転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2526話

『助かった、アクセル』

 

 イフリートを倒し、他のザクも大半がマドロックやユーグ達によって倒され、数少ない生き残りが撤退していくと、ユーグからそんな通信が入る。

 ヘンリーとイフリートの組み合わせを相手にして、更にはヘンリーの部下もいる状況でとなると……色々と厳しいのは、間違いなかった。

 それだけ、ヘンリーというパイロットとイフリートというMSの相性が合っていたということなのだろう。

 

「ああ、そっちも無事なようで何よりだ」

『……アクセル、あのMSを知ってるのか?』

 

 不意にそんな話題にしたのは、やはり俺とヘンリーとの対応を見ていたからだろう。

 

「ああ。ジオン軍の中でも精鋭部隊の1つ、ウルフ・ガー隊の隊長だ。俺がホワイトベースに乗ってるって話は聞いたと思うが、それで北米に降りた時に戦った事がある」

 

 あの時の戦いは、かなりの激戦を潜り抜けてきたホワイトベース隊としてもトップクラスに危険な戦いだったんじゃないだろうか。

 地上に降下する時に俺のガンキャノンは消失し、地球に降下したかと思えばジオンの勢力圏内の北米で、ガルマ率いる軍勢に襲われ、それをどうにか撃退してもホワイトベースは結構な被害を受けていた。

 そんな中で、連邦軍から補給物資を持ってきたミデア隊がウルフ・ガー隊に襲撃され、こちらに救援を求めて来たのだ。

 当然のように、ウルフ・ガー隊としてはミデア隊を撃破しようと思えば撃破出来た。

 そんな状況でも撃破しなかったのは、ミデアでホワイトベース隊を誘き寄せる為だ。

 幸いにして、ミデアがピクシーを運んできた事もあって最終的には撃退に成功したが、ホワイトベースがあそこまで危なかった戦いというのは、ちょっと他にないような気がする。

 

『なるほど。言ってみれば、因縁の相手か』

「そうか? まぁ、そうかもしれないな」

 

 ホワイトベース隊がピンチだったのは間違いないのだが、それでも因縁の相手といったような感じがしないのは何でだ?

 アムロとシャア、ユウとニムバスは因縁の敵っぽい感じがするんだが。

 あ、でもニムバスの場合はEXAMシステム搭載機を使っていたけど、結局最終的にはユウじゃなくて俺が倒したか。

 ……ただ、ヘンリーのように殺すことが出来ず、逃げられたというのは痛かったよな。

 

『何だ? その様子だと違うのか?』

「うーん、微妙なところだ。確かに以前は危なかったけど……ともあれ、そっちも結構な被害を受けたんだし、ここで話しているより一旦後方に戻って補給と修理をした方がいいんじゃないか?」

 

 取りあえずそう言い、誤魔化す。

 いや、勿論誤魔化すだけではなく、フルアーマーガンダム7号機やマドロックも何だかんだと弾薬やミサイル、推進剤、ビームライフルのエネルギーといったのを消費してるので、それらを補充したいというのもあるし。

 ジャブローから一緒に来たメカニック達にも、機体に異常がないかどうかを確認して貰いたいというのもある。

 

『そうだな。……分かった、では俺達は上に連絡をしてから一旦撤退する。アクセル達は先に戻っていてくれ』

「いいのか?」

 

 一応、俺はユーグの指揮下という事になっている。

 そうである以上、俺達だけが先に戻るというのはユーグ的に問題がないのか。

 そう思ったのだが、ユーグは問題ないと頷く。

 

『一応こちらの指揮下にあるとはいえ、アクセル達は言ってみればお客さんだ。それに乗ってる機体も俺達のジムやジムキャノンとは違う特別製だろう? なら、今のうちに補給や整備をしてくればいい』

 

 そう言われれば、俺としてもこれ以上ここに残るといったような事は言えず、ユーグに軽く挨拶をしてからエイガーのマドロックと共にその場を後にするのだった。

 

 

 

 

 

「じゃあ、補給と整備を頼む」

「おう、任せろ」

 

 親っさんと呼ばれているメカニックが、俺の言葉に頷いて他のメカニック達に指示を出す。

 指示されたメカニックは、それぞれがフルアーマーガンダム7号機の自分の担当の場所を確認していく。

 ちなみにマドロックの方も現在補給や整備が行われているが、向こうは別に以前ビームライフルが暴発したとかそういう問題はなかったみたいなので、メカニック達もそこまで気にした様子はなく、いつも通りに補給や整備を行っている。

