転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2466話

「すまない」

 

 そう言い、レビルが頭を下げる。

 万が一に備えてMSの出撃準備をしていたのは、意味がなくなった。

 現在ブライトと俺がいるのは、レビルが乗っているビッグトレーのブリッジだ。

 それにしても、仮にも連邦軍のトップがこうして部下だったり、雇われの兵士に向かって頭を下げるというのは、正直なところどうかと思わないでもない。

 実際、レビルの周囲にいる他の軍人達は、そんなレビルの姿に驚き、頭を上げるように言ってる者や……レビルに頭を下げさせた事が気にくわないのか、こちらに厳しい視線を向けてくる者もいる。

 レビルは現在の連邦軍のトップだから、それも当然だろう。

 それもただの連邦軍のトップという訳ではなく、ルウム戦役で捕らえられ、そこから脱出して連邦軍がジオン軍に降伏するところだったのを止め、更にはMS開発計画たるV作戦を立ち上げた人物だ。

 そのV作戦のおかげで、ジムというMSが連邦軍でも配備されており、ジオン軍と互角に戦えるようになっているのだ。

 もしレビルがいなければ、間違いなく今のような状況にはなっていなかっただろう。

 だからこそ、そんなレビルに頭を下げさせたホワイトベース隊の面々に厳しい視線が向けