転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2528話

 ギニアス達との打ち合わせを終えると、俺はすぐにまた北米に戻る。

 アイナの乗っているグフ・フライトタイプの動きを見て欲しいとノリスとガトーから言われたのだが、残念ながら今はそんな事をしているような余裕はない。

 それにしても、分かっていた事だがハワイで使われているMSはグフ・フライトタイプが多いな。

 空を飛ぶという関係上、どうしても普通のMSよりも危険性は高い。

 高いのだが……アイナの場合はアプサラスⅢに乗っており、空を飛ぶという感覚を理解しているというのが大きい。

 アプサラスⅢはミノフスキークラフトで飛んでるのに対して、グフ・フライトタイプの方は足のジェットエンジンで飛んでいるのだが。

 その辺の違いは、アイナの慣れでどうにかなったのだろう。

 そんな訳で、フルアーマーガンダム7号機の整備や補給をしている場所に戻ってきたのだが……

 何故か、メカニック達と軍人が睨み合っている光景が俺の目の前に広がっていた。

 

「何だ、これは?」

「おお、戻ってきたか。一体、どこに行っていた? おかげで、いらぬ欲を掻いた者達によって、この様だ」

 

 メカニック達を統率している親っさんが、俺を見てそう言ってくる。

 にしても、いらぬ欲?

 そう思ったが、それが何を意味しているのかはすぐに分かる。

 何しろ、ここに存在しているのはフルアーマーガンダム7号機とマドロック。

 そしてマドロックはエイガーがパイロットで、連邦軍所属のMSだ。

 それに対して、フルアーマーガンダム7号機は違う。

 開発元こそ連邦軍だったが、現在そのMSを使ってるのは俺だ。

 そして、俺は連邦軍の所属ではない。

 ガンダムのセカンドロットの中でも一番最後に開発された……つまり一番性能の高いMSを、連邦軍以外の者が持っているというのが我慢出来なかったのだろう。

 実際にはセカンドロットは同時に開発されている面も大きかったりするので、7号機だからといって一番性能が高い訳ではない。

 もっとも、7号機の場合は本来ならまだ開発出来なかった筈が、月やシャドウミラーの影響によって技術力が上がった結果開発が完了したのだ。

 そう考えれば、7号機がセカンドロットの中で最も性能が高いというのは、決して間違いではない。

 ……とはいえ、それでも技術的な問題があったのか、ビームライフルが暴発したりもしたのだが。

 

「この様か。……で? これは俺が個人所有してる機体なんだが、それをどうするつもりだ?」

「現在、北米での戦いは苦戦している。それに対処する為には強力な戦力が必要だ。このMSが強力なのは今日の戦闘で理解した。よって、このMSは徴発させて貰う」

 

 そう、はっきりと告げた。

 正直なところ、向こうの言いたいことは分からないでもない。

 北米を守っているジオン軍がかなり強固な防衛網を敷いていて、連邦軍が苦戦をしているのは事実なのだから。

 だが……だからといって、俺が個人所有する……それもレビルやゴップから報酬として貰ったMSを強制的に徴発するというのは、話が違う。

 

「寝言は寝て言え。……いや、寝ていても周囲にいる者達にしてみればうるさいから、寝言を言うな」

「……ほう。私にそのような口を利いていいと思っているのかね? 君はホワイトベース隊に所属している傭兵……つまり、正規の連邦軍の軍人ですらない筈だが」

 

 なるほど。

 何でこの軍人が妙に強気なのかと思えば、中途半端に俺の事情を知っていたからか。

 だからこそ俺の正式な事情は知らず、ただ単純に俺がホワイトベースに乗っている傭兵だと、そう判断したのだろう。

 正直なところ、一体何を考えてそのような結論になったのかは俺にも分からない。

 そもそもの話、最新鋭のMSをレビルやゴップが俺に報酬として支払ったという時点で、俺がただの傭兵ではないというのは理解してもおかしくなさそうだが。

 

「一応聞いておくが、これはお前の上司の指示か?」

「さて、それを説明する必要性は感じないが? 所詮傭兵風情。連邦軍の事情に首を突っ込むよりも、今は大人しくこちらにMSを引き渡す事だけを考えた方がいいと思うがね」

 

