「……おう? これって……誰だ?」
ホワイトベースに戻ってきた俺は、目の前に広がっている光景に驚く。
何というか、黒いウェットスーツを身につけた男達が、目の前に縛られて転がっている。
その数、10人近く。
それが、戻ってきた俺が見た光景だったのだが……一体この連中は何なんだ? と思っても、おかしくはない筈だ。
「これ? あたし達が捕まえたんだ。ジオン軍の兵士みたいだよ」
自慢げに言うキキ。
なるほど、と一瞬納得しそうになったのだが、すぐに俺は事の重大さを理解する。
「この件、ブライト達には?」
「知らせたよ。何だか、かなり真剣な表情だったけど。ねぇ?」
「うん」
キキの言葉に、キッカとミハルの妹が頷く。
ジオン軍の兵士が連邦軍の本拠地たるジャブローに潜入していたという事は、当然のように精鋭……それもただの精鋭ではなく、精鋭中の精鋭と呼ぶに相応しい奴の筈だ。
だというのに、よくキキ達だけで捕まえられたな。
「これで全員か?」
「ううん。大きい鼻の人は捕まえる事が出来なかったわ」
これもまた、大きなマイナスポイントだろう。
いや、誰も捕まえられなかった事に比べたら、間違いなくありではあるのだが。
もしこの連中を好き放題に行動させていたら、それこそ今頃ジャブローの内部はとんでもない被害を受けていた可能性が高い。
ただし、それはそれでかなり難しい現状になっているのも事実なんだよな。
これからどう対処するのかというのは、ブライトを含めて連邦軍の上層部に任せればいいだけの話で、俺がそれに関わる必要はない。
とはいえ……問題なのは、この連中がどこから入ってきたのかといった事だ。
ジャブローの入り口というのは、非常に厳重に隠匿されている。
実際、どこからジャブローに侵入するのかが分からなかったから、ジオン軍は定期便と呼ばれるガウによる爆撃を行う程度の事しか出来なかったのだ。
だというのに、この連中はここにいた。そうなると、当然のようにどこから入ってきたのかというのを疑問に思うのは当然だろう。
あ、いや。待て。
オデッサでジオン軍に逃げ込んだエルラン。
中将という階級の持ち主であれば、当然のようにジャブローのどこが出入り口となっているのかというのを見つけるのは、そう難しい話ではない。
だとすれば、エルランから情報を聞き出したのか?
厄介な。
エルランの存在は、どこまでも祟るな。
とはいえ、そう考えても疑問は残る。
何故、この連中はホワイトベースの近くにいたのか、という事だ。
「一応聞いておくけど、捕らえたこの連中がここにいるという事は、ホワイトベースの近くで捕らえたと考えてもいいのか?」
「そうだよ」
レツが元気よく言う。
この連中を捕まえたのが、自慢なんだろう。
実際、よくやったとは思う。思うのだが……仮にもジオン軍の精鋭と思われる者達が、こうして子供達に――ミハルやキキもいるが――捕まったというのは、正直どうなんだ?
いやまぁ、その気持ちは分からないではない。分からないではないんだが……うーん、それでもやっぱり色々と疑問が残る。
「この連中の尋問は?」
「ブライト達がやるって。あたしがやろうか? って聞いたんだけど、却下されたよ」
「だろうな」
ブライトは生真面目で融通が利かない……いや、ホワイトベースの艦長になった事により、以前よりは大分その辺の融通は利くようになったが、それでも根っこは変わらない。
ホワイトベースに協力しているとはいえ、結局のところまだ年端のいかない少女――今の俺の外見年齢とそう変わらないのだが――のキキに尋問をさせるのが危険だと、そう判断したのだろう。
とはいえ、キキはゲリラでその手の作業に慣れていてもおかしくはないのだが……ブライトとしては、キキにそのような真似をさせたくなかったというのもあるか。
南極条約の件で捕虜の扱いも決まっているのも大きい。
「取りあえず、俺はブライトにちょっと話を聞いてくる。これからどう行動するのかって事もあるし」
幸い、時間的な余裕はそれなりにある。
現在7号機は軽い整備をして貰っていて、頭部バルカンの弾丸をペイント弾から実弾に変えている最中だ。
7号機の中でも高い攻撃力を持つグレネードランチャーはペイント弾のままだというのが、残念だが。
頭部バルカンの方は、弾丸の口径が一般的だから補給は出来る。
だが、グレネードランチャーは同じのを使っているのがホワイトベースにいない以上、どうしようもない。
なら、ペイント弾のままにしておいた方が、いざという時に目眩ましに使えるだけマシだろう。
そんな訳で、グレネードランチャー以外の武器の一件がどうにかなるまで、時間はある。
……こうしている今も、地上では連邦軍がジオン軍と戦っているという事に思うところがない訳でもない。
だが、今の状況を考える限り、そちらの行動は任せておいた方がいいと判断したのも、事実だった。
「じゃあ、この連中の見張りは任せた。……気をつけろよ」
「分かってるよ」
俺の言葉に、キキが意味ありげな視線を向けながらそう言ってくる。
キキにとって、この連中の見張りはしっかりとやるから問題はないと、そう言ってるのだろう。
ゲリラの経験があるキキだけに、取りあえずその辺は任せてもいい……のか?
