流用して作った盾があったな」
そんな説明を聞きながら、俺と研究者の男はアレックスが存在する格納庫に向かって走るのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1190
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1617