撃破したドップは7機だったが、それ以外のドップも撃破はされていないものの、多かれ少なかれ損傷を受けた機体は多い。
機体の各所から黒煙を出しながら、降下……いや、墜落していくドップもいる。
そんなドップは、当然のように撃墜された訳ではないのでステータス上の変化はない。
ドップが海に落ちて無事だとも思えないのだが。
一応潜水艦部隊がいるのを思えば、ドップのパイロットも助けて貰えるのか?
ともあれ、そうして撃破出来ないながらも海面に落ちていくドップがいれば、偶然こちらの攻撃の範囲外にいた事で攻撃を回避した機体もいる。
そして、俺が狙うべきはそんな機体だった。
ドップやガウよりも高い高度まで跳躍し、そのまま落下していくピクシー。
当然のように、そのままではピクシーも海に沈んでしまう。
今まで足場にしていたホワイトベースはかなり離れた場所にいるので、今の状況でホワイトベースの甲板に降りる訳にはいかない。
ならば、どこに降りるか。……つまり、足場にするか。
その標的として選んだのが、ドップだった。
当然のようにドップも自分に向かって降下してくるピクシーの存在に気が付いているので、何とか回避しようとする。
連邦軍のセイバーフィッシュのような戦闘機と比べると、色々な意味で特徴的な……言ってみれば失敗作とか設計ミスとか言ってもいいようなドップだったが、そんなドップでも長所の1つや2つはある。
そして、そんな長所の1つが、旋回性能だ。
セイバーフィッシュ等に比べると、ドップは高い旋回性能を持っている。
それだけに、落下してくるピクシーから回避しようと頑張っているのが分かる。分かるのだが……ドップが旋回性能の高さを長所としてるのであれば、俺が乗ってるピクシーもまた、機体の各所にあるスラスターによって高い運動性を持っている。
逃げていくドップを追うように、ピクシーもスラスターによってその後を追う。
ドップの場合はミノフスキー粒子散布下での運用を基本としている為に、そのコックピットは機体の上部に乗り出すような形になっている。
だからこそ、降下していく中でドップのパイロットの顔が引き攣るのがはっきりと見え……次の瞬間、ドップのコックピットはピクシーによって踏み潰された。
そしてコックピットを踏み潰した瞬間、ドップを足場にして再度跳躍する。
タイミングを失敗すれば、それこそドップと一緒に海中に落ちていてもおかしくはない、危険な行為。
とはいえ、今の状況では多少なりとも無理をする必要がある。
海中にいるズゴックやゴッグ、MA、潜水艦といった敵を相手にしても、ピクシーの場合はぶっちゃけ戦力にはならない。
であれば、それこそまだ空中にいる敵の対処をした方が戦力の有効活用になる。
だからこそ、こうして近付いてきたガウとドップは、出来れば俺の力でどうにかする必要があった。
「次!」
ドップを踏んで……いや、踏み砕いて跳躍し、新たな敵に向かって攻撃を仕掛ける。
そうしてまだ上空にいた2機のドップを撃破し……残るのは、ガウ1隻だけとなる。
これで、11機のドップは全て撃破するか、撃破はしなくても海上に落下していった。
最後の1機のドップを踏んで跳躍し、上空からガウを見ながら少し疑問に思う。
俺が知ってる限りでは、ガウが搭載出来るドップの数は8機の筈だ。
そうなると、残り3機はどこから来た?
MSが出てこない事を考えると、本来ならMSを搭載する場所にドップを搭載してきたのか?
