『ベルファストに到着しました。各自、それぞれ自分の担当の持ち場について下さい』
ホワイトベースの中に、モーリンの声が響く。
どうやら、ようやくベルファスト基地に到着したらしい。
シローから聞いた後でブライトから全員に説明があったが、それによると数日はベルファスト基地に滞在する事になっている。
数日か。
シローから聞いた話によると、結構名物料理が多いって話だったから少し期待してたんだが……数日程度では、その辺をしっかりと堪能するのは難しいか?
出来れば、もっとしっかりとベルファストで休憩したかったんだが。
とはいえ、それはあくまでも俺の感想だ。
ホワイトベースにしてみれば、可能な限り早くジャブローに向かいたいと思ってもおかしくはない。
である以上、ベルファストにいる時間は、少なければ少ない方がいいのだろう。
自分の持ち場……この場合はパイロットの控え室で待機しながら、そんな風に思う。
今回の一件今はとにかく、俺の都合よりもホワイトベースの都合だろうし。
……ぶっちゃけた話、ジャブローに行くというだけなら、それこそ俺の空間倉庫と影のゲートを使えばあっさりと移動は出来る。
だが、俺がそこまでする理由はないし、何より連邦軍としても自分達の都合で移動する必要がある以上、いきなり俺の力で……と、そう考えても、あまり嬉しくはない筈だ。
「なぁ、アクセル。お前はどうするんだ?」
「は? どうするって、何がだ?」
「だから、ベルファスト基地でだよ。少し街中に出てみたりとか、そういう事を考えてないのか?」
もどかしそうな様子のヤザン。
あー……なるほど。ヤザンにしてみれば、オデッサ作戦が終わった後での休日だ。
少しゆっくりしたいと考えても、おかしくはないだろう。
とはいえ、何故それで俺に聞いてくるのかは分からないが。
「ゆっくりとするつもりはあるけど、出掛けるのならミナトや綾子と一緒にだな。ベルファストにいられる時間は短いんだから、しっかりと楽しむ必要があるし」
「あー、そうかい」
俺の言葉にヤザンが微妙そうな……それでいて、どこか呆れたような声を発する。
もしかして、俺と一緒に出かけたかったのか?
一瞬そう思うも、ヤザンの性格を思えばそんな事はないか。
「アクセル、私は聞いてないんだけど」
と、そんなヤザンの言葉に割り込むように口を挟んできたのは、綾子。
綾子もMSのパイロットである以上、当然のようにこの控え室にはいた。
「そうだったか? じゃあ、今のうちに誘っておくよ。……自由時間になったら、俺と一緒にベルファストを回らないか? 時間の問題で、2人でという訳にはいかないからミナトもだけど」
「そうね。私は問題ないよ。……それで、ミナトにはその話はしてあるの?」
「ああ。当然してある」
ブライトから話を聞いた後で、ちょっとその事について話す機会があり、そこで今回の件については誘っておいたのだ。
出来ればあの時に綾子も誘いたかったのだが、綾子はちょっと忙しくしていて、話すような暇がなかったんだよな。
だからこそ、何だかんだで今まで伸びたんだが。
「そう。なら、楽しみにしてる」
そう言う綾子は、素っ気なくしていても嬉しそうではあった。
ともあれ、そんな感じで話をしていると……やがてホワイトベースの動きは止まり、多くの者達が動き始める。
特にメカニック達は、その動きが素早い。
何だかんだと、オデッサ作戦において多くの物資を消費したしな。
その補給とかは、一応オデッサである程度は行われたが、それはあくまでもある程度でしかない。
ジャブローに到着するまでの事を思えば、補給とかその辺は最優先にしておきたいと思ってしまうのは当然だろう。
……普通なら、ここからジャブローまでは敵に襲撃されるという可能性は、そこまで多くはないのだが。
もしジャブローに行く途中で遭遇するとすれば、それは海でという事になる可能性が高い。
つまり、ジオン軍が得意な水陸両用MSだ。
連邦軍も、水中用MS、もしくは水陸両用MSは開発してはいるんだろうが……一体、どのくらいの能力になる事やら。
ただ、海という環境を考えると、ジオン軍よりは連邦軍の方に地の利はある。