 ガンダム7号機の場合、本来の予定なら完成するのはもっと後だったらしいのが、技術力の上昇に伴って完成が早まったという機体だ。

 だからこそ、技術が上昇しても他のセカンドロットと同じように完全な状態にはならないといったところか。

 

「それで、フルアーマーガンダム7号機を操縦してみて、どんな感じだ?」

 

 指示を出し終わったメカニックが、そう俺に尋ねてくる。

 自分では整備とかをしなくてもいいのか? と思わないでもなかったが、考えてみれば誰か指示役は必要ということなのだろう。

 それと、俺が操縦した時の感じとか、どこか問題がないかとかの聞き取り調査も。

 

「そうだな。やっぱり素の状態の7号機に比べると、動きが若干鈍くなる。特に瞬発力的な意味で」

 

 これはファーストアーマーにスラスターとかをつけても、重量が増した以上はどうしてもそう感じてしまうのだ。

 実際に計測すればそこまでの差はないのかもしれないが、その辺はパイロットとしての感覚的なものだろう。

 

「うーん、それはFSWS計画の関係上、どうしようもねえな。というか、ファーストアーマーでその状態だと、セカンドアーマーを装備した時はもっと操縦しにくくなるぞ?」

「まぁ、殆どMAだしな。……とはいえ、あくまでもそういう機体だと判断すれば、特に問題はないと思う」

「だといいが。……セカンドアーマーを装備した重装フルアーマーガンダムになった場合、俺達がどうこう出来ねえからな。一応気になった場所を書いた書類は後で纏めるから、月に行く時は持って帰れ」

「悪いな」

「ふんっ、俺達が開発して調整した機体が、妙な事にならないようにと考えているだけだ」

 

 男の……それもこの年齢のツンデレってのは、正直どうかと思うんだが。

 そんな風に思っていると、近くにあるテーブルにある雑誌が目に付く。

 恐らくフルアーマーガンダム7号機が戻ってくるまで、整備兵達が待っている時に飲み物とかカードゲームをやったりとか、書類を書いたりとか、そういう時に使っていたテーブルだろう。

 そのテーブルの上に雑誌があった。

 いや雑誌があるだけなら、そこまで気にする事はない。

 それこそ、他にもグラビア雑誌だったり、料理の特集の雑誌だったり、旅行雑誌だったりといったのがあるのだから。

 だが……その雑誌の拍子に書かれていた文章が気になったのだ。

 

「奇跡の子供達?」

 

 そう大々的に書かれている文章が目に入る。

 とはいえ、この手の雑誌は売れる為なら何でもするというのがパターンだ。

 具体的には文章の最後に『!?』とつけるだけで、事実ではなく予想であると誤魔化せたり。

 

「ん? ああ、それか。結構有名な話なんだが……知らないか? まぁ、当初は戦争が始まったばかりで、それどころじゃなかったしな」

 

 そう告げる親っさんの話を聞きながら、その雑誌を流し読みする。

 どうやら、オーストラリアに住んでいた3人の子供が、コロニー落としを予言して多くの人々を避難させて助けたという話らしい。

 これがこの世界以外であれば、冗談もその辺にしろとか言いたいのだが、この世界の場合はニュータイプという存在がいる。

 そう考えると、もしかしたらこの3人は全員がニュータイプだったりするのか?

 いや、ニュータイプの希少性を考えれば、まさかニュータイプが3人も一緒にいるとは思えない。

 だとすれば、この3人のうち1人がニュータイプで、残りもう2人が……

 あるいは本当に何らかの奇跡的な偶然という可能性もあるが……そんな、偶然に偶然を重ねて、その上で更に偶然を積み重ねなければ起きないような可能性よりは、まだニュータイプの方が可能性は高いように思える。

 ともあれ、オーストラリアとなると、今から急げば間に合うか?

 ハワイから荒野の迅雷を含めたジオン軍からの亡命希望者を引き取る一件はどうなっている?

