転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2573話

 こちらに女……シムス・アル・バハロフというらしいが、そのシムスが降伏してからは早かった。

 シャリアとかいうニュータイプを説得し、一体どのような手段を使ったのかは分からなかったが、大人しく降伏したのだ。

 ……ちなみに今回の一件で俺が一番驚いたのは、シャリアという名前から女だと思っていた人物が、男だったことだろう。

 それも中年と呼ぶには少し可哀想だが、青年と呼ぶのには少し無理があるといったような、そんな年齢の男。

 ガトーのアナベルという名前もそうだが、何気にこのUC世界って男に女の名前を付けるのが流行っていたりするのか?

 いや、実際にはそこまで多くはないので、本当に偶然そのような形になっただけなのかもしれないが。

 ともあれ、シムスがどのような説得をしたのかは分からないが、シャリアも大人しくこっちに降伏する事を許容した。

 そんな訳で、俺は分離したMA……ブラウ・ブロという名前らしいが、そのブラウ・ブロの部品を確保すると、シムスとシャリアが乗っていないブロックを空間倉庫に収納する。

 ……俺が生身で重装フルアーマーガンダムのコックピットから出て、しかもブラウ・ブロのブロックに触れたと思えば、次の瞬間に空間倉庫に収納されて消えるといたような事があったのだから、かなり驚いていたが。

 ともあれ、シムスとシャリアが乗っているブロックだけを手にして、俺はデブリ帯を出る。

 すると、ちょうどデブリ帯の中に入ってこようとしていた高機動型ギャン2機の姿を確認出来た。

 

『アクセル代表、大丈夫でしたか?』

 

 ガトーの高機動型ギャンが、接触回線でそう尋ねてくる。

 そう言えば……シムスはフラナガン機関の人間ではあるが、当然のようにジオン軍に対しても詳しい事情を知っていてもおかしくはない。

 それはシャリアもまた同様だろう。

 だとすれば、ブラウ・ブロでサラブレッド隊に攻撃をしている時に、高機動型ギャンについて理解出来なかったのは何でだ?

 高機動型ギャンは、ベースとなったギャンと比べても外見はかなり変わっているものの、それでも見ればギャンの系列機だというのはすぐに分かる。

 その辺は、後で聞けばいいか。

 もしかしたら、単純にシムスは研究だけをしていて世間については知らなかったのかもしれないし、シャリアの方はニュータイプの被検者として、外の情報から切り離されていた可能性は十分にある。

 

「ああ。無事に捕らえる事が出来た。……予想した通り、フラナガン機関の研究者とニュータイプだった」

『……そうですか』

 

 俺に通信を返してくるガトーは、パイロットスーツのヘルメット越しであっても不機嫌になっているのが理解出来た。

 一瞬何故? と疑問に思ったが、奇跡の子供達の保護をアイナと一緒にやった事を思えば……また、ガトーの性格を考えれば、そうなるのはおかしくはない。

 

「取りあえず話してみた感じでは、子供達を虐待していたような奴じゃないから、落ち着け」

 

 実際に虐待していなかったかどうかというのは、俺にも正直分からない。

 だが、話した限りではそのような性格のようには思えなかったし、もし仮に子供達を虐待していたとしても、セイラの前でそれを隠せる筈はない。

 ガトーもそれが分かっているからこそ、俺の言葉に素直に従ったのだろう。

 

「それと、捕虜にした2人は当然だが連邦軍に渡さない。ヤンマに収容して、見張りはコバッタを付ける。後は……月に戻った後で、月の上層部がどうするか決めるだろ」

『分かりました』

 

 取りあえず納得した様子で、ガトーは頷いてくる。

 今はそれでもいい。

 ともあれ、まずはこの連中を連邦軍に渡さず、俺達で確保するというのが一番大きいのだ。

 

「よし、ならこの連中をヤンマまで運ぶぞ。そっちのブロックを持ってくれ」

 

 実は、ブラウ・ブロを構成しているブロックの2つを運ぶというのは、重装フルアーマーガンダムでも厳しかった。

 元々ブラウ・ブロはかなり巨大だ。

 分離した事で1つ辺りは小さくなったが、それでも元が大きい為に、どうしても運ぶのは苦労する。

 ましてや、重装フルアーマーガンダムはセカンドアーマーのおかげでかなり重量があり、体積も大きい。

 具体的に言えば、メガビームキャノンや腰のビーム砲が結構大きいので、運ぶのはかなり難しいのだ。

 これがセカンドアーマーを装備していない、ガンダム7号機だけの素の状態なら、まだもう少し運びやすかったのだろうが。

 ともあれ、ブラウ・ブロがデブリ帯の中にいた影響で、ここまで運んでくる途中でも、スペースデブリにぶつかった影響で結構な傷を受けている。

 それどころか、重装フルアーマーガンダムの装甲にも相応の傷がついている有様だ。

 ……うん、後でメカニック達に何か言われるのは確実だろうな。

 あ、でもブラウ・ブロを持ってきたんだから、そっちに夢中になるか?

