転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2496話

 ホワイトベースがベルファスト基地を出発してから、数日。

 未だにジオン軍の襲撃はない。

 ベルファスト基地を出港した直後はバズーカを色々な場所に運んだり、他の面々もいつ襲撃されてもいいようにと準備をしていたのだが……それが数日経っても全く襲撃がないとなれば、気分が緩んでくるのも当然だった。

 ……まぁ、元々はミハルが盗み聞きした内容からという事になってるので、信じていない者もいたのだが。

 実際にはミハルがジオン軍に直接ホワイトベースの進路をジオン軍に報告して、それによってジオン軍が待ち伏せている可能性が高いと判断してのものだ。

 可能性としては、やはり十分にあると思う。

 それでもまだジオン軍が出てこないのは、ベルファスト基地が近いからか?

 

「どう思う?」

 

 ホワイトベースの甲板の上で俺の隣にいた綾子に尋ねる。

 

「うーん、でもベルファスト基地を襲撃した時のことを考えると……」

 

 言葉を濁す綾子。

 実際にベルファスト基地が襲撃された時、ベルファスト基地の戦力では殆ど役に立たなかったからな。

 それに、何だかんだで既にベルファストを出てから数日が経つ。

 今のこの状態で、もしジオン軍が襲ってきてベルファスト基地から援軍を送ろうとしても、援軍が到着する頃には戦闘は終わってるし……そもそも、援軍がここまでやって来られるかどうかも微妙なところだろう。

 だとすれば、やっぱりベルファスト基地の援軍を警戒しての行動ではない、と。

 

「だとすれば、他にどんな可能性があると思う?」

「アクセルがゴッグを1機倒した事を考えれば、その補充の為とか?」

「……ないとは言わないけど、それなら2度目の襲撃の前にやるんじゃないか?」

 

 あの襲撃は、ミハルをホワイトベースに侵入させる為の陽動だった訳だが、それによってホワイトベースがどこに向かうのかを知れば、すぐに向こうも戦闘準備に取り掛かっていた筈だ。

 そうなると、やはりミハルを侵入させる前にゴッグを……もしくはそれ以外の戦力を補充しても、おかしくはない。

 とはいえ、詳しい理由については綾子にも秘密なのだが。

 

「うーん、そうなると……向こうの方で何らかのトラブルがあったとか」

「すぐに思いつくのは、それくらいだろうな」

 

 綾子の言葉に、そう返す。

 とはいえ、そうなればそうなったで、一体どんなトラブルがジオン軍にあったのかが問題となるのだが。

 

「そうなると……やっぱりオデッサ作戦?」

「だろうな。オデッサ作戦でジオン軍の地上での勢力は大きく減った。それに、オデッサから逃げ出したジオン軍を受け入れる対象としても、潜水艦部隊は忙しい筈だ。……ただ、俺達がベルファストに到着するまでだったり、ベルファストに到着した後も含めて、それなりに時間は経っていた。そう考えると、タイミング的に少しおかしくないか?」

「考えられる可能性としては、オデッサから脱出したジオン軍が、ベルファストを襲った部隊と連絡を取るのに手間取って、それで時間が掛かったとか?」

「それは有り得るかもしれないな。……それにしても、海を見ながら恋人が話す会話じゃないよな、これ。普通なら、もっとイチャついたりするんじゃないか?」

「ちょっ、いきなり何を……」

 

 突然変わった話題に、綾子は困ったようにそう告げる。

 今更このくらいで照れる関係でもないと思うんだけどな。

 それこそ、お互いの身体で知らない場所はないってくらいの関係なんだから。

 

「ちょっとそう思っただけだよ。……もしかして、カイにあてられたのかもな」

「あー……うん。なるほど」

 

 どうやら、綾子もカイとミハルの甘々な雰囲気については知ってるらしい。

 綾子としては、それこそ以前カイに言い寄られた事もあったのを考えると、そのカイがラブラブな雰囲気でミハルといるのは複雑な心境なのだろう。

 

「それにしても……」

 

 そう言葉を続けようとしたのだが、不意にホワイトベースから聞こえてきた警報がそれを遮る。

 

『現在、海中をこちらに近づいてくる巨大な何かが発見されました。全員、所定の位置についてください。また、MS隊は自分のMSに乗って、予定通りの行動をお願いします』

 

 モーリンの声が響く。

 どうやら、潜水艦部隊がやって来たらしい。

 ……にしては、巨大な何かと表現してるのが気になるが。

 普通なら、それはMS……いや、巨大な何かとなると、ジオン軍の潜水艦たるユーコン級やマッドアングラー級の潜水艦だと断言してもいいんじゃないか?

