「じゃあ、アクセルの帰還を祝って……乾杯!」
『乾杯!』
レモンのその言葉と共に、皆が持っているコップを掲げて中身を飲み干す。
とはいえ、俺が酒を飲むのは色々と危険なので、誰も酒を飲んでいないのだが。
大人勢はウーロン茶、ルリとラピスはオレンジジュースだ。
……ちなみにレモンが乾杯の音頭を取っているのは、やっぱり俺がいない間のシャドウミラーを仕切っていたのがレモンだからだろう。
というか、ぶっちゃけ俺がいる時よりもシャドウミラーの運営は良好だったんじゃないだろうか。
俺とレモンのどちらが組織運営に向いているかと言われれば、それこそ俺でもレモンの方が向いていると思うし。
実際、戦いが起きれば真っ先に敵に突っ込んだり、ゲートを使って未知の世界に転移したりしている俺が一国の代表であるというのは、色々と無理があると思う。
思うんだが、それでも何故かレモンを含めて皆が俺を代表にしたがるんだよな。
「さて、皆。今日は私と千鶴、それに他の人達も頑張って料理を作ったから、しっかりと食べてね。……ゆかりは、もう少し頑張って欲しいけど」
「う、そ、それは……」
マリューの言葉に、ゆかりが怯む。
そう、このパーティにはいつもならペルソナ世界で寝泊まりしているゆかりと美鶴の2人も参加している。
本来なら、2人も色々と用事があった筈なのだが、俺が帰ってきたパーティを開くという事で、その諸々の用事を無理矢理片付けてやってきたのだ。
「あー……うん。ほら、前よりは美味くなってると思うぞ」
料理の腕の違いにショックを受けていたゆかりを、そう慰める。
とはいえ、それは全くの出鱈目という訳でもない。
俺がゆかりと会った当初……ペルソナ世界で一緒に活動していた時、ゆかりは料理が出来ない訳ではなかったが、それでもいわゆるメシマズといった分類ではなかった。
取りあえず、食べられる食材を使って毒物を作るといったような事はなかったのだから。
だが、それはあくまでも食べらない事はないといった程度の料理だった。
釜玉うどんとかの簡単な料理を荒垣から教えて貰っただけの俺が言うのも何だが。
あ、でも釜玉うどんとか、教えて貰った料理でなら、ゆかりに勝てる自信はある。
「……馬鹿」
俺の言葉に何を感じたのか、ゆかりは若干頬を赤く染めながら、そう言ってくる。
結局のところ、料理も魔法とかと似たようなものだ。
一定の水準までなら、それこそしっかりと勉強してレシピ通りに作れば誰でも出来る。
ネギやエヴァのように、魔法で一線を画した存在のいる場所にいる者……例えば世界的な料理コンクールで優勝したり、一流ホテルのコック長だったりするレベルになるには、当然のように才能も必要だろうが。
「あ、ゆかりがアクセルとイチャついてる」
「なぁっ!?」
俺とゆかりの様子を見た美砂が、からかうように言う。
そして相変わらず、ゆかりはこの手のからかいに弱い。
頬を赤くしながら、美砂と言い争いを始める。
「美砂とゆかりの2人って、何だかんだと相性がいいのよね」
「いや、それはゆかりがいれば、円がからかわれる可能性が減るからじゃないのか?」
円は俺の言葉に視線を逸らす。
美砂とは俺と知り合うずっと前からの親友らしいが、基本的に生真面目な円は美砂にからかわれる事が多い。
ゆかりやマリュー、エリナといった生真面目枠の1人だからこそだろう。
そんな訳で、ゆかりがからかわれていれば、自分には被害が及ばない。
そう思っての言葉……という一面もあるのだろう。
「……さぁ?」
俺の言葉が正しいという証拠に、円は視線を逸らしたままそう答える。
うん、これは後でお仕置きをしないといけないな。
ゆかりはまだ多人数――美鶴と俺の3人ならともかく――での行為に慣れていないが、ゆかりにも協力して貰って円にお仕置きをしよう。
「アクセル君、何か妙な事を考えてない?」
「いや、楽しい事は考えてるけど、それだけだな」
「とてもじゃないけど、安心出来ないんだけど」
不満そうな様子を見せる円だったが、それに何かを言うよりも前にあやかと千鶴の2人が俺の側にやって来る。
「アクセル君、UC世界で大変だったでしょう? あやかも心配してたのよ?」
「ちょっ、何でそんな……いえまぁ、アクセル君の事を心配していたのは間違いないですけど」
「大変か。そうだな、色々な出来事が連続して起こったから、大変と言ってもいいのかもしれないな」
サイド7の襲撃から、ジャブロー到着までに一体どれだけの事件が起きたのか。
正直、UC世界の主人公たるアムロは、原作でよくもまぁ、あんな大量の出来事をこなせたなと感心してしまう。
とはいえ、そういう数々の試練を乗り越えたからこそ、俺がセイラと接触した時に見たように、アムロはかなり先の未来までエースと呼ぶべき存在になったのだろうが。
にしても、本当に原作でEXAMシステムとか、陸戦型ガンダムとか、その他諸々出て来たんだろうか。
荒野の迅雷とか奇跡の子供達とかがオーストラリアにいたという事は、多分原作だとホワイトベースはオーストラリアにも行ったんだろう。
そうなると、多分俺が関わった影響で本来なら原作でアムロが体験する筈だった出来事は幾つかスルーした……のか?
