転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2571話

 サラブレッド隊が移動を始めてから1日程で、目的の場所に到着する。

 キルスティンから聞いた話によると、ここ5日程の間、この付近で連邦軍の軍艦やMSが見えない何かに撃破されるというのが頻発しているらしい。

 ……ちなみに当然の話だが、軍艦はともかく何故MSまでもが撃破される? と思ったのだが、聞いた話によるとこの宙域はMSの操縦訓練をするのにいいらしい。

 近くにはデブリ帯があり、そこから少し離れれば少しだけデブリがあり、そこから更に離れると何もない宇宙空間となる。

 そういう意味では、色々なシチュエーションで戦いを行うというのには向いているといったところか。

 ただし、今は亡霊の影響でかこの宙域で訓練をやる者も少なくなっているらしい。

 それでも亡霊を怖がらないという態度を見せたい者だったり、上司が亡霊を信じず、操縦ミスか何かだと考えたような者だったりすると、ここで訓練を行う者はおり……結果的に被害は少なくなりつつあるが、継続しているとか何とか。

 恐らくジオン軍がその亡霊の正体だろうが、そのジオン軍にしてみれば、そろそろここでの行動も終わってもおかしくはない。

 だからこそ、サラブレッド隊は少し急いでここまでやって来たのだ。

 だが……

 

「亡霊が出て来ないな」

 

 デブリ帯ではない場所だからという事で、重装フルアーマーガンダムのコックピットに乗ったまま、そう呟く。

 

『まぁ、そう言うなって。そもそも亡霊とか……何か操縦ミスしたのをそう誤魔化してるんだろ?』

 

 フォルドがオープンチャンネルで呟かれた俺の言葉に反応して、そう言ってくる。

 なるほど。フォルドは亡霊を信じない派か。

 ……実際、話を聞いた限りでは亡霊を信じない派というのは決して少なくはない。

 考えてみれば当然なのだが、この世界において亡霊とかそういう非科学的な存在は、当然のようにお伽噺とかそういうのになる。

 ニュータイプの存在を信じていないのなら、そんな風に思ってもおかしくはないのだろうが。

 一応ジオン・ズム・ダイクンが演説でニュータイプについて言ってるし、その娘であるセイラもニュータイプであるというのは隠していない。

 だがそれでも、やはり人間というのは自分の持つ常識こそが絶対だと、そう思ってしまうのだろう。

 ……まぁ、それは人間としてはおかしくはないので、俺が特にどうこう言うような問題でもないのだが。

 

「いや、俺は亡霊の存在を信じる派だからな。多分何かがあるのは間違いないと思う」

 

 ニュータイプについて話してもよかったのだが、フォルドの性格を考えれば、まず信じないだろうという事で、言わないでおく。

 

『ふーん。……まぁ、アクセルの場合は異世界と接触してる月の人間だしな。あ、もしかして今回出ている亡霊って、実は異世界からやってきた何かだったりしないか?』

「それはさすがにないだろ」

 

 ゴーヤクレープの亡霊とか出たら、それはそれで面白そうだが……メガビームキャノンで一気に吹き飛ばしてやりたい。

 

『そうか? けど、亡霊って言われて思い浮かぶのは、やっぱりそういう関係だけどな』

 

 そう告げるフォルドだったが、本気で言ってるのかどうかは分からない。

 いや、多分嘘だろう。

 そう思っていると……

 

『うっ、うわああああああぁっ!』

 

 不意にそんな悲鳴が聞こえてくると同時に、爆発の光が見えた。

 何だ? いや……出たか?

 レーダーで確認してみるが、特に反応はない。

 俺のガンダム7号機もそうだが、ここには他にも新型機としてガンダム4号機と5号機、更には高機動型ギャンもいる。

 最新鋭機だけに、センサーやレーダーの性能も高い。

 高いのだが……ここではMSの訓練とかも行われている為に、ミノフスキー粒子が散布され、それがまだ残っている。

 いや、単純にジオン軍による攻撃である場合、当然のようにミノフスキー粒子を散布するだろう。

 それも急に戦闘濃度で散布するのではなく、ここで模擬戦が繰り返されている状況なので、残っていてもおかしくない程度に。

 

「誰がやられた?」

『ガンキャノン隊だ』

 

 俺の呟きに、ルースがそう言ってくる。

 当然か。ここにいるMSの中で一番性能に劣るのがガンキャノンなのだから。

 とはいえ、ルナ・チタニウム製の装甲を持つガンキャノンにダメージを与えたという事は、実弾ではなくビーム攻撃か何かか?

