ギャロップを空間倉庫に収納し終わると、周囲を見回す。
既にギャロップに乗っていたジオン軍の軍人達の姿はここにはない。
ワッパを使って移動し、ジオン軍の他の部隊に拾われている頃だろう。
……取りあえず俺が忠告した通り、ギャロップの中に人が残っているという事はなかったらしい。
人がいれば収納出来ないので、その辺の心配をしなくてもいいというのは、こちらにとっても楽だった。
このギャロップは、一体どうするべきか。
ハワイで実際に運用してもいいし、月のディアナ辺りに持ち込んで改修したり、これをベースにして新しい陸戦艇を作ってもいいし。
あ、でもギャロップは元々ジオン軍で開発された物なんだから、もしかしたらディアナには既にギャロップのデータはあったりするのか?
だとすれば、普通にハワイで使った方がいいな。
出来れば、ギャロップの生産ラインとかを確保したいところだが……どこにあるんだろうな。
可能性としては、オデッサか北米といったところか?
陸戦艇なんだし、まさか宇宙で製造して地上に運んでるなんて事は……ないよな?
もしくはHLVに部品を分解して運んできて、地球で組み立てるとか?
そんな面倒な事をするくらいなら、やっぱり地球に生産ラインを作った方がいいか。
とはいえ、ギャロップにしろダブデにしろ、MSを運用出来るだけの陸戦艇だけに、建造するには当然のように多数の資源を必要とする。
ルナ・ジオンとの取引で資源を購入していて、オデッサという地球でも有数の資源地帯を有しているとはいえ、そうそう無理は出来ない……と、思う。
まぁ、その辺はオデッサを占拠してからどうにかすればいいのか。
もし生産ラインがあったら、それこそ空間倉庫に収納しておけばいいし。
そんな風に思いながら、ピクシーのコックピットに戻り、ホワイトベースに連絡を入れる。
「ホワイトベース、聞こえているか? ホワイトベース」
『はい、聞こえています』
そう通信に出たのは、モーリン……ではなく、ノエルだった。
マットの部隊のオペレータだったが、それが何故ホワイトベースでオペレータを?
ホワイトベースのオペレータはモーリンだった筈だが。
「ノエル? モーリンは?」
『彼女は少し休憩中です。その間、私がオペレータをやる事になりました』
休憩? そう言われても、若干疑問がある。
とはいえ、今ここでそれを言っても意味がない以上、その辺を聞く必要はないか。
「そうか。なら、取りあえず報告だ。指示された座標にいた敵は倒した。ただ、推進剤やエネルギー、残弾の類がかなり心許ないので、ホワイトベースに戻りたいんだが……構わないか?」
『少し待って下さい。……大丈夫です。問題ないとブライト艦長が』
「そうか。なら、すぐにホワイトベースに戻るから、そっちの座標を送ってくれ。それとも俺が出撃してから場所は変わってないか?」
『いえ、座標はこちらです』
その声と共に、ノエルから座標が送られてくる。
確かにその座標は、俺が出撃した時と比べるとそれなりに近い。……というか、こちら側に動いてきている、という表現の方が正しいか。
ホワイトベースと自然に通信が繋がるのは、そのおかげか。
「分かった。なら、今からホワイトベースに向かうから、補給の用意をしておいてくれ」
『分かりました。お気を付けて』
その言葉と共に通信が切れる。
さて、ホワイトベースに戻るとするか。
ジオン軍との戦いが一体どんな結末を迎えるのかは、俺も分からない。
それでも、このオデッサ作戦の件もあって、連邦軍が勝つのはほぼ間違いないだろう。
このオデッサ作戦で連邦軍がどれだけ消耗するのかを楽しみにしながら、俺はホワイトベースに向かうのだった。
「アクセルさんのピクシーは整備が楽でいいですね。損傷を受けないので、その辺の修理がいらないってのが楽です」
「あー……でも、関節部分が結構消耗してるので、今は無理でもオデッサ作戦が終わった後で部品を交換した方がいいかもしれませんよ」
俺の前にいるメカニック2人の声に、頷きを返す。
「分かった。オデッサ作戦が終わったら頼むよ」
ホワイトベースの格納庫にいるのは、今のところピクシーだけだ。
おかげで、メカニック達が纏まって整備と補給をやってくれた。
にしても、関節部分の消耗が結構あるのか。
出来るだけ機体に負担を掛けないように手加減して操縦していたのだが……精神コマンドの加速を使ったり、スラスターを全開にした状態でかなり動き回ったりとかしたからか?
