転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0243話

「では、地球圏に起きていた戦争の終結とホワイトスターに移住してきた者達を歓迎して……乾杯!」

『乾杯!』

 

 俺の声と共に、パーティ会場に乾杯の声が響き渡る。

 集まった人数はざっと50人前後。俺が予想していたよりもかなり多くの人数がこのパーティに参加している。

 ノイマンを始めとするアークエンジェルの学生組以外のブリッジクルーに、マードック率いる整備班の面々。クサナギやエターナルから来ている者達もいる。

 エターナルから来ている者達にしてみれば、パーティ参加者としての一面以外にもプラントの大使であるラクスを護衛する目的もあるんだろうが。

 ちょっと変わった所では、エリカ・シモンズとアストレイ3人娘の姿もある。パーティ会場で初めて会ったにも関わらずシャドウミラーの技術班と盛り上がっているのはちょっと意外な展開だ。良い雰囲気を出している者も数人いるので、もしかしたらアストレイ3人娘と技術班でカップルが成立するかもしれない。

 他の面々もそれぞれ周囲の者達と談笑しており、パーティ会場には和やかな雰囲気が漂っている。

 中でもディアッカとイザーク、エザリアの3人が会話している所では、エザリアとディアッカの会話を聞いていたイザークが照れて顔を赤くしているという珍しい光景が展開されていた。

 

「はい、アクセル。お疲れ様」

 

 そう言ってレモンが持ってきてくれたのは料理が載せられた皿だ。さすがにこの人数のパーティとなると以前のようにレモンやマリューだけで料理の準備が出来る訳もなく、オーブにある料理店に頼んで用意して貰った。

 ……もっとも、料理に関しては数日前に用意した物を空間倉庫に入れてあっただけなのでそう大した手間が掛かってる訳じゃない。少なくても輸送費に関して言えば完全に無料だしな。

 パーティ会場に置かれている料理の減り具合を見つつ、まだ追加を出さなくてもいいと判断してレモンが差し出してきた皿に載っていたローストビーフを口へと運ぶ。

 

「美味いな。さすがは評判の店だけはある」

 

 このパーティに出された料理は全てウズミから紹介して貰ったオーブでも有数の人気店の品だけに、味に関しては文句は無い。

 

「来週からまた忙しくなるんでしょう? せめて今日くらいは楽しむといいわ」

「ああ、ユニウス条約の調印式典か」

 

 そう、来月には俺はまたこのオーブから宇宙へと上がる事になっている。ユニウス条約の調印式典がある為だ。

 当初は面倒極まりないこんな式典に出るつもりは一切無かったのだが、この戦争を終結させた組織のトップとして式典に出る義務があるとウズミに説得されて断り切れなかった。まぁ、実際には以前のユニウス条約に関する会議を行った時のように抑止力としての面が強いんだろう。

 せめてもの救いはレモン達が付き合ってくれる事か。俺の新機体に関する開発や設計で忙しいと思うんだが……

 

「でも、良かったのか?」

「何が?」

「式典だよ。機体開発で色々と忙しいんだろう?」

 

 俺のその言葉に、笑みを浮かべるレモン。まさに、薔薇の咲いたような笑顔という表現がそのままといった感じの魅力的な笑顔だ。

 

「大丈夫よ、T-LINKフレームに関しては一段落ついたから」

「何? もうか?」

「もうって程じゃないと思うけど……私達にしては手こずった方だし。それに一段落したと言っても、まだ目処が付いたといった所よ? 理論上は完璧な筈だけど、実際に作ってみないとどんな不具合があるか分からないしね。そもそもアクセルが使う新機体の最重要パーツなんだから、念には念を入れて当然でしょう?」

 

 にこりと笑みを浮かべながら、フォークを持ってる右腕へと自分の腕を絡めてくる。レモンの柔らかくも魅力的な膨らみが俺の肘に押されてグニュリと形を変えるのを感じながら、照れを隠す為にぼやくように言う。

 

「……食えないんだが」

「私が食べさせて上げるわよ」

 

