「あら、ようやくこっちに来たのね」
「ふふっ、凛の言う通りだな」
俺の帰還パーティでそう俺に不満を言ってくるのは凛と美鶴の2人だ。
少し珍しい組み合わせなのは間違いないが、それでも納得出来る組み合わせではある。
凛も美鶴も、双方共にお嬢様だ。
……いや、凛の場合はFate世界の冬木に大きな洋館を持ってはいるが、それでもお嬢様と表現するのは難しいか?
何しろ、凛が使う魔術は宝石魔術。
効果は非常に高く優秀な魔術と言ってもいいが、それは同時に宝石を使い捨てるかのような魔術でもある。
つまり、非常に金が掛かる魔術なのだ。
それこそ、俺がサーヴァントとして召喚された時は、貧乏とまではいかないが、それでも裕福といった訳ではなかった。
ただし、学校ではミスパーフェクトといったように言われており、優等生なお嬢様といった地位を築いていたが。
もっとも、それはあくまでも凛が何枚も猫を被っての事だ。
俺の恋人となった今では、この家の中では猫を被らず、素のままの凛を出していた。
「悪かったな。それで、凛と美鶴は何を話していたんだ?」
「ペルソナ世界の魔法についてだよ。……もっとも、魔法という事は凛にとって相変わらず思うところがあるらしいが」
「だろうな」
美鶴の言葉に、俺は納得する。
Fate世界において、一般的に使われるのは魔術だ。
魔法というのは、根源に辿り着いた者だけが使える、一種の奇跡に近い。
それだけに、凛としては複雑な表情を浮かべているのだろう。
「その辺はそこまで気にしてないわよ。ただ、ペルソナ世界の魔法にも興味があるだけで」
凛にとっても、ペルソナ世界の魔法というのは興味深いのだろう。
いずれ、凛もペルソナ世界の魔法を覚えたり、場合によってはペルソナを使えるようになろうとしている……といったところか?
「UC世界にも魔法じゃないけど、ニュータイプとかいるけどな」
「ああ、それね。セイラがそのニュータイプなんでしょ? ちょっと興味深いわね。ただ、魔術や魔法とは色々と方面が違うから、今はまだそこまで興味を持てないわね。色々と便利な力なのは分かるけど」
便利な力。
それは、間違いなく事実だろう。
相手が何を考えてるのかを読み取ることが出来たり、嘘を吐いているのかどうかを把握出来たり。
それ以外にも敵の位置を本能的に察知し、遠く離れた味方が何を考えているのかを理解出来る。
色々な意味で興味深い能力だというのは、間違いのない事実だ。
ただ単に、凛としてはペルソナ世界の魔法の方に強い興味を持っているのだろうが。
「タルタロスがなくなったのは痛いよな。……勿論、美鶴としては、そこは喜ぶべきところなんだろうが」
「そうだな」
俺の言葉に美鶴が頷く。
美鶴にしてみれば、タルタロスというのは桐条グループの犯した罪の証だ。
それを解決する為に、美鶴は中学校の頃……いや、小学校の頃からペルソナや影時間に関わってきたのだ。
そのタルタロスがなくなってから、実はまだあった方がよかったと言われても、美鶴の立場としてはそれを許容出来ないだろう。
しかし……実際、あのタルタロスが色々と便利な場所なのは間違いなかった。
シャドウと戦う事で生身での戦いの実戦経験を積む事が出来るし、何よりもマジックアイテムの類が出るというのは、非常に大きい。
それどころか、武器や防具も出るしな。
タルタロスで入手したハイレグアーマーとかは、今でも十分に使われている。……本来とは別の使い方だが。
ともあれ、上層階に行けば行く程に希少なマジックアイテムを入手出来るという素晴らしい場所だ。
……また、こちらも一体何がどうやって入手出来るのかは不明だが、現金が置かれていたりもする。
それも数千円とかの妙にリアルな金額なのが……うん。日中の月光館学園の中で生徒や教師達の財布から現金が消えていない事を祈るのみだ。
「ペルソナがあった世界なんだし、それを考えれば……あるいは、タルタロスの他にも同じような場所がある可能性はあるかもしれないな。それをどうやって見つけるかは、また別の話だけど」
「その辺は抜かりなく、シャドウワーカーを使って調べさせている」
シャドウワーカーというのは、美鶴が代表を務める……一種の情報機関というか、対シャドウ用の機関というか、そんな感じだ。
シャドウやペルソナにとっての重要なアイテム、黄昏の羽根。
これは世界中に散らばって落ちているという話だし、その辺の事情を考えれば、またどこで同じようにシャドウやペルソナが関係した騒動が起きてもおかしくはない。
もしその情報を入手出来れば、タルタロスのような場所を確保出来る可能性は……あるかもしれない。
もっとも、それが本当にその通りになるかどうかというのは、また別の話だが。
「頑張ってね、美鶴。もし次にタルタロスのような場所を見つけたら、私も参加するんだから。……宝石とかあると嬉しいわね」
「一応ネギま世界の魔法も使えるんだし、あまり宝石魔術に固執する必要はないんじゃないか?」
ペルソナ世界の魔法と違い、ネギま世界の魔法は誰であってもある程度までは習得可能だ。
当然のように、凛もまたエヴァに師事してその辺は習得している。
個人的にはエヴァと凛は相性が悪いような気がするんだが……特に問題はなかったらしい。
問題がなかったらなかったで、また微妙な感じがするのだが。
その後、俺は凛と美鶴の2人と暫く話をし……次の場所に向かう。
「あら、私達が最後なのね?」
綾子とミナトの2人と話していたレモンが、どこかからかうようにそう言ってくる。
まぁ、実際一番最後になったのは間違いないんだから、何も言えないが。
「綾子とミナトからUC世界での事を色々と聞いてたんだろ? それを邪魔しちゃいけないと思ってな」
「ふーん。……まぁ、今日はアクセルが帰ってきた記念すべき日だもの。そういう事にしておいてあげる」
そう言い、気怠そうに桃色の髪を掻き上げる。
特に何かこれといった仕草をしている訳ではないのだが、それでもレモンのその仕草は強烈な色気を感じさせた。
レモンとの付き合いも長いので、当然のようにレモンもそれを承知の上での行動だろう。
……今夜は色々と楽しくなりそうだ。
「そうして貰えると、俺も嬉しいな。それより……マリューから話は聞いたか?」
「ああ、全天周囲モニタとリニアシート? そうね。あれはちょっと驚いたわね。言われてみれば、それをやろうと思えばどうとでも出来たでしょうし」
「MSを操縦する方としては、マグネットコーティングの方も興味深いと思ったけど」
綾子がそう告げる。
MSの反応速度を少しでも上げるという意味では、マグネットコーティングもそれなりに有効なのは間違いないが……あれはフィールドモーターを使っている連邦軍製のMSだからこその技術だしな。それに……
「無理に採用したとしても、TGCジョイントとの兼ね合いがちょっと難しいでしょうね」
TGCジョイント。
テスラ・ドライブ開発過程で得られた重力制御技術を使った技術だ。
最初にその技術を採用したのはグルンガスト。
このTGCジョイントのおかげで、グルンガストはその重量による関節の負担を最小限にする事が出来ている。
そして技術に対しては、どんな世界のものであっても貪欲なレモンがTGCジョイントという技術を放っておく筈もなく、何気にシャドウミラーの機体には全てにこれが使われている。
あ、ちなみにメギロート、イルメヤ、バッタ、コバッタといった無人機は話が別だが。
ただし、シャドウにはこの技術が普通に使われている。
他の無人機と違って、シャドウは技術班が設計したPTなので当然だろう。
「うーん、なるほど。無理なのか。じゃあ、マグネットコーティングはシャドウミラーにとっては無意味な技術とか?」
「まさか」
残念そうに言う綾子の言葉を、レモンは問答無用といった様子で一蹴する。
「技術というのは、あればあっただけいいものよ。その技術がいつどこで役に立つかは分からないし、将来的に全く新しい技術に昇華する可能性もあるもの。その辺りの事情を考えれば、技術の蓄積というのはあればあっただけいいのよ」
レモンの言葉に、綾子は気圧されるように頷く。
半サーヴァントの綾子が気圧されるというのは……うん、まぁ、レモンだと考えれば、不思議でも何でもないか。
「その様子だと、俺がいない間も技術班とかは平常運転だったみたいだな」
「そうね、うちは色々な意味で特殊だもの」
それを否定する事は、俺にも出来ない。
実際、シャドウミラーにおいて技術班というのは、特殊な立ち位置にいる。
元々シャドウミラーは異世界に存在する未知の技術を収集するという事を国是としており、そうして得られた技術をそのままにするのではなく、しっかりと咀嚼してシャドウミラーの技術に融合し、吸収するといった真似をするのが技術班の面々だ。
だからこそ、技術班には天才と呼ばれる者達が集まっている。
以前は天才と呼ばれていた者であっても、技術班に来れば天才というのが最低条件である以上、それが標準となる。
……それでも、自分の技術の発展の為に他人を蹴落としたりするような真似をしないのは……そういう人材をレモンが集めていたという事か。
それどころか、他の技術者と協力して新たな技術を生み出すのにも躊躇しないし。
その結果として、茶々丸やエキドナ、場合によってはセシルまでもが色々と走り回る羽目になるんだし。
いつだったか、俺が聞いた話によるとセシルの魔力による身体強化は実働班に負けないだけの実力を持っているとか何とか。
また、最終兵器としてブルーベリージャムのおにぎりとかも用意しているらしい。
食事に対しては貪欲な俺だが、それは出来れば避けたい食べ物だ。
実際にロイドを始めとした技術班の面々は、結構大きな被害を受けているらしいし。
「ともあれ、技術は集めておいて問題はないって事だな。そういう意味では、UC世界のMSも結構重要なんだろ?」
「そうね。色々と興味深い点はあるわ。特に……ジオン軍とザフトのMSの関連性についてとかね」
だろうな。
ザクやグフ、ドム。
後はジオン軍じゃなくて連邦軍だが、ガンダムとか。
……ジムとストライクダガーは……こっちは似ているとするのはちょっと無理があるか?
そんな風に考えつつも、恐らくその類似性はいわゆる原作が関係しているのだろうと予想出来る。
そのまま名前を流用するような真似をしてもいいのかと、そう思わない事もなかったが。
「とにかく、UC世界の技術が興味深いのは間違いないって事でしょう? アクセルや綾子が頑張った甲斐はあったって事ね」
ミナトの言葉に、レモンはその通りと頷く。
頑張ったってのは、それこそミナトもかなり頑張ってると思うんだが。
ぶっちゃけた話、ホワイトベースが撃墜されないでジャブローに到着出来たのは、ミナトの操船技術があったからこその話だと思うし。
多分ミナトがいなければ、ホワイトベースを操縦していたのはミライだったのだろう。
だが、ミライの操縦技術は決して高いものではなかった。
当然だろう。ミライは元々軍人でも何でもない一般人だ。
それでもシャトルの操縦は出来たからという理由だけで、操舵士の一人にされたのだ。
……恐らく、原作では激戦の中を潜り抜ける事によってミライの操縦技術も上がっていったんだろうけど。
しかし、この歴史ではミナトがホワイトベースの操艦を担当した。
何もない場所ではミライに操舵をやらせていたようだったが、軍艦の操舵もまた実戦を潜り抜ける事で、成長していくのだ。
そうなると、ミライはミナトにある意味で成長の機会を奪われていたって事にもなるのか。
原作と色々と違ってきている以上、ミナトが操舵をしていなければ、ホワイトベースが沈んでいた可能性はあるが。
そう考えると、正直なところ微妙だな。
「ホワイトベースか。……何気に結構便利な軍艦だったよな」
「そうね」
ミナトが俺の言葉に同意するように頷く。
連邦軍の中でも最新鋭艦として、非常に高い性能を持っている軍艦だ。
単純に軍艦としての性能を比べれば、サラミスやマゼランよりも上だろう。
MS運用艦であるというのは、それだけ強力なのだ。
「シャドウミラーの軍艦は……今のままなのよね?」
「そうだな。というか、今の状況でも人が足りないし。やっぱり無人艦がメインで行くしかないだろ」
シロガネがメインの軍艦として使われていて、それ以外にも機動要塞としてニヴルヘイムがある。
それ以外にも、ピースミリオンやバルジ、リーブラ、ジェネシス……それらがあるが、運用するだけの人員は足りない。
結局量産型Wや無人機を使ってその手の物は使っているが、それを考えると有人艦の量産というのは……ちょっと難しいだろう。
そんな風に考えつつ、俺はレモン達と話し……ルリやラピスとも楽しく話をして、パーティを満喫するのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1591