ベルファスト基地に攻めて来たゴッグが撤退した後、当然の話ではあるが大騒ぎになった。
破壊された61式戦車や軍用車、その他諸々を撤去したり、そういう場所にいた兵士を助けたりして軍病院に運んだり。
ただし、当然ここまで大きな被害を受けたとなると、怪我人も多い。
ゴッグ2機だけを相手にしたにしては、少し大きすぎる被害だったな。
ともあれ、そうして後片付けをしてる間に時間は流れ、夜になる。
本来なら、今頃はベルファストの街中でミナトと一緒にレストランで食事をしていてもおかしくはなかったのだが、今の状況でそのような真似は出来ない。
とはいえ……連邦軍が一方的に被害を受けた訳ではなく、ジオン軍のゴッグを1機倒しているのが、せめてもの救いか。
いやまぁ、ゴッグを倒したのは実は俺だったりするんだが。
そのゴッグは……うん。まぁ、取りあえず俺はあのゴッグを欲しいとは思わなかった。
色々とMSを鹵獲してはいるのだが、さすがに胴体が吹き飛んで真っ二つになってしまったゴッグというのは、使い道がキブツの資源にするくらいしかない。
あの爪とかには若干興味があったが、ぶっちゃけた話、あの砕けたMSを集めるくらいならツィマッド社に頼んで新品を手に入れた方がいい。
ともあれ、そんな訳でゴッグはベルファスト基地の連邦軍に譲渡する事にした。
そんな連邦軍は、現在喜んでゴッグの残骸を集めている。
まぁ、連邦軍には水陸両用MSのノウハウとかは殆どないし、それ以外にも胴体に内蔵されたメガ粒子砲や、ルナ・チタニウム製の装甲すら貫くアイアンネイルといった技術に興味を持って当然だろう。
俺が思いつく技術以外にも、連邦軍にしてみれば知りたい事は幾らあってもおかしくはなかった。
「それでも、ベルファスト基地が受けた被害は大きいだろうな」
「だろうな。今回の一件はベルファスト基地の上層部にとって、失態だったのは間違いない。それを少しでも取り返すために、アクセルが倒したゴッグの部品を集めて、その解析結果で汚名返上をしようとしてるんだろう」
リュウの言葉を聞いていた者達が、皆納得したように頷く。
ベルファスト基地の面々はかなり忙しくしているが、ホワイトベース隊は暇だったりする。
だからこそ、こうして多くの者が食堂で夕食を食べていたのだが。
今回の一件、ベルファスト基地にいいところはどこもなかった。
結局ゴッグと戦ったのはアムロのガンダムであり、追い返したのはモルモット隊だ。
結果として、ベルファスト基地の方で少しでも自分達の活躍にしようと、様々な仕事を自分達でやろうと判断したのだろう。
勿論、ベルファスト基地の全員がそんな風に思っている訳ではなく、中には戦いでホワイトベース隊にだけ働かせてしまったので、それに感謝して俺達を休ませようと考えている者がいてもおかしくはない。
そんな風に考えていると、カイが食堂に入ってくる。
そう言えば、カイも女をナンパしていたからか、あの時はホワイトベースに戻ってくるような事はなかった。
「おい、カイ」
「っ!? ……何だ、アクセルか。いきなり脅かすなよ」
俺の声に一瞬ビクリとした様子を見せるカイ。
いや、けど……何だってそんなに驚く?
まるで、何かを隠しているかのような、そんな様子をしているようにすら思える。
もしかして、あのナンパした女についてか?
