転生とらぶる1   作:青竹(移住)

262 / 3408
0238話

 C.E.71年10月1日。その日、俺はシャドウミラーの軍服を着てオーブの首都であるオロファトにある行政府へと向かっていた。

 雲一つ無い青空の下、エレカを運転する俺の隣には補佐としてコーネリアが座っている。

 

「と言うか、何で俺が運転してるのやら」

 

 俺のその言葉に、俺と同じくシャドウミラーの軍服を着ているコーネリアが笑みを浮かべて言葉を返す。

 

「普通、ドライブをする恋人同士なら男が運転するものだろう?」

「いや、デートじゃなくて終戦会議だから」

 

 そう、今日は連合軍とプラントからの代表が出席した終戦会議が行われる日だ。以前の会議で俺の意見が採用され、それについての交渉が行われる。

 何故そんな会議に俺が出席するのかといえば、ぶっちゃけ抑止力だ。考えてみれば当然なのだが、連合にしろプラント――この場合はザフトか――にしろ、自分達が負けたのはシャドウミラーであってオーブではないと考えている軍人や政治家もいるらしい。……ザフトに関しては、アイリーン・カナーバが押さえているのでそれ程の人数でも無いのだが、連合軍は余り期待出来ない。

 そう言えば、アズラエルが俺達に捕らえられてオーブに収監されている現状で誰が地球連合を引っ張っているかと言えば、なんと大西洋連邦大統領のジョゼフ・コープランドだ。

 ……この人物はDESTINYではロゴスの人形だった人物だと思ったんだが、精力的に活動しており予想外に高い支持率を得ている。まぁ、アズラエルが消えた後のロゴスの代理人という意味もあるのだろうが。それとは逆に、DESTINYでブルーコスモスの盟主だったロード・ジブリールはまだ表に出て来ていない。

 

「ふふっ、私は本当にデートでも構わないんだがな」

 

 俺の隣で流し目を使い誘ってくるコーネリアの瞳は非常に蠱惑的で、一瞬本気でこのまま終戦会議をサボろうかと思ってしまったが、何とかその欲求を抑えつける事に成功する。

 

「そんな訳にもいかないだろ。俺達が行かなかったせいで終戦会議が纏まらなかったら洒落にならない。また戦争なんてのは御免だぞ」

「それもそうだな。レモンとマリューが研究で忙しいからアクセルを独り占め出来ると思ったのだが、な。それは会議が終わった後の帰りにするよ」

「いや、一応会議が終わったらパーティがあるからそうもいかないと思うが……」

「全く、ままならんものだ」

 

 軽く肩を竦めるコーネリア。

 

「本来ならあの2人も会議に出席する筈だったんだがな」

 

 そう、本来ならレモンとマリューも今回の会議に出席する予定だったのだ。だが俺の新機体の開発に難航している為、今回は欠席となった。

 

「さすがにT-LINKシステムを鋳込むというのは難易度が高かったらしいな。マリューにしても、その手伝いで忙しそうにしているし」

 

 PS装甲の採用自体は全く問題無く行われたのだが、そこにT-LINKシステムの基礎機能を持つコンピュータチップを金属粒子レベルで鋳込むというのに難航している。さすがにイングラムがホワイトスターに残した念動力やT-LINKシステムのデータがあっても、そこまでフォローはしてくれていなかったらしい。

 

「アイディアを出した俺が言うのもなんだが、そうすぐにT-LINKフレームが出来るとは思ってないさ。いくらレモン率いる技術班が優秀だとしても……な」

 

 ちなみに、T-LINKシステムを鋳込んだ物に関してはサイコフレームを参考にしたという理由もあり、T-LINKフレームと呼称する事になった。もちろん命名したのは俺だが。

 そんな会話をしつつ街中へとエアカーで入っていくと、終戦会議の為に連合軍やプラントから要人が来訪するという事もあり、さすがに警備が厳しく至る所で検問をしている。軍用犬を連れた軍人の姿も垣間見えた。