 そう言ってフォークを取り上げ、ローストビーフを俺の方へと差し出してくる。

 

「ほら、あーんして」

「……レモン……」

「あーん、よ? 貴男の為に頑張っている私に少しくらいご褒美をくれてもいいんじゃないの。ほら、あまり躊躇っているとソースが床にこぼれるわ」

 

 確かにローストビーフに付けられているグレービーソースが今にも床にこぼれ落ちそうになっている。

 レモンも諦めるつもりはないようだし……内心で溜息を吐きながら、差し出されたローストビーフを口へと運ぶ。

 

「どう? 恋人に食べさせて貰うと一味違うでしょう?」

「そういう事にしておくよ」

 

 そこまで言って周囲が静まりかえっているのに気が付く。と言うか、周囲の視線が痛い程にこちらへと集中していた。

 チラリと見ると、トールがミリアリアへと持っていたフォークでテリーヌを差し出して『あーん』をしている。いや、それは男女逆だから。

 

「相変わらず仲がいいですね」

 

 苦笑しながら沈黙を破って近づいてきたのは、キラだった。その両脇にはラクスとフレイの姿もある。

 

「そう言うキラこそ、仲がいいようで何よりじゃないか」

「あらあら、アクセルさんもそう思いますか?」

 

 嬉しそうに微笑みながらラクスが口を開く。

 

「ご挨拶が遅れてしまいましたわね。今日はパーティに呼んで頂き、ありがとうございます」

「何、そう畏まる必要も無い。見ての通り皆で飲んで騒ぐ宴会だからな」

「そうですね、堅苦しいだけのパーティと違って皆さんとても楽しそうにしていらっしゃいますわ」

 

 そんな風に会話をしている俺の横では、フレイが皿に料理を取ってキラへと渡しながら世話を焼いていた。

 

「ほら、キラ。このマリネ凄く美味しいわよ。……でもこの味、どこかで食べたような……」

「あら、なかなかの食通ね。そのマリネはオーブ政府御用達のお店の物よ」

 

 俺の腕からその身を離し、フレイと談笑するレモン。

 

「来月のユニウス条約の式典には?」

「私は一応、プラントの代表の1人として出席予定ですわね」

「キラは出ないのか?」

「僕は特に役職に付いている訳でもありませんし。それにモルゲンレーテでの仕事がありますしね」

「何をやっているんだ?」

「M1アストレイの水中仕様機の開発です。水中戦に対応するプログラムがちょっと難しくて」

 

 水中用MS? つまり……

 

「第二MS開発部か?」

「え? ええ。よく知ってましたね。あそこはそれ程名前が知られてないんですが」

「あそこの主任のコウ・アスカとはそれなりに付き合いがあってな。と言うか、本来はアスカ一家も招待するつもりだったんだが、忙しくて辞退されたのにキラは良く来れたな」

 

 俺のその言葉に苦笑を浮かべるキラ。

 

「アスカ主任が、僕は戦争を終わらせた功労者なんだから今日くらいは息抜きをして来いって」

「なるほど。それで恋人2人を連れてパーティに出席という訳か」

「あらあら、キラの恋人だなんて……照れますわね」

「ちょっ、アクセルさん! 僕は別に……」

 

 顔を赤くしながら照れるキラ。そんな様子に苦笑を浮かべながら忠告してやる。

 

「いいか、優しいというのは確かにお前の美点だろう。だが、優柔不断になるのだけはやめておけよ」

「……はい」

 

 まぁ、恋人が3人もいる俺が言えたアドバイスじゃないんだろうけどな。

 そんな風に数分会話をし、キラ達は他の参加者の下へと去って行く。

 

「恋愛関係に関してアドバイスするなんて、アクセルも成長したものね」

「そう言うなよ。これでもそっち方面は苦手だと自覚してるんだから」

「自覚、ねぇ。以前俺に恋愛関係は得意分野だとか言ってたのは誰だったっけ?」

 

 俺とレモンの会話に割り込んできたのはムウだった。隣にはナタルとレイの姿もある。

 

