「うーん……やっぱりプールの後はアイスよね」
そう言いながら、クリスはソーダのアイスを口にする。
アルや他の子供達も同じようにアイスを美味そうに食べていた。
……コロニーの気温も、地球の本格的な冬程ではないにしろ、それなりに涼しくなっている。
そんな中でもこうしてアイスが美味いと感じるのは、プールの後だからだろう。
「結局俺とクリスは殆ど泳がなかったけどな」
「う……何よ、別にいいじゃない」
俺の言葉に、アイスを食べていたクリスが唇を尖らせてこっちを見てくる。
プールで俺が年下には思えないと言われた時にはどうしようかと思ったが、その件は取りあえずそういう事もあると誤魔化せた。
……実際、このUC世界においては子供でも本格的に働いたりしないと食っていけなかったりするので、子供でも大人っぽい性格をしている者は珍しくない。
カイの恋人のミハルとか、そんな感じだよな。
「俺は別にそこまで気にしないけど、クリスはいいのか?」
「……もしかして、太っているように見えた?」
恐る恐るといった様子で尋ねてくるクリスだったが、俺はそれに首を横に振る。
クリスはかなり鍛えられている身体をしており、女らしい優雅な曲線を描いている身体をしている。……胸の件はともかく。
そんなクリスだけに、アイスを1本や2本食べただけでどうこうなったりといったような事はまずないだろう。
とはいえ、女として体型が気になるのは当然か。
……実際、レモン達も結構食べるが、その食べた分はしっかりとエヴァとの訓練で発散したりしているし。
実際には俺と一緒の夜をすごすことで、エヴァとの訓練以上に体力を消耗しているんだが。
「いや、そういう風には見えなかったな。クリスらしい体型だった」
「私らしい体型って……一体、どういう意味よ? それって褒めてるの? 貶してるの?」
「どちらかと言えば、真実を口にしているといったところだな」
そう素直に告げると、クリスの視線が鋭くなる。
俺の視線がクリスの身体……特に胸に向けられているのを理解したからだろう。
「ねー、イチャつくのはその辺にしなってば」
「ちょっ、アル!? プールでも言ったけど、何でそういう事になるのよ!」
アルの言葉に、そう言い返すクリス。
何だかんだと、このやり取りはパターン化しそうな気がするな。
「それより、これからどうする?」
「サッカーの約束してるから、もう行くよ」
「あ、もうこんな時間だ!」
アルの言葉に、その友達が近くにあった時計を見てそんな風に叫ぶ。
プールで遊んだ後で、サッカーか。元気一杯だな。
ちなみに今の時間は午後4時前といったところ。
プールで遊んでいたのは、大体2時間から3時間といったところか。
「じゃあ、この辺で解散にするか」
「そうね。私もこれからプログラムの確認をしたいし」
「……プログラム?」
「あ、いや。何でもないわ」
プログラムという言葉を誤魔化すように、そう叫ぶ。
何だ? 今の様子を見てみると、クリスが何らかのプログラム作業に関わっているという事は明らかだったが、別に隠す必要はないと思う。
だとすれば、そこには隠すべき何らかの理由があるという事になる。
だが、その理由は何だ?
普通に考えられるとすれば、連邦軍にとって表沙汰に出来ない事だろう。
この状況で表沙汰に出来ない……もしかしてMS開発か?
勿論他にも色々と考えられる可能性はあるが、一番可能性が高いのはやはりMS開発だろう。
それに、このサイド6は表向き中立となってはいるが、実際には連邦軍の影響力は非常に高い。
また、フラナガン機関の研究所の一件を思えば分かるが、ジオン公国側でも色々とちょっかいを掛けている。
その辺りの事情を考えた場合、ここで連邦軍がMS開発をやっていてもおかしくはない。
……サイド7はジオン軍に襲われたし、ルナツーはルナ・ジオン軍に占拠された。
だとすれば、それ以外の開発場所を連邦軍が欲するのは当然で、その場所として選ばれたのが、このサイド6のリボーだった。
そんな可能性は十分にないか?
