転生とらぶる1   作:青竹(移住)

2573 / 3194
2482話

「では、オデッサ作戦で無事連邦軍が勝利したことを祝って……乾杯!」

『乾杯!』

 

 ホワイトベースの食堂にブライトの声が響き、続いて他の者達も乾杯と声を上げてコップを掲げる。

 オデッサ作戦が終わった日の夜、ホワイトベース隊は今日は任務はないと上から連絡があり、また特別に活躍した部隊という事で祝勝会まで許可され……更には、祝勝会用の各種食料の類も送られてきた。

 まさに、連邦軍上層部の大盤振る舞い。

 ……もっとも、この大盤振る舞いには当然のように相応の理由がある。

 例えば、エルランの一件で俺達に迷惑を掛けた件の謝罪の気持ち。

 もしくは、オデッサ作戦においてホワイトベース隊を酷使した事による慰労。

 それ以外にも、様々な事情があっての行動だろう。

 

「でも、本当にいいんですかね?」

 

 ふと、少し離れた場所にいたハヤトがリュウにそう声を掛けているのが聞こえてくる。

 

「僕達がこうして祝勝会をやっている今も、オデッサ基地では連邦軍の他の人達は働いてるんでしょう? なのに、僕達だけがこんな……」

「気にするなって。俺達はオデッサ作戦で頑張った。だからこそ、今はこうしてゆっくりしていられる訳だ。今この状態で下手にオデッサ基地に顔を出してみろ。あれだけ活躍したホワイトベース隊が、また手柄を奪いに来たのかと、そんな風に見られるぞ?」

「そういうものなんですか?」

「そういうものだ。人にはそれぞれ役割がある。例えば、俺達はジオン軍と戦うという役目だな。そして現在オデッサ基地で戦っている者達は、そういう専門の教育や訓練を受けてきた者達だ。そこに俺達が顔を出してみろ。どうなるか、想像するのは難しくないだろう?」

 

 リュウのその言葉に、ハヤトは納得した様子を見せる。

 実際、もしホワイトベース隊がオデッサ基地の中を調査するといった事になっても、何が出来るかとなると……ぶっちゃけ、ほとんど何も出来ないだろう。

 いやまぁ、MSとかを運んだりとか、そういう事は出来る。

 だが、例えばどこかに存在するかもしれない秘密の格納庫を見つけたり、そこに何が入っているのかを調べたり、もしくはコンピュータの中身を調査したり。

 そういう事をしろと言われて、出来るかどうかと言えば……まぁ、ある程度は出来る者も何人かいるかもしれないが、それでも結局はある程度でしかない。

 少なくても、連邦軍で本職の技術者達と肩を並べられる程かと言われれば、その答えは間違いなく否だろう。

 だからこそ、俺達がやるべき仕事は既に終えたと判断して、こうして祝勝会をやっているのだ。

 

 ……もっとも、オデッサ基地にまだ何らかの戦力が隠れている可能性もある以上、当然そういう場合はホワイトベース隊の出番がある可能性も高く、この祝勝会で酒は出ていない。

 うん、そういう意味でこの祝勝会は俺にとっても非常に快適な、純粋に楽しめる祝勝会だった。

 料理の材料も、祝勝会用という事で相応に高級な食材が揃っているし。

 

「アクセル、楽しんでる?」

 

 俺が料理を摘まんでいると、そんな風に声を掛けられる。

 聞き覚えのある声に、そちらの方に視線を向けると……

 

「ほう」

 

 目の前の光景に、我知らず感嘆の声が漏れる。

 当然だろう。俺の前にいたのは、ミナト、綾子、ミライ、フラウ、キキといった、ホワイトベース女性陣の面々。

 いや、それだけであれば、そこまで驚くような事もなかっただろう。

 だが、目の前に立つ女達の全員がパーティドレスで着飾っているとなれば、それは話が違ってくる。

 そう思っているのは俺だけではないらしく、食堂にいる多くの男達が熱烈な視線を向けていた。

 

「それ、どうしたんだ?」

「ふふっ、こんな事もあろうかと思って用意しておいたのよ。……全員分を用意するのは大変だったけど」

 

 得意げな様子のミナト。

 正直、どうやってこれだけのパーティドレスを用意したのかが分からない。

 いや、ミナトだけならそういう可能性も理解は出来るけど、ミナト以外の面々も……特に着飾る事に関してはそこまで興味を持っていないようなキキですらパーティドレスを着ているのは、驚くしかない。

 

「全員、似合ってるな」

 

