転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2598話

 俺がヤンマのブリッジに到着してそう時間が経たないうちに、ソロモンの占領は完了した。

 考えてみれば、俺がヤンマに戻る前から既にソロモンの部隊の多くは撤退していたのだから、このタイミングでソロモンの占領が完了するのはおかしな話ではない。

 最後の最後で真紅の稲妻のいる部隊によって連邦軍が計算外の被害を受けたりもしていたが、ともあれチェンバロ作戦そのものは無事に終わったと思ってもいい。

 そんな訳で、現在ヤンマはサラブレッドやホワイトベースと共に、ソロモンに向かっていた。

 ……ただ、今のソロモンも絶対に安全といった訳じゃないんだよな。

 ソロモンは資源採掘用の小惑星を改良して出来た軍事基地だ。

 当然のように、その中はそう簡単に連邦軍が全てを知る事は出来ない。

 中には逃げ遅れた者が隠れていたりもするし、場合によってはソロモンの中でゲリラ戦を仕掛けようとするような奴がいてもおかしくはない。

 本当の意味でソロモンを完全に占拠するには、結構な時間が必要となるだろう。

 それでも俺達がソロモンに向かっているのは、次の作戦……ア・バオア・クーの攻略作戦について相談する為だ。

 ソーラ・システムはソロモンの部隊によって大きな被害を受けたらしいし、そう考えれば何らかの新しい攻撃手段は必要となる。

 一応似たような兵器となると、月の周辺に結構あったりするんだが……あれはあくまでも月の守りを重視したものだしな。

 一応ルナ・ジオン軍として協力はしているが、そこまで協力する気はない。

 というか、月を守っている機動要塞って、実は所有権はあくまでもシャドウミラーのもので、ルナ・ジオンはそれを借りてるだけだったりする。

 

「アクセル代表、ソロモンに到着しました」

「分かった。中に入ってくれ。……ただし、連邦軍の軍人がヤンマに侵入しようとしたりしたら、最初は忠告して、それでも駄目ならコバッタで対処を頼む」

「了解しました」

 

 ヤンマは異世界の軍艦だ。

 チェンバロ作戦においては、ミサイルとかレールガンの類でしか攻撃しておらず、重力波砲は使っていなかった。

 だが、それでも連邦軍にとっては異世界の軍艦というだけで興味深いだろう。

 だからこそ、何か妙な事を考えて軍艦に侵入し、何らかの技術を盗もうと考える者がいたとしてもおかしくはない。

 勿論、それを許す気は全くないが。

 

「後は……ガトーとノリスはどうしている?」

 

 チェンバロ作戦において、ガトーとノリス……特にガトーは獅子奮迅の活躍をした。

 それこそ、ガトーは今回の戦いで異名持ちになってもおかしくはないと思う程に。

 ……ちなみにノリスの方はガトーのフォローに回っていたので、そこまで活躍をしたといったように認識はされていないが。

 ただ、当然の話だがそこまで頑張れば、体力の消耗も多い。

 MSの操縦というのは、傍目から見ればそこまで体力を消耗するようには思えないが、実際にはかなり体力を消耗する。

 それこそ、ヤンマに戻ってきた時は何とか自分の足で立つ事は出来ていたが、今は医務室か自分の部屋で休んでいる筈だ。

 

「自室で眠っています」

「そうか。……なら、まだ起こす必要はないな。マツナガの方は?」

「こちらも部屋で待機しています。コバッタに色々と質問をしているようです」

「……コバッタに?」

 

 コバッタはこちらの言葉を認識は出来る。

 だが、発声器官の類はない以上、質問をされてもそれに答えるといったようなことは出来ない。

 そんな状況で、一体どのような事を質問してるんだ?

 そう思わないでもなかったが、映像モニタに表示すると納得する。

 コバッタは確かに発声器官の類はないが、それでも頷いたり首を横に振ったりといったような真似は出来る。

 それを考えれば、コバッタと意思疎通をする事は可能な訳だ。

 勿論、しっかりとコバッタの意思を確認出来る訳ではない。

 それでもマツナガが色々と知る事は出来るのだろう。

 ……もっとも、コバッタからの情報でこっちを完全に信用するといった風には出来ないが。

 

「なるほど。取りあえずマツナガの件はこのままでいい。この場合問題なのは、連邦軍がどう反応してくるか、だな」

 