とはいえ……今のこの状況でクリスに馬鹿正直に『ここで新型MSを開発してるのか?』といったようなことを聞く訳にいかないのも事実だ。
もしそんな事を聞いたとしても、クリスの性格を思えば絶対にその情報を漏らすような真似はしないだろうし。
さて、だとすればどうするか。
連邦軍がここで開発したという、MS。
それに興味がないと言えば嘘になる。
何だかんだと、重装フルアーマーガンダムのようなMSを見れば分かる通り、連邦軍のMS開発技術はかなり高いのだから。
そうである以上、可能ならその機体を……それが無理でも、機体情報は入手したいところだ。
そうだな。出来れば接触しないようにと考えていたが、この情報は結構大きい。
ルナ・ジオンから潜入している諜報要員……いわゆるスパイと接触すれば、その辺りの情報についても入手出来るのは間違いない。
「そうか。っと、悪い。アル達の件で思い出したけど、俺もこの後は用事があった。クリスも何か用事があるみたいだし、ここで解散にしないか?」
「ええ、そうしてくれると助かるわ。じゃあ、またね」
そう言い、クリスと別れる。
さて、クリスはこれから一体何をするんだろうな。
プログラム云々という話は聞いていたが、果たしてそれが真実かどうか。
もしくは、プログラムとは全く違う何かの仕事をするのか。
ともあれ、俺は俺がやるべきことをやるだけだ。
取りあえず建物の陰に入り、そこから影のゲートを使って移動する。
例え俺を監視カメラの類で偵察していたとしても、影のゲートを使えば俺を追い続ける事は不可能だ。
そんな訳で次の瞬間俺が姿を現したのは、とある建物の中。
「うわぁっ!」
その建物……それなりにコンピュータの類がある部屋の中にいた俺を見つけて、1人の男が驚きの声を上げる。
そして声が響いた瞬間、他にいた者達もすぐに反応する。
それぞれ拳銃を取り出し、その銃口をこちらに向けたのだ。
この反応はUC世界の人間としては、悪くないな。
「落ち着け、俺だ」
俺のその言葉に、部屋の中にいた面々……5人程の男女が動きを止める。
ちなみに部屋の大きさは12畳くらいの、それなりに広い部屋だ。
……もっとも、その広い部屋にも多くのコンピュータを始めとした機器が置かれているので、12畳という広さの割には動ける場所はそう多くはないのだ。
「アクセル……代表?」
最初に俺を見て驚きの声を出した男が、こちらを見てそんな風に声を上げてくる。
そしてその男の言葉を聞くと、他の者達も驚きながら拳銃の銃口を下ろす。
ルナ・ジオン軍の諜報員……情報部の者であれば、当然のように俺の事は知っていて当然だった。
「ああ。欲しい情報があってちょっと寄らせて貰った。俺がサイド6に来てるってのは、既に知ってたんだろ?」
昨日は結局、裏道にある身分証の類がいらないビジネスホテルに泊まったので、ここに顔を出すような事はしなかった。
だが、それでもこの場所にいる者達は当然のように俺がこのリボーに来ていたというのは知っていた筈だ。
そうである以上、俺がここに来てもそこまで驚く必要はないと思うんだが。
「え、ええ。その、知ってましたけど……まさか、魔法を使ってここに来るとは思わなかったので」
「俺が来てるのを、連邦軍やサイド6の人間が知っていれば当然のようにこっちの行動を向こうも調べていた筈だ。それを考えれば、普通にここに来る訳にはいかなかったのは分かるだろう?」
「それは……はい」
男が頷くと、それによって他の者達も次第に落ち着いてきたらしい。
皆が落ち着いていたのを見て、俺は改めて話す。
「さて、それで俺がここに来た理由だが……」
「欲しい情報があると、そう言ってましたね」
「そうだ。色々とあるが……まずは、昨日サイド6の近辺で起きた戦闘についてだ」
「ジオン軍と連邦軍の戦いですね。こちらの分析では、ジオン軍が意図的に連邦軍に見つかるようにして動いたというようになっています」
俺と話していたのとは別の女が、男の言葉を引き継ぐように口を開く。
「まだ確証はありませんが、恐らく陽動という可能性が高いかと」
「陽動? ジオン軍がか?」
「はい」
自分の分析に自信があるのか、尋ねる俺の言葉に女は一瞬の躊躇もなくそう答える。
陽動か。
この場合、もし陽動をするのであれば、連邦軍の方が可能性は高いと思っていた。
俺が元々リボーに潜伏している諜報員に接したのは、クリスの行動に何らかの裏……こう表現すると、クリスが何かを企んでいるように思えてしまうな。
正確にはクリスは連邦軍から何らかの秘密の任務……それも恐らくはMS開発に関係しているのではないかと、そう思って何らかの情報を求めてここに来たのだ。
だとすると、俺が欲しい情報はないのか?