「っと!」
そんな風に考えていると、ガウのメガ粒子砲が発射される。
今まではドップに命中するのを恐れてか、機銃でしか対処してこなかったのだが……搭載されていたドップが全て撃墜された事で、もう自分達にとっても後がないと判断しての行動だろう。
ピクシーのスラスターを使ってメガ粒子砲の一撃を回避しつつ、俺は距離を詰めていく。
メガ粒子砲以外に機銃も使ってピクシーを近づけさせまいとしてくるガウだったが、メガ粒子砲はともかく、対空機銃はルナ・チタニウム製の装甲をどうにか出来るだけの威力はない。
普通の……地上での戦いであれば、俺も機銃のような攻撃であっても回避するだろう。
だが、今のピクシーは跳躍中だ。
そうである以上、スラスターの余裕は可能な限り確保しておきたい。
当たっても装甲に軽い傷が付くくらいの攻撃であれば、回避しない方が効果的だと、そう判断した為だ。
攻撃を回避、もしくは防御しながら、次第に近付いてくるガウ。
向こうもこっちを近づけまいと必死で攻撃をしてはいるのだが、そもそもガウでMSに対抗するのが難しいというのは、1週間戦争やルウム戦役の結果を見れば明らかだろう。
……まぁ、その時はガウじゃなくて、サラミスやマゼランでの話だったから、今回と同じように考える事は出来ないが。
ともあれ、敵の攻撃を回避しつつ間合いを詰め……ピクシーはガウの翼の上に着地する。
ここまで来てしまえば、もうガウに対処する方法はない……訳でもないが、かなり難しい。
一応機銃はまだこっちに攻撃出来るのがあるが、機銃ではルナ・チタニウム製の装甲をどうにも出来ない以上、意味はない。
それどころか、俺が下手に回避したりすれば、外れた弾丸がガウに当たってしまう可能性すらあった。
その辺の事情を考えれば、ガウに乗っているジオン軍の兵士も迂闊な真似は出来ないだろう。
……まぁ、撃墜されるよりはと、思い切る可能性は否定出来ないが。
ただ、今のところはそこまで思い切る様子はないらしい。
そうなると……このままコックピットに……
「げ」
コックピットを潰そう。
そう思っていたのだが、ガウが不意に降下し始めたのに気が付く。
それも、真っ直ぐホワイトベースに向かいながら、メガ粒子砲を撃ったりもしている。
ピクシーに取り付かれた以上、もうどうしようもないと判断してホワイトベースに特攻する事にしたのだろう。
その考えは間違っていない。
このまま空を飛んでいても、それこそピクシーによって撃墜させられるだけなのだから。
それなら、いっそ……と思っても、おかしくはない。
だからといって、それに巻き込まれる方は堪ったものではないが。
というか、今のジオン軍にとってガウというのはかなり貴重な戦力の筈だ。
空を飛べて、MS1個小隊とドップ8機を運用出来るのだから。
オデッサ作戦で破れたジオン軍の兵士達が各地にそれぞれ散っていった今、そんなガウは戦力を再度終結させるという意味で大きな役割を期待されている筈だ。
……にも関わらず、そんなガウでホワイトベースに特攻するとは。
まぁ、ホワイトベース隊はジオン軍に恨まれてるしな。
ガルマの件しかり、オデッサ作戦での活躍しかり。
それこそ、ジオン軍の兵士にしてみれば憎んでも憎み足りない存在だろう。
とはいえ、俺達がジオン軍に憎まれているからとはいえ、それに付き合う必要はない。
ガウの上を移動しながらも、機体の各所にビームスプレーガンと90mmサブマシンガンを撃ち込んでいく。
本来なら、ビームスプレーガンはともかく、90mmサブマシンガンの方はガウにそこまで大きなダメージを期待は出来ない。
だが、それでもここまで接近して、ゼロ距離射撃的な攻撃であれば話は変わってくる。
コックピットに向かう途中にもそうやって攻撃を続けていき、やがてそれがガウにとって馬鹿にならない被害となって表れる。
機体の各所から黒煙を上げているガウは、それこそそう遠くないうちに撃墜されるだろう。
……とはいえ、それでも全く躊躇せず……いや、撃墜されそうになっているからこそ、余計に決意を固めたのかもしれないが、ホワイトベースに向かって突っ込むのを止める様子はない。
「ちっ、ホワイトベース、聞こえているか? ホワイトベース! そっちでも確認していると思うが、ガウが特攻を掛けている。そちらで迎撃を頼む!」
ガウがホワイトベースに近付いたので、海に落ちるという心配はなくなった。
なくなったのだが……だからといって、ガウがホワイトベースに特攻するのを許容出来るかと言われれば、その答えは当然否だ。
『分かった、ガウはこちらで対処するから、アクセルはガウから離れろ!』
モーリンではなく、ブライトからの通信。
モーリンを通して話をするような余裕がなかったということなのだろう。
ホワイトベースの現状を考えれば、それも当然だろう。
その言葉と同時にホワイトベースが艦首をガウの方に向けているのを確認しながら、最後の土産に何発もビームスプレーガンや90mmサブマシンガンを発射してから、ガウの装甲を蹴る。
幸い……本当に幸いなことに、一連のピクシーの攻撃の成果か、もしくはコックピットの方で何かあったのかは分からないが、ガウの進路が少しではあるがずれたように思えた。
勿論、今の状況を考えればそれは決して満足出来る事ではない。
だがそれでも、ホワイトベースに多少なりとも……例え数秒程度の余裕であっても、与える事が出来たのは、この場合は大きい。
ホワイトベースの横にある黄色い部分が開き、メガ粒子砲が展開される。
当然のようにメガ粒子砲だけではなく、主砲やミサイルといった攻撃を行われており、次々とガウに命中していた。
……ホワイトベースは結構派手に動いているが、その甲板にいるMS隊の面々は大丈夫だろうな?