 得意げにそう呟く軍人だったが、その態度から予想する限りでは目の前にいる男の独断専行といった可能性が高そうだ。

 とはいえ、こちらとしてもそれにどう対処するべきかと考えると、正直微妙なところなのだが。

 ここでこの軍人を倒すのは難しくはない。

 だが、そうなると間違いなく騒動になる。

 俺は頼まれてここにいる以上、この一件で騒動を起こしても特に問題はないと思えるが……それでも、連邦軍の上層部が介入してくるまでは面倒な事になるのは間違いない。

 かといって、まさか本当にここでフルアーマーガンダム7号機を向こうに渡すのも、論外。

 そうなると、一体どう対応したらいいものか。

 

「何をしてるんですか?」

 

 いっそこの軍人やその背後で銃を構えている連中を纏めて叩きのめしてしまおうか。

 そんな風に考え、実行しようとしていたところで、そんな声が掛けられる。

 声の主が誰なのかというのは、考えるまでもなく明らかだ。

 何故なら、俺はその声に聞き覚えがあったのだから。

 

「貴様は? ……ふんっ、少尉如きが何の用だ?」

 

 俺と言い争いをしていた軍人は、エイガーの階級章を見て少尉だと認識したのか、あからさまに見下しだ表情でそう尋ねる。

 ちなみにその軍人の階級はと確認すると、大尉の階級章をつけている。

 なるほど。大尉ならある程度は独断専行で動くことが出来て、その上で騒動の規模が小さければ揉み消す事も可能だろう。

 もっとも、それは逆に言えばある程度以上の騒動になれば、どうしようもなくなるという事でもあるのだが。

 

「自分がガンダム6号機のパイロットです。今回の件は、レビル将軍からの命令で彼と行動を共にしています。もし何かご不明な点があるのなら、レビル将軍に連絡をしますか?」

 

 ピキピキピキ、と。

 そんな擬音が頭に思い浮かぶ程に、男の表情は硬くなっていく。

 どうやら、俺がレビルからの要請でここにいるというのは、全く分からなかったらしい。

 とはいえ、エイガーがいるのは別にレビルの指示という訳ではなく、どうしても自分が一緒に来たかったからというのが正しいのだが。

 この手の男にはレビルの名前を出すのが手っ取り早いと判断したのだろう。

 実際、それがしっかりと効果を発揮しているのは、この男の顔を見れば分かるが。

 エイガーも当然のようにそんな様子には気が付いてるのだろうが、それを表に出さないようにしながら、口を開く。

 

「失礼ですが、大尉の名前を教えて貰えますか? レビル将軍に提出する報告書に書く必要がありますので」

「っ!?」

 

 その言葉が致命的だったのだろう。

 男は慌てたように周囲を見回す。

 特に背後で銃を持っている兵士達が、本当に大丈夫なのか? といった視線を自分に向けているのに気が付くと、男は迷い……最後に俺を睨み付け、悔し紛れに叫ぶ。

 

「覚えておけ! これで終わったと思うなよ! ……行くぞ!」

 

 そう言い、兵士達を率いてこの場から立ち去る。

 うーん、これは正直……うん、何て言えばいいんだろうな。

 正直なところ、滑稽という言葉がこんなに似合う相手もそうはいないだろう。

 そんな俺の予想を裏付けるように、男の姿が見えなくなったところで、メカニック達も含めてこの場にいた全員が笑い出す。

 

「ぶわははははは! 見たか、あの大尉の顔色が青くなっていくところ!」

「ひー……腹が、腹が痛い……もしかしてこれって、ジオン軍の攻撃なんじゃないか?」

「最初はあんなに偉そうにしてたのに、見たかよあの態度」

 

 そんな風に、ここにいるメカニック達の殆どが面白おかしく笑う。

 実際、あれだけ偉そうにフルアーマーガンダム7号機の引き渡しを要望してきた相手だというのに、実際にレビルの名前を出した途端に及び腰になり、そのまま逃げていったのだから、それで笑うなという方が無理だろう。

 

「それで? さっきの男の一件は実際にレビルに報告するのか?」

 

 エイガーにそう尋ねるが、返ってきたのは首を横に振るという行為だ。

 どうやらエイガーは今回の一件をレビルに報告する気はないらしい。

 エイガーとしては、相手が大尉という階級にあるのが大きいんだろうが……

 

「いいのか? もし報告しなかった場合、図に乗って妙な事をしかねないぞ? 俺の場合は、今回の一件が終われば連邦軍からいなくなるけど、エイガーの場合はまだ残るんだろ?」

「それでもだ。今この状況で妙な騒動を起こせば、色々と不味い事になりかねないからな」

 

 そう告げるエイガーの様子を見る限りでは、ここで俺がこれ以上何を言っても無駄なのは明らかだ。

 であれば、こちらとしてはこれ以上突っ込むのは止めておこう。

 エイガーが全て承知の上でという事なら。

 ……まぁ、俺は明日でこの戦場から消えるし、エイガーも同じ連邦軍とはいえ、ジャブローに戻るのだ。

 そう考えれば、特に何かが起こるといったことは考えなくてもいいか。

 にしても……ああいう子悪党が普通にいるというのを考えると、この戦場は色々と危険じゃないか?

