転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2560話

「アクセル代表、お疲れ様です」

 

 そう言い、俺に敬礼をしてきたのはガトーだった。

 重装フルアーマーガンダムの実戦テストは……若干足りないと思ったが、ともあれ終わり、海賊を捕虜としてからサイド6に戻ってその辺をハモンに報告。

 ちなみに当然の話だが、本来ならサイド6の近くで捕らえた海賊だけに、それを裁くのはサイド6の筈だったのだが、その辺はハモンが上手い具合に交渉して、その身柄は俺達が受け取った。

 海賊達はもう2度とサイド6に行けない事になったが、それで済んだのはある意味でラッキーだと言ってもいいだろう。

 ちなみにハモンが行ったサイド6との交渉についても、最終的にはこちらが有利な条件で条約を結んだらしい。

 この辺の実力も、さすがハモンといったところか。

 ともあれ、そんな訳でサイド6での用事を終わらせて無事に月まで戻ってきたのだが……政庁に顔を出すと、そこにいたのがガトーだった訳だ。

 正確にはガトーだけではなくノリスの姿もあったが。

 ガトーと、その隣で同様に敬礼をしているノリスに頷く。

 敬礼を止めたのを見てから、口を開く。

 

「それで、ガトーとノリスが来てるって事は……アイナとギニアスは?」

「ギニアス様は、地球に残って研究の続きをしております。アイナ様は、子供達と一緒に出かけております」

 

 ノリスのその言葉に、ギニアスらしいと思ってしまう。

 元々技術者として優れていたのだが、身体の治療が終わって病気の心配をしなくてもよくなったギニアスは、純粋に技術者として活動していた。

 その成果がアプサラスⅢであり、現在開発中のアプサラスⅣなのだろう。

 

「子供ってのは……例の?」

「はい。奇跡の子供達と呼ばれていた子供達です」

 

 そう言うノリスの目は、微かに悲しみの色がある。

 何かあったのか?

 奇跡の子供達と言われるくらいだし、その辺の事情を考えれば、何か面白くない出来事があった可能性は高い。

 

「取りあえず俺の能力を考えると、奇跡の子供達とは接触しない方がいいだろうな」

「そうですね。申し訳ありませんが……」

 

 ガトーがそう言い、俺に頭を下げてくる。

 恋人のアイナが可愛がっているだけに、奇跡の子供達と俺が接触した時の事を考えると、そう言うしかないのだろう。

 何しろ、相手は子供だ。

 アムロの時の再現は問題外だが、セイラのように能力が強化されたとしても、子供の頃から大人の本音とか、そういうのは見たり聞いたり感じたりしない方がいいだろう。

 

「気にするな。……それより、お前達はどうするんだ?」

「……私は少しの間様子を見たらハワイに戻るつもりです」

 

 そう、ノリスが告げる。

 私はということは、ガトーとアイナは違うのか?

 そう思ってガトーに視線を向けると、ガトーは少し困ったように口を開く。

 

「私とアイナは暫く月に残る事になりそうです。子供達がアイナに懐いているので」

 

 アイナにとだけ言うとなると、ガトーやノリスは懐かれてないのか?

 ノリスは結構な強面だし、ガトーも子供から見れば好感を抱くような感じではない。

 そう思えば、ある意味で仕方がないのか?

 

「そうか。なら、ゆっくりしていってくれ。ガトーもアイナも、月は随分と久しぶりだろう? それにガトーは前の部下達とも会っておいた方がいいだろうし」

「ありがとうございます。ですが……少しアクセル代表にお願いしたいことが」

「……俺に?」

「はい。実は近々連邦軍がソロモンを攻落しようとしているという噂があります」

「あー……まぁ、そうだろうな」

 

 地球上での戦いでは、既に連邦軍が優勢なのは確定的だ。

 実際にジオン軍も多くの者達がHLVとかを使って何とか地球から脱出しているという話だし、それが無理な場合は地球に潜伏してゲリラになってるって話だったし。

 オーストラリアのジオン軍の面々のように、ルナ・ジオンに庇護を求めてくる奴もそれなりにいるらしいが、荒野の迅雷のような異名持ちならともかく、それ以外の少数が庇護を求める場合は、ハワイとしてもそう簡単に人材を動かす訳にはいかない。