 俺の口から出た言葉は、決してお世辞の類ではない。

 実際に全員のパーティドレスは似合っているのだ。

 ……まぁ、キキとフラウは着慣れないパーティドレスに戸惑っているようだったが。

 そう考えると、ミライは何気に着慣れている感じがするな。

 ちなみに普段の性格から綾子もこの手のパーティドレスは着慣れていないように思えるかもしれないが、綾子の場合は何気に結構着慣れていたりする。

 Fate世界でイギリスに留学していた時、凛と一緒に結構なパーティに出たりしたらしい。

 また、俺と再会してからもシャドウミラーでそれなりにパーティは開かれているし、他の世界で開かれているパーティに参加した事もあるとか何とか。

 

「ありがと。……さて、じゃあアクセルを驚かせる事には成功したし、そろそろ自由行動に移りましょうか」

 

 ミナトがそう言うと、ミライ、フラウ。キキの3人はそれぞれ散っていく。

 そして俺の隣には、ミナトと綾子の2人が。

 

「それにしても、パーティドレスを着てくるというのは驚いたな。いっそ俺も、タキシードでも着て来ればよかったか?」

 

 一応、本当に一応だが、空間倉庫の中にはタキシードの類も入っている。

 何だかんだで、着る機会は殆どないんだけどな。

 

「別にアクセルはその格好でも十分よ。……この祝勝会はそんなに格式張ったものでもないでしょ?」

「けどミナト達はパーティドレスを着てるだろ?」

「あら、好きな人に着飾った姿を見せるのは、当然じゃない。……ほら、あっちを見てみなさいよ」

 

 そうミナトに告げられて視線を向けたのは、シローのいる場所。

 当然ながら、シローの側にはキキの姿があり、嬉しそうにしながら着ているパーティドレスを見せている。

 キキは女らしい起伏という意味では、大人組にかなり劣っている。

 だからこそ、キキは妖艶さ、セクシーさというのを見せつけるものではなく、活発さをアピールするパーティドレスを着ていた。

 シローの方も、もうキキとの関係については吹っ切ったのか、キキの着ているパーティドレスを褒めているように見える。

 ……うん、あのカップルの今夜は熱い夜になりそうだ。

 

「アクセル、向こうも」

 

 綾子の言葉に視線を向けると、そこではフラウがアムロと会話をしている。しているのだが……アムロの様子を見ると、フラウのパーティドレス姿を褒めたりはしていないように見えるな。

 フラウの方も、少しだけ残念そうにしている。

 この様子では、フラウの気持ちにもまだ気が付いていないんだろうな。

 

「お」

 

 そんな様子に声を上げたのは、ハヤトがフラウに近づき、話し掛けたからだ。

 ハヤトの様子を見る限り、フラウのパーティドレス姿を褒めているように思える。

 

「まさかの展開だな」

「あら、別にそこまでおかしな展開じゃないわよ? ねぇ」

 

 ミナトの言葉に、綾子は頷く。

 何だ? もしかしてこれってそれなりに有名な話なのか?

 

「もしかして、ハヤトって……」

「まだ本人も気が付いてないようだけど。……ただ、フラウがどっちを選ぶのかは、微妙なところかしら。自分が好きな相手を選ぶか、自分を好きになってくれた相手を選ぶか」

 

 そうなると、アムロが誰を選ぶのかというのも大きな問題だろう。

 アムロが好む相手としては、今まで見た限りでは年上の美人が多い。

 サイド7に潜入していたメリル、綾子、マチルダ。

 ミナトにも思うところはあったようだったが、ミナトの場合は年上の女としての色気が強すぎて、アムロにしてみれば全く対処出来ないような存在となってしまっていた。

 ……うん、俺が言うのもなんだけど、アムロって何だかんだと結構な女好きだよな。

 ジオン軍には何気に美人な女が多いので、ハニートラップが心配だ。

 今のアムロなら、ジオン公国のハニートラップにあっさりと引っ掛かりそうな気がする。

 

「うん? そう言えば……アムロ、ミライには手を出さないんだな」

「手を出すという表現は、少々どうかと思うけど」

 

 俺の呟きに、綾子が若干の呆れと共にそう言ってくる。

 まぁ、今のはちょっとらしくない言葉だったか?

