ブリッジにやって来た俺が見たのは、ある意味で予想通り……そしてある意味で予想外の光景だった。
予想通りなのは、ブリッジにいる者達が皆で喜んでいるところ。
予想外だったのは、普段は冷静でいるように、艦長らしくするようにとしているブライトまでもが喜び、興奮して自分でも何をしているのか分からないのか……ミライに抱きついているという光景だった。
ミライの方は、そんなブライトの様子に困ったような笑みを浮かべながら抱き返している。
これでミライが嫌そうな表情を浮かべてでもいれば、セクハラとかになるんだろうが……こうして見た限りでは、ミライは困ったような表情を浮かべてはいるが、嫌そうではない。
ミライの性格を考えれば、嫌がっているのを表情に出していないだけという可能性もあるが。
ともあれ、ブリッジにいる面々はまだ俺とミナトが入ってきた事にすら気が付いていない。
それだけオデッサ作戦が成功したのが、嬉しかったのだろう。
「あー……ちょっといいか? 取りあえず、ブライトはミライから離れた方がいいと思うんだが、どう思う?」
そんな言葉で我に返ったブライトは、現在自分がどのような状態なのかを理解し、慌てたようにミライから離れる。
「す、すまない。少し興奮しすぎた」
「いいのよ。ブライトも嬉しかったんでしょうし」
顔を赤くしながら、ミライがブライトに言葉を返す。
うーん、もしここに某同人作家……いや、現在は漫画家か。その漫画家を連れてくれば、ラヴ臭がするとか言い出しかねないな。
実際にこの2人の様子を見る限りでは、そんな風に思ってもおかしくはないだろう。
「さて、我に返ったところで……この喜びようから聞くまでもないと思うが、一応聞いておく。オデッサ作戦は連邦軍の勝利で終わったと思っていいんだよな?」
「あ、ああ。既にジオン軍の多くの者はHLVで宇宙に脱出したか、それとも他の地球にある基地に向かったかしている。逃げ遅れた者、逃げるのを受け入れられなかった者達が抗戦していたが、それも終わって無事にオデッサ基地は連邦軍が占領した」
「そうか。無事にオデッサ作戦が終わったようで何よりだ。……まぁ、連邦軍の被害も相応に大きかったんだろうが」
アッザムによる攻撃もそうだし、ジオン軍のMS隊による攻撃でも連邦軍はかなり大きな被害を受けた筈だ。
このオデッサ作戦で、初めて連邦軍はMSを大々的に使用した。
だが、MSの操縦技術という点で考えれば、やはりジオン軍に一日の長があるのだ。
同じMSという兵器を使っていても、ジオン軍のパイロットの技量が上であれば、当然のように受ける被害は連邦軍の方が多くなる。
もっとも、ジムの性能はザクやグフよりも高い。
ドムと戦った場合は機動力で不利になってしまうだろうが、そもそもドムは地上用MSとしては最新鋭MSで、数は多くない。
多くない上に、その数少ないドムはホワイトベース隊が多くの数を撃破している。
……まぁ、その中でも結構な数を俺が貰っているが。
その辺も、今の連邦軍にとっては追い風となったのだろうが……それでも連邦軍が受けた被害は大きい。
「正直なところ、ホワイトベースに入っている情報だけで判断しても、予想外に被害が多かったのは事実だ。その上で宇宙に逃げたのならまだしも、地球にある他のジオン軍の基地に向かって逃げた者達も多い。……いや、それだけではなく、ジオン軍の基地ではない場所に潜伏される可能性も考えるとな」
あー……それは厄介だ。
ダブデが纏めて破壊された事により、ジオン軍は部隊単位で動いた。
だからこそ、ジオン軍の基地に向かうのではなく、どこか別の場所……それこそ、キキのいたゲリラがいるような村に潜むという可能性も、この場合は決して否定出来ない。
どこか一ヶ所に集まっているのなら、ある程度対処も可能だろうが……それが出来ない以上、1部隊ずつ見つけて倒していくという真似をする必要がある。
ましてや、連邦軍に対して不満を持っているゲリラの類に匿われたりした場合、連邦軍がジオン軍を見つけるのは不可能に近くなる。
その上で、部隊単位で逃げているとなると……ぶっちゃけ、オデッサから逃亡した者を全員捕まえるというのは不可能なんじゃないか?