 俺がマツナガの白いゲルググ……四肢を失ったそれをヤンマに持ち帰ってきているのは、当然のように連邦軍にも知られている。

 であれば、連邦軍としてもマツナガの身柄を欲してもおかしくはない。

 ……マツナガは白狼という異名持ちという点が大きいが、今回はドズルの側近中の側近といったような立場である以上、少しでも多くの情報を得る為には手段を選ばないだろう。

 そんな連中にしてみれば、マツナガという人物は大きな意味を持つ。

 それに従うつもりはないけどな。

 

「アクセル代表、シーマ・ガラハウから連絡が入っています」

「シーマから? 繋げ」

 

 シーマがわざわざ連絡をしてきたという事は……何か問題が起きたのか? それとも、頼んでいたビグ・ザムについてのデータを入手したのか。

 特にビーム兵器を防ぐあのバリアについては、是非データを入手しておきたい。

 

『アクセル、中に入った連中からの報告だと、現在連邦軍と睨み合ってるらしいけど、どうする?』

「……は?」

 

 シーマの口から出て来たのは、少しばかり……いや、かなりの意味で予想外の言葉だった。

 

「一体、何がどうなってそうなった?」

『取りあえず、ソロモンの中にあった技術データが入っているコンピュータの確保には成功したんだけど、そこに連邦軍の連中がやって来て上前をはねようとしてるのさ』

「あー……なるほど」

 

 シーマの説明で納得出来た。

 俺達がビグ・ザムのビームを防ぐバリアや大口径のメガ粒子砲に興味を抱いたのと同時に、連邦軍もまた同じようなデータに興味を抱いたのだろう。

 ましてや、撃破したビグ・ザムの機体は俺に奪われてしまっている以上、可能な限りソロモンでビグ・ザムのデータを欲していてもおかしくはない。

 何しろ、連邦軍にとってビーム兵器というのは非常に大きな意味を持つ。

 今でこそ、ゲルググによってビームライフルを使われているが、ビーム兵器を手持ちとして使うビームライフルとして開発したのは、連邦軍が先だ。

 MSの開発技術ではジオン軍に劣っていた連邦軍にとって、ビームライフルは数少ない技術的に勝っているところだったのだ。

 ……正直な話、ルナ・チタニウム製の装甲だったり、教育型コンピュータだったりと、他にも勝っているところは多いと思うんだが。

 それでも、多くの者にとってはジオン軍の方がMS技術は進んでいるという認識なのだろう。

 そんな中で、ビーム兵器を無効化するような技術をジオン軍が持っていると知り、それをどうにかしないといけないと、そう判断したとしてもおかしな話ではない。

 だからこそ、ソロモンにあるデータを何とか入手しようとし……そこでルナ・ジオン軍が既に確保していたという事を知り、対立しているのだろう。

 さて、これはどう対処したものか。

 絶対にデータを渡すなと言うのは簡単だ。

 だが、ぶっちゃけたところ、もしここでデータを渡さなくても、いずれそう遠くないうちに、連邦軍もあのバリアについての情報を得るだろう。

 であれば、ここは一歩譲るか?

 勿論、それは向こうに全てのデータを渡すという訳ではない。

 

「シーマ、連邦軍にデータのコピーを取らせるというのを提案しろ。向こうがデータを欲しているのなら、それで大人しく退く筈だ」

『……連邦軍に、わざわざデータを渡すのかい?』

 

 少しだけ不満そうな様子のシーマ。

 シーマにしてみれば、折角自分達で得たデータなのに、それを他人に渡すというのが不満なのだろう。

 だが、今の状況を考えれば、その選択はそう間違ったものではない。

 

「ビームを防ぐバリアだ。当然のように、そのデータはソロモンにあるだけではなく、ア・バオア・クーや……本国にもあるだろう。それを考えれば、結局連邦軍がそれを入手するのは間違いない。なら、ここで渡しておいた方が恩を売れる」

『そう言われるとそうかもしれないけど、その短い時間はあたし達にとって有利じゃないのかい?』

「有利かどうかと言われれば有利かもしれないけど、それよりもここで連邦軍に恩を売っておいた方がいい。……ああ、ちなみに現在海兵隊と向き合っている連邦軍の軍人の名前は聞いておいてくれ。後でレビルやゴップと話した時に、その辺りも重要になるだろうしな」

 

 こちらがルナ・ジオン軍だと知った上で、敵対しようとする人物だ。

 上からの命令についてはほぼ無視している。

 とはいえ、その軍人が問題なのはではなく、その軍人の上……もしくは、その更に上の相手が月に対して面白くないと思っているのかもしれないが。

 