 

「撃破か?」

『ふざけるな! 腕がやられただけだ!』

 

 そう叫んできたのは、カーク。

 どうやら亡霊にやられたのはカークだったらしい。

 

「どんな敵だったのか分かるか?」

『いや、レーダーとかに反応はなかった』

 

 レーダーに反応がない、か。

 何もない状態で攻撃されるからこそ、亡霊と呼ばれているのだ。

 それがはっきりしただけでもよかったのか?

 ともあれ、亡霊が存在するというのは間違いない以上、俺達のやるべきことは1つだ。

 

「全機、レーダーをしっかりと確認しろ。まさか本当に亡霊がいる訳じゃあるまいし、何らかの手段で攻撃をされているのは間違いない筈だ」

 

 そう告げると、俺も重装フルアーマーガンダムのレーダーで周囲を確認するが……全天周囲モニタの一点で、何かが光ったと思った瞬間、俺は半ば反射的に機体のスラスターを噴射させていた。

 だが、これが素のガンダム7号機の状態であれば、その光を見てからでも余裕で対応出来ただろうが、これは重装フルアーマーガンダムだ。

 その重量は、性能と同様にMA並と言ってもいい。

 そうである以上、どうしても重装フルアーマーガンダムの反応は鈍く……放たれたビームは、装甲を削っていく。

 ちっ、反応速度が鈍すぎる。

 いや、それは今更の話か。

 そもそも、MAというのはその重量から、非常に高い機動力を持ってはいるのだが、同時に瞬発力という点ではどうしても劣る。

 今回はそれが見事に裏目に出た形だ。

 とはいえ……悪い事だけではない。

 

「やっぱり敵がいる! 亡霊なんて奴じゃない。敵がメガ粒子砲を使って攻撃してきているぞ! その場に留まっていれば、敵に狙い撃ちにされる! 動け!」

 

 その言葉を発した瞬間、周辺に展開していたMSがそれぞれ動き出す。

 高機動型ギャンの2機はともかく、ルースとフォルドの2人も当然のようにこちらの指示を聞き、ガンキャノン隊の方も俺の言葉を素直に聞く。

 そして、まるでそのタイミングを待っていたかのように宇宙空間に何本もの光条が走る。

 それが何なのかは、それこそ考えるまでもなく明らかだろう。

 先程重装フルアーマーガンダムの装甲を削っていったビームだ。

 だが……MSの反応はない。

 だとすれば……いや、待て。俺はこれと似たような武器を知ってるんじゃないか?

 それこそ、技術的にはまだ初期も初期といった感じだが、それでも敵に見えない場所から複数のビームを発射するそれは……

 

「ファントム」

 

 それは、ニーズヘッグにとっても非常に強力な武器だ。

 それこそ、主力武器の1つと言ってもいい。

 だが、ジオン軍がそれを開発出来るのか?

 そもそもの話、T-LINKシステムを使って動かすファントムならまだしも、このUC世界の戦場ではミノフスキー粒子散布下での戦闘が当たり前になっている。

 だとすれば、普通の方法では無線操縦は出来ないし、何よりもファントムのように小型化出来るとは到底思えない。

 何にしてもそうだが、最初に作られるのは当然のように大きくなる。

 時間を掛けて技術を発展させる事により、それでようやく小型化していくのだ。

 ……基本的にとしたのは、シャドウミラーの技術班のような例外があるからだ。

 技術班には、天才と呼ばれるような者達が集まっており、切磋琢磨し……時には暴走しながらも、技術を高めている。

 だが、そのような存在がそう多くいる筈もない。

 あるいは、いてもそのような天才が集まっているという可能性は限りなく少なかった。

 そうである以上、その辺を気にする必要はあまりない。

 そして同時に、現在俺達を襲ってきている攻撃は何らかの手品があるのだというのは明らかであり……

 

「やっぱりな」

 

 視線を凝らしてしっかりと確認すれば、全天周囲モニタにはビーム攻撃を行っている移動砲台らしき物が確認出来る。

 それも、やはり技術的にまだ未熟だからだろう。

 ファントムのように無線ではない、有線だ。

 つまり……言ってみれば、ビームライフルを離れた場所からケーブルを使った有線で動かし、敵に攻撃をしているのだろう。

 その辺がはっきりとすれば、後はそのビームライフル……正確にはビーム砲か。そのビーム砲を操っている有線を辿っていけばいい訳で、難しい話ではない。

 ビーム砲その物がそこまで大きくはなく、ケーブルも相応に細い。

 だからこそ、他のMSでは亡霊といったように認識されていたのだろう。

 あるいは、何らかのステルス性能とかも施されているのかもしれないが、それを見つける事が出来る辺り、全天周囲モニタが優れているといったところか。

 

