転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2587話

 大規模な模擬戦を終えた翌日……いよいよ、チェンバロ作戦が開始される。

 ソロモンの攻略がなれば、ジオンの独立戦争も間違いなく終盤に向かう。

 だが、もしチェンバロ作戦が失敗すれば、ジオンの独立戦争はまだ暫く続く事になる。

 幾ら地球からジオン軍を追い出したとはいえ、それはあくまでも地球での話だ。

 宇宙ともなれば、そこはジオン軍の拠点と言ってもいい。

 そうである以上、決して楽な戦いにならない筈だ。

 とはいえ、俺が……そして月からもチェンバロ作戦に参加する以上、当然のように作戦は絶対に成功させるという思いを抱いての戦いとなるが。

 そんな風に考えていると、やがて重装フルアーマーガンダムのコックピットに通信が入ってくる。

 

『アクセル代表、今回の件……感謝しています』

 

 そう言い、頭を下げてきたのはガトー。

 ガトーにしてみれば、このチェンバロ作戦で名前を上げるというのが、アイナと結婚する絶対条件の1つとなっている。

 それだけに、俺がセイラと掛け合って用意されたこの作戦に参加出来る事に感謝しているのだろう。

 

「結局月から追加で援軍が来たのを考えると、もしかしたら俺がいなくてもチェンバロ作戦に参加していた可能性はあるけどな」

『それはないでしょう。あくまでも月から援軍が来たのは、アクセル代表が頑張っているからでしょうし』

 

 そう告げるガトーの言葉には、素直に頷いてもいいものかどうか微妙だ。

 とはいえ、サラブレッド隊に合流した経験は決して意味がない訳ではない。

 実際に間近で動いているガンダム4号機と5号機の動きを自分の目で直接見る事が出来たというのは大きい。

 ……ジャブローでは、結局シミュレータを使った模擬戦しか出来なかったしな。

 それを思えば、今回の一件は利益が多い。

 代わりに、重装フルアーマーガンダムを間近で見られたり、シミュレータにデータを入れた事によって、そこからディアナが実際にどんな調整をしたのかといったのを知られたり、高機動型ギャンの戦闘映像からデータを推測されたり……あれ? 実は結構マイナスの方が多かったりするのか?

 いや、重装フルアーマーガンダムの件は元々開発が連邦軍である以上、調整の癖とか傾向とかが多少知られたところで、特に問題はない筈だ。

 高機動型ギャンも、これはあくまでもギャンという機体について知る為、ディアナの面々が試作してみたといった程度の内容でしかない。

 であれば、高機動型ギャンの映像データから性能について類推されても、ルナ・ジオン軍としては特に困らない。

 総合的に見た場合、今回のサラブレッド隊に対する派遣は若干プラスといったところか?

 その辺の事情を考えると、やはり今回の一件はやっておいてよかったと、そう思っておきたい。

 

『アクセル代表、サラブレッドのキルスティン艦長から通信です』

 

 ガトーの代わりに量産型Wが映像モニタに映り、そう言ってくる。

 キルスティンが? もう少しでチェンバロ作戦が開始されるって時間に何だ?

 何か妙な事でも起こったんじゃないだろうな。

 そんな思いを感じつつ、量産型Wに頷く。

 それだけで俺の言葉を理解した量産型Wは、サラブレッドとの通信を繋げる。

 

『アクセル殿、このような時にすみませんな』

「構わない。けど、こんな時に連絡してきたって事は……何かあったのか?」

『いえ。ただ、お礼をと思いまして』

「……お礼?」

 

 キルスティンの言葉は、俺にとってもかなり予想外なものだった。

 それこそ、こんな時に何故と思うくらいには。

 今はチェンバロ作戦開始前ということで、忙しいだろうに。

 

『はい。アクセル殿のおかげで、サラブレッド隊の状況は以前と比べてかなりよくなりました。MSパイロットの慢心も潰してくれたので、心配は少なくなりましたし』

 

 特定の誰かの名前を出した訳でもないキルスティンだったが、それが誰の事を示しているのかというのは、容易に理解出来た。

 サラブレッドの中でそこまで慢心というか、自信過剰だったのは、フォルドしかいないのだから。

 ……もっとも、そのフォルドもそこまで完全に矯正されたかと言われると、その答えは否なのだが。

 以前よりは問題がなくなったし、アムロを含めてホワイトベースのMS隊との模擬戦でかなり負けを重ねたみたいだったが、それでも完全にどうにかなったという訳ではない。

 これは元々のフォルドの性格というのもあるが、それ以外にもやはりシミュレータを使った模擬戦だからというのもあるのだろう。

 一応実機での模擬戦という事であれば、ガトーやノリスと模擬戦を行って負けてもいるのだが。

 