であれば、もしかしたらジオン軍のMSよりも完成度が高いMSが完成する可能性も……ない訳ではない。
「さて、取りあえず俺達の仕事はメカニック達の手伝いくらいだ。皆、もう少し頑張るとしようか」
リュウのその言葉に、皆が頷いて立ち上がる。
メカニック達が忙しくしてるのは、MSの補充部品とか、弾薬とか、そういうのだ。
そのような物に関してであれば、MSで運んだりといった事も不可能ではないだろう。
……ガンタンクのようなMSなら、運ぶのを苦労するかもしれないが。
ともあれ、やるべき仕事を早く片付ければ、それだけ自由時間も多くなるのだ。
であれば、手伝いに力が入るのも当然だろう。
「アクセル、どうした? 行くぞ」
シローの言葉に頷き、その場を立ち上がる。
ともあれ、今はミナトと綾子とのデートの時間を作る為に、少しでも早く仕事を終わらせる必要があると、そう理解して。
『おーい、そっちのコンテナはこっちだ! こっちに持ってきてくれ!』
メカニックに頼まれ、コンテナを移動させる。
中に入っているのは各種弾らしく、他にも弾薬が集まっている場所に運ぶ。
コンテナの類はMSでも運べるが、効率を求めるのなら専用のリフトだったりを使えばいいような気もするのだが、それらでは間に合わない。
ホワイトベースの速度から、一番最初にベルファストに到着したものの、途中でベルファストに寄るのはホワイトベース以外の部隊もいる。
ベルファスト基地では、当然のようにその辺の事情を考えて動く必要があった。
だからこそ、リフト……フォークリフトとかの機材はそちらの方に回されている。
ホワイトベースにその手の作業が出来る方法がなければ、専用の車両を貸してくれたのかもしれないが、幸か不幸かホワイトベースにはMSが大量にあった。
ジオン軍でも戦いに使えなくなったMSとかは作業用に使ったりする事もあるんだし、そう考えれば、MSでコンテナを運んだりといった事も、そう珍しくはないだろう。
そんな訳で、俺もピクシーに乗ってメカニックの指示通りにコンテナを運んでいた訳だ。
「ここでいいのか?」
『ああ、助かる。こっちのコンテナは、他にどれくらいある?』
「あー……そうだな。まだ10以上はあったな」
ビームスプレーガンやビームライフルであれば、専用の機器を使えばエネルギーの充電は出来る。
だが、ピクシーが使っている90mmサブマシンガンや、頭部バルカン、それ以外にも各種実弾兵器の分の弾薬となれば、当然のように場所を多く使う。
そういう意味でも、ビーム兵器の方が色々と便利なんだがな。
あるいは、せめて実弾兵器を使うにしても、弾薬を共通の物にするとか。
そんな真似が出来れば、もう少しコンテナの数も少なくなると思うが。
『アクセル、ちょっといいか?』
コンテナを置いたところで、不意にブライトからの通信が入る。
「どうした? こっちは現在コンテナを移動中なんだが」
『あー……いや。それは助かってるよ。ただ、ちょっと艦長室に来てくれないか?』
少し決まり悪げにそう言ってくるブライト。
……一体何があった?
何だか微妙に面倒の予感がするのだが、ブライトから呼ばれた以上は、顔を出さない訳にもいかないだろう。
「分かった、すぐに行く。……何か面倒な事態が起きたんだな?」
ブライトの様子から、何らかの問題が起きたのは間違いないと思えた。
問題なのは、それが一体どのような事なのかだろう。
出来ればそこまで面倒ではないといいんだが。
「悪い、ちょっとブライトに呼ばれたから行ってくる。こっちの仕事は、誰か別の奴に頼んでくれ」
先程コンテナをどこに置けばいいのかというのを指示していたメカニックにそう声を掛けると、ピクシーを格納庫の外に移動させる。
本来なら、MSは格納庫に収納するのが当然だ。
だが、今のホワイトベースは多くのコンテナを運び込んでおり、格納庫の中にMSがいると邪魔なのだ。
……だからこそ、他の場所にMSを置いておく必要があった。
格納庫以外の場所にMSを置くのだから、当然のように盗まれる危険性もある。
そうならないよう、一応護衛の人員が用意されてはいるが……うーん、いっそ空間倉庫にでも収納しておくか?