いや、それとも昨日の戦闘はクリスのMSとは関係がなかったのか。
その辺の理由は分からなかったが、こうなると俺の欲しい情報がここにあるのかどうかというのも、問題になってくる。
「これは確証らしい確証はなくて、あくまでも状況証拠……それも本来なら状況証拠と呼ぶのも疑わしいようなのに、俺の勘から話なんだが……このサイド6で、連邦軍によるMS開発が極秘裏に行われているという可能性はないか?」
「そういう噂はありますが、残念ながら正確な情報は……」
首を横に振る女。
だが、そういう情報があるという事は、可能性はまだ十分にあるという事だろう。
火のない所に煙は立たないと言われるし。
「俺が今日会っていた連邦軍の兵士だが、何らかの秘密の任務に従事している様子が窺える。それもプログラムとか口にしていたのを思えば……」
「MS開発ですか」
「恐らくはな。そして現状において連邦軍が開発しているMSとなると、それは間違いなく高性能MSの筈だ。まさか、この時点において量産型MSを開発しているとは思えないし」
勿論、ジムは結構なバリエーションがあるので、その辺りの関係で新しい量産型MSを開発しているという可能性は決して否定出来ない。
だが、量産型MSと高性能MSのどちらを開発するのかと言えば、今の状況では高性能型MSの方がいいだろう。
何しろ、今更量産型MSを開発したとしても、それが量産されるのはいつになるかという事になる。
ジオン軍のゲルググを見れば、MSの量産がどれだけ難しいのかは分かるだろう。
性能的にはガンダム……サイド7で開発されていたガンダムよりも上だが、それが本格的に量産され始めたのはつい最近だ。
当然のようにジオン軍の国力では必死に量産してもリックドムを始めとした他の量産型MSと完全に置き換えるのは難しい訳で。
勿論、連邦軍の国力はジオン公国よりも圧倒的に上だ。
だが、それでもMSを量産するとなると、その生産ラインから用意する必要がある。
……ジムをベースにしたMSなら、ジムの生産ラインを流用出来たりする可能性は十分にあるかもしれないが。
「そうなると、サイド6は連邦軍に明確に肩入れしている事になりますが……いえ、それは今更ですね。元々サイド6の中立というのは、表向きだけのものでしたし」
「ジオン軍のフラナガン機関の研究所の件もあるしな」
スパイ達がそれぞれに言葉を交わす。
「ともあれ、MSを開発しているのはほぼ確定事項と思ってもいい。それで、出来ればその連邦軍のMSを貰いたい」
「貰いたいって……今、ルナ・ジオンは連邦軍と協力してるんですよね? だとすれば、そんな真似をすれば……」
そう心配されるが、その辺の問題は確かにどうするか悩みどころだ。
「そうなると、MSの実機じゃなくてデータだけを抜き取ってくるか? それでも十分な価値はあるだろうし」
ハッキングツールは技術班謹製の物がある。
だが、問題なのはコンピュータにデータを残しているかだな。
ルリとラピスのおかげで、ルナ・ジオンが……いや、シャドウミラーが非常に高いハッキング能力を持っているというのはこの世界の住人達は知っている。
それが知られた当初は徹底的に情報を隠し、それこそコンピュータではなく紙の資料として残すといった真似すらしていた。
だが、連邦軍、ジオン軍双方共に、この時代にアナログな方法だけでどうにかするというのは非常に難しく、最初は盗まれても構わないデータをコンピュータに保存していた。
それが無事だったおかげで、再びコンピュータが使われるようになっていったのだが……それでも、秘密裏に開発しているMSともなれば、そのデータをアナログで保存している可能性もある。
クリスがプログラムうんぬんといった話をしていたのを思えば、全くコンピュータを使っていない訳ではなかったのだろうが。
ともあれ、今はどうにかして連邦軍の新型MSについて調べることが必要なのは間違いなかった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1190
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1617