「そう言ってくれると、俺も嬉しいよ。フォルドの性格はともかく、その技量は間違いなく一級品なんだし」

 

 これは間違いのない事実だ。

 フォルドの技量は、連邦軍の中でもトップクラスの1人であるというのは、間違いない。

 でなければ、そもそもガンダムのセカンドロットのパイロットに選ばれたりといったようなことは、まずないのだから。

 これで性格がルースみたいに落ち着けば、頼れるパイロットって事になるんだけどな。

 

『それでは、そろそろ作戦が始まりますので、この辺で失礼します。……ありがとうございました』

 

 そう言い、キルスティンからの通信が切れる。

 本当に、俺に感謝の言葉を口にしたかっただけなのか?

 だとすれば、随分と几帳面だな。

 感謝された方にしてみれば、そんなに悪い気分でないのは、間違いないが。

 ともあれ、キルスティンからの通信が完了して、チェンバロ作戦開始の時間は刻々と迫ってくる。

 多分、本隊ではレビルの演説とかがされていて、チェンバロ作戦に参加する連中の士気を高めているんだろうが、ソロモンの注意をこちらに向けて戦力を少しでも削るといった役目を受けている為に、サラブレッド隊にはレビルの通信の類は聞こえてこない。

 そう言えば、月からやって来た援軍とも連絡は取れてないけど、一体どうしてるんだろうな。

 送られてきたのは基本的に腕利きの筈なので、ソロモンにいるジオン軍にやられると言ったような心配はあまりないが。

 それでも、やはり心配かどうかと言われれば、心配と答えてしまう。

 そして……

 

『時間になりました。作戦開始です』

 

 艦長をしている量産型Wから、そんな通信が入ってくる。

 

「分かった。俺から射出してくれ。……ガトー、ノリス、準備はいいな?」

 

 一応といった様子で2人に通信を送ると、こちらも当然といった様子で言葉が返ってくる。

 

『問題ありません。私は、この時を待っていたのですから』

『サハリン家の名前を高める絶好の機会ですからな。ここで手を抜くような真似はしませんとも』

 

 どうやら2人揃ってやる気に満ちているらしい。

 その気持ちは分からないでもないが。

 ガトーはこのチェンバロ作戦によってアイナと結婚出来るかどうかが決まる。

 ノリスは自分が忠誠を誓っているサハリン家の名前を高める為に。

 ……ノリスはともかく、ガトーは元宇宙攻撃軍であった以上、ソロモンにいるのはかつての仲間なんだが。

 いや、ガトーの性格を考えれば、ジオン軍の汚さを何度も見てきた以上、友好的になれという方が無理か。

 それ以外にも、ルナ・ジオンと共に生きると判断したのも大きい。

 

「よし。重装フルアーマーガンダム、アクセル、出るぞ!」

 