 基本的に連邦軍には知られないようにして、行動する必要があるのだから。

 だからこそ、独自にハワイまでやって来た者……それでいて、妙なことを企んでいない者なら、ハワイでも引き受けるが、それ以外の面々に対しては難しい。

 ともあれ、地球での有利を露わにした連邦軍が次に行うのは、当然のように宇宙での支配権の確立だ。

 ルナ・ジオン軍から返還されたルナツーを拠点に、連邦軍が次に狙うのは……間違いなく、ソロモン。

 そう考えるのは、少しでも軍事に詳しい者であれば当然だろう。

 あるいは、月にルナ・ジオンがなければ、キシリアの突撃機動軍が押さえているグラナダを攻撃するという選択肢もあったかもしれないが……今の連邦軍に、月を攻撃するような勇気はまずない。

 もしそのような真似をすれば、それこそ再度ルナツーを失うといった覚悟をする必要があるのだから。

 ジオン軍がいない状況ならまだしも、今の連邦軍の状況でそんな真似は……それこそ、自殺行為でしかない。

 であれば、連邦軍がそんな真似をする筈は、まずないと言ってもよかった。

 そんな中でガトーが俺にソロモンの話をするということは……

 

「ガトーの要望は分かった。だが……いいのか?」

 

 いいのかというのは、ガトーの気持ちに対しての話だ。

 もしルナ・ジオン軍が協力するとなれば、当然のようにそれは連邦軍に対してだ。

 表向き、現在の月はジオン軍と交戦状態にあるのだし、何よりも月としては連邦軍に勝って欲しいのだから、そのように思うのは当然だろう。

 そうなると、当然のようにガトーが協力するのも連邦軍になる訳であり……義理堅い性格をしているガトーにしてみれば、ソロモン攻略というのは精神的にかなり厳しい。

 だというのに、何故ここでソロモンの攻略に出るのか。

 それを疑問に思ってしまうのは当然だった。

 

「私は、覚悟を見せなければならないのです」

「覚悟?」

「はい。今の私がジオン公国軍のアナベル・ガトーではなくルナ・ジオン軍のアナベル・ガトーであり、アイナ・サハリンに相応しい人物であると」

「……なるほど」

 

 その言葉の意味を全て理解した訳ではない。

 だがそれでも、ガトーが強い覚悟で俺にそう言ってるのは理解出来た。

 それこそ、俺が何を言ってもガトーは自分の意思を通すだろうと、そう思えるくらいに。

 ……もっとも、ぶっちゃけた話、ガトーの所属はあくまでもルナ・ジオン軍だ。

 後ろ盾とはいえ、結局のところ別の組織である俺がどうこう言える立場ではないのだが。

 あ、でも今のガトーの所属はアプサラス計画だったか。

 そのアプサラス計画においては、シャドウミラーが全面的にバックアップしている関係上、実は発言力はルナ・ジオン軍よりも高かったりする。

 

「ノリスは?」

「私はガトーの意思を見届けたいと思います」

 

 それはつまり、ノリスもまたソロモンの攻略戦に参加すると言ってることを意味していた。

 以前はアイナの親代わりとしてガトーに厳しくあたっていたのだが、それでもずっと一緒にいればガトーがどういう性格をしているのかというのは分かるだろうし、それでガトーの性格を認めたのだろう。

 こうして見る限りでは、それこそ娘の婚約者を見る目……と言ってもいいような様子を見せている。

 だからこそ、ガトーがそこまでして意地を見せたいのを、自分も見届けたいと思ったのだろう。

 ……とはいえ、何故急にガトーがそんな真似をしなければならなくなったのかというのは、未だに分からないが。

 考えられる可能性としては、サハリン家やその周辺から、アイナの相手としてガトーが相応しくないとでもいうような意見でも出たか?

 ジオン公国では落ちぶれてしまったが、サハリン家が名家であるのは間違いない。

 その上、今ではギニアスはシャドウミラーとかなり近しい。

 サハリン家に近い者にしてみれば、ガトーがアイナの相手として許容出来るかと言われれば、微妙なところなのだろう。

 その辺を気にする必要はないと思うんだが、それはあくまでも俺の考えでしかない。

 ガトーとしては、アイナと結婚を前提に付き合っている以上、全ての人に祝福して貰いたいのだろう。

 

「そうか、分かった。……最後にもう1度だけ聞く。ソロモン攻略戦に参加をするという事は、ジオン軍……かつての同胞と戦う事になる。それを承知の上で言ってるんだな?」

「当然です。私もルナ・ジオンの人間ですから。それに……今のジオン軍には、色々と思うところもあります」

 

