転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2562話

「これが、高機動型ギャンか」

 

 目の前にあるMSを見て呟く。

 MS-15B、高機動型ギャン。

 ちなみに人によってはギャン高機動型と呼ぶ者もいるらしく、一応どちらでも通じるようにはなっている。

 とはいえ、高機動型ザクとかの名称を考えると、やっぱり高機動型ギャンというのが相応しいのではないかと思うのだが。

 ルナ・ジオン軍のMSであれば、型式番号の頭につくのはLMSの筈なのだが、この高機動型ギャンは取りあえずギャンを弄る時にどうするのかといった感じの勉強をするような意味もあって試しに作って見た機体なので、取りあえず元のMS-15Bという型式番号を使っているらしい。

 本来なら試作機だけにYMS-15Bじゃないのか? と思うが、その辺はツィマッド社の面々からの懇願があってYが省略されたとか。

 ……うん、取りあえず色々と思うところはあるが、それはそれという事にしておこう。

 

「はい。どうです?」

「ギャンはゲルググと同じく……というかヅダのように、バックパックとかを変えただけで、簡単に別仕様になるって話を聞いた事があったけど、これもそうなのか? その割には、通常のギャンと比べて大きく姿が変わっているが」

 

 俺の疑問に、技術者はそっと視線を逸らす。

 どうやら、ギャンの生産ラインを入手したからといって高機動型を作る際に色々とやったらしい。

 とはいえ、俺としては別にそれを責めるつもりはない。

 量産に問題が出て来るのならともかく、ギャンという機体を深く知る為にやったのなら、そこに責めるべき理由はないのだから。

 

「その件はいいとして……ギャンの特徴といえば、強力なビームサーベルだった筈だが……見たところ、近接戦闘用の武器は変わったのか?」

「え? あ、はい。ビームサーベルからビームランスになりました。そのお陰で、ただでさえ高かった近接戦闘能力が更に上がっています」

「ビームランスなら確かに攻撃力は高いだろうな。……それが使いやすいかどうかは別にして」

 

 今は待機状態なので、ビームランスというのが具体的にどのような武器なのかは分からない。

 いや、その名前からそれなりに予想は出来るのだが。

 だが、当然の話だが槍というのは素人でもそう簡単に使えるものではない。

 でもビームランスってのはビームで出来ている以上、触れれば相手にダメージを与える事は出来るのか。

 そうなると、ビームランスがかなり長いビームで構成されているのなら、それこそビームサーベルのような使い方も出来る訳だ。

 そう尋ねると、技術者はその通りですと頷く。

 

「このビームランスはかなり強力です。また、その名の通り高機動で高い運動性も持ちます。それと、ギャンで問題になった射撃武器も、速射砲を装備した事で解決しています」

「速射砲? 何でまたそんなのを?」

 

 速射砲というのは、その名の通り砲弾の発射速度が早い射撃武器だ。

 勿論それはそれで悪くないと思うが、ギャンが使うような射撃武器は、それこそザクマシンガンのような多数の弾丸を連射出来る代物だろう。

 ……ビームライフルがあれば、最善ではあったのだが。

 ただ、ビームランスなんて代物を使ってるのを考えると、ビームライフルは……どうだろうな。

 ギニアスが開発した、ゾックの動力炉を改良した奴なら、何とかなりそうな気はするが。

 

「勿論、射撃武器としてこれが有効だと思ったからですよ」

「いや……そうか? ギャンは基本的に近接攻撃用のMSだろ? なら1発の威力が高いような速射砲じゃなくて、ザクマシンガンのような、相手を牽制出来る武器の方がいいと思うんだがな。ミサイルとかの迎撃とかの意味でも、この場合は大きいし」

「そちらも検討はしましたし、実際最後まで残ったんですけどね。ただ、高機動型ギャンはあくまでも試作機であって、本格的に量産するつもりはない機体という事なので」

「あー……なるほど」

 

 本格的な量産ではないから、自分達の使いたい武器を採用した、と。

 実際こういう事がなければ機体を理解するという意味で動かすような事はあっても、実戦に投入するなどといったことはなかったんだろうし。

 そういう意味では、技術者の言いたい事も分かる。

 ……試作機だからこそ、マシンガンを使わせて相性を見た方がよかったのではないか、と。そんな思いがあるのも事実だったが。

 

「だとすると、盾もその関係か?」

「はい」

 

