転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2524話

 フルアーマーガンダム7号機から放たれたビームキャノンの一撃が、3機のマゼラアタックをほぼ同時に撃破する。

 北米を押さえているジオン軍だけに、戦力は豊富にある。

 あるのだが……その戦力の全てをここに向ける訳にもいかない。

 ジオン軍によって占領されている北米だったが、中にはそれを快く思わない連邦軍のシンパもいる。

 また、連邦軍のシンパではなくても、ジオン軍が北米を占拠した事によって既得権益を失った者も多く、そのような者達にしてみればジオン軍を許容出来ない者も多い。

 そのような者達がこうして連邦軍によって大きな反攻作戦が行われていると知ればどうなるか。

 考えるまでもなく、その混乱に乗じて何らかの行動を起こすだろう。

 ここで戦っている連邦軍が少しでも有利になるように後方で陽動でもするのか、それともこの機会に乗じて自分達の利益の為に行動を起こすのか。

 その辺りは分からないが、ともあれそれがジオン軍にとってマイナスであり、連邦軍にとってプラスとなるのは間違いない。

 だからこそ、ジオン軍は北米における全戦力をこの戦場に引っ張ってくる訳にはいかない。

 ましてや、連邦軍による攻勢が行われているのはこの戦場だけではない。

 他の場所でも連邦軍による攻撃は行われているという話を、ユーグから聞いている。

 

『アクセル、悪いな』

 

 エイガーからの通信。

 本来なら、俺にとってこの戦い……今日と明日の戦場における戦いというのは、それこそフルアーマーガンダム7号機の試運転といった意味が強かった。

 だが、エイガーからの頼みによって、試運転は試運転でも、実際には連邦軍により協力的になるように行動する事になったのだ。

 エイガーに対する貸し1つという事で。

 これが普通の……それこそ、その辺にいるMSパイロットなら、その貸しにも大した価値はないだろう。

 だが、そのパイロットがガンキャノンの開発にも関わり、本人も凄腕のパイロットともなれば話は違ってくる。

 ……とはいえ、この貸しだけで戦後月に来るようにするといったような真似は出来ないのだが。

 ただ、このような貸しを幾つも作っていけば、最終的には月に誘えるという可能性も否定は出来ない。

 何より、エイガー本人がシャアにやられたことを気にしているので、強さを求めて月に来るかもしれないだろうし。

 

「気にするな。エイガーの頼みだし、フルアーマーガンダム7号機の性能を発揮すると考えれば、決して悪い話じゃないしな。それよりも次の場所に行くぞ。ジオン軍の数を減らせば、それだけ連邦軍にとっても有利になる筈だ」

 

 そう告げ、エイガーの操縦するマドロックによって撃破されたグフを見る。

 グフとマゼラアタックが一緒に行動するというのは珍しいが、考えてみればそこまでおかしな話でもない。

 マゼラアタックは戦車で、遠距離からの攻撃に向いている。

 ……マゼラトップとマゼラベースに分離するというのは、取りあえずこの場合は置いておくとして。

 グフが敵に突っ込み、マゼラアタックがそれを後方から援護するというのは、決して間違ってはいないのだ。

 ただ、ジオン軍にとって不運だったのは、遭遇した相手がフルアーマーガンダム7号機とマドロックだった事だろう。

 マドロックに向かって近付いてきたグフだったが、こちらに到着するよりも前にマドロックのビームライフルによってあっさりと撃破されてしまったのだ。

 ビームライフルを持っている相手に正面から立ち向かったのが自殺行為だったな。

 もし万が一ビームライフルの攻撃を回避出来たとしても、マドロックには低反動キャノンもあるので、ぶっちゃけ逃れようがない。

 

「ともあれ、エネルギー切れ、弾薬切れになるまで、出来る限り暴れるぞ」

『了解』

 

 その言葉と共に、俺はエイガーの操縦するマドロックと共に戦場を移動する。

 ミノフスキー粒子が発見される前の戦争なら、それこそミサイルとかを後方から発射するだけで十分な戦争だったのだろうが、今ではそのような戦いは存在しない。

 敵を倒す為には、それこそMSや戦車を使って進軍して戦うという……旧時代の世界大戦のような戦闘方法になる。

 いや、MSが登場した事により、それこそ騎士とかが戦いに参加していた中世付近まで戦い方が戻った……というのは、少し言いすぎか?