 そんな風に考えていると、当然の話だがガンダム4号機や5号機、ガンキャノン隊が姿を現す。

 ガンキャノン隊が本来の3機ではなく2機なのは、ブラウ・ブロの攻撃によって被害を受けた機体がサラブレッドに戻って修理をしているからだろう。

 有線ビーム砲という、連邦軍にとっては未知の攻撃を受けても撃破されなかったのは、サラブレッド隊という精鋭部隊でガンキャノンという高性能MSを受け取るだけの実力はあったのだろう。

 

『アクセル、それは……いや、それが敵か?』

 

 フォルドからの通信が入るが、その声には剣呑な色がある。

 見た感じでは、フォルドはガンキャノン隊を見下すような態度を取っていたのだが、それでも自分と同じ隊にいる相手という事で、色々と思うところがあったのだろう。

 

「そうだ。だが、この捕虜や鹵獲した機体は、俺達が所有権を主張する」

『何っ!?』

『待て、フォルド』

 

 俺の言葉にフォルドが何か言おうとしたが、それよりも前にルースが言葉を遮る。

 フォルドの押さえ役は、やっぱりルースじゃないと無理なんだよな。

 ……とはいえ、ルースの方も俺の言葉を完全に納得して受け入れたといった様子ではなかったが。

 

「この一件については、亡霊退治に参加する上でキルスティンから許可は貰っている。悪いが、不満があるのならそっちに回してくれ」

『ぐ……』

 

 キルスティンの名前を出されれば、フォルドとしてもそれ以上は何も言えなくなる。

 ルースが多少なりとも落ち着かせていなければ、キルスティンの名前を出しても突っかかってきた可能性は十分にあったが。

 ともあれ、一番噛みついてくるフォルドをこの状況で押さえられたのは大きい。

 本来ならこの場で俺に一番突っかかってくるのは、ガンキャノン隊のカークなのだろうが、そのカークは現在サラブレッドに戻ってガンキャノンの修理中だ。

 その辺の心配をしなくてもいいのは、正直助かる。

 

「じゃあ、そういう訳で俺は母艦のヤンマに戻る。キルスティンの方には事情をこっちから説明しておくから、そっちは周辺の警戒でもしていてくれ。……もしかしたら、他にも敵がいる可能性は十分にあるし」

 

 この辺には戦闘濃度のミノフスキー粒子が散布されている。

 デブリ帯に隠れているとはいえ、ブラウ・ブロにしてみれば自分の安全を確保する為には必要だったのだろう。

 あるいは、ここは連邦軍の中でも訓練をする場所として人気だったらしいから、その辺の理由もあるのかもしれないが。

 ともあれ、ミノフスキー粒子散布下である以上、どこかに敵が隠れている可能性は否定出来ない。

 ましてや、ブラウ・ブロはフラナガン機関が開発したというMAで、更にそのMAには非常に貴重なニュータイプまで乗っているのだ。

 いざという時に、それを助ける為の戦力だったり……もしくはそんなニュータイプを観察する為の部隊がいても、おかしくはない。

 T-LINKシステムがあれば、ミノフスキー粒子散布下であっても普通に敵を察知出来るんだが、それを今この状況で考えても意味はないしな。

 ともあれ、フォルド達は俺の言葉で他の敵がいるかもしれないと、周囲の探索を始めた。

 それを確認すると、俺はガトーとノリスの高機動型ギャン2機と共にヤンマに向かうのだった。

 

 

 

 

 

「お前達がブラウ・ブロのパイロットか」

 

 ヤンマの格納庫。

 その中で、メカニック達がブラウ・ブロの部品2つに集まっているのを見ながら、俺は目の前にいる2人に視線を向ける。

 男女がそれぞれ1人ずつ。

 特に女の方は、俺と接触通信で話していた人物に間違いはないだろうが、それでも一応ということで、確認しておく。

 すると、その女が頷く。

 

