転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2501話

『おおおおおおおおおおおおおおお』

 

 ブリッジにいる面々が、映像モニタを見てそんな声を上げる。

 まぁ、その気持ちも分からないではない。

 ベルファストを出発してから大西洋で行われたジオン軍の待ち伏せを撃退する事にも成功し、それから数日。

 現在ホワイトベースの映像モニタに映っているのは、ジャブローだった。

 ここまで来れば、取りあえずこれ以上ジオン軍の襲撃を心配しなくてもいいだろう。

 そう思っていたのだが……

 

「皆、ジャブローに到着して嬉しいのは分かるが、油断するな。ジャブローだからといって、決して安全な訳ではない。ジオン軍は定期的にジャブローに対してガウを使った爆撃を行っているらしい」

 

 ブライトの声が周囲に響く。

 とはいえ、ブライトもようやくジャブローに到着したことで安堵はしているのか、他の面々に向かって注意はしているが、その表情にはいつもの厳しさはなく、微かな笑みすら浮かんでいた。

 ……まぁ、その気持ちも分からないではない。

 元々、ホワイトベースはガンダムを始めとしたMSのデータを届ける為に、ジャブローに向かう予定だったのだ。

 だというのに、地球に降下する前にシャアによってちょっかいを掛けられ、結果的に降りたのは北米。

 その北米ではガルマを始めとしたジオン軍の連中に狙われ続け……何故か南米のジャブローに行くのではなく、東南アジアに向かうように命令された。

 そこで色々と戦いを行い、続いてオデッサに向かって連邦軍の一大作戦に参加する事になる。

 ベルファストでも戦いに巻き込まれたし、可能な限り秘密にしてはいるがミハルの件もあった。

 そしてベルファストを出たら出たで、水中用MAを使っての待ち伏せ。

 ……うん。そんな戦いを潜り抜けてきたのだから、ブライトがこんな風になるのも理解は出来る。

 

「皆、慎重に進むから頼むぞ。ジオン軍が周囲にいないかどうか、しっかりと確認しろ。どこからジャブローに入るのかを、ジオン軍に知られる訳にはいかないんだからな」

「ジオン軍にしてみれば、どこからジャブローに入るのか、知りたいだろうしな」

「ああ。……そうだな」

 

 ブライトがふと気が付いたように俺に微妙な視線を向けてくる。

 ブライトにしてみれば、どこからジャブローに入るのかというのは、俺にも知らせたくないのだろう。

 現在はホワイトベースに雇われている俺だが、別国家の人間だ。

 ……実際には別国家どころか、別世界の人間というのが正しいのだが。

 つまり、俺にだってジャブローにどこから入るのかというのは、出来れば知られたくないと、そう思うのは当然だった。

 まぁ、ぶっちゃけ俺の場合はその入り口とか知らなくても、影のゲートを使ってあっさりジャブローの中に入れたりするのだが。

 空中都市とかで物理的に地面と接触していないのであれば、影のゲートでもどうしようもない。

 しかし、ジャブローというのは地底都市と言うべき存在だ。

 であれば、影のゲートで移動するのは、難しい話ではなかった。

 ブライトも恐らくその辺については知っているのだろうが、敢えてそれを口にする様子はない。

 ともあれ、ホワイトベースはそのまま進み、やがて隠されていた入り口からジャブローの中に入る。

 

「うわぁ……これは凄いわ。よく地下にこれだけ大きな施設を作れたわね」

 

 ホワイトベースを操りながら、ミナトが周囲の様子を眺めつつ驚きの声を上げる。

 実際、ホワイトベースが楽に入れるだけの場所が用意出来ているだけでも凄いのに、縦に何隻かホワイトベースを積み重ねても問題ないような、そんな感じの場所だ。

 

「詳しい話は分からないが、鍾乳洞を拡張して作ったらしい」

 

 ブライトが少しだけ得意げに告げたのは、やはり連邦軍として本拠地のジャブローを見て、俺達が驚いたのが嬉しかったのだろう。

 にしても、鍾乳洞か。

 ……勿論、鍾乳洞をそのまま使っている訳ではないのだろうけど。

 掘削して更に掘り広げ、その上で天井……この場合は地面がと表現するのかどうかは分からないが、崩れてこないように補強もしないといけない。

 また、地下に建築資材を運ぶだけでも、かなり大変だろう。

 そんな風に俺達が感心している間にも、ミナトはしっかりとホワイトベースを操縦し、ジャブローから指示された場所に着艦する。

 その技量は、自動操縦の類を使っていないにも関わらず、寸分の狂いもなく……と表現するのが正しいような、そんな精密さだ。

 ホワイトベースの面々はミナトの操縦に慣れているので、特に何も気にした様子はない。

 だが、ジャブローでホワイトベースの様子を見ていた者……管制官とかは、一体どう思っただろうな。

 もしかして、自動操縦ではないかと、そう疑っていたとしても、おかしくはない。

 そして……

 