『……分かったよ』

 

 数秒後、シーマは本当に渋々といった様子でそう告げる。

 シーマにしては、自分を無理矢理納得させたといったところなのだろう。

 

「頼む。……ただし、連邦軍の方から手を出してきたら、それに反撃をするのは構わない。月に敵対したという事が何を意味するのか……それをしっかりと教えてやれ」

 

 そう言うと、シーマはやがて満足そうに笑って通信が切れる。

 連邦軍に譲るというのは面白くなかったのだろうが、それでも向こうが攻撃をしてきたら反撃をしてもいいと許可をしたのが大きかったのだろう。

 とはいえ、実際に連邦軍にしてみればこちらに対する敵意を抱く者は少なからずいる。

 強硬派の生き残りが、その最たる例だろう。

 

「さて、じゃあレビルに通信を繋いでくれ」

「了解」

 

 量産型Wがそう言い、連邦軍に通信を繋げる。

 とはいえ、今のレビルはかなり忙しいのは間違いない。

 ソロモンの占拠が完了したのだから、あらゆる場所からの報告を受け取っている筈だ。

 だが……俺からの通信と部下からの通信では、当然のように重要度が違う訳で……

 

『アクセル代表、どうかしたのかね?』

 

 数分待つと、ヤンマの映像モニタにレビルの顔が映し出される。

 恐らくは既にソロモン内の司令室かどこかにいるのだろう。

 周囲には大勢の者がいるのが分かるし、部下に指示を出す声も聞こえてくる。

 どうやら、向こうにとっては本当に忙しいらしい。

 

「そっちも忙しいようだから、単刀直入に用件を口にするぞ。ソロモンにおいて、ルナ・ジオン軍が確保した場所に連邦軍がやって来て、そこにある情報を寄越せと要求しているらしい」

 

 ヒクリ、と。レビルの髭に覆われた顔がヒクつくのが分かる。

 予想通りではあったが、レビルにとっても今回の一件は予想外だったのだろう。

 そうなると、現場の指揮官が勝手に判断したのか、それとも中間管理職が勝手に判断したのか。

 その辺りの事情は分からないが、とにかく連邦軍がそのような態度をとった以上、連邦軍のトップにいるレビルが責任を負わなければならないのは間違いない。

 レビルもそれを理解しているからこそ、頬をヒクつかせたのだろう。

 

『それは……すぐに調べよう』

「ああ、そうしてくれ。後で誰がやったのかという情報は送るよ。下手をすれば、ソロモンで連邦軍と月の戦いが起きないとも限らないから、なるべく早く対処をしてくれると助かる」

 

 その言葉に、レビルは頷く。

 そしてまた何かを言おうとし……だが、画面の向こうでレビルの名前を呼ぶ声が聞こえてくる。

 レビルにしてみれば、そちらにも対処せざるをえない。

 ここでゆっくりすれば、それだけア・バオア・クーの攻略作戦の発動が遅れるという事になるのだから。

 

『すまないが、この辺で失礼させて貰う。今回の件はしっかりと調べておくから、安心して欲しい』

「そうだな。安心させて欲しいというのが、正直なところだ。それで、月が使ってもいい区画はどこだ?」

 

 ルナ・ジオン軍関係がそれぞれ別個にソロモンにいるよりは、どこか一ヶ所に固まっていた方がいい。

 これは連邦軍にとっても便利なのは間違いなかった。

 ルナ・ジオン軍に用意があるのなら、その区画に来ればいいだけなのだから。

 また、ルナ・ジオン軍としてもその方が便利なのは事実だ。

 今回の一件のように、連邦軍が妙な真似をしてきた時に対処しやすい。

 連邦軍にしてみれば、ルナ・ジオン軍は目の上のたんこぶのような存在だ。

 少なくても、そう思っている者がいるのは間違いない。

 であれば、向こうで何かが起こった場合に対処しやすくなるというのは間違いない。

 レビルも俺の言いたい事は理解しているだろう。

 であれば、俺との意見を合わせるのも全く問題はない……といったところか。

 事実、レビルは俺からの疑問に対してすぐに特定の場所を指示してくる。

 ソロモンの中でも決して広いとはいえない場所だったが、ルナ・ジオン軍が使う宇宙港と考えれば、何の問題もない場所だ。

 それを最後に通信を切り、俺は量産型Wに指示された宇宙港に行くように命令するのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1190
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1617

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