そうすれば、こちらとしても盗まれる心配をしなくてもいい。
ちなみに、この盗むというのはベルファスト基地の軍人を疑っているのではなく、主に警戒しているのはジオン軍だったりする。
普通に考えれば、ジオン軍がこのような場所に来るとは思えない。
しかし、それでも万が一にもという可能性を考えれば、警戒するに越した事はない。
特に今は、オデッサ作戦が終わってジオン軍はそれぞれ部隊で逃げたりもしている。
そう考えれば、ベルファスト基地を襲ってジオン軍ここにあり! と示す奴がいないとも限らない。
また、そのような真似をすると同時に、連邦軍の基地から何らかの物資を奪おうと考えたり……といった可能性もある。
そんな訳で、俺はピクシーから降りると空間倉庫に収納し、ブリッジに向かう。
……何だか空間倉庫に収納した光景にベルファスト基地の軍人が驚いていたりしたが、取りあえずそれは置いておくとする。
どうせこのベルファスト基地にいるのは2日なんだし、この状況でわざわざこの基地の軍人に説明をする必要もないと判断した為だ。
あ、何かメカニックのうちの何人かから、そんな便利な方法があるのなら、コンテナも収納しろよといった視線を向けられたが……取りあえずこれも無視する。
俺はジャブローでホワイトベースから降りるんだから、そんな状況で俺を便利に使おうとしても、それは意味がない。
いや、今このベルファストでの作業が楽になるという意味では、楽かもしれないが。
ともあれ、手伝っていけという視線を無視して、俺は艦長室に向かうのだった。
「ブライト、何の問題が起きた?」
「ああ、……実は、ベルファストのお偉いさんが何人か、アクセルに会いたいと言ってきてな。相手が相手だけに、こちらで勝手に断るような事は出来ん」
「そっち方面か」
ジオン軍がどうこうという問題かと思っていたが、なるほど。そっちの問題か。
以前ハワイでガルマからちょっと聞いた事があったが、ジオン軍が北米を占領した後、その地に実力者達はこぞってガルマに媚びを売ってきたらしい。
向こうにしてみれば、コロニー落としを行ったジオン軍だけに、北米にこれ以上の被害が出るのは避けたかったと、そういう事なのかもしれないが。
今回のこの一件も、多少経緯は違っていても、本質としては同じようなものといったところか。
……問題なのは、何故ホワイトベースに俺がいるのかというのを向こうが知っていたかだが、オデッサ作戦でニーズヘッグを使ったのを考えれば、その辺を調べるのはそう難しくはないだろう。
俺がいるかいないか分からない状態で俺を探すのと、俺が確実に連邦軍に協力している状態で俺がどこにいるのか。
俺を探すのだとしても、その二つには大きな違いがある。
とはいえ……俺がそれに付き合う必要もない訳で。
「パスだな。今の俺はシャドウミラーの代表としてここにいるんじゃなくて、あくまでもホワイトベース隊の傭兵としてここにいるんだし。……それに、1人と会えば他にも面会を希望する奴が出て来るかもしれない。……いや、確実に出て来る。それなら、最初から誰にも会わないようにしておいた方がいい」
そもそも、ベルファストにやって来たのは、偶然の要素が強い。
そんな中で、俺と何らかの交渉をしようとしても、正直なところ引き受けるつもりにはなれない。
その辺りの事情はブライトにも何となく分かったのか、俺の言葉に頷く。
「分かった。アクセルがそう言うのなら、こちらの方で断っておく。……今回の一件は連邦軍とは関わり合いのないところでの話である以上、こっちの独断で判断は出来なくてな」
「いや、それでいい。寧ろこっちこそ私情……と言ってもいいのか分からないが、とにかく迷惑を掛けて悪かったな」
ベルファスト基地での補給や修理、それ以外にも上層部への報告等々、ホワイトベースの艦長たるブライトは、それこそ幾らでも仕事がある筈だった。
そんな中で、俺に面会を求める者がいて、その対応に悩ませたというのは、正直なところ悪いと思っている。
なので、空間倉庫の中から冷たいウーロン茶の入ったペットボトルを取り出し、執務机の上に置く。
「これでも飲んで、ゆっくりしてくれ。……一応、異世界のウーロン茶だぞ」
「なっ!?」
俺の言葉に驚きの声を上げるブライトをその場に残し、艦長室から出るのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:900
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1560