 そんな俺と綾子の会話に、ミライと仲のいいミナトが笑みを浮かべて口を開く。

 

「アムロにとって、ミライは……そうね、母親のようなものなんでしょうね」

「あー……なるほど」

 

 その言葉は、不思議なくらいすっきりと納得することが出来た。

 ホワイトベースの少なくない者達から、お袋さん呼ばわりされているのを聞いた事があるからだ。

 ミライの年齢が正確には何歳なのかは分からないが、それでも20歳になるかならないかといったくらいだろう。

 それこそ、ホワイトベースにはミライよりも年齢が上の者は多いのだが、そのような者達からもお袋さん呼ばわりされているのは……生来の母性本能とか包容力とか、そういうのが影響しているんだろう。

 まだ若いミライが、それを喜ぶかどうかはまた別の話だが。

 ただ、ミライの性格を考えるとそのくらいの事は普通に許容しそうな気がしないでもない。

 何だかんだと、その辺りが器の大きさを示しているんだろうし。

 そのミライは? と思って視線を向けると、ブライトと話しているところだ。

 ミライはこういう場だったり、パーティドレスを着るのに慣れているのか、かなり堂々としていた。

 ……寧ろ、話しているブライトの方がどう対応すればいいのか分からないような、そんな態度を取ってる。

 ブライトとミライの関係がどうなるのかは分からないが、もしこの2人がくっつくような事があった場合、ミライはブライトを立てて順調に暮らせるような気がする。

 

「まぁ、あの2人が本当に上手く行くかどうかは分からないけどな」

「私は上手く行くと思うわよ? ブライトの方は、今日のミライを見て完全に心を奪われているようだし。ミライの方も、ブライトに褒められて嬉しそうにしてるしね。……もっとも、ブライトの方はともかくとして、ミライの方はまだブライトに好意を抱いていると自分でも気が付いてないようだけど」

「それ、フラウの時も言ってなかったか?」

 

 ミナトのその言葉に、思わず突っ込む。

 だが、本人はそんな俺の言葉を全く気にした様子もなく、そう? 笑みを浮かべていた。

 

「その辺はしょうがないわよ。何と言っても、ホワイトベースに乗ってるのは10代の……まだ青春真っ只中の子供達が多いんだもの。どうしたって、その辺は色々と難しいのよ」

 

 そう告げるミナトは、近くにあったウーロン茶を飲む。

 胸元が大きく開いているドレスを着ているミナトだったが、そんな状況であってもその動き方はミナトらしい。

 

「これで音楽でもあれば、踊ったりするんだけどね」

 

 俺の視線に気が付いたミナトが、どこか悪戯っぽく笑うが……ここでダンスをするなんてのは、無理があるだろ。

 

「ここは食堂だぞ? ダンスなんかしようものなら、それこそ多くの人から何をやってるんだって目で見られるのは間違いないぞ」

「あら、アクセルの性格を考えれば、そんなのは全く気にしないんじゃない?」

「……まぁ、それは否定しない。元々俺は結構怖がられているしな」

 

 刈り取る者を召喚してみた時もそうだったが、やはりそれが決定的になったのは、ニーズヘッグを召喚して見せた事だろう。

 ニーズヘッグはただのPTではない。

 シャドウミラーの技術を結集して開発された、フラッグシップ機だ。

 それだけではなく、Fate世界で俺の宝具となった事もあり、魔力を宿すようにすらなってしまった。

 今のニーズヘッグは、見た者の目を惹き付けるような、圧倒的な迫力……一種の雰囲気のようなものすら持っている。

 それを思えば、ニーズヘッグを見た者が俺に対して畏怖を抱くようになるのは、そうおかしな話ではない。

 ……もっとも、それがあくまでも畏怖であって、嫌悪感や忌避感といった類のものでないのは、俺にとっても幸運だったと言ってもいいのだろうが。

 そういう意味では、このオデッサ作戦を最後にジャブローでホワイトベースから降りるというのは、そう悪い話ではなかったという事か。

 ジャブローに行ったら行ったで、また色々と面倒な事が待ってそうな気もするが。

 とにかく今は、オデッサ作戦が終わった事を喜ぶ祝勝会を楽しんでいるんだから、今は思う存分楽しむとしよう。

 

「いよう、アクセル。両手に花で随分と羨ましいな」

 

 フィリップがそう声を掛けてくる。

 その言葉通り、どこか羨ましそうな視線を俺に向けていた。

 ……あれ? けど、フィリップはメカニックの女に言い寄ってたとか何とか……

 

「アクセル、フィリップは目当てとは別の女に言い寄っているのを見られたのよ」

 

 ミナトの言葉で、納得する。

 つまり、自分は複数の女に言い寄って駄目だったのに、何故俺だけと……そんな風に思ってるのだろう。

 嫉妬の視線を向けてくるフィリップと会話をしながら、俺は祝勝会を楽しむのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:900
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1560

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。