転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2580話

「そうですか。……さすが情報が早いですね」

 

 サラブレッドの艦長室で、俺はキルスティンと2人で会話をしていた。

 その内容は、ジオン公国首相のダルシアによる和平を求める動き。

 連邦軍の方ではどこまで情報を集めているのかを知りたくて、こうして月から出てからサラブレッドにやって来たのだが、どうやらキルスティンの方でもその辺の情報は持っていたらしい。

 もしかして、ダルシアから連邦軍にもう連絡が行っていたのか?

 それとも別の場所から情報を入手したのか。

 その辺の事情は俺にも分からなかったが、ともあれキルスティンがその辺の情報を知っているという事は、ほぼ間違いなく連邦軍の上層部にもこの件は伝わっているのだろう。

 ……キルスティンの方はキルスティンの方で、俺が既にこの情報を知っていた事に驚いていたようだが。

 恐らく向こうも俺がどうやってこの情報を入手したのかを気にしてはいるのだろう。

 だが、それについては恐らく大体の予想は出来ている筈だ。

 何しろ、ルナ・ジオンはジオン公国のダイクン派が集まって建国されたのだから。

 そうなれば、当然のようにサイド3にこちらの手の者がまだいると考えるだろう。

 これは連邦軍では出来ない……ルナ・ジオンだからこそ、出来る事だ。

 

「ああ。それで……単刀直入に聞くが、和平案に対して連邦軍はどう対応するつもりだ?」

 

 そう尋ねると、キルスティンは首を横に振る。

 

「正直なところ、分かりません。私は結局のところこの部隊を率いる者でしかありませんので。そうである以上、連邦の上層部が何を考えているのかというのは分からないですから」

「……なるほど。連邦軍は大きいし、その辺りの意思統一は難しいか」

「そうですね」

 

 俺の言葉にキルスティンが難しい表情を浮かべながらも同意する。

 その辺、素直に認めてもいいのか?

 いや、本人が言ってる通り、結局は部隊の隊長でしかない以上、そのような事を言えるのは当然なのか。

 ともあれ、キルスティンから見ても連邦の上層部は迷っているのか。

 これが少し前……ジオン軍が圧倒的に優勢な時なら、連邦軍の中でも多くの者がそれに賛成したかもしれない。

 だが、今の状況を考えれば、すぐに和平に納得する訳にはないだろう。

 何故なら、現在の戦争の状況は連邦が圧倒的に有利な状況なのだから。

 ここで和平を結ばなくても、最終的には連邦軍が勝利する。

 ……多分、そこにはルナ・ジオンの関係もあるんだろうな。

 ジオン軍と戦っても勝てると思っている以上、ここでわざわざ和平をする必要はないと、連邦軍の内部でそう考える者がいるのは当然だった。

 ましてや、ビーム兵器を標準装備しているジムの量産にも成功している以上、連邦軍が圧倒的に有利なのは間違いない。

 連邦軍の中に残っている強硬派は勿論、強硬派以外の者であってもそちらに流れてもおかしくはない。

 

「ともあれ、今はチェンバロ作戦を成功させる事を優先させる方がいい」

「そうですね。……今はまずそちらに集中した方がいいのは間違いないでしょう。その為には、ソロモンに存在する戦力を可能な限り削るという、今までの作戦を続ける必要があります。そちらは、問題ありませんか?」

「ああ。ガトーもノリスもやる気に満ちてるぞ」

 

 高機動型ギャンを使うガトーとノリスは、こここそが活躍の場として本当にやる気に満ちている。

 ガトーにしてみれば、今回の戦いで活躍すればそれだけ自分の功績としてアイナとの結婚に近付く事になるし、ノリスもサハリン家の名前を高めるのに手を抜く筈がない。

 俺もまた、重装フルアーマーガンダムの実戦テストを本格的に行うという意味で、今回の一件に関してはかなりやる気だ。

 とはいえ、基本的に待ち伏せをするのは暗礁宙域とか、デブリの多い場所とか、そういう場所なんだよな。

 ジオン軍に気取られないように……それでいながら、十分に戦力を減らすという意味でも、やはり何もない宇宙空間よりはそのような場所の方がいいのだ。

 戦闘中は当然のようにミノフスキー粒子を散布し、ソロモンに連絡が出来ないようにはしている。

 だが、それでも何らかの理由でソロモンに通信が届いた場合、ソロモンからは援軍が送られてくるのだ。

 それに対処する為に、暗礁宙域やデブリの多い場所での戦いを行う。

 ジオン軍にしても、そのような場所であればそう簡単に入って来る事は出来ないだろうし、もし入ってきても速度を緩める必要がある。

 その辺を考えれば、サラブレッド隊の狙いは分からないでもない。分からないでもないんだが……重装フルアーマーガンダムにとって、そのような場所は得意な戦場ではないのも、間違いのない事実なのだ。