「っと」

 

 ケーブルで繋がれているビーム砲の砲口がこちらを向いたのを見た瞬間、俺はスラスターを全開にしてその場から退避しつつ、ビーム砲と繋がっているケーブルの大元に向かう。

 

『アクセル!?』

 

 フォルドからの通信が入るが、俺はそれを無視して有線の大元に向かう。

 ケーブルの大元があるのは、近くにあるデブリ帯。

 まぁ、普通に考えればデブリ帯が隠れる場所としては最適なのは間違いない。

 そうである以上、ビーム砲と繋がっているケーブルの大元がデブリ帯に存在する可能性は当然の事だった。

 スペースデブリを回避しながら進むが、当然のように重装フルアーマーガンダムの大きさを考えれば、全てのスペースデブリを回避するというのは無理だ。

 装甲にぶつかり、その衝撃や音が微かにコックピットにも伝わってくるが、それを無視してデブリ帯の中を突っ込み……

 

「いた」

 

 デブリ帯の中に、ケーブルの大元を見つけて呟く。

 予想はしていが、そこにいたのはMSではなくMA。

 有線で制御するビーム砲を装備している以上、MSではないと思っていたが、その予想は正解だった。

 ただし……それは巨大だ。

 MAではなく、それこそ寧ろ小型の軍艦と呼んだ方がいいような気がしないでもない。

 センサーで確認する限り、全長60m近い。

 これはMAと表現するのは難しい。

 寧ろ、小型の軍艦と呼んだ方が相応しいんじゃないか?

 MAの開発中ということで、技術的にこれ以上小さくすることが出来なかったのかもしれないが。

 ……ともあれ、向こうも俺に見つかったと判断したのか、そのMAは後退をしようとするが……

 

「させると思うか?」

 

 メガビームキャノンのトリガーを引く。

 重装フルアーマーガンダムの中でも最強の武器である、巨大なビームが発射された。

 途中にあるスペースデブリを消滅させながら、MAに向かって飛んでいくビーム。

 とはいえ、当然のようにそのビームはMAに命中するのではなく、その移動先を通りすぎた。

 勿論、攻撃を命中させようと思えばすることが出来た。

 だが、このような有線式のビーム砲を持ったMA……それも確証はないが、恐らくジオン軍のニュータイプと思われる存在がいるとなれば、それを撃破するといったような真似をして殺したくはない。

 何より、ニュータイプであるからこそ、セイラの前に連れていけば、お互いの間にある圧倒的なまでのニュータイプ能力の差により、心酔するか……そこまでいかずとも、最悪でも裏切るような真似はしないだろうと判断出来る。

 MAの方もニュータイプ用の物ならディアナで解析したいし。

 いや、いっそシャドウミラーの技術班に任せてもいいか。

 そんな風に思いながら、メガビームキャノンが放たれたのとは別の方に向けてMAが移動しそうになり、その機先を制する形で再度メガビームキャノンを撃つ。

 それを見て再度動きを止めるMA。

 このMA、多分ニュータイプ用としては試作機とかテスト機とか、そんな感じの機体だな。

 何しろ、動きが鈍い。

 その上で巨体だからか、的にしか思えない。

 武装も有線式のビーム砲なのは間違いないが、言ってみればそれだけだ。

 完全に相手に気が付かれないようにして攻撃をするといったようなことだけが目的のMAであって、敵と正面から戦うといったようなことはないらしい。

 ……アッザムとかアプサラスとかもそうだが、MAの欠点ってのはやっぱり敵に近付かれた時にどうしようもないといったところだよな。

 とはいえ、普通に考えれば厄介な存在なのは間違いない。

 実際、この周辺では何機ものMSや軍艦が撃破されたり、被害を受けたりして、亡霊と呼ばれていたのだから。

 とはいえ……そんな亡霊であっても、俺が目の前にいる状況ではもうこれ以上逃げられないと判断したのだろう。

 ここから脱出しようとする動きを止め……次の瞬間、有線のビーム砲をこちらに向けて複数伸ばし……やがて、そのビーム砲から、一斉にビームが発射されるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1591

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