今度からはその辺にももう少し気を遣う必要があるな。
それでも強敵……ジオン軍の中でも異名持ちやパーソナルカラー持ち、もしくはそれ程に分かりやすくはないが、それでも強敵が出て来れば、こちらとしても相応の対処をとらざるをえないのだが。
「機体は出来るだけ気をつけて使ってるんだけどな」
「それはしょうがないですよ。結局のところ、MSは兵器ですからね。使えば当然のように損耗しますし、場合によっては壊れてたりもします。それにうちの場合はブルーディスティニーがあるので、その辺のノウハウは大きいですし」
そう言いながら、メカニックはピクシーの近くで他のメカニックに指示を出しているアルフに視線を向ける。
クルストが死んだ現在では、唯一のEXAMシステムの専門家と呼ぶべき人物。
アルフもEXAMシステムがどうやって作られているのかといったことは分からない以上、新たなEXAMシステム搭載機を作るのはかなり難しいだろうが。
ともあれ、EXAMシステム搭載機というのは機体限界を超えた動きを可能とするが、そうなれば当然のように機体の各所……特に関節部分に大きな被害が出る。
そういう意味で、EXAMシステム搭載機の専門家ともなれば、自然と関節部分の専門家にもなってしまうのだ。
俺としては、連邦軍でその辺の技術が早いところ発展してくれれば、嬉しいんだが。
とはいえ、そう簡単に発展するようなら、それこそジオン軍とかでも楽に発展していたのは間違いないだろうが。
「ジャブローに到着する前に、一度アルフから全面的にピクシーをチェックして貰った方がいいのかもしれないな。そうなれば、もしかしたら何らかの改善点が見つかる可能性も否定は出来ないし」
「あー……アルフさんにそんな余裕があればいいんですけどね」
俺達の側を通り掛かった女のメカニックが、アルフをどこか哀れむような視線で見ている。
アルフに何かあるのか?
「アルフが何か忙しくなるような予定でもあるのか? 今のところ、特に何かあるようには思えなかったけど」
「実はこれってまだ噂なんですけど、連邦軍の中でも特殊な部署にアルフさんが引っ張られるかもしれないって」
「……なるほど」
女のメカニックが口にした言葉は、微妙な納得出来るものがあった。
唯一のEXAMシステムの専門家のアルフは、当然のように連邦軍上層部……それも大艦巨砲主義に陥った者ではなく、MSの有用性を理解している者達にしてみれば、垂涎の人材だろう。
EXAMシステムを本格的に量産するのは難しいかもしれないが、精鋭部隊や特殊部隊といった者達に使わせるくらいなら、量産は出来るかもしれない。
ぶっちゃけた話、そういう意味なら月に来て欲しいところではあるんだよな。
クルストの場合はフラナガン機関の生き残りだから月に連れていくというのは無理だったが、アルフなら特に問題はない。
もっとも、ニュータイプ研究と称して非人道的な実験をするような者なら、話は別だったが。
「アルフか。出来れば引き抜きたかったんだけどな。月に来れば、ジオン軍と連邦軍の双方の技術が組み合わさったMSを開発出来るかもしれない……って言ったら、来ると思うか?」
「どうでしょうね。……というか、何で月が連邦軍のMS技術を……いえ、そう言えば色々と調べたんでしたっけ」
「そんな感じだな。それに、あのピクシーは俺が個人所有しているMSだし、オデッサ作戦諸々の報酬としてジャブローに行ったら新型のMSを受け取る契約になってるし」
実際にはプロトタイプガンダムをディアナに渡してきたりしてるし、それ以外にもこれまでに連邦軍のMSを色々と入手してたりするんだが……まぁ、その一件は言わない方がいいか。
「うーん……でも、アルフさんなら行ってしまいそうな……」
メカニックの女から見ても、俺の出す条件……連邦軍とジオン軍双方の技術を組み合わせたMSの開発というのは、かなり好条件に見えるのだろう。
とはいえ、連邦軍がジオン軍に勝てばサイド3を占拠し、ジオニック社を始めとして各種兵器メーカーの技術を入手出来るのだろうが。
それでも、兵器メーカーから奪うのと、実際にその技術を開発した者達が来た事によって得られる技術と考えれば、やはり後者の方が様々な面から有利なのは間違いない。