 MA的な性能を持つ重装フルアーマーガンダムが本領を発揮出来るのは、やはりデブリとかがない普通の宇宙空間なのだから。

 そのような場所での戦いは……多分、実際にチェンバロ作戦が行われるまで待つ必要があるのだろう。

 

「そうですか。それはありがたいです。……ともあれ、ではこれからもよろしくお願いします」

「ああ。月に友好的な存在である以上、こちらも相応の態度を取らせて貰うよ。実際、チェンバロ作戦にはルナ・ジオン軍からも結構な戦力を派遣するというのを、連邦軍の上層部と相談している筈だ」

「……それは、本当ですか?」

 

 キルスティンの口から、驚きの声を漏らす。

 俺の口から出たのは、それだけキルスティンにとっては予想外だったのだろう。

 今までのルナ・ジオン軍の立場を考えれば、ルナ・ジオン軍と連邦軍は……敵対的ではないが友好的でもない。

 そんな状況でルナ・ジオン軍がチェンバロ作戦に戦力を派遣するというのは、完全に予想外だったのだろう。

 

「ああ。ちなみに、これは連邦軍に対する友好を示すというのもあるが、さっき話に出たジオンとの和平についても話は関わってくる」

「……なるほど」

 

 キルスティンは俺の言葉で何となく言いたい事を理解したのか、微妙な表情を浮かべつつも頷く。

 

「出来れば、ドズル・ザビの身柄は確保したいんだけどな」

「何故です?」

「ギレンとキシリアは、双方共に策略を得意としている。そういう意味では、生かしておく事は出来ない」

「ドズル・ザビなら違うと?」

「ああ。取りあえず下から慕われているという意味では、ドズルはザビ家の中でも群を抜いている」

 

 正確には、ガルマならドズルよりも高い人気を持っているのだが、今のガルマは死んだ事になっているので、表に出すような事には出来ない。

 であれば、ガルマを出すか……それともドズルのままで行くのかは判断が難しいところだ。

 どちらにするのかは、まだ決まっていない。

 だが、選択肢というのは多い方がいい。

 ガルマがこのまま隠遁生活を続けるのか、それとも表に出てくるのか。その辺は後々もっとしっかりと決めた方がいいだろうけど。

 

「分かりました。……ともあれ、今後は大変かもしれませんが頑張りましょう」

「ああ。……ちなみに、ホワイトベースはどうなったか分かっているか? 知っての通り、俺は一時期ホワイトベースに乗ってたから、その辺が少し気になってな。ちょっと前にサイド6で一緒になったけど、その時はこっちの方で問題があって会えなかったし」

 

 そう言ってから、これを言っても構わなかったのか? と少し思う。

 あの時、俺がサイド6に行ったのは、サイド6近辺に出ている海賊討伐と重装フルアーマーガンダムの実戦テストの為だったが、同時に月とサイド6の間で行われる交渉を行う為でもある。

 重装フルアーマーガンダムの実戦テストの件はともかく、月とサイド6の交渉については言わない方がよかったのでは?

 そう思ったが、交渉そのものは無事に成功したと聞いている以上、取りあえず問題はないだろうと半ば無理矢理自分に思い込ませる。

 

「ホワイトベースですか。詳細な情報は降りてきてませんが、フォルド中尉がライバル視してましたな」

「……フォルドが? 何でまた?」

 

 キルスティンの口から出た言葉は、俺にとっても完全に予想外のものだった。

 それだけに、何故? とそう疑問に思うのは当然だろう。

 

「実は、ホワイトベースでガンダムが単機でリックドム15機を倒したという情報が伝わってきてまして」

「それは……また……」

 

