転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2491話

 4種類のアイリッシュシチューを味わい、それ以外にも幾らかの料理を注文して、店員どころか客までも驚かせてから他の店にも色々と寄って適当に買い物をしていると、あっという間に約束の時間になってしまう。

 そうして約束の場所に戻ってきたのだが……そこにはカイだけではなく、女の姿もあった。

 

「おい、カイ。恋人との別れはきちんとしてから来いよ」

「な!? 馬鹿な事を言うなよ、アクセル。違うって」

 

 そう言いながら、カイは女の方……赤毛が特徴の女。そう、以前カイがナンパした相手に視線を向ける。

 

「彼女はミハル・ラトキエ。俺とちょっとした縁で知り合った相手だよ。ただ、別に恋人とか、そういう関係ではないから、勘違いするなよ!」

 

 そう告げるカイだったが、恋人ではないと言われたミハルの方は若干不機嫌そうな様子を見せていた。

 カイにその気があるのかどうかは分からないが、ミハルの方には一応そういうつもりがあるみたいだな。

 とはいえ、カイがホワイトベースに乗ってる以上、いずれこのベルファストからはいなくなる。

 女遊びと割り切れればまだしも、真剣な意味で恋人同士になったりしたら、辛い別れになるだろう。

 何しろ、今はジオンと連邦で戦争中だ。

 ついこの前もベルファストが襲撃されている。

 あの時は軍の基地とか港の辺りだけしか被害がなかったが、次の襲撃もそうなるとは限らない。

 だとすれば、ミハルが生き残れるかどうかも、微妙なところだろう。

 

「まぁ、話は分かった。それで……カイは何でミハルをここに連れて来たんだ?」

「実はその、ミハルにちょっとホワイトベースの中を見せて欲しいって言われてさ」

「……は?」

 

 一瞬、カイが何を言ってるのかと見返す。

 俺達にしてみれば、ホワイトベースというのは生活の場として既に慣れているが、実際には現在でも連邦軍の軍機であるのは間違いない。

 そこに連邦軍に所属している者ならまだしも、それ以外の……一般人を入れる?

 何でまたそんなことになるんだ?

 

「本気か? というか、そもそもホワイトベースの中は狭いんだ。そんな場所に見ず知らずの女がいれば、絶対に見つかるぞ」

「いや、ミハルは俺の部屋に連れていくから、心配はいらないって」

「……心配はいらないと言われてもな」

 

 カイはMSのパイロットという事で、個室を使っている。

 サイド7を出た時と違って、現在ホワイトベースに乗ってるのは全員が軍の関係者だ。……いやまぁ、カツ、レツ、キッカといった子供だったり、シローの恋人のキキがいたりもするが。

 ともあれサイド7から出た時と違って、現在ホワイトベースの中は結構な余裕がある。

 そんな訳で、MSパイロットという事でカイも個室を使っているのだ。

 その部屋に匿うと、そうカイは言ってる訳だが……

 

「カイ、それだとミハルがホワイトベースの中を見て回る事が出来ないんじゃないか?」

 

 そんな疑問を抱く。

 幾らホワイトベースの中を見たいと言っても、そのホワイトベースの中でもカイの部屋にしかいないというのは、明らかにおかしい。

 ミハルの要望には応えられないんじゃないか?

 

「うっ。……でも、ほら。別にずっと俺の部屋にいなきゃいけないって訳でもないだろ? それこそ、人がいないのを見計らってホワイトベースを見せてやれば……」

「まぁ、それなら……という気持ちは分からないではないが、結局のところ軍機のホワイトベースをミハルに見せる事になってしまうのは、どうするんだ? もしブライトに見つかったら、それこそ手配したカイだけじゃなくて、ミハルまでもが罪に問われる事になるぞ」

「それは……」

 

 俺の言葉に、何も言えなくなるカイ。

 実際、連邦軍というのはそこまで甘い組織ではない。

 もし今回の一件でミハルが捕まるような事になった場合、間違いなく最悪の結果をもたらす事になる。

 それこそ、銃殺刑になってもおかしくはない。

 

「だろ? ミハルも何でホワイトベースに興味があるのかは分からないが、止めておいた方がいい」

「……そうね。アクセルさんの話を聞いた限り、止めておいた方がいいわね」

 

 ん? 俺は自己紹介をしたか? と思ったが、考えてみればさっきカイが俺の名前を呼んでいたし、それ以前に俺について色々と話していてもおかしくはない。

 処罰されると言われたのが、よっぽど堪えたのだろう。

 ミハルはそれ以上はホワイトベースに行きたいという様子もなく、カイに向かって声を掛ける。

 

「無理を言ってごめんね。あの子達にちょっと自慢出来るかと思ったんだけど……そこまで厳しい処罰があるなら、諦めるよ」

「そうか? うーん、まぁ、ミハルがそう言うのならいいけど……」

 

 カイはミハルの言葉に戸惑ったようにしながらも、そう告げる。

 ん? 今、何かミハルの様子が変じゃなかったか?