 いや、疑問を覚えたのなら直接聞きに行けばいいか。

 

「悪いが、ちょっと用事が出来た。ああ、ちょっとこの雑誌を借りるぞ」

「あ? いや、フルアーマーガンダム7号機の件はどうするんだ?」

「悪いが、適当にそっちで頼む。この機体を任されてきた腕は信用してるしな」

「……けっ、好きにしろい」

 

 親っさんはうっすら頬を赤くして、そう告げる。

 いや、だからおっさんのツンデレは誰が……いやまぁ、今はそれよりも雑誌の件が先だな。

 親っさんと軽く言葉を交わし、俺はその場から離れて物陰に移動し、影のゲートを展開する。

 本来なら結構な魔力を消耗する影のゲートだが、幸いな事に俺の場合はPPを使った影響で魔力がとんでもないことになっているので、北米からハワイまでの転移程度では全く心配しなくてもいい。

 そんな訳で、数日前と同じく俺はハワイの政庁にあるゲラートの執務室に姿を現す。

 

「アクセル? また来たのか?」

「ああ。ちょっと急ぎの用件でな。……ちなみにオーストラリアの亡命者引き受けの部隊はもう出発したか?」

「いや、まだだ。……影のゲートや空間倉庫といった能力があるアクセルには分からないかもしれないが、本来なら出撃するとなれば……それも大規模な出撃ともなれば、相応に時間が掛かる」

「そうか」

 

 ゲラートの言葉に納得すると同時に、安堵する。

 

「それで? オーストラリアがどうかしたのか?」

「これを見てくれ」

 

 そう言い、ゲラートの執務机の上に、奇跡の子供達についての雑誌を置く。

 改めて今更の話だが、この戦争中でもこういう雑誌って作られてるんだよな。

 

「奇跡の子供達?」

 

 一際目立つように書かれているので、当然のようにゲラートもその煽り文句に気が付いたのだろう。

 確認するように俺を見てくるゲラートに頷くと、雑誌をめくって記事を読んでいく。

 そして記事を読み終わったゲラートの表情は、真剣なものになっていた。

 ゲラートも、この記事が何を意味しているのか理解したのだろう。

 

「アクセル、これは……」

「ああ。多分その3人の中の誰かがニュータイプだ」

 

 UC世界において、ニュータイプの素質を持つ者は決して多くはない。

 そんな人物だけに、当然のようにジオン軍が……特にニュータイプについて執着しているキシリアがこの件を知れば、間違いなく手を出すだろう。

 幸いなのは、連邦軍ではまだニュータイプについては殆ど研究が進んでいないし、そこまで真剣に考えている者もいないという事だろう。

 こんな……言い方は悪いが、低俗なゴシップ誌に書かれている内容に興味を惹く者がいるとは思えない。

 もっとも、そのようなゴシップ誌だからこそ時にはまだ誰も知らない真実を記事にしたりするのだが。

 ネギま世界でジャーナリストをやってる朝倉辺りがいれば、その辺についてはもっと詳しく理解出来たかもしれない。

 ともあれ、俺が知ってる限りでもゴシップ誌がとんでもない特ダネを見つけたという事が何度かある。

 この奇跡の子供達にしても、もし本当にコロニー落としを予想したのなら、大金星と言ってもいいだろう。

 それこそ、月に引き抜きたいくらいに。

 

「ニュータイプ……」

 

 ゲラートも月の人間らしく、ニュータイプの存在を信じている。

 正確には、セイラという生きたニュータイプがいるので、信じているというか、その存在を実感していると言ってもいい。

 その上、セイラはニュータイプ能力を普通に使ってるし。

 実際に後ろめたい事があって、それをコバッタや量産型Wから隠し通した奴も、セイラのニュータイプ能力によってその後ろめたいことが知られてしまった……なんて実例を見た事もある。

 俺と接触した事によって覚醒したセイラのニュータイプ能力は、現在このUC世界の主人公たるアムロを超えて、高い能力を持っている。

 

「そう、ニュータイプだ。そんな訳で、オーストラリアに行く連中には、出来れば……いや、絶対にこの3人を確保して貰いたい。ジオン軍のキシリア機関がこの3人に気が付く前にな」

 

 キシリア機関の情報網の広さを考えると、もしかしたらこの3人についての情報は既に得ている可能性はある。

 だが、それでもまだ行動に出ていないのなら、こちらに有利な状況であるのは間違いなかった。

 

「分かった。なら、予定していたよりも派遣する戦力を増やそう。ただ、その場合はハワイの防衛についてメギロートやバッタ、量産型Wといった者達に任せる割合が大きくなるが……」

「構わない。向こうでキシリア機関と戦いになる可能性もあるし、連邦軍と戦いになる可能性もあるからな。ああ、ただニュータイプということを考えると、乱暴に連れ去るといった真似をするんじゃなくて、穏便に頼む」

「当然だ」

 

 俺の言葉に、ゲラートは真剣な表情で頷くのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1025
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1584

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