 ホワイトベースでそれだけの技量を持ち、その上でガンダムというMSを操縦しているパイロットとなれば、アムロかユウのどちらかしかいない。

 アムロの場合は正式な、これこそが本物のガンダムといったガンダムに乗っており、ユウの方はEXAMシステム搭載機のブルーデスティニー3号機に乗っている。

 ただ、ブルーデスティニー3号機のベース機は陸戦型ガンダムである以上、宇宙で使えるのか? といった疑問はあるが、確かジャブローにいる時にブルーデスティニー3号機を宇宙でも使えるように改修するとか何とか聞いた気がしたので、そのおかげだろう。

 MSの性能という点では、2機のガンダムのどちらでも可能だ。

 そしてパイロットの技量で考えても、アムロもユウも現状においてこのUC世界でトップクラスの実力を持っている以上、リックドム15機……3機で1小隊である以上、5小隊を倒すのは……リックドムのパイロットの技量が具体的にどれくらいのものなのかは分からないが、それでも不可能ではない。

 ちなみにMSというのは3機で1小隊。4小隊で1中隊である以上、15機というのは中隊1つと小隊1つという、微妙に計算が合わないのだが……まぁ、その辺は何か理由があったのだろう。

 そもそも、ジオン軍はルナ・ジオンの建国で結構な数が脱走してるし、建国後も相応の数が月に逃げてきている。

 そうなれば、どうしても軍人の数が減ってもおかしくはないし、その15機のリックドムを従えていた艦隊にもその辺が影響しているのだろう。

 

「フォルドも、腕は決して悪くはないんだけどな」

「そうですね。ですが……危うい。今はルース中尉が側にいるので問題はないのでしょうが」

 

 ルース以外にミユもいるので、今は大丈夫だろう。……そう、今は、だ。

 ただし、現在行われているのは戦争だ。

 混沌精霊の俺ならともかく、この世界の人間であれば、乗っているMSが撃破されてしまうと、確実に死ぬ。

 それだけに、ルースもいつ死ぬか分からないのだ。

 ……いや、ルースだけではない。このサラブレッドも、いつ撃沈されるか分からない。

 だとすれば、出来るだけ早くフォルドには成長して欲しいと思うのは当然だった。

 

「だが……チェンバロ作戦の事を考えると、いつまでも待っている訳にはいかない」

「そうですな。それに……アナハイムにおいて、成長のきっかけは貰った筈ですから」

 

 アナハイムで?

 もしかして、それはフォン・ブラウンでフォルドが言っていた、ルースと似ているという奴か?

 それが事実なら、いいと思うんだが。

 

「ともあれ、フォルドがライバル視している以上、それを糧にしてくれるといいんだがな」

「そうですね。……アクセル殿が訓練の相手をして貰えれば、こちらとしても安心出来ます」

 

 そう告げる様子に、俺は頷く。

 フォルドの技量が高まるというのは、俺としても悪い話ではない。

 それに……この戦争が終わった後に、フォルドやルース、それにミユといった面々が月に来ないとも限らない。

 ただ、これまでの話を聞く限りだと、フォルドやミユはともかく、ルースはもし月に来てもアナハイムに行きそうな気がするが。

 ともあれ、UC世界全体で見ても高い技量を持つパイロットである以上、アナハイムに来ても月にいる以上、何かあった時の戦力として期待出来る。

 

「ホワイトベースの方は、チェンバロ作戦に参加すれば、その時に会えるかもしれないか。そうなれば、フォルドのライバル心も落ち着くかもな」

「……逆に、ライバル心が余計に高まるような事にもなりかねないのでは?」

「それは否定しない。フォルドだしな」

 

 何だかんだと、フォルドが負けず嫌いなのは間違いない。

 であれば、アムロやユウを間近で見た場合、間違いなくライバル心を抱くだろう。

 けど、俺が見た感じだと、フォルドは技量という点ではアムロやユウに勝てない。

 これはどうしようもないくらい絶対的な事実だ。

 

「上手く事が運べばいいのですがね」

「そうだな。それは否定出来ない。下手にライバル心……いや、対抗心からフォルドが無茶をするような真似をすれば、コンビを組んでいるルースも危険な目に遭うかもしれない。やっぱりホワイトベースとは接触しない方がいいのか?」

「こちらでそう思っても、上の方でどう判断するのかは、分かりませんよ。場合によっては、それこそ2隻だけで活動するといったようなことにもなりかねませんし」

 

 そう告げるキルスティンに、俺は確かにと頷くのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1591

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