ぶっちゃけ、ゲリラとか言っても結局のところは素人に近い。
本格的に訓練を積んだジオン軍の兵士達を相手に、互角に渡り合えるとは思っていない。
……後で脱出して暴れたりしないように、いっそここで殺してしまった方がいいんじゃないか?
そう思わないでもなかったが、連邦軍にしてみれば、ジオン軍の精鋭部隊となれば、色々と聞きたい事もあるだろう。
それこそ、情報源は多ければ多い程にいい。
「任せた」
再度短く任せると告げ、俺は格納庫からブリッジへ向かう。
途中で何人かの乗組員と遭遇するが、その面々は俺を見て小さく頭を下げるだけで、自分の仕事に戻っていく。
オデッサでニーズヘッグを見せた時には、俺を怖がっている者も多かったのだが、時間が経ってある程度慣れたのか、今では俺を見て見て分かる程に怯えるような奴は……まだ少しはいるが、その数はかなり少ない。
ともあれ、自分達の仕事に集中している様子を見せる乗組員とすれ違いながら、俺はブリッジに到着する。
ブリッジの中では、ブライトが忙しく味方に指示を出してる。
「上層部からの連絡はまだか!」
「まだです! 上の方でも何かあったのか、それとも忙しくてそれどころではないのかは分かりませんが、連絡がありません!」
「上でも混乱しているのか? いや、だが……今回の一件を考えると、前もって攻めてくると分かっていた以上、そこまで気にする必要は……ん? アクセルか。どうした?」
悩んでいた様子のブライトだったが、側に立っている俺の姿に気が付いたのか、そう聞いてくる。
その表情に若干……いや、かなり焦りの表情が見えるのは、やはりブライトも現状を危険だと判断しているのだろう。
「捕虜を見た。キキ達が捕まえたとはいえ、見張りをするのなら、もっとしっかりとした人員を使った方がいいんじゃないか?」
「そうしたいところだが、今は余分な人手はない。それに、キキは元ゲリラである以上、全くの素人という訳でもない。なら、今はそちらに任せておいた方がいい。勿論、手の空いた者が出ればすぐにそちらに向かわせ……」
「ブライト艦長、ジャブロー内部で爆発を確認! 敵MSが侵入したと!」
ブライトの言葉を遮るように、モーリンが叫ぶ。
MSが侵入……? キキ達に捕まった連中が侵入した以上、MSが侵入してもおかしくはない……のか?
MSと人間では、当然だがその大きさが異なる以上、容易くそう頷く訳にもいかないが。
「何っ! MSだと! ……くそっ、一体どこから入ってきた!?」
ブライトが焦ったように叫ぶ。
とはいえ、それはしょうがない。
現在ホワイトベース隊のMSは、その全てが地上で戦っている。
模擬戦の途中でこうしてジオン軍が襲ってきたのだから、そのような事になるのは当然だった。
……あ、いや。でもビーム兵器を持ってないMSは一度ホワイベースに戻ってきてペイント弾から普通の弾丸や砲弾に変えたのだから、それならここで守りに入ってもよかったんじゃないか?