 いや、気のせいか。

 実際にミハルの身のこなしを見ても、特に何か鍛えている様子は見えない。

 本当に普通の……一般人の女といった様子だ。

 それこそ、鍛えてるという意味ならキキの方が十分生身での戦闘力はあるように思える。

 一瞬、本当に一瞬だったが、実はミハルはジオン軍の破壊工作員とかそういうのじゃないかと思ったんだが……この様子を見る限りでは、違うらしい。

 そうなると、カイに対するハニートラップ要員とか?

 普通にカイとデートをしているだけなら、そこまで気にする必要はなかったんだが……ホワイトベースに興味を持っているとなれば、どうしてもその辺を心配したくなる。

 少し探ってみるか?

 

「正直なところ、まさかミハルみたいな普通の女がホワイトベースに興味を持つとは思えなかったな」

 

 ビクリ、と。

 俺の言葉を聞いたミハルは、間違いなく身体を強張らせた。

 こうして見た限りでは、やはり何らかの理由でホワイトベースを探っているという俺の予想は当たっているように思える。

 とはいえ、今のこの状況でそんな事を言っても、何の証拠も……いや、ミハルの家に行けば、何らかの証拠はあるか?

 もしミハルが俺の思った通りどこかの手の者であるとした場合、一番怪しいのはやはりジオン軍だろう。

 それ以外としては……中立という事になっているサイド6か?

 あるいは、連邦軍に対して反逆しているテロ活動のグループとか。

 ……もしかして、実は月の所属って事はないよな?

 シャドウミラーは月の後ろ盾になっているし、色々と協力もしている。

 だが、だからといって、月の行動の全てを知っている訳ではない。

 それこそ、実は月の人間が何らかの理由で連邦軍の情報を欲して、現地にいる人間をスパイとして雇用したとしても、それはおかしな話ではないのだ。

 

「じゃ、じゃあね。カイ、無理を言ってごめんよ!」

 

 そう言い、ミハルはその場を走り去る。

 逃げたな。

 俺はそう思ったが、カイは戸惑ったような視線を俺に向けてくる。

 

「なぁ、何がどうなってるんだ?」

「さて……まぁ、ミハルにも何か思うところがあったんだろうな」

 

 一瞬、カイにミハルについて教えようかとも思ったが、カイのミハルに対する感情を考えると、迂闊にそのような真似は出来ない。

 何より、ミハルがどこかの手の者だという実際の証拠は何もないのだ。

 こうして俺に見破られた事を考えると、もうミハルがカイの前に現れる事はないだろうし……それなら、言わなくてもいいか。

 

「そうか? 何か妙なんだよな」

「取りあえず、そろそろホワイトベースに戻るぞ。2時間以上経ってるから、もしかして俺達を探しているという可能性もある」

「え? あ、ああ。うん。……分かった」

 

 俺の言葉に納得し、カイが頷く。

 ミハルに対して、カイも色々と思うところはあるのだろう。

 もっとも、今の状況ではどうしようもないのは事実だが。

 ……いや、本当にどうにかするつもりがあるのなら、それこそ俺がミハルを捕らえて尋問するなり、連邦軍に引き渡すなりといった事は出来ない訳でもない。

 ただ、そのような真似をした場合、間違いなくカイはこちらに不信感を持つ。

 理性で分かっていても、感情が反発するというのはよくあることだ。

 ましてやミハルの一件は何の証拠もないのだから。

 こうして俺はお前を怪しんでいると、そう示した以上、ミハルはもうこの件に関わってくるような事はないだろう。

 

「じゃあ、誰にも見つからないように、建物の陰に行くぞ。ここで影のゲートを使ってるのを見られれば、絶対に騒ぎになるし」

「うげぇ……またあの感触を味わうのかよ。いや、やらないと駄目だってのは分かってるんだけどよ」

 