 幸いこのエレカには外交特権としてのナンバープレートが付けられているので特に止められもせずに行政府へと辿り着く。関係者用の入り口から中へ入ると、ウズミがオーブの政治家達を率いて出迎えに出て来ていた。

 

「わざわざ足を運ばせてしまって済まない」

「何、今日の会議でようやく終戦の為の条件が揃うんだ。問題無……い?」

 

 最後まで言い切る事が出来なかったのは、その人物が視界に入ったからだ。ウズミの後ろに控えているその人物、すなわちカガリ・ユラ・アスハその人だ。いつものラフな格好ではなく、かと言って以前アラスカへと辿り着く前にオーブに立ち寄った時のようなドレス姿でも無く、スーツ姿をしている。そしてその横には恐らく護衛なのだろう、サングラスをしたアスランの姿もある。

 

「……何だよ」

 

 俺が見ているのに気が付いたのか、憮然とした表情で話し掛けてきた。

 

「……ウズミ代表?」

「何、カガリが政治の勉強をしたいと言い出してな。現在は私の秘書のような仕事をして貰っている」

「コーネリアさん、今日はアクセルの付き添いですか?」

 

 俺とウズミが話していると、カガリもまたコーネリアへと声を掛けている。姫と皇女と名前の違いはあれど、似たような立場だからだろう。カガリはどこかコーネリアに憧れのような感情を抱いている節がある。コーネリアにしてみれば何故自分がそこまで好かれているのか分からないので多少困惑しているようだが。

 カガリにとっては、自分と同じような立場でありながら戦闘に政治にと能力を発揮出来るコーネリアは理想なのだろう。

 

「それより連合軍とプラントからは?」

 

 積極的に話し掛けるカガリと、そのカガリに戸惑いながらも返事をするコーネリア。アスランはカガリの近くでそんな2人の様子を苦笑しながら見ている。そんな状態の3人を横目に、ウズミへと尋ねる。

 

「もう行政府に到着している。会議が始まるまで後30分といった所だからな。プラントからはギルバート・デュランダル議員が。連合からはジョゼフ・コープランドの信任が厚いと言われている腹心が来ている」

「ギルバート・デュランダルが?」

「知ってるのかね?」

「プラントで一度会った。クルーゼの知り合いだったという話でな。食えない男だよ」

 

 俺の言葉にフム、と頷くウズミ。

 

「アクセル君にそこまで言わせるとなると、政治的な能力も高いんだろうな」

「それは保証する」

 

 何せDESTINYではプラントの最高評議会議長を務めていた人物だ。その一方でブルーコスモスを含めたロゴスを操り人形の如く動かして世界の敵へと仕立て上げたその手腕を考えると、どちらかというと政治家ではなく謀略家の一面も強い印象だが。

 

「まぁ、それでも終戦の為に俺達が出す条件に関しては呑まざるを得ないだろうがな。その点で難しいのは連合側だろう」

 

 俺の出した条件は一番有利なのは当然戦勝国の俺達で、次がプラント、そして連合となっている。

 そんな俺達の会話を聞いていたカガリ達だったが、やがてコーネリアが口を開く。

 

「とは言え、連合軍側としても強硬に反対は出来ないだろう? もし納得出来ないとしてこちらからの条件を蹴った場合は、最悪私達とプラントの両方を相手に戦う事になってしまう」

「だろうな。何とか条件をもう少し緩くしようと交渉してくるのが精一杯だと思う」

 

 そもそも戦勝国である俺達にしてみれば、より強硬な条件を付けても構わないのだ。連合軍側としてもプラント側としても自分達が敗戦国であるというのを承知している以上は強気には出てこられないと見るべきだろう。

 

「そう言えば、ディアッカやイザークはどうしたんだ? 一緒に住んでいるんだろう?」

 