 そう沈痛に告げるのは、戦争の中でジオン軍がやって来た色々な事を知っているからだろう。

 元々ガトーが月に来たのも、ジオン軍の……いや、ジオン公国の後ろ暗いところを見ての事だ。

 シーマ達海兵隊の真実。それに、俺が海兵隊にいる時に、宇宙攻撃軍と一緒に戦い、その結果として上のやり取りで海兵隊の手柄がガトーのものになったとかもあったしな。

 それ以外にも、セイラが建国の時に告げた諸々や、ニュータイプを研究するフラガナン機関の実態の暴露といった内容もある。

 また、アプサラス計画に協力する事になり、ハワイに出向いた結果や、オーストラリアに向かい、コロニー落としについてをその目で見る事が出来るようになった。

 それ以外にも、オデッサ攻略作戦においてマ・クベが南極条約を無視して水爆を使おうとしたりとか、そういう諸々を見てしまえば、潔癖なガトーとしてはジオン公国に思うところがあるのは当然だろう。

 ……だからといって、連邦軍が決して綺麗な正義の組織という訳ではないのだが。

 そう考えると、月って何気にそういう意味では後ろ暗いところはそう多くはないのか?

 

「なら、お前達の参加を許可する。機体はどうする?」

 

 ガトーとノリスがハワイで使っているMSは、グフカスタムをベースに開発された、グフ・フライトタイプだ。

 もしくは、グフカスタムか。

 だが、当然のようにグフ系は地上用MSであり、宇宙で使う事は出来ない。

 こうなると、ギャンの開発を急かしておけばよかったな。

 俺が連邦軍から貰ってきたMSの解析もあって、何だかんだとギャンの改修機についての開発はそこまで進んでいないらしい。

 改修する場所が多いから、どうしても開発が進まないという点もあるのだが。

 ギャンはMSとして見た場合、非常に高い性能を持っているところもある。

 だが同時に、射撃武器の不足を始めとして足りない場所も多い。

 その辺を考えれば、やはり改修に時間が掛かるのも当然だろう。

 

「ヅダをお借りしたいと思います。それを調整して貰えれば……」

 

 ガトーの言葉に、ノリスも頷く。

 まぁ、そうなるよな。

 現在ルナ・ジオン軍で一番多く作られているMSは、主力MSのヅダとなる。

 ぶっちゃけ、ゲルググとかも入手しようと思えば入手出来るのだろうが、ソロモン攻略作戦の時にそれを使えば、誤認されて連邦軍に攻撃をされかねない。

 敵味方識別信号を使っていても、場合によっては撃墜されかねない。

 それも誤射という名の連射を受けて。

 そう考えると、俺が以前貰った高機動型ザクR2型であっても、ザクはザクという事で、攻撃をされかねない。

 そうなると、やっぱり月の戦力であるという情報が広まっているヅダに乗るのが最善なのだろう。

 とはいえ、主力量産MSではあっても、能力という点ではどうしても最新鋭機には劣る可能性が高い。

 その辺は……改修の仕方によるか?

 

「分かった。ノリスの分も合わせて、ディアナの方で対処して貰えるようにする。ただし、時間を掛けて改修する訳じゃない。あくまでも短時間で改修する以上、かなりピーキーな機体になると思うが……その辺は大丈夫か?」

「乗りこなしてみせます」

 

 自信があると、そう告げるガトー。

 まぁ、ガトーもノリスも、MSの操縦技術という点ではUC世界全体で見てもトップクラスの実力者なのは間違いない。

 だとすれば、この自信も納得は出来た。

 

「分かった。なら、俺はソロモン攻略戦に参加出来るように、セイラに話を通してくる」

 

 実際のところ、本音を言わせて貰えばソロモン攻略戦で連邦軍には圧倒して欲しくはない。

 ジオン軍との戦闘で、連邦軍にも相応に大きな被害を受けて欲しい。

 戦後の連邦軍との関係を思えば、連邦軍の被害が少ないままでジオン軍に勝つというのは、面白くないのだ。

 いや、面白くないとかそういう話ではなく、月の安全にすら関わってくる。

 だが、ガトーの件を考えると、無茶出来ないというのも間違いのない事実。

 一体どうするのが最善なのかは、俺にも分からない。

 分からないが、それでもソロモン攻略作戦に参加する事になるのは、ほぼ確定であるのは間違いない。

 いっそ、俺達も協力するという事にして、また連邦軍から何らかの報酬を受け取るか?

 それが出来るのなら一番いいんだろうが……

 そんな風に考えつつ、取りあえず俺はセイラに会いに行く事にするのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1591

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