ダブデがいれば、指揮系統が生きていて、オデッサにいるジオン軍の全員を纏めるという訳にはいかないが、それでも今よりはマシになったかもしれない。
とはいえ、あの状況ではどのダブデが水爆を搭載したミサイルを持っているのか分からなかった以上、ダブデを残すなどという選択肢は存在しなかった。
もしあの時下手にダブデを残すような真似をしていた場合、水爆を搭載したミサイルが発射される可能性があったのだから。
その辺を思えば、ダブデを全て撃破するのは必須だった。
この辺は、俺にダブデの撃破を依頼してきたティアンムに聞いても許容範囲内だろう。
「さて、逃げたジオン軍の追撃は連邦軍に頑張って貰うとしてだ。ホワイトベースはこれからどうするんだ? オデッサ基地に向かうのか?」
逃げたジオン軍の追撃は連邦軍に任せると口にした俺に、ブライトは微妙に嫌そうな表情を浮かべるが、それでも実際にそれは間違っていない以上、特に反論をする様子がないまま、頷く。
「そうなるな。出撃しているMS隊を全機収容したら、オデッサ基地に向かう事になる。とはいえ、ホワイトベースがやるのは、オデッサ基地の警護だが」
「まぁ、それは必要か」
オデッサ基地にいる連邦軍が許せずに攻撃してくるジオン軍もいるかもしれない。
もしくは、オデッサ基地にまだ隠れているジオン軍もいるかもしれない。
その辺りの事情を考えれば、やはり護衛の戦力は必須となるだろう。
中には自爆をする為に攻撃してくる奴もいる可能性があるし。
ジオン軍の中には……いや、ジオン公国の中には、ザビ家を熱狂的に支持している者がいる。
そのような者達にとって、ジオン軍が地球上で最初に占拠したオデッサという土地を連邦軍に奪い返されるのは許容出来ないと、そう思ってもおかしくはない。
そして狂信者のような連中がやる事は……大体予想出来る。
自爆だ。
そんな相手に対処する為には、やはり精鋭が必要と連邦軍が考えてもおかしくはない、
うん、そういう連中を相手にするのは、正直なところちょっと面白くないんだが。
連邦軍にしてみれば、ホワイトベース隊にこれ以上活躍をさせるよりは……と、そう判断して、そのような命令を下してもおかしくはない。
個人的にはあまり気が向かない仕事だったが、ホワイトベースにそんな命令が下った以上、誰かがやる必要がある。
そうなると他の奴に任せて……と考えても、その任せた奴が敵の自爆に巻き込まれるかもしれないというのを考えると、俺がやった方が手っ取り早い。
何だかんだと、ホワイトベースに所属している連中に俺は親近感があるんだよな。
サイド7からここまで一緒に行動してきたのだから、多少の情が移るのも当然だろう。
「話は分かった。あまり気が進まないけど、それは引き受けるか。……ただし、オデッサ基地に到着するまで気を抜くなよ。オデッサ作戦は連邦軍の勝利で終わったけど、まだオデッサに……基地じゃなくて外でも、どこかに潜んでいる奴がいる可能性はあるんだし」
「分かってるよ。けど、まさかアクセルからそんな忠告をされるとは思っていなかったな」
ブライトにしては珍しく、若干冗談っぽい感じで告げてくる。
何だかんだと、このオデッサ作戦は長かった。
実際に作戦が始まってからは3日だったが、ワルシャワ基地で待機していた頃の事を考えると、かなり密度の濃い日々だったのは間違いない。
それこそ、数ヶ月はここにいたのではないかと、そう思えような日々。
そんなオデッサ作戦が終わった事で、気が抜けてしまう、もしくはテンションが高くなってしまうのは、ある意味で当然なのだろう。
「とにかく、今の状況でもなるべく注意深く行動するのに越した事はないな」
そんな俺の言葉にはブライトも賛成だったのか、厳しい表情で頷く。
「そうだな。連邦軍が勝ったとはいえ、この先に何が起きるのかはまだ確実には分からん。であれば、やはり何があってもすぐに対処出来るようにしておいた方がいいだろう」
そんなブライトの言葉に、ブリッジでオデッサ作戦の勝利に喜んでいた者達も、それぞれ真面目な表情になる。
「出来れば、オデッサ基地の中をしっかりと確認したかったんだが……それは難しそうだし、今はいいか」
「そうしてくれ。アクセルがオデッサ基地に行ったら、一体何が起きるか分からないからな」