「艦長、ジャブローから通信です」

「出せ」

 

 モーリンの言葉に、ブライトはすぐにそう返す。

 モーリンも、その辺は分かっているのか、すぐに映像モニタに通信相手を表示させた。

 そこに映されていたのは……

 

「コーウェン准将!?」

『うむ。ブライト中尉、無事にジャブローに到着したようで、何よりだ』

 

 ジョン・コーウェン。

 レビルの派閥の中では結構な力を持っている軍人の1人だ。

 オデッサ作戦で一時的にホワイトベース隊に所属した、マット達の直接の上司でもある。

 ……軍のお偉いさんの直接の部下として、MSの実働班がいる。

 そう考えてみれば、ある意味でホワイトベース隊と似ているのかもしれないな。

 もっとも、マット達はあくまでも小隊で3機しかMSがいないのに対し、ホワイトベース隊が有しているMSの数は15機。

 この辺、コーウェンとレビルの階級差、実力差が如実に出ている形だろう。

 ともあれ、コーウェンもオデッサにいた訳だが……どうやら俺達よりも先にジャブローに戻ってきたらしい。

 とはいえ、それはそこまでおかしな話ではない。

 俺達はベルファスト基地で数日足止めを食らっていたし。

 その間に、コーウェンを含む将官達はジャブローまで戻ってきていたのだろう。

 勿論、オデッサには誰かしら実力のある人物を残してきたのは、間違いないだろうが。

 オデッサ作戦などという大規模な作戦を行ってまで、オデッサを取り返したのだ。

 もし実力の足りない者をオデッサに配置したりすれば、それこそ瞬く間にジオン軍にオデッサを取り戻されてしまうだろう。

 ……ここまで戦力を集中させて奪還した以上、オデッサを奪われるといったことは、連邦軍にしてみれば絶対に避けたいだろう。

 そんな風にオデッサの事を考えている間にも、ブライトとコーウェンの話は続く。

 

「では、少しの間我々もジャブローで休息を、ということで間違いないでしょうか?」

『そうなるな。ホワイトベース隊は、ここまで数多くの戦いを潜り抜けてきた。それこそ、普通なら撃沈されてもおかしくはないくらいの戦いを生き延びてきたのだ。そんな戦いを、誰1人戦死者を出さずに潜り抜けてきたのは……』

 

 そこで一旦言葉を切ったコーウェンの視線が、意味ありげに俺に向けられる。

 だが、すぐにその視線は俺から逸らされた。

 

『君達全員が結束して戦ってきたからだ。そのような戦いを繰り広げてきた以上、目に見えない場所で疲れている者も多いだろう。今は、皆ゆっくりと休むといい』

 

 わぁっ、と。

 コーウェンの話を聞いていた者達の多くが、歓声を上げる。

 まぁ、本当の意味で心の底から休める時というのは、今まで殆どなかったしな。

 それを思えば、皆がこうして喜ぶのも理解は出来た。

 

『ただし』

 

 と、コーウェンが言葉を続ける。

 

『MSパイロット諸君には、ジャブローにいるパイロット達と模擬戦を行って貰う予定があるので、そのつもりでいるように』

 

 幸い……本当に幸いな事に、ここにMSのパイロットは俺しかいない。

 コーウェンの言葉も、別に俺に聞かせる為に言った訳ではなく、ブライトに向けての言葉だろう。

 ……もっとも、何だかんだとホワイトベース隊のMSパイロットは自分を磨く事には積極的な者が多い。

 であれば、それこそ現在ジャブローにいるMS隊と模擬戦をすると言われれば、寧ろ嬉々として参加する者が多いだろう。

 これって、実は俺や綾子がいた影響だったりするのか?