思春期のカイが隠しているとなると……もしかして、ナンパしたその日のうちに一線を越えたとか。
可能性はない訳ではないが……
「よかったな」
「は? 何がだよ?」
カイは本気で俺に何を言われているのかが分からない様子だ。
隠しているだけなのか、それとももっと別の理由があってのものなのか。
その辺りは俺にもしっかりとは分からなかったが、カイが隠そうとするのなら、取りあえずそれ以上は何も言わないでおくとする。
「いや、気のせいだったな。何でもないから、気にするな」
「ったく、……何なんだよ一体」
カイが不満そうな様子を見せるが、そんなカイにどこか疑問がある。
一体何を言えばいいのか分からないので、誤魔化しておく。
「で? カイは何で今頃食堂に来たんだ?」
「ん? ああ。ちょっと食事をしようと思ってな。ただ……結構人が集まってるから、どうしようかと思ってな」
「そうか? ……そこまで人がいるようには思えないけど」
「いいだろ。たまにはそうやって迷ったりもしたいんだよ」
カイの様子に、そう言うのであれば……と、そう判断し、放っておく。
「じゃあ、そういう訳で、俺は行くな」
手を振り、料理を取りに行くカイ。
そんなカイを見送ると、俺は再びリュウとの会話に戻る。
「で、話を戻すが。……今日の襲撃があったのを考えると、これからホワイトベースはどうなるんだ? 本来なら、出来るだけ早いうちに出航する予定だったんだろ?」
「どうなんだろうな。ベルファスト基地の連中にしてみれば、俺達には早く出て行って欲しいと思ってる者も多いだろうし」
「あー……それはな」
ベルファスト基地の中にいる軍人の中には、ホワイトベース隊が入港したからジオン軍が襲ってきたと、そう思っている者も多い。
実際に恨めしげな視線を向けられたりもしたし。
とはいえ、中には俺達がいたからこそゴッグを撃退出来たと考える者もいる。
その辺は人によって結構変わっているので、何とも言えない。
「でも、今の状況でまたジオン軍がベルファスト基地を襲ってきたら、対抗出来ないんじゃないのか?」
俺の口から出たのは、純粋な疑問。
このベルファスト基地にも、MSは配備されてるのかもしれない。
だが、今のこの状況で再度ゴッグが攻めて来た場合、それに対処出来るのかといった疑問がある。
勿論、ゴッグの数が1機で、ベルファスト基地に配備されているジムの数が10機とかであれば、何とか出来るかもしれないが。
ただ、このベルファストはオデッサからそう離れていない。
そうなると、当然オデッサ作戦で可能な限り戦力を派遣していてもおかしくはなく、この基地には最低限の戦力しか残っていなくてもおかしくはない。
「その可能性は高いだろうな。だが、それでも今のベルファスト基地には、自分達でどうにか対処しようとする者もいるんだろう」
リュウの言葉に俺が思い浮かべたのは、ルナツーにいた連邦軍のタカ派達だ。
何度となく無謀な作戦を繰り返し、その結果として連邦軍の宇宙戦力の多くを消耗させてしまった者達。
また、月にもちょっかいを出してきた事で、ルナツーを乗っ取られる原因を作った者達でもある。
そんな連中と同じような者達が、このベルファスト基地にいるとは思わない。
だが、そこまで酷くなくても、意味のない……それこそ、間違ったプライドを持っている奴がいたりする可能性も、皆無とは言えないのだ。
連邦軍は巨大な組織だけに、レビルやゴップのような有能な者がいるかと思えば、タカ派の連中のような無能な奴もいる。
せめてタカ派でも、イーサンのようにある程度の有能さを持っていればいいんだが。
「なら、取りあえずホワイトベースは明日出航って事でいいのか?」
「今のところは、だがな。この先どうなるのかは、まだ分からない。場合によってはもう数日残って一段落するまで戦力として残って欲しいと言われるかもしれないし」
リュウの様子を見る限りでは、どうやら数日はこっちに残るという可能性の方が高そうだ。
ホワイトベースを疎んでいる者は多いが、それ以上に頼りにしている者も多いという事か。
実際にホワイトベースの戦力は極めて強力だ。
ベルファスト基地にどれだけの戦力が残っているのかは、俺にも分からない。
だが、高いプライドを持つ者以外の、自分の命の方が重要だと考えている者や、冷静に今回の戦いの被害を考えられる者であれば、ホワイトベース隊に頼りたくなってもおかしくはない。
「そうなってくれると、俺としては嬉しいけどな。今日出来なかったデートも、ゆっくりと出来るようになるし」
幸い……いや、この場合は不幸中の幸いか? ともあれ、ゴッグ2機を出してきたジオン軍の攻撃で被害を受けたのは、ベルファスト基地だけだ。