 それを断言しないってことは……未知の潜水艦か?

 モーリンの放送に少しだけ戸惑ったが、ともあれ現在の状況で俺達がやるべき事は、もう決まっている。

 

「綾子」

 

 そう呼びかけると、綾子は頷いて格納庫に向かう。

 俺と綾子以外で、他にも甲板に出て海を見ていた者はそれなりにいたが、その面々も素早く自分のいるべき場所に戻っていく。

 そうして格納庫に入ると、俺は真っ直ぐピクシーに、綾子は陸戦型ガンダムに向かう。

 

「頑張って下さい!」

 

 声を掛けてくるメカニックに軽く手を振って返事とし、ピクシーのコックピットに乗り込み、MSを起動させていく。

 そのまま向かうのは、前もって決められていた所定の位置。

 ガンタンク隊の面々が動いているのを見ながら、自分の担当の場所に行く。

 そこには既にバズーカが用意されており、いつもなら90mmサブマシンガンやビームスプレーガン、もしくはビームダガーを手にするのだが、今日はバズーカを持つ。

 

『アクセル、さっきの放送は敵の正体を明確に示していなかったが、どういう敵だと思う?』

 

 フィリップからの通信に、何と言うべきか迷う。

 

「俺もそれは気になっていた。普通なら、潜水艦が近づいて来たとか、MSが近づいて来たとか、そういう連絡があってもおかしくはない。いや、巨大な何かって事を考えると、MSはないか」

 

 そう言いながら、ふと脳裏にアプサラスⅢの姿が思い浮かぶ。

 もしアプサラスⅢが海中を移動しているのであれば、そのシルエットは潜水艦とも違うだろうし、巨大な何かとしか表現出来なくなるだろう。

 だが、まさかジオン軍が水中用のアプサラスⅢを……いや、MAを開発しているかと言われると、疑問を感じざるを得ないのも事実。

 元々、MAはコストが高すぎるということで、本当に限定的な種類しか開発されていない。

 そんな中で、水中用のMAを……MIP社出身の奴に、話を聞いておけばよかったな。

 

『接触まで、残り一分。各自、迎撃の準備をお願いします』

 

 モーリンの言葉が再び響く。

 その声には若干ながらも切羽詰まった様子が窺えた。

 どうやら、まだ近づいてくる未知の存在とやらを把握出来ていないらしい。

 ……とはいえ、近づいてくる相手がどのような存在であったとしても、攻撃すればそれで対処するのは不可能ではない筈だ。

 俺もピクシーにバズーカを持たせ、ホワイトベースの甲板の上からいつ敵が出て来てもいいように準備する。

 そんな中で少し離れた場所にいるガンダムに視線を向けると、そこではガンダムも他のMSと同じようにバズーカを構えていた。

 ただし、アムロのガンダムは場合によっては海中に入る事になっているので、その時の用意もしてある。

 例えガンダムであっても、海中に入ったとなるとその後のメンテナンスは結構大変そうだ。

 勿論、ホワイトベースが沈められるのと、ガンダムが海中に入った後の処理のどちらを選ぶかと言われれば、普通なら後者を選ぶが。

 そうなると、メカニック達はかなり忙しい事になりそうだが。

 

『10、9、8、7、6、5、4、3、2、1……来ます!』

 

 敵も、当然自分が近づいてくるのを、ホワイトベースに気が付かれているとは思っていたのだろう。

 海中を巨大な何かが近づいてくるのが、モーリンの通信の途中でも理解出来た。

 これは……本当に大きい。

 それこそ、潜水艦がそのまま近づいているのではないか? と、そう思える程に。

 だが、潜水艦を始めとして、このUC世界における軍艦というのは、基本的に最前線に出て来たりはしない。

 MSという戦力が全盛になりつつある今、軍艦というのは基本的に後方でMSの運用母艦として使うのが一般的だ。

 勿論、MSを射出した後はその軍艦の武器……メガ粒子砲やミサイル、大砲といった武器で援護射撃をする事も多いのだが。

 その辺の事情を考えれば、こうして潜水艦が近づいてくるのはおかしい。

 だとすれば……

 

「各自、気をつけろ。海中を進んでくる巨大な機影、あれは潜水艦ではなく、MAの可能性がある!」

 

 そんな俺の言葉に、通信を聞いていた者の多くは一瞬言葉を失う。

 だが、それも当然だろう。

 ホワイトベースにいる面々の中で、MAと言われて最初に思い浮かべるのは、当然のようにアプサラスⅢだ。

 一応アッザムもMAなのだが、やはりアプサラスⅢの方が色々な意味で強烈な印象を残すだろう。

 そして、アプサラスⅢをイメージすれば、MAというのは凶悪な兵器となる。

 ……まぁ、当然か。

 アプサラスⅡの時点で山肌を貫き、山の中にある敵の基地に自由に出入り出来るようにし、アプサラスⅢともなるとオデッサで多数のジオン軍の部隊を纏めて消滅させたり、拡散ビーム砲を使ったりといったようなことまで行ったのだから。

 これは……少しミスったか?