今更か。
まさか、敵がジャブローの中に侵入してくるなどという事は、当然のように誰も考えてはいなかっただろうし。
そうなれば、やはり今回の一件はしょうがない。
「アクセル……頼めないか?」
今のブライトにとって、頼るべき相手としては俺しかいない。
この辺はしょうがないだろう。
俺としても、この状況でブライト達を見捨てるのは後味が悪いので、それを断るつもりはない。
「分かった。今の状況で出撃出来るのは俺だけだろうしな。そう考えれば、しょうがないだろ」
そう告げると、ブライトだけではなくブリッジにいた面々もほっとした様子を見せる。
ミナトは俺の方を見ると、満面の笑みを向けてきた。
……ミナトがいる時点で、見捨てるという選択肢はないんだよな。
ただし、ミナトは他の実働班の者達程ではないにしろ、自分を守るくらいの実力はあるので、いざという時は脱出するのは難しくはないのだが。
ミナトの実力は非常に高い。
それこそ、このホワイトベース……いや、ジャブロー全体で見ても、素手でミナトに敵う者はUC世界には存在しないだろうと思える程に。
だが同時に、ミナトは優しくもある。
ホワイトベースの者達と仲よくなった今、その者達を見捨てるような真似はまず出来ない。
だからこそ、今の状況ではミナトを守る為にはホワイトベースを守る必要もあった。
「すまん」
ブライトは俺の考えを全て悟った訳ではないだろうが、それでも俺がここで戦うのはミナトの為もあるのだと悟ったのか、そう言ってくる。
「気にするな。俺もサイド7からホワイトベースで寝起きしていたんだ。色々と思い入れがあるのは、間違いないしな。……それで、敵MSの場所は?」
ブライトからモーリンに視線を向けて尋ねると、モーリンは即座に反応する。
この辺はモーリンもホワイトベースで多くの戦いを経験してきただけあって、慣れたものだよな。
「ここから2ブロック先の場所で、現在連邦軍のジムと戦闘中の模様です」
「……そうか」
侵入してきたジオン軍の敵MSがどんな相手なのか、そしてパイロットの技量がどれだけのものなのかは、俺にも分からない。
だが、それでもジャブローに侵入してきた以上、相応に腕の立つパイロットが操縦している筈だった。
それに対して、連邦軍のMSのパイロットは少数の例外を除いて、基本的に腕で劣る。
そう考えると、ジオン軍のMSにやられるのは……
「ともあれ、俺は出撃する。ただ、念の為にホワイトベース隊のMSも何機か地上にいるのを呼び戻しておいた方がいい」
「ああ」
そうして短く言葉を交わし、ブリッジを出る。
本来なら、影のゲートで移動した方がいいのだろうが、幾ら急いで格納庫に向かっても、弾丸の交換や機体の整備が……と、そう思っていたのだが……
「終わってますよ」
格納庫に到着した俺に対し、メカニックがやりきったといった笑みを見せてそう言ってくる。
……うん、そう言えばそうか。
ホワイトベースのメカニック達は、ジャブローに到着するまで激戦の中、MSを整備し続けてきたのだ。
それも大量の。
それを思えば、こうして素早く整備を行えるのは当然かもしれない。
例え、それが初め見たMSであっても。
とはいえ、7号機はガンダムのセカンドロット。
つまり、ガンダムや陸戦型ガンダム、ピクシーといったガンダム系のMSの整備に慣れていれば、ある程度はどうにかなってもおかしくはない、か。
「そうか。なら、出撃する。ただ、出撃する場所は地上ではなくてジャブローの中だ。弾丸を使い果たしたら戻ってくるから、補充の準備をしておいてくれ。それと、使ってないビームライフルがあったら、充電出来るようにしておいてくれれば助かる」
7号機用のビームライフルは、壊れたので現在俺の空間倉庫の中に収納してある。
ちょっとした故障なら、それこそホワイトベースのメカニックに直して貰えばいいのかもしれないが、残念ながらビームライフルの状況を考えるとそういう真似は出来ない。
なら、後であのビームライフルに詳しいメカニック達に渡して修理して貰うといったのが最善の選択だろう。
「……分かりました。しっかりと準備しておきます」
事情は分からないのだろうが、メカニックは俺の言葉に頷く。
それに頷いて、俺は7号機に乗って出撃する。
戦闘がどこで行われているのかというのは、既に情報として得ている。
勿論いつまでもそこで戦い続けている訳ではない以上、もう戦闘は終わっている可能性もあるが。
そんな風に思って連絡あった場所に行くと……
「マジか」
7号機の映像モニタに映ってたのは、かなりボロボロになったガンダム6号機と、赤く塗られたズゴックの戦っている姿だった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:965
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1572