いや、周辺にある民間の湾岸施設とかも多少の被害は受けたようだが、それ以外の場所……具体的に言えばベルファストの街並みは、殆ど被害がない。
ジオン軍がそこまで計算してそうしたのか、それとも単純に攻撃するよりも前にガンダムが出て来てそれどころではなかったのか。
その辺の詳しい理由までは分からないが、ともあれ街中に被害が出なかったのは間違いないのだから、デートをするには決して悪い条件ではない。……と、そう思う。
「デートか。……それは少し難しいかもしれないな」
「何でだ?」
リュウの言葉に、若干不満を感じて尋ねる。
だが、リュウは食堂の中を見回し、改めて口を開く。
「アクセルが分かってるのかどうかは分からないが、今回の一件は色々と面倒な事になっている。そんな中でベルファスト基地に被害が出ている時に、デートをしていると知られたりしたら、ホワイトベースが責められることにもなりかねない」
「……また、面倒な」
大きな悲劇があった場合、騒ぐのを自粛するように要求してくるというのは聞いた事があったが、まさかここでそれを求められるとは思わなかった。
「しょうがないさ。ベルファスト基地にしてみれば、それだけ大きな被害だったんだからな」
俺とリュウの話に割って入ったのは、ジョブだ。
リュウと同じく、きちんと軍人としての訓練を受けてきた者であるが故に、連邦軍側の事情も理解出来るのだろう。
もっとも、それを理解出来るからといって、正しいとは思っていないのだろうが。
「ようは、デートをしてると知られなければいいんだろ? 上手く抜け出すとか」
「いや、そこまでしてデートをしたいのか?」
「当然だろ。ミナトと綾子とのデートだぞ?」
「……そこまで真剣な様子で言われると、こっちもこれ以上は何も言えなくなるな」
はぁ、と。
若干の呆れ混じりの視線を俺に向けてくるジョブ。
とはいえ、俺達はそれでいいけど……シローやカイはどうするんだろうな。
あの2人もデートは楽しみにしていたんだろううし。
特にシローはキキから結構ベルファストについての情報を色々と聞いていたみたいだったし、その辺はかなり難しい事になるだろう。
カイの方もカイの方で、折角ナンパが成功したのに、その相手とデートが出来ないというのは、結構痛い筈だ。
「ともあれ、今回の一件においてはアクセルにも色々と思うところはあると思うけど、少し我慢はしてくれ」
リュウのその言葉に、取りあえず頷きを返す。
まぁ、いざとなったらさっきも言ったように、影のゲートを使って転移すればいいだけだ。
影のゲートで移動するとなると、俺を見つける事はまず無理だろうし。
そんな風に思いつつ、俺は適当にリュウの相手をするのだった。
「うーん、データがないとちょっと無理ですね。いえ、無理にやろうとすれば出来るんですが、それだと本来の性能ではなくなってしまいますし」
食堂での話を終えて格納庫に来てみると、そこではヤザンがメカニックと何やら相談をしていた。
いや、相談というか、ヤザンがメカニックに何かを頼んでいるのだが、それが断られているといったところか。
「何かあったのか?」
少しヤザンの様子が気になったので、尋ねてみる。
するとそのヤザンは、俺を見て驚きの表情を浮かべた。
「アクセル、一体どうしたんだ?」
「そっちこそどうしたんだよ? 何かメカニックに無理を言ってるように見えたが」
「いや、ちょっとな。あのゴッグとかいうMSとシミュレータで戦えないかと思って頼んでたんだが、無理らしい」
「あー……それはな」
ゴッグは最初期に開発された水陸両用MSだけに、相応に量産されてはいるが、それでもやはりザクとかのMSに比べれば数は少ない。
そうである以上、ザクとかと違ってデータを収集するのは難しいだろう。
俺が破壊したゴッグからなら、ある程度のデータは得られるかもしれないが、木っ端微塵……とまでは言わないが、かなり派手に壊してしまったからな。
その辺の事情を思えば、そこから各種データを割り出すのにも相応の時間が掛かるだろう。
今日倒したから、明日にはデータを取り出してシミュレータを……というのは難しい筈だ。
「それでも、アムロとの戦いを考えれば、対処出来るようにしておいた方がいいのは間違いない筈だ」
そう告げるヤザンにあるのは、若干悔しそうな色。
自分が出撃出来なかったのが悔しかったんだろうな。
ヤザンの性格を思えば、無理もない。
そう思いながら、俺は取りあえずメカニックにある程度でいいからと、ヤザンの味方をしてデータ入力するように頼むのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:905
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1561