海に落ちてなければいいんだが。
そんな風に思いつつ、俺はスラスターを使ってピクシーの降下する場所を調整する。
ガウがかなりホワイトベースまで近付いていたので、そこまで苦労せずに余裕を持ってホワイトベースの甲板に辿り着く。
『アクセル?』
そう通信で声を掛けてきたのは、Ez8に乗っているシロー。
どうやらシローやサンダースがいる場所の近くに、着地したらしい。
「よう、そっちの戦果はどんな感じだ?」
『……残念ながら、ズゴックだったか? 1機も撃破する事は出来ていないよ。代わりに、向こうにも攻撃をさせていないから、引き分けといった風に思っておきたいところだ』
そう言うシローだったが、実際にはそこまで有利ではないというのは、本人が一番理解しているのか、映像モニタに表示された顔には苦い色がある。
「そうか。取りあえずズゴックもいいけど……あれを何とかしないとな」
俺の攻撃で若干コースは逸れたが、その逸れたコースも再び修正したガウが、そこにはいた。
ホワイトベースに向かって急激に近付いてくるその様子は、まさに脅威と言うしかない。
『あの質量を相手にするのは、MSでは無理だ。それこそ、ホワイトベースに頑張って貰う必要がある。だからアクセルも、ホワイトベースに攻撃するように頼んだんだろ?』
どうやら、さっき俺がホワイトベースに送った通信を聞いていたらしい。
その事に驚きつつ、同時に納得もする。
こうしてガウが突っ込んでくる中で、どうしてここまで余裕を持っているのかが、若干疑問だったのだ。
しかし、その理由がホワイトベースのメガ粒子砲だったのだろう。
……こうして話している今も、主砲とかミサイルとかを撃ってるので、本当に今更の話ではあるのだが。
「ああ、そうなる。……アムロの方はどうなった?」
あの赤いMAによって、海中に引っ張られていったアムロ。
普通に考えれば、向こうの得意な場所での戦いである以上、ガンダムはかなり不利だろう。
だが……そんな状況であっても、今のところは恐らく大丈夫だろうと、そう思う。
それは、やはりガンダムのパイロットがこの世界の主人公たるアムロだからか。
アムロという主人公にとって、この戦いはかなり難易度が高いが、それも主人公だからこそ、そのように思ってしまうのだろう。
であれば、アムロには頑張ってこの試練を乗り越えて欲しい。
そう思うも……同時に、それで本当にいいのか? という思いがない訳でもない。
何しろ、今回の一件では敵はかなり戦力を揃えてきている。
これが陸上での戦闘であれば、こちらとしてもそこまで気にするような事はなかったんだろうが。
『各自、耐衝撃姿勢を取れ! ……メガ粒子砲、発射!』
ブライトの言葉が通信で流れたかと思えば、次の瞬間にはホワイトベースから発射されたメガ粒子砲が、ガウを貫く。
それこそ、正面から真っ直ぐにガウを貫くという、ちょっと凄い光景がピクシーの映像モニタに映り出された。
その衝撃によって、ガウの特攻を目論んだ飛行コースはホワイトベースから逸れ、別の場所に……海中に向かって落下していき……
「あ」
その先にある光景を見て、思わず声を出す。
何故なら、海中での戦いの結果なのだろうが、MAが丁度海面付近まで上がってきており……そこに、真っ正面からメガ粒子砲で貫かれたガウが落ちていった為だ。
そうして数秒後……海中で巨大な爆発が起き、かなりの大きさの水柱が上がるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:955
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1570