「いや、俺が行ったからって何か起きるとか、決めつけるなよ」
そう突っ込むも、トラブルに巻き込まれる才能という点では自覚しているので、その言葉は決して強くない。
俺が今まで巻き込まれてきたトラブルを思えば、説得力ないんだよな。
「アクセルが来たから、ホワイトベースがここまで騒動に巻き込まれたとか? いや、ないな」
そう呟くブライトだったが、それは決して間違っている……という訳ではないんだよな。
もっとも、それよりもこの世界の原作が始まったから……と、そう考えた方がいいのだろうが。
ただ、それをブライトに言う訳にはいかないしな。
「ブライト、ガンタンク隊のリュウさんから通信よ」
「リュウから? ……分かった、出してくれ」
ミライの言葉に、ブライトはそう告げる。
何でリュウがこうして通信を送ってきたのか、その理由が分からなかったからだろう。
とはいえ、リュウはブライトにとっては腹心の部下のような感じの相手だ。
そう考えれば、別に通信を送ってきてもおかしくはない。
『ブライト、俺達はどうすればいい? 今はまだ敵に襲われるような事はないから、このまま甲板にいればいいのか?』
「そうしてくれると助かるが、何か問題でもあるのか?」
『ああ。何人かが精神的に結構限界だ』
そう告げるリュウの言葉に、なるほどとブライトは頷く。
訓練を積んだ軍人なら、そこまで気にするような事はないだろう。
だが、ガンタンクに乗っている者の多くは、生粋の軍人ではない。
そんな者達が3日もの長期に渡る軍事作戦……それも、ワルシャワ基地での一件から考えると、更に長期間の間、このオデッサ作戦に関わってきたのだ。
普通に考えれば、とてもではないが精神的、体力的に元気一杯といったようには出来ないだろう。
その辺り、リュウが心配しているところだと思われる。
これが、まだ敵が多くいるのであれば、その対処をする為にガンタンク隊はまだ必須かもしれない。
だが、もうここには目立った敵の姿はないのだから、リュウが軍属の面々も休ませようとしても、おかしくはなかった。
ブライトもリュウの言いたい事は分かったのか、すぐに頷く。
「分かった。今の状況なら、ガンタンク隊が全員必要という訳ではないだろう。……ジョブとリュウの2人でもう少し頑張って貰えないか?」
『了解だ。ジョブの奴にも言っておくよ』
そう告げ、通信が切れる。
下士官のリュウはともかく、ジョブはそこまでの訓練を受けているようには思えない。
だとすれば、ジョブの体力もリュウと同じように……とは、とても出来ないと思うんだが。
まぁ、その辺についてはブライトやリュウも当然のように知ってるだろうし、俺がそこまで気にする事はないだろ。
綾子がまだガンタンクに乗っていた時なら、気にしたりした可能性はあったのだが。
「取りあえず、頑張ってくれ。俺は格納庫で待機してるから。オデッサ基地の見張りをするにしても、もし万が一まだこの辺に残っているジオン軍の部隊が攻めてくるにしても、すぐに対処出来るようにな」
「すまない。そう言って貰えると、こちらとしても助かる」
そう告げるブライトに軽く手を振り、ミライと何かを話しているミナトに軽く声を掛けてから、俺は格納庫に向かう。
格納庫に向かう中で会った者達も、その多くがハイテンションと呼ぶべき状態だった。
それこそ、普段は刈り取る者の一件で……そして今日見せたばかりのニーズヘッグの影響もあるのだろうが、俺を怖がって近づいてこないような奴であっても、そのハイテンションで俺に絡んでくるのだ。
うーん、これは……いやまぁ、俺は別にいいんだけどな。
いつもは俺と距離を取ってる連中が今のテンションが落ち着いた時、俺への態度に一体どう反応してくるのか……少し、興味深いものがあるのは、間違いない。
とはいえ、俺が特に何かをするといったつもりはないのだが。
何人かと話をしながら格納庫に向かい……すると、俺にとっては馴染みのある場所と呼ぶべき場所に到着するのだった。
……当然のように、格納庫でも多くの者がオデッサ作戦の成功に浮かれ騒いでいたが。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:900
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1560