 カガリの側にいるアスランへと声を掛ける。

 アスラン、ディアッカ、イザークの3人は現在オーブで共同生活を営んでいる。3人の元ザフト兵を監視する為となってはいるが、その監視責任者がカガリであるというのを考えるとあくまでも名目上の物だろう。ラクスを含むエターナル一行はプラントに戻っているのだが、アスランはカガリとの関係で。イザークは母親からオーブに滞在するように言われて。ディアッカはそのイザークに付き合う形となっている。

 

「ディアッカもイザークも、今日はオーブ兵と一緒にMSの訓練をしています」

「……バスターもデュエルもオーブに返却しただろう?」

 

 そう、当然と言うべきだがヤキン・ドゥーエでの戦いが終わってこのオーブに戻って来た後はモルゲンレーテがバスターとデュエルを持っていったのだ。激戦を繰り広げてきた機体という事もあり、データ取りに最適らしい。

 もっとも、その2機を提出したという功績もあってこのオーブで半ば自由な行動を許されているのだが。

 

「それはM1アストレイを使ってるらしいです。バスターを使っていたディアッカはともかく、似たような機体特性だったデュエルを使っていたイザークには扱い易い機体らしいですよ」

「まぁ、砲撃戦用のバスターに機動性重視のM1アストレイだからな」

 

 そこまで言って、ふと思う。俺の空間倉庫に眠っている大量のストライクダガーを使えるんじゃないか、と。実戦配備されるのはM1アストレイにしてもMSの訓練機としてなら十分に使えるんじゃないか? ……良し、後でウズミに話してみるか。

 そう思った俺だったが、実はオーブの方でもストライクダガーを大量に鹵獲していたのを知るのはもう少し先の話。

 

「さて、そろそろ会議が始まる時間だ。準備はいいかね?」

 

 しばらく雑談をしていると、時計を確認したウズミがそう声を掛けてくる。

 それを聞いた俺達は意識を切り替え、会議場へと向かう事にする。

 とは言っても、実際に会議に参加するのはオーブからはウズミとオーブの閣僚が数人。シャドウミラーからは俺とコーネリアのみだ。連合とプラント側もこちらと大差無い。

 さすがに国際会議と言ってもいいこの会議に、秘書見習いのカガリやその護衛であるアスランを参加させる訳にはいかない。

 

「コーネリアさん、頑張って下さいね」

 

 コーネリアへとそう声を掛けているカガリだが、会議に参加するのは俺であってコーネリアはあくまでも俺の補佐だ。そして俺にしたって基本は抑止力として会議に参加するので特に口を出す予定は無い。

 

「あ、ああ。だが、私はあくまでもアクセルの補佐でしかないんだがな」

 

 苦笑を浮かべつつも、ここまで好かれては悪い気はしないのかその口調はどこか優しく感じた。

 さて、いよいよ終戦協定を決める会議か。原作と違い、シャドウミラーやオーブが第3勢力の戦勝国として取り仕切る会議だから、失敗は許されない。

 いくら俺の役目が抑止力で、実際に会議に参加するのはウズミを始めとするオーブの政治家達だからと言ってもそれなりの緊張感はある。何せ個人としての交渉はともかく、実際にこういう大きな場に俺が出るのは初めてなのだから。

 

「アクセル、余り緊張するな。お前には私が付いている。それに、私だけじゃなくてレモンやマリューもいるだろう?」

 

 柄にもなく緊張している俺を気遣ったのか、そっと手を握ってくるコーネリア。その手を握り返すだけで俺の中にあった緊張は解けるように消えさっていく。

 

「悪いな」

「何、このお礼は後でデートして返して貰うとするよ」

「……そうだな、どこかいい場所が無いか探しておくよ」

 

 こうして緊張の解けた俺とコーネリアはウズミの後に付いて会議室へと向かった。




名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:615
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:374

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。