 ともあれ、そんな訳でこの戦場においても多くの者が目に見える場所で戦いを行っている。

 俺とエイガーは、そんな戦いの場に乱入したのだ。

 

「食らえ!」

 

 ジムの小隊と戦っているザクの小隊に、スラスターを全開にしたまま突っ込み、距離が縮まった瞬間に、ザクに向かって2連装ビームスプレーガンを発射する。

 拡散ビームを放つビームスプレーガンだが、ここまで間合いが詰まれば拡散ビームでも集中して命中し、敵を撃破する事が出来る。

 2機のザクが撃破されたのに気が付いたのか、残っていたザクがこちらに振り向きざまにヒートホークを振るってくるが、その一撃をビームサーベルで受け止めると同時に蹴りを放ち、吹き飛ばし……そのままビームライフルでコックピットを撃ち抜く。

 

『助かった……が、連邦軍の者でいいのか?』

 

 戦っていたザクを倒すと、ジムからそんな風に通信が送られてくる。

 まぁ、その気持ちも分からないではない。

 フルアーマーガンダム7号機もマドロックも、ジムではないのだから。

 それでも曲線的な形状をしている事が多いジオン軍のMSとは違い、俺とエイガーの機体は双方共に直線的な……連邦軍っぽい外見をしている。

 フルアーマーガンダム7号機の場合はファーストアーマーがあるので、ちょっと見分けにくいかもしれないが。

 連邦軍ならガンダムの形状について知っていてもおかしくないのだろうから、事情に詳しければその辺りで想像出来る可能性もあるが。

 

「ああ。連邦軍で間違いない」

 

 実際には俺はシャドウミラーの代表で、敢えて言うのなら月の所属という事になるのだろうが、今は傭兵で連邦軍に雇われているのは間違いない。

 ここで詳しい話を口にしても、それこそ騒動が起きるだけなので、適当に誤魔化しておく。

 エイガーの方は正真正銘連邦軍の軍人なので、その辺は特に気にする必要もないのだろうが。

 

『そうか、助かった。……だが、2機だけなのか?』

 

 そう疑問に思ったのは、やはり俺とエイガーの2人だけだからだろう。

 連邦軍はジオン軍を見習い、MS3機で1個小隊という形式で動いている。

 もしかしたら将来的には2機や4機で1個小隊になるかもしれないが、ともあれ今は3機で1個小隊なのだ。

 

「ああ。見ての通り俺達のMSは新型だ。今回の戦いはその性能試験という意味もあるんだよ」

『なるほど。ともあれ、助かった。私達は補給の為に一度後方に戻るが、そちらはどうする?』

「まだ余裕があるから、このまま戦場を適当に回って、ジオン軍にダメージを与えていくよ。幸い、遊撃の許可は貰ってるし」

 

 そう告げると、若干呆れの視線をこちらに向けた後で3機のジムは後方に下がっていった。

 

「さて、エイガー。勝手にああ言ったけど、余裕はまだあるか?」

『問題ない。とはいえ、ずっと連戦となると厳しいが』

「だろうな。それはこっちも同じだ」

 

 フルアーマーガンダム7号機とマドロックの持つ武器のうち、弾薬は後方で補給すれば問題はない。

 だが、この場合の問題はビーム系の兵器だ。

 エネルギー切れになってしまえば、それこそ専用の充電器を使う必要がある。

 問題なのは、その充電に時間が掛かるという事だ。

 これが量産されているビームライフルやビームスプレーガンといった類なら、こうして俺達が出撃している時に予備を充電するといったような真似も出来るのだろうが、フルアーマーガンダム7号機とマドロックとなれば、そのような真似も出来ない。

 

『じゃあ、行くか。それで、次はどこに行く?』

「そうだな……」

『アクセル、エイガー少尉、聞こえるか?』

 

 エイガーに答えようとした俺の言葉を遮るかのように、そんな通信が入ってくる。

 映像モニタに映し出されたのは、ユーグ。

 

「どうした? こっちは取りあえず適当に動き回ってジオン軍を倒してるけど」

『それは報告で聞いている。悪いけど、少しこっちに合流してくれないか? 敵が結構な強さを持ってるらしく、苦戦中だ』

 

 そう言ってくるユーグの口調は冷静なものだったが、背後からは爆発音の類が聞こえてくる。

 どうやらユーグが口にしたように、苦戦しているというのは間違いないのだろう。

 

「分かった。すぐにそっちに行くから、データをくれ」

 

 その言葉とほぼ同時に、向こうの位置データが送られてくる。

 通信が届いたので分かっていたが、場所はそこまで離れている訳ではないらしい。

 