 俺の言葉に、やっぱり言われたかといったような様子で頷く技術者。

 ギャンの中で駄目出しの多かった部分の1つが、盾だ。

 ミサイルや機雷を内蔵しているその盾は、盾として機能させられるかどうかと。

 それこそ、下手に攻撃を受けた場合、誘爆してしまう可能性が高い。

 これが、せめて盾の裏側にミサイルの発射装置とかがあるのなら、まだ多少なりとも納得出来る。

 だが、ギャンの場合は盾の表側にミサイルや地雷の発射装置があるのだ。

 それで、安心して盾として使えとは……取りあえず俺は部下がギャンを使っていた場合は言えない。

 だが、技術者の様子を見る限りでは、高機動型ギャンの盾は通常のギャンの物とあまり違わないらしい。勿論、多少なりとも改良はされているのだろうが。

 正直なところ、それなら盾を持たせない方が……と思ったが、今回の場合は使うのがガトーとノリスという、双方共にエース級の実力の持ち主だ。

 一般の兵士ならともかく、エース級ならそんな盾であっても特に問題なく使う事が出来るだろう。

 ……そのような技量の持ち主でなければ駄目という時点で、それはもう色々と厳しいのだろうが。

 高機動型ギャンはあくまでも試験的に製造したという話なので、これ以上責めるのは止めておこう。

 本格的な改修作業が終了した後で、そんな真似をすれば責められても仕方がないのだろうが。

 

「取りあえず、この盾は今回はそれでいいとして……改修したMSにする場合は、しっかりと改良するか、もしくは盾その物を変えるとかした方がいいな。ゲルググの盾みたいに」

 

 ゲルググの盾はアーモンド型……という表現が正しいのかどうかは分からないが、ギャンが使っているのとは違って純粋に盾としての機能に特化した防具となっている。

 まぁ、アーモンド型で先端が尖っているので、その気になれば武器としても使えそうだが。

 ともあれ、ジム……いや、ガンダムか? 連邦軍系MSの影響を受けていると思われるゲルググの盾は、十分使い物になるだけの性能を持っている。

 ギャンの改修型を開発するのなら、下手にギャンの盾を流用するよりも、ゲルググの盾を流用した方がいい。

 もしくは、全く新しい……誘爆しないような盾を開発するか。

 

「分かりました。その辺は参考にさせて貰います。……実際、ディアナの技術者にもそういう意見は多かったですしね」

「なら、最初からそうしろよ」

「いえ、その……ツィマッド社出身の技術者の中に、どうしても最初のプラン通りに作って欲しいと言われて。……まぁ、実戦に出す訳じゃないし、精々模擬戦とかに使うだけなら、いいかなと」

「……なるほど」

 

 そう言われれば、俺も納得するしか出来ない。

 元々ディアナにガトーとノリス用にMSを用意して欲しいと無茶を言ってるのは俺なのだから。

 それこそ、ジムスナイパーⅡとかの、俺が報酬として貰ってきた連邦軍のMSを使ってもいいんだが、月の技術力を連邦軍、ジオン軍双方に見せつけるのに丁度いいという面もある。

 まだ解析中といういう面が一番大きかったりするのだが。

 また、ジオン軍系と連邦軍系ではどうしてもMSの操作感覚が違うというのもある。

 勿論、連邦軍系のMSも基本的にはザクを解析して開発された以上、細かい場所は違っても、大まかには同じ感じだ。

 個人的には、操縦感覚の違いの最大の原因は、流体パルスモーターとフィールドモーターなんじゃないかと思う。

 とはいえ、それはあくまでも俺の予想であって、実際には分からないのだが。

 今までガトーやノリスが操縦してきたMSはジオン軍系のMSである為、ソロモン攻略作戦の時に乗るのもジオン軍系の方がいいだろうし。

 また、目の前にある高機動型ギャンを見ての感想だが、ギャンとグフは設計思想が似ている。

 ……もっとも、ガトーやノリス達が乗っているグフはフライトタイプで、一応近接戦闘も出来るが、どちらかというと射撃をメインにした機体なのだが。

 

「取りあえず……この高機動型ギャンは1機だけなのか?」

「いえ、3機ありますよ」

 

 あっさりとそう告げられた内容に、若干呆れの視線を向けたとしても、俺はおかしくはないだろう。

 だが、まさか高機動型ギャンが3機もあると言われれば、それに驚くなという方が無理だった。

 

「何でまた3機なんだ?」

「何でと言われても、MSは3機で1小隊だからですが」

 

 特に何か動揺した様子もなくそう言ってくる技術者。

 なるほど。そう言われれば俺も納得せざるをえないか。

 正直なところ、これで納得出来てしまう自分を微妙に思う。

 とはいえ、これで新たに追加で高機動型ギャンを開発しなくてもいいのなら、俺としては言うことはない。

 ガトーとノリスが乗るということで、1機余るが……俺が使うか?