「ムウか。あの時は浮かれてたんだよ」

「だろうなぁ。マリューがアクセルの事を気にしていたのに全然気が付いていなかったし」

「へぇ、それはちょっと気になるわね」

 

 横から声を掛けて来たのは、話に出ていた張本人のマリューだった。

 

「マリュー、マードック達はいいのか?」

「ええ。技術班の皆と話が弾んでるようだから、邪魔しちゃ悪いと思ってね」

「これは、ラミアス艦長。お久しぶりです」

 

 反射的にだろう、ナタルが敬礼をしながらマリューへと挨拶する。

 そんな様子のナタルをマリューは苦笑しながら窘める。

 

「ナタル、もうアークエンジェルの艦長は貴方でしょう? 今の私は艦長でも少佐でもないただのマリュー・ラミアスよ」

 

 そこまで言い、ふと俺へと視線を向けて悪戯っぽい笑みを浮かべる。

 

「いえ、違うわね。シャドウミラーを率いているアクセル・アルマーの女であるマリュー・ラミアスね」

「……マリュー、ナタルが困ってるぞ」

 

 ナタルの顔が赤くなっているのを見ながら、溜息を吐く。

 そんなナタルの様子を見ていたムウだったが、ニヤリとした笑みを浮かべると口を開く。

 

「それならナタルは、シャドウミラー隊員の俺の女であるナタル・バジルールだな」

「ちょっ、ムウ!」

 

 ただでさえ顔が赤かったのが、熟したトマトの如く赤面しながらムウの脇腹へと肘をめり込ませる。

 

「ぐっ!」

「全く……時と場所を考えて下さい!」

 

 鋭い肘打ちに踞るムウを見ながら、周囲と同じように笑っているレイの方を見る。

 

「どうだ? やって行けそうか?」

「ええ。ムウさんもナタルさんもとても良くしてくれていますので」

 

 クールと言うか、無表情がレイのデフォだと思っていたんだが……今の様子を見る限りでは、普通の子供と変わらないように見えるな。

 

「アクセル」

 

 ムウとナタルの夫婦漫才をレイと共に眺めていると、後ろから声を掛けられる。聞き覚えのある声にそちらへと振り向くと、そこにはカガリが隣にアスランを引き連れ、どことなく真面目な顔つきでこちらへと近づいて来ていた。

 ……真面目? このパーティと言うか、無礼講の宴会の場で?

 何となく嫌な予感を胸に抱きつつ2人が近づいてくるのを待つ。

 

「ちょっといいですか?」

 

 アスランの問いかけに頷き、レモンに目で合図をしてその場から離れる。

 

 

 

 

 

 パーティ会場の隅まで移動し、カガリとアスランの2人と向かい合う。

 

「で、どうしたんだ?」

「セイラン家が裏で何やら蠢いているらしいと報告があった。お父様……いや、ウズミ代表が念の為にアクセルに知らせておけと」

 

 セイラン家、ここで動くか。しかし……

 

「何故ここで動く?」

 

 ロゴスやブルーコスモスと繋がりがあっても、セイラン家はあくまでもオーブに所属している。しかも有力な氏族として。なのに、何故オーブが戦勝国としてこれから飛躍的に発展していくのが確実なこの時期に?

 

「ええ、アスハ代表もそれを不思議に思っていました」

 

 アスランも俺と同じような疑問を抱いたのだろう。苦い表情を浮かべている。

 セイラン家としてはオーブの一員であるよりもロゴスやブルーコスモスの一員である方を選んだのか? まぁ、世界経済に影響力を持っている組織とぽっと出のシャドウミラーの力を借りて戦勝国になったオーブだ。天秤に掛けてあちら側を選ぶというのもあり得るかもしれない。

 

「分かった。警戒はしておく」

「ああ、オーブの方でも警戒はしておくがそちらでも念の為に頼む」

 

 カガリの言葉に頷き、内心で嫌な予感を抱きながらもパーティを続けるべくレモン達の下へと戻っていった。

 あるいは、この時念動力が俺に対して何らかの危険を教えていたのかもしれない。




名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:615
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:374

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