 その言葉と共に、俺はヤンマから出撃する。

 そして俺の後に続き、2機の高機動型ギャンが。

 また、サラブレッドからはガンダム4号機、5号機、ガンキャノン隊。

 ホワイトベースからは、ガンダム、ブルーデスティニー3号機、ガンキャノン、それ以外にも様々なMSが。

 ちなみにガンタンクは宇宙で動くのが不可能……という訳ではないが、決して得意な訳ではないので、ホワイトベースの甲板に待機して砲座代わりになるらしい。

 そして俺達の作戦行動が本格的に行われたという事は、当然のようにソロモンでもこちらの動きを察知している筈だ。

 ソロモンの注意を惹く為には、当然のようにこちらの戦力を見つけさせる必要がある。

 その為、行動を始めてから最初の数分はミノフスキー粒子を散布しないようにしていると聞いていた。

 そうである以上、ソロモンもこちらに存在する3隻の軍艦については察知している筈だ。

 もっとも、俺達以外に陽動を任されている部隊も同じく行動を始めている筈なので、そちらの対処も必要だろうが。

 特にルナ・ジオン軍から派遣されてきた面々を発見したジオン軍がどう反応するか、正直なところ結構興味があったりする。

 宇宙攻撃軍の面々にしてみれば、ジオン軍出身で現在はルナ・ジオン軍に所属している相手というのは、それこそ裏切り者以外の何物でもない。

 当然真っ先に倒しに行きたいと思っても、おかしくはない。

 まぁ、ともあれ……俺としては、出来る限りソロモンの戦力はこっちに来て欲しいという思いがあったのは、間違いないが。

 そもそも、ガトーやノリスが自分の目的でチェンバロ作戦に参加したように、俺もまた重装フルアーマーガンダムの実戦テストという目的でこの戦いに参加している。

 そういう意味では、出来るだけ多くの戦力がこっちに回ってきて欲しいところだ。

 何しろ、この部隊の戦力は極めて強力だ。

 ガンダムが5機もおり、それ以外にも多数の戦力がいるこの状況では、5機や10機のMSが来たところで瞬殺されるのがおちだろう。

 また、敵が多くこちらに来るというのは、ソロモンがこちらを重要視しているという事を意味してもいる。

 そんな状況である以上、出来るだけこちらに戦力が来て欲しいのだが……暫くソロモンからの反応はない。

 

『何だか、こうしてただ待ちぼうけしてるのって、馬鹿らしくないか?』

 

 フィリップがオープンチャンネルでそう言ってくる。

 本気で馬鹿らしいと思っている訳ではなく、この待っている時間に緊張しないようにといった気遣いからの言葉だろう。……もっとも、フィリップの性格を考えれば本気でそんな事を言ってる可能性も否定は出来ないのだが。

 

『その気持ちも分かるけど、今は待つしかないだろ。問題なのは、どれだけの敵がこっちにくるかだよな』

 

 その言葉に驚いたのは、きっと俺だけではないだろう。

 いや、恐らくルースが一番驚いた筈だ。

 何しろ、今の言葉を口にしたのはフォルドなのだから。

 今までのフォルドの性格を考えれば、普通ならとてもではないが出て来ない言葉だ。

 ……ルースが面倒を見てきた成果か、それともホワイトベース隊の面々と接したおかげか。

 その辺りの理由は分からなかったが、フォルドが多少なりとも慎重になったというのは、悪い話ではない。

 そう思いながら、雑談を続けていると……

 

『敵、接近してきます。ミノフスキー粒子、散布されました!』

 

 サラブレッドからそんな通信が入る。

 同時に、メガ粒子砲が宇宙空間の向こう側から何発も発射されてきた。

 

『うわぁっ!』

「落ち着け。これは牽制の一撃だ。下手に動かなければ、命中することはない」

 

 聞こえてきた誰かの悲鳴にそう告げたが、実際には本当にそうなのかというのは、正直運次第だろう。

 牽制として撃っていても、メガ粒子砲はメガ粒子砲だ。

 そうである以上、命中すれば当然のようにMSは破壊されてしまう。

 だからこそ、牽制の意味もあって撃たれる方にしてみれば怖いのだが……当然、牽制射撃というのは向こうだけが行える訳ではない。

 ホワイトベースとサラブレッド、ヤンマからもそれぞれ牽制射撃が放たれる。

 ホワイトベースとサラブレッドからはメガ粒子砲だが、ヤンマからはミサイルとレールガンの一撃だ。

 本来なら、ヤンマの最強の攻撃方法は重力波砲なのだが……このUC世界においては、それを使うと色々な意味で面倒な事になる。

 そんな技術を持っている存在を危険と見なして敵対的になったり、自分達にない技術だからという事で奪おうと考えたり。

 まぁ、ルナ・ジオンの後ろにはシャドウミラーがついてるから、そんな馬鹿な真似をする奴はそう多くはないと思うが、それでも万が一というのを考えると、ここで見せる必要はない。

 どうしても危険になったら、話は別だろうが。

 

「MS隊、出るぞ!」

 

 そう告げ、双方で艦砲射撃が撃たれている中を重装フルアーマーガンダムで進む。

 当然の話だが、重装フルアーマーガンダムは他のMSよりも大きい分、艦砲射撃が命中する可能性は高い。

 その辺の事情を考えると、実はMS隊の中で一番危ないのって俺だったりするんだよな。

 だからこそ、今はとにかく敵との間合いを詰めて乱戦に持ち込む必要があった。

 乱戦になってしまえば、ジオン軍も下手に艦砲射撃を撃つといったような真似は出来なくなるのだから。

 それこそ、下手にそのような真似をすれば、味方を撃墜するということになりかねないのだから。

 そうして進んでいると……

 

「いた!」

 

 レーダーに敵機の反応が映り、少し遅れて映像モニタにもザクの姿が表示される。

 それを見た瞬間に俺はメガビームキャノンのトリガーを引き……放たれたメガ粒子砲は、ザクを呑み込んで宇宙に爆発を生み出すのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1080
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1595

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