 はぁ、と。

 取りあえずミハルの事は今は置いておいた方がいいと判断したのか、カイはそんな風に言いながらも、俺と一緒に建物の陰に向かう。

 まだ1回しか経験していないが、それだけでも十分な程、影のゲートに沈む感覚はカイにとって思う所があったらしい。

 ……いやまぁ、その気持ちも分からない訳じゃないけどな。

 俺はもう数え切れないくらいに影のゲートを使ってるから、あの感覚にも慣れている。

 だが、カイにしてみれば、そんな感触に慣れるというのは、あまり面白くはないのだろう。

 

「少しなんだから、そのくらいは我慢しろよ。それとも……普通に歩いて基地まで移動するか?」

「う……それは……」

 

 言葉に詰まるカイ。

 まぁ、今のホワイトべースの状況を考えれば、そんな風に思うのも当然なのだろうが。

 

「だろ? なら、少しは我慢しろ」

「分かったよ」

 

 俺の言葉に若干ふて腐れた様子を見せながらもカイは頷き、こうして俺達は無事にホワイトベースまで戻るのだった。

 

 

 

 

 

「ん? あれ、アクセル。どこに言ってたんだ? ヤザンが探してたぞ?」

 

 ホワイトベースに戻り、カイと別れてから格納庫にやって来た俺は、フィリップからそんな風に声を掛けられる。

 どうやら2時間の間で特に何も問題はなかったらしい。

 そのことに安堵しながら、フィリップとの会話を続ける。

 

「ヤザンが? まぁ、俺を探していたって事は、多分シミュレータで模擬戦の相手をしろって事だろ?」

「恐らくな。にしても、ヤザンの奴はかなり才能あるよな。ホワイトベース隊に来た頃は、そこまで腕が立つって訳でもなかったのに、今となってはホワイトベースの中でも十分な戦力となってるもんな」

「元々の才能もあるけど、上昇志向というか、とにかく強くなりたいと、そう思ってるんだろうな。……その2つが組み合わさって、ここまで強くなったんだろ」

 

 実際、俺のその意見は間違っていない筈だ。

 戦うごとに自分が強くなるというのをヤザンが自覚しており……そして訓練そのものを楽しむ事が出来るからこそ、その技量は上がるのだ。

 この場合、訓練を楽しむ事が出来るというのが大きい。

 趣味でも何でも、結局のところは楽しければ上達が早いし、楽しくなければ上達は下手なままだ。

 そういう意味で、ヤザンはMSのパイロットという仕事が向いていたのだろう。

 ……とはいえ、シミュレータだけでMSの操縦が上手くなる奴ってのは、探せば結構な数がいると思う。

 言ってみれば、シミュレータだけならゲームのような代物なのだから。

 だが……もしシミュレータだけでMSの操縦を出来る気になっているような者がいて実機に乗った場合、そのパイロットは最悪の結果を迎える事になるだろう。

 操縦技術という意味では高いものを持ってるかもしれないが、実機の場合はGとかに耐える必要がある。

 シミュレータだけでMSの操縦技術を知った気になっていても、Gはどうしようもない。

 それに耐えるには、相応の身体作りが必要なのだ。

 だからこそ、そのようなGに対処すべく身体を鍛える必要がある。

 ヤザンはそういう面でもしっかりと鍛えられており、そちらの方面でも苦労を躊躇わない。

 ……裸踊りのモンシアが所属する小隊を率いているバニングも、何かあればモンシア達に腕立て伏せとかをやらせていたという話を聞くし、その辺の事情を考えれば……身体作りを第一に考えての行動なのかもしれないな。

 実際には、懲りずに馬鹿を行うモンシアに対してのお仕置き的な意味の方が強い可能性もあるのだが。

 

「ともあれ、ヤザンが俺を探してるのなら……」

「おーい! アクセル!」

 

 フィリップとの会話の最中、不意にそんな声が聞こえてくる。

 その声の主が誰なのかは、すぐに分かった。

 聞き覚えのあるその声は、それこそフィリップと今話していた人物……ヤザンだったからだ。

 

「噂をすれば何とやら、だな」

「それだけ必死にアクセルを探してたんだろ?」

 

 そう言葉を交わしてから、ヤザンの方に向かって進む。

 

「分かってる。模擬戦の相手だろ? それをやりたいって話はフィリップから聞いてる。俺は構わないぞ」

 

 どこに行っていたというのを聞かれると面倒な事になりそうなので、取りあえず向こうの要求を全面的に呑む。

 そうすれば、取りあえずこの件は誤魔化せるだろう。

 そう判断し、俺はヤザンを引き連れてシミュレータに向かうのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:905
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1561

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