「はい。先程通信では自己紹介をしましたが、改めて……私はフラナガン機関所属のシムス・アル・バハロフ中尉です」

「シャリア・ブル大尉であります」

 

 2人の挨拶を受けると、俺もまた口を開く。

 

「ルナ・ジオン軍に協力しているアクセルだ」

 

 取りあえず、アクセル・アルマーであるというのは言わないでおく。

 アクセルだけなら、そこまで珍しい名前という訳ではないので、俺を見てアクセル・アルマーであると認識する可能性は低いし。

 

「さて、自己紹介が終わったところで確認だ。お前達は捕虜になった。そう認識しているな?」

 

 素直に頷く2人。

 前もって、殺したりするような事はないと言っておいたのが大きいのだろう。

 シャリアの方はニュータイプなので、最終的にどうなるのかは分からないが。

 取りあえずシムスの方は、何か問題があれば農作業の強制労働。

 問題がなく、そしてルナ・ジオンに……セイラに忠誠を誓うのなら、そのまま月に迎え入れるといったような事になるだろう。

 まぁ、この辺は月の上層部が考える事で、俺は特に気にする必要はない。

 ……フラナガン機関の研究所がどこにあるのかというのは、出来るだけ早く知りたい情報だが。

 恐らく……いや、ほぼ間違いなく、そこでは再び非人道的な実験が繰り返されている筈だ。

 別に正義の味方を気取る訳ではないが、それでも子供を虐待しているというのを知れば、気分は悪くなる。

 少なくても面白い内容でないのは間違いない。

 そして、フラナガン機関の研究所を襲撃すれば、ニュータイプについてのデータも手に入る。

 そのデータを入手する為に子供達が虐待を受けたとなれば、正直面白くはない。

 面白くはないのだが……それでも、データはデータだ。

 月でニュータイプ研究をやる上で参考になるのは間違いない。

 その辺は、清濁併せ飲むといったような事になるだろうが。

 

「お前達の処遇については、月に戻ってからの話になる。……知っての通り、現在俺達は連邦軍と一緒に行動している。具体的にいつ月に向かえるかは分からないが、お前達は暫くこのヤンマで生活して貰う」

 

 そう言い、コバッタを2機呼び寄せる。

 

「これは……」

 

 先程から格納庫で動いていたので、シムスもシャリアもコバッタには気が付いていたのだろうが、実際に目の前にやってこられると、色々と思うところがあるのだろう。

 

「これはコバッタ。まぁ、言ってみれば……雑用をしてくれる存在だな」

 

 コバッタの役目を説明しようとしても、結局そうなる。

 実際、コバッタは本当に色々な事を行ってくれる存在であり、月の首都にしてホワイトスターと繋がっているクレイドルだけではなく、月面都市の全てで普通に使われている。

 便利な反面、何か後ろ暗い事があるような者にしてみれば、その情報がルナ・ジオンに流れるという意味で、嫌悪している者もいるのだが。

 何気に機関銃も装備しているので、MSならともかく生身でコバッタに勝つのは不可能だろう。

 

「何か分からない事があったら、このコバッタに言えば大抵は何とかしてくれる。ただし……このコバッタはお前達の監視も兼ねているから、迂闊な事はしないようにな。ちなみにどうしても監視が嫌なら、コバッタを拒否しても構わない。その場合はどこかの部屋に軟禁して月に到着するまでは出さないから、そのつもりでいてくれ」

「それは……逆に言えば、そのコバッタでしたか。それと一緒に行動しているのなら、この軍艦の中を自由に出歩いても構わないと?」

 

 今までは黙って俺の話を聞いていたシャリアが、驚いた様子でそう言ってくる。

 それはそうか。

 普通なら、捕虜となった者が、捕らえた相手の拠点――この場合はヤンマだが――で自由に動き回ってもいいとは思えないのだから。

 

「そうだ。もし機密だったりするような場所に行こうとすれば、コバッタが止める。その場合は絶対に従え。もしそれに従わなかった場合は、死ぬ事になる」

 

 死ぬという言葉に、息を呑むシムスとシャリア。

 シムスはともかく、シャリアは結構度胸がありそうな気がするんだけどな。

 まぁ、本人の様子を見る限りでは、本当の意味で鉄火場と呼ばれるような場所に参加した事はないのかもしれないが。

 

「ともあれ、月に到着するまではこのヤンマにいてもらう。……で、どうする? コバッタはいるか?」

 

 その言葉に、2人は揃って頷くのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1591

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