また、何より……月にいるという事は、ゲートを使った先にあるホワイトスターとも繋がる事を意味しており、異世界の技術に触れられるという事も意味してるのだ。
技術者として有能なアルフであれば、そこに抗いがたい魅力を感じてもおかしくはない。
「だろう? ……そうだな、後でちょっとその辺を話してみるか。あくまでも、ジオンの独立戦争が終わってからの話だがな」
そうやって言葉を交わしていると……
「アクセル、ブライト艦長がカンカンだぞ。早くブリッジに来いってよ」
メカニックの1人が、そう俺に怒鳴ってくる。
そう言えば、俺はブリッジに行く予定だったんだが、ここで話していたからすっかり忘れてたな。
あのメカニックは、恐らく何か別の用事でブリッジに連絡をし……それで、ブライトからの伝言を俺に伝えたのだろう。
「分かった、すぐに行くって言っておいてくれ」
そう手を振りながら告げ、俺は話していたメカニックと短く言葉を交わすと格納庫を出る。
そうしてブリッジに向かう途中、窓の外に視線を向けると、そこにはガンタンク隊の姿があった。
こうしてホワイトベースの中にいると、全くそんな感じはしなかったが……そうなんだよな。考えてみれば、今この時もオデッサ作戦は行われているのだ。
少し気を抜きすぎたかもしれない。
とはいえ、俺の場合は戦場にいるのが普通だったりするので、その影響もあるのかもしれないが。
ガンタンク隊の面々は、今はどんな状況なんだろうな。
いや、こうしてホワイトベースの甲板にいるのは分かるんだが、中でどのようにしているのかというのが、少し気になる。
何だかんだと、オデッサ作戦は今日で3日目だ。
当然のように、そうなれば精神的な疲労に襲われてもおかしくはない。
何しろガンタンクのパイロットは、リュウのような軍人もいるが半分以上は素人だ。
今まではそれでも特に問題はなかったが、こんな長時間の戦いを行った事がないだけに、精神的な疲労が強くなるのは当然だろう。
……それでも、ストレスからパニック状態になってホワイトベースに攻撃をするなどといった真似はしないで欲しいところだが。
その辺は、ブリッジの方でノエルやモーリンといった面々がそれぞれ声を掛けて、リラックスさせるような真似をしているだろう。
そんな風に考えながら通路を歩き……やがて目的地のブリッジに到着する。
「ブライト、来たぞ」
「遅い。一体何をやっていた?」
「あー……悪いな。ちょっとピクシーの整備の件とかで話していたんだ」
一応、嘘は言っていない。
実際に格納庫でピクシーの整備の件で話していたのは、間違いないのだから。
それ以外にも色々と話していたのは間違いないが。
「ほう。アルフをルナ・ジオンに引き抜くといった事も整備に関係あるのか?」
「う……」
何でそれを知っている?
一瞬、もしかしてブライトもニュータイプ能力に目覚めたのか? と思わないでもなかったが、少し考えればその答えは納得出来る。
簡単な話、格納庫でブリッジと連絡をしていたメカニックが、俺達のしていた会話を聞いてそれをブライトに伝えたのだろう。
もしくは、単純に俺の会話が通信機を通してブリッジに聞こえていた可能性もあるが。
「あー……まぁ、そういう話をしていたのは事実だが、大体はピクシーの整備についてだな」
「……まぁ、いい」
はぁ、と。呆れた様子で溜息を吐くと、ブライトは改めて俺に視線を向け、口を開く。
「ギャロップの一件は無事に終わった。そう判断してもいいんだな?」
「ああ。ただし通信でも言ったと思うが、俺が到着した時にはもう連邦軍の部隊はどこにもいなかったけどな」
「それは仕方がない。アクセルが指定された座標に到着するまで、かなりの距離があったし……その途中で何度も戦いに巻き込まれたしな。取りあえず、そちらの戦いについて説明してくれ」
そう言われ、俺は戦いの事を説明する。
そんな中で、俺が戦ったジオン軍の戦車……マゼラアタックではない戦車は、マゼラアインという戦車である事が判明するのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:850
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1552