 敵にMAがいるからと、注意をする必要はあっても士気を下げる必要はない。

 下がった士気を上げようと、再び口を開く。

 

「安心しろ。ジオン軍とルナ・ジオンでは技術力が違う。……恐らく、アプサラスⅢ程のとんでもない性能を持ってはいないと思う」

 

 そう言った瞬間、不意に海中から巨大な何かが飛び出してくる。

 それは、MAというよりは……小型の潜水艦に近い、か?

 ただ、顔があるのを見れば、潜水艦ではなくMAだとすぐに理解出来た。

 ……まぁ、もしかしたらジオン軍には潜水艦に顔をつけるような者がいないとも限らないが。

 ともあれ、そのMAはまるで魚のように海中から飛び出すと、ホワイトベースに向かってブーメランのような何かを発射する。

 ブーメラン……? あれは一体何だ?

 そう疑問に思ったが、とにかく敵が発射した以上、何らかの武器なのは間違いないだろうと判断し、ピクシーの頭部バルカンを使って迎撃する。

 ホワイトベースに近付いてきたそのブーメランのような代物は、頭部バルカンが命中した次の瞬間、空中に爆発の花を咲かせる。

 って、あれもミサイル、もしくは爆弾の一種か!?

 

「各自、あのMAが発射したブーメランのようなのはミサイルだ! ホワイトベースに命中させるな!」

 

 通信で叫ぶ。

 その言葉に、何人かのパイロット達が息を呑む声が聞こえてきた。

 ……正直なところ、あんな妙な形のミサイルを開発するとか、一体何を考えている? と思わないでもない。

 だが、ミノフスキー粒子散布下での戦闘では、それも十分に有効だと判断したのだろう。

 実際にドップとマゼラアタックとかの、妙な兵器を開発することでは評判のあるジオン軍だし。

 そんな風に考えつつも、俺は海中に潜ったMAに向かってバズーカを撃とうとして……不意に、海中からズゴックが姿を現したのを見て、そちらに攻撃対象を変更する。

 

「敵はMAだけじゃない。ズゴックを始めとして、水陸両用MSもいるぞ。気をつけろ!」

 

 再度の通信。

 それにしても、本来ならズゴックもいたというのは、ブリッジの方で把握していてもいいと思うんだが。

 MAに隠れて、MSを見逃したのか? あるいは……もしかして、MAに乗ってやって来たという可能性もあるか。

 推進剤の節約という点では、MAに乗ったり引っ張って貰ったりというのは、十分に有り得る。

 SFS的な使い方と考えれば、おかしな話ではないし。

 ともあれ、MAだけではなく水陸両用MSもいるとなると、その辺は絶対に気をつける必要があった。

 ……問題なのは、ハワイで運用されているのである程度ズゴックについて知っている俺はともかく、他の面々はそこまでズゴックについて詳しくないという事か。

 一応ホワイトベースで移動中に戦ったりした時もあるし、連邦軍のデータにも情報はある筈なので、全く知らない訳ではないのだが。

 それでも、やっぱり厄介な敵なのは間違いない。

 

「っと!」

 

 海面から姿を現したズゴックが、こっちに向かってメガ粒子砲を撃ってくる。

 胴体にしかメガ粒子砲がついていないゴッグと違って、ズゴックは腕にメガ粒子砲が内蔵されているので、腕が向けられる方向にはどこにでも撃つ事が出来る。

 かなり厄介な攻撃なのは、間違いない。

 何よりも厄介なのは、実弾兵器とかと違って、弾速がとんでもないという事だろう。

 バズーカの砲弾なら撃ち落とすのも難しくはないが、ビームをどうにかするのは……不可能ではないが、かなり難易度が高い。

 そうである以上、一番手っ取り早いのは回避するだけであり……俺はメガ粒子砲を回避し、バズーカをズゴックに撃ち込むのだった。……海中に逃げられたが。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:905
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1561

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