『頼む』

「ああ、任せろ。エイガー、そんな訳だ」

『ああ』

 

 エイガーにも異論はないらしく、俺の言葉に素直に頷く。

 さて、そうと決まればいつまでもここでゆっくりとしていられるような余裕はない。

 今は、少しでも早くユーグと合流する事を優先するべきか。

 そんな訳で、俺はエイガーと共に送られてきたデータに表示されている場所に向かう。

 幸いにも、途中で敵と遭遇するような事はなかった。

 そうしてデータの場所にやって来てみれば……

 

「嘘だろ」

 

 そう呟いたのに自分でも気が付かなかった。

 何故なら、映像モニタには見覚えのあるMSが表示されていた為だ。

 そのMSは、イフリート。

 EXAMシステムが搭載されているイフリート改ではなく、通常のイフリートだ。

 EXAMシステムの件もあってか、最近ではイフリートと言われば当然のようにニムバスが乗っていたイフリートを思い出すが、このイフリートも十分に俺には見覚えがある。

 何しろ俺が乗っているイフリートと同じタイプの、特に改造らしい改造がされていない普通のイフリートだったのだから。

 そうなれば、誰がこのイフリートに乗っているのかというのを予想するのは難しい話ではない。

 これがザク……いや、グフやドムであっても、量産されたMSである以上は何らかの特徴がなければ、誰がそれに乗ってるのかといったことは分からない。

 だが、イフリートとなれば話は違ってくる。

 何しろ、イフリートはその高性能さとは裏腹に、製造コストが非常に高く、さらには操縦システムもかなり複雑で、グフ以上に操縦パイロットを選ぶMSだ。

 それだけに、乗りこなせるようになればかなりの性能を発揮するのだが。

 そんなイフリートだけに、本格的に量産されることはなく、先行量産型とでも言うべき数機しか存在していない。

 それだけに、イフリートを操縦出来るパイロットはどうしても限られるのだ。

 そういう意味で、映像モニタに表示されているイフリートに誰が乗ってるのかというのは、想像するのは難しくははない。

 ウルフ・ガー隊のヘンリー・ブーン。

 以前通信で名乗った相手の名前を思い出す。

 なるほど、まだ生き残ってたんだな。

 そしてイフリートに乗るヘンリーがいるとなれば、ユーグが俺達に援軍を要請する理由にも納得出来る。

 

『アクセル? どうした?』

 

 イフリートを見て動きを止めたのを疑問に思ったのか、エイガーは接触通信でそう尋ねてくる。

 

「ユーグ達と戦っているMS、イフリートとは前にやり合った事があってな。かなり強い敵だから、気をつけろ。ジオン軍のエース級だ」

 

 異名持ちではないが、いつ異名持ちになってもおかしくはないだけの実力を持っている。

 それは、直接戦ったことのある俺が一番理解していた。

 それだけに、ここは本気で戦う必要があった。

 出来れば月に引き入れたいところだが、多分無理だろうし。

 いや、捕虜にすれば可能性はあるか?

 それ以外に繋がりがないので、どうしようもない。

 荒野の迅雷のように、向こうからこちらに接触してきたとかなら、幾らでも対象のしようはあるのだが。

 ただ、問題なのはフルアーマーガンダム7号機とイフリートの相性が決してよくないということだろう。

 イフリートはその高い運動性と機動性を活かして近接戦闘に持ち込むといった戦闘方法を持つ機体。

 それに比べると、フルアーマーガンダム7号機は近接戦闘も出来るが、背部ビームキャノンや各種ミサイルを見れば分かるように、基本的には遠距離から中距離での戦いを得意としている機体となる。

 勿論ビームサーベルに2連装ビームスプレーガン、頭部バルカンといったように近接戦闘にも対応出来る武器を持っているし、何よりもFSWS計画によって追加された装甲は高い防御力を持つ。

 だが……それでも、あくまでもフルアーマーガンダム7号機は近接戦闘攻撃を主体としているMSではないのだ。

 そうである以上、イフリートを相手にするのは少し厳しい。

 それこそ、イフリートを相手にするのなら、フルアーマーガンダム7号機ではなくピクシーの方がまだやりやすいと言ってもいい。

 

「ともあれ……ここで時間を掛ける訳にはいかないし、行くぞ。まずは遠距離攻撃で向こうの注意を逸らす」

 

 そうエイガーに声を掛け、俺はビームキャノンのトリガーを引くのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1020
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1583

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