 それでも戦争をする以上、それは別に悪影響という程のものではない。

 連邦軍にとっては、寧ろ喜ぶべき事だろう。

 そしてホワイトベース隊のMSパイロットと模擬戦をやれば、ワルシャワ基地で行われたのと同じような事が起きる可能性が高い。

 ボコボコにされて、無意味なプライドを持っている奴はそれをへし折られ、強い向上心を持っている奴はより真剣に訓練をするつもりになる。

 ただし、プライドをへし折られて立ち上れる奴はいいのだが、立ち上がれない奴は……うん、まぁ、そういうのはいないと思っておこう。

 

「分かりました。パイロット達には通達しておきます。質問なのですが、現在ジャブローにいるパイロットの技量はどの程度なのでしょうか?」

『様々だな。シミュレータで訓練をしているだけの者もいれば、オデッサ作戦に参加して実戦を経験した者もいるし、別の戦場で戦った経験を持つ者もいる』

「そうですか。その場合は、シミュレータで訓練した者達の心が折れてしまう可能性がありますが……大丈夫でしょうか?」

『構わん。それで心が折れるようなら、ジオン軍との戦いでも使い物にはならないだろうからな。思う存分やってくれ』

 

 うわぁ、また凄い事を。

 アムロはともかく、ヤザンやフィリップなんかは喜んで心をへし折りにいきそうだな。

 特にヤザンにとっては、ジャブローで現在MSの操縦訓練をしている者達というのは、言ってみれば後輩に当たる。

 そうである以上、無駄死にさせるようなことをさせない為にも……そして、ストレス発散的な意味もあって、かなり張り切ることは間違いないだろう。

 うん、その辺に関してはご愁傷様と思っておくか。

 とはいえ、その模擬戦を行う事で今よりも高い実力を得られるのは間違いないのだが。

 

「分かりました。では、そのように。……それでその、コジマ大隊から借りてきた者達は、ジャブローで降りる事になっていたと思いますが……」

 

 その言葉に、映像モニタに表示されたコーウェンの表情が若干苦いものになる。

 コーウェンにしてみれば、コジマ大隊……正確にはその上にいるイーサンに対して思うところがあるのだろう。

 イーサン、レビルへの対抗心が凄かったしな。

 とはいえ、イーサンから借りている兵士である以上、ここで返さないという訳にもいかないのだろう。

 イーサンの思惑はともかく、シローはMSの指揮が得意という点でかなり優秀な前線指揮官だったし、サンダースもそんなシローを十分に補佐していた。

 ブライトとしても、少し前に出来れば手放したくないとは言っていたが、現場の兵士の意見でイーサンの命令をどうにか出来る訳でもない。

 

『明日にでも迎えが行く筈だ。その者に従うように。……正直なところ、そちらから上がってきた報告書を読む限りでは、出来るなら手放したくないのだが』

 

 はぁ、と。

 憂鬱そうに言うコーウェン。

 この様子だと、イーサンが狙っていた件……ラサ基地での功績の少なさを、シローとサンダース、ミケルを派遣する事よってそれを自分の功績とする、というのは十分に効果を発揮したと思ってもいいだろう。

 だが、今回の場合はその派遣した人材が有能すぎたというのが問題だ。

 程々に有能といった程度であれば、コーウェンもここまで憂鬱そうな表情をする必要はなかったのだろうが。

 そんなコーウェンの様子を気遣ったのか、ブライトが口を開く。

 

「コーウェン准将、ジャブローでは多くの者がホワイトベースから降りるのですが、戦力の補充の件はどうなっているのでしょう? また、ホワイトベースのこれからについても……」

『その件については、少し待て。ホワイトベースの扱いについては、上の方でも色々と揉めている』

 

 ブライトの気遣いは意味がなかったかのように、コーウェンの表情は再び苦いものとなっていた。

 ……まぁ、その気持ちも分からないではない。

 何しろ、俺が協力したり、優秀なMSパイロットが集まったりしたとしても、ホワイトベースの活躍は他を圧倒するものだ。

 それだけの戦力があると考えれば、連邦軍の上層部としても色々と運用方法を考えるのは当然だろう。

 少なくても、レビル直轄の部隊だからといって好き勝手にレビルが決める……というのは、難しくなってもおかしくはない。

 連邦軍がオデッサを奪った事によって、現在の地球における連邦軍とジオン軍のバランスはかなり崩れている。

 だからこそ、ホワイトベースという強力な戦力をどう使うのかというのは連邦軍にとって大きな……非常に大きな問題となっているのだろう。

 勿論、それでもレビルの意向が大きく影響するのは間違いないだろうが。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:955
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1570

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