 この戦場にいる連邦軍の上層部も、その辺りについて全く理解していないのか、それとも単純にあのような子悪党がいても問題はないと思っているのか。

 その辺の事情は俺にも分からなかったが、それでもこの戦場で俺達がいなくなった後で妙な事にならないといいな、と思わないでもない。

 

「まぁ、今の件はいいとして……フルアーマーガンダム7号機の補給と整備は?」

「問題ない。その気になれば、いつでも出撃は可能だ」

 

 メカニックの親っさんが、そう言ってくる。

 セカンドロットのガンダムに関わってるだけあって、その技量は間違いなく一級品なんだよな。

 だからこそ、メカニックの纏め役をやっているんだろうが。

 

「一応聞くけど、ビームライフルとビームキャノンの方も問題はないんだよな?」

 

 技量が一流だというのは分かっているが、それでもジャブローで暴発した一件を考えると、念を押したくなってしまう。

 だが、メカニックは当然だといったように頷く。

 

「不具合のあった場所はもうきちんと直したから、問題はない。実際、ビームライフルやビームキャノンを使っていても問題はなかったんだろう?」

「まぁ、それは」

 

 実際に戦いの中で使ったというのは事実である以上、メカニックの言葉は信じるべきだろう。

 そう思わないでもなかったのだが、どうしてもその辺は気になるのだ。

 ……ここまで自信満々だというのなら、そこまで心配する必要もないと思いたいのだが。

 

「ともあれ、ユーグに連絡をしてみるか。また出撃を要請されるかもしれないし」

「いや、それはない。ユーグの部隊も既に撤退している」

「……そうなのか?」

「ああ。俺はそれをアクセルに知らせたくて探していたんだが、どこに行っていたんだ?」

「色々とあってな」

 

 どうやら俺がハワイでゲラートやギニアス達と話している間に、そんな事になっていたらしい。

 まぁ、1時間以上戦場を抜けていたのだから、そうなってもおかしくはないか。

 

「そうか。じゃあ、今日はもう終わりか?」

「恐らくそうなると思う。勿論、それはあくまでもこちらの理屈である以上、ジオン軍側でどう判断するかにもよるだろうが」

 

 ジオン軍にしてみれば、この戦い……北米の覇権を巡る戦いは、絶対に負けられない戦いだろう。

 既に地球での最大規模の拠点の1つだったオデッサも、連邦軍に占領されている。

 そうである以上、ジオン軍としては北米を取られるといったことは絶対に許容出来ない。

 知ってる奴は少ないだろうが、オーストラリアからもジオン軍は撤退をしようとしているし。

 東南アジア戦線での戦いも連邦軍が勝利している以上……ジオン軍の勢力として残ってるのは、アフリカとかか?

 勿論、その地域の戦いで勝ったからといって、それで即座にジオン軍が全て消える訳ではない。

 それこそ、ゲリラとしてその場に残ったりとか、そんな風にする可能性は十分にあった。

 連邦軍としては、そのような相手こそが厄介な敵となる。

 致命的という訳ではないが、鬱陶しい。

 特にジオン軍はMSを持っている以上、攻撃力という点ではかなり強力なのだ。

 だからこそ、逃げたジオン軍が本格的に動く準備を整える前に、連邦軍としては残党狩りに精を出す。

 

「北米のジオン軍も必死だな。……向こうとしても、ここは絶対に負けられないって訳か」

「そうなるな。……俺とアクセルは明日の戦いが終われば戻るけど、ここに残る連邦軍はかなり大変なことになる筈だ」

 

 エイガーの言葉には、俺だけではなくメカニックの面々もそれに同意するように頷く。

 いや、連邦軍にとっては傭兵……いわゆるお客さんである俺よりも、純粋に連邦軍に所属している者達の方がより強く感じているのだろう。

 そんな風に思いながら、俺はエイガーやメカニック達と話をするのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1025
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1584

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