 いや、俺は重装フルアーマーガンダムの実戦テストをする必要がある。

 だとすれば、残っている高機動型ギャンは……

 

「1機、後でホワイトスターの方に送っておいてくれ。シャドウミラーの技術班に渡しておく」

「それは構いません」

「え? いいのか?」

 

 自分達の開発した――実際にはツィマッド社の開発プラン通りに製造しただけだが――MSを、こうも簡単に渡すとは思わなかった。

 

「はい。シャドウミラーの技術班は、ディアナの憧れですから」

「……そうか」

 

 憧れと言われても、俺としては技術班の面々の普段を知ってるだけに、色々と困ってしまう。

 茶々丸とかに追われている光景とか、日常茶飯事だし。

 だが……技術力という点では、現在接触を持っているどの世界よりも突出している存在なのは間違いない。

 シャドウミラーの開発した機体を見れば、それが一体どれだけの性能を持っているのかを想像するのは難しくはないだろう。

 ……だからこそ、技術班が暴走するのを迂闊に止められなかったりするのだが。

 そういう意味では、レモンに対しては絶対服従なのはせめてもの救いといったところか。

 

「なら、取りあえずそっちの方は頼む。量産型W辺りに頼めば、その辺は対応してくれる筈だ。後は、ガトーやノリス達にこの機体の事を知らせておくから、早ければ今日にでも操縦訓練をやる為にくると思う。その辺のフォローをよろしく頼む」

「分かりました。シミュレータの方にもデータを入れておきます。……まぁ、実際に機体を動かして操縦感覚を知るでしょうけど」

「そっちの方が確実だし、手っ取り早いしな」

 

 シミュレータというのは、当然のように1つの機種だけではなく、複数の機種に対応出来るようになっている。

 だからこそ汎用性が高い訳だが、特定の機種に慣れるとした場合は、どうしても操縦感覚が違ってくる。

 それでも何故シミュレータを使う者が多いのかと言えば……それは、当然だが実機での訓練となると、推進剤やら実弾を使うのならその弾薬代、その他諸々様々な物資が必要となり、金が掛かる。

 だが……ルナ・ジオンの場合は資源や資金という意味では非常に豊富で、その辺を心配する必要はない。

 だからこそ、実機での訓練の垣根は低いのだ。

 国力が高くて物資とかが豊富にある連邦軍はともかく、その辺が乏しいジオン軍に知られたら色々と恨まれそうな気がするな。

 とはいえ、そのような真似が出来るのもガトーやノリスといったエースパイロットだからこそなのだが。

 さすがにその辺のパイロットが自由に実機訓練をやりたいと言っても、それを許容は出来ない。

 

「じゃあ、諸々はよろしく頼む」

 

 技術者と打ち合わせを終えると、ディアナから出て、ガトーに通信を入れる。

 

『はい。……アクセル代表でしたか。その……どうでしたか?』

「ソロモン攻略作戦の方は問題ない。セイラの方から連邦軍に話を通して貰う予定だ。それと、ガトーとノリスの機体だが、ギャンって知ってるか?」

『ギャンですか? それは、ジオン軍でゲルググと次期主力機の座を争った?』

「そうだ。そのギャンを開発したツィマッド社の方から、生産ラインやら開発プランやらが月に流れてきている」

 

 そう言った瞬間、映像モニタに表示されるガトーの表情が微妙なものになったのは……まぁ、ギャンがどういう機体なのかを知ってるからだろう。

 普通に考えれば、ギャンとゲルググならビームライフルを持っているゲルググを採用する。

 幾ら近接戦闘の実力が高くても、射撃武器が盾に内蔵されているミサイルと機雷しかないんだから、その辺は当然あろう。

 基本的にMS戦闘で格闘戦というのは……全くない訳ではないが、それでもやっぱり射撃戦がメインなのだから。

 あ、でもコロニー内での戦闘となれば、ビームライフルとかは威力過剰だからという事で、近接戦闘が多くなるかもしれないな。

 

「取りあえずお前達に使わせるのは、ギャンの欠点を幾らか解決した高機動型ギャンで、ビームライフルとは言わないが速射砲を持ってるから、遠距離攻撃も出来るぞ」

 

 その言葉を聞き、ガトーは安堵の表情を浮かべるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1591

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