アムロには謝ればいいのか、感謝しろと言えばいいのか、微妙なところだ。
ただ、俺と綾子、それにミナトが協力したのだから、間違いなく原作よりも戦力的には上だった……と、そう思う。
「月は私も何度か行ってみましたが、活気のある場所でしたわね。治安も悪くないですし」
「ふふっ、あやかったら……」
「ちょっ、それは言わないという約束でしたわよね!?」
千鶴が何か言おうとするのを、あやかが必死になって止める。
……クレイドルで一体何をやったんだ?
そんな疑問を抱くが、今のあやかの様子を見る限りでは、何を言ってもまず答えないだろう。
「これからも暫くは月で活動する事になると思うから、月はもっと発展していくだろうな。……それこそ、地球や各コロニーから多くが集まってくるだろうし」
「政治班としても、そちらは重要ですもの。大歓迎ですわ」
ふふっ、と。
あやかは数秒前の焦った様子とは異なり、自信に満ちた笑みを浮かべる。
そんなあやかの横では、千鶴もまた満面の笑みを浮かべていた。
この2人も、政治班に所属してから何だかんだと長い。
それこそ、本人の資質と多数の世界との交渉による経験、魔法球を使っての勉強と、今や立派な政治班の戦力なのは間違いなかった。
「ルナ・ジオンはまだ建国したばかりなんだし、政治家の数も……いや、数はいるけど、質は決して高くない。適度に揉んでやってくれ」
アンリが連れてきた面々、そして勝ち馬に乗ろうと月に亡命してきた面々といったように、ルナ・ジオンには政治家という点では数が多い。
だが、その多くは能力的に決して満足出来る水準ではなかった。
……とはいえ、それはあくまでもシャドウミラーの政治班と比較しての話なのだが。
百戦錬磨と呼ぶべきシャドウミラーの政治班が揉んでやれば、ルナ・ジオンの政治家達もその能力を上げる事になる筈だ。
せめてもの救いは、ルナ・ジオンの政治家達が裏切る心配は基本的にしなくてもいいという事か。
コバッタや量産型W、それに何より、現在UC世界で最高のニュータイプたるセイラがいるので、そんな真似はまず出来ないのだ。
「そうさせて貰いますわ」
「そうね。私達にとっても重要な存在になるのだから、能力的に低いのは困るわね」
うふふ、おほほと笑いながら、どうするのかといった相談をするあやかと千鶴をその場に残し、俺は別の場所に向かう。
「アクセル、ちょっとこっち。こっちに来なさいよ」
エリナと一緒にいたシェリルが俺を呼ぶ。
「エリナとシェリルって……随分と珍しい組み合わせだな」
「そう? ……ああ、そう言えば言ってなかったっけ。私は最近、シェリルのマネージャーをやってるのよ」
「おかげで助かってるわ。……少し生真面目な性格が堅苦しいけど」
「マネージャーだから、そのくらいでいいのよ」
シェリルの不満にエリナはそう返す。
そうか。元々エリナはナデシコ世界で有数の大企業たるネルガルの会長秘書をやっていたんだ。
そう考えれば、シェリルのマネージャーとして相応しいのは間違いない。
……シェリルにとって、マネージャーというのは色々と複雑な存在だ。
マクロス世界での事を思えば、それも当然だろう。
だが、エリナの様子を見る限りでは上手くやっているらしい。
やっぱり裸の付き合いとかが影響してるんだろうな。
「シェリルのマネージャーってのは助かるけど、政治班の方はいいのか?」
ふと疑問に思い、エリナにそう尋ねる。
そんな俺の言葉に、以前のショートカットと比べて背中の半ば辺りまで伸ばした髪の毛を撫でながら、エリナは頷く。
「ええ。政治班の方も面白いけど、シェリルのマネージャーもかなり面白いもの。それに、政治班の方でどうしても手が足りないようなら、手伝いに行くしね」
「なら、安心か。それで、シェリルは最近どんな活動をしてるんだ?」
どこの世界で活動してる? と聞いてもいいんだが、シェリルの場合は様々な世界で活動してるしな。
また、世界が違う関係上1曲作れば、それを複数の世界で発表出来るというおまけ付きだ。
世界が違う関係上、演出とか細かい違いとかは調整する必要があるだろうが、それでも複数の世界で一気に発表する事が出来るというのは大きい。
シャドウミラーとして、非常に有利なところだな。
もっとも、それはあくまでもシェリルの実力ありきの話だ。
そのような真似が出来るとしても、それこそ歌手に実力がなければ意味はないのだから。
「基本的には歌手だけね。……中には映画に出て欲しいって要望もあるんだけど、全部断ってるわ。歌の提供ならともかく、俳優は畑違いだもの」
「それで正解よ。シェリルはミステリアスなところが受けてるんだから、本人が表に出てくるような真似をしたら……」
そこで言葉を止めたエリナだったが、何を言いたいのかは大体理解出来た。
勿論、シェリルの美貌や歌唱力を考えれば、表に出れば今よりももっと人気は出るだろう。
だが、それは恐らくかなり短いブームとなる可能性があるし、下手に人気が持続してもその対処が難しくなる。
あるいは、1つの世界だけならそのような事になっても対処は可能なのだが、基本的にシェリルはシャドウミラーの広告塔という意味もあって、多くの世界で同時に活動しているのだ。
そうである以上、活動するにしても1つの世界に集中する訳にはいかない。
「その辺はエリナとシェリルの判断を尊重するよ。シェリルがやりたいのならともかく、やりたくないのなら断った方がいいだろうし」
「ありがと。やっぱりアクセルは分かってるわね」
満面の笑みを浮かべるシェリルは、それこそどの世界でももの凄い売れっ子になるのが理解出来る魅力を持っていた。
……だからこそ、シェリルの詳しい事情を知っているファンにしてみれば、その恋人の俺という存在が許せないのだろうが。
その後、少し話した後で俺は別の場所に向かう。
「アクセル、UC世界のMSはどうだった?」
「私も興味があるな」
コーネリアとスレイの2人にしてみれば、俺が数ヶ月もホワイトスターを留守にするだけの価値がUC世界の持つ技術にあるのだろうと考えたらしい。
まぁ、それは決して見当外れという訳でもないのだが。
「そうだな。MSはまだ開発されたり運用されたばかりだから、そこまで突出した技術はない。主要な動力炉も、ミノフスキー物理学を使った核融合炉だし」
普通の世界にしてみれば、核融合炉を使っているという時点で驚くべき技術だと言ってもいいだろう。
それもMSに搭載可能なサイズにまで小型化してるという点では、かなり高い技術力を持っていると言ってもいい。
だが……それがシャドウミラーでとなると、時代遅れの産物となってしまうのだ。
何しろシャドウミラーでは、ミノフスキー物理学を使わない核融合炉、それよりも次世代の核融合炉たるプラズマジェネレーター、そして核融合炉よりも圧倒的な出力を生み出すブラックホールエンジン。
世代的には、シャドウミラーはUC世界のかなり先を行ってるのだ。
それ以外にも、時流エンジンとかあるし。
そういう意味では、核融合炉は珍しくはない。
とはいえ、シャドウミラーで使っているのと別形式の核融合炉というのは、技術班にとっては興味深いだろうが。
後は、全天周囲モニタやリニアシートなんかは、技術班だけではなく実働班でも興味深い技術だと思う。
その辺りの情報を告げると、2人は興味深そうな様子を見せる。
魔力や気で身体能力を向上させることが出来ても、負担が少なくなる方法があるのなら……と、そのように思っているのだろう。
他にもガンダム7号機についての話をしたりと、俺は少しの間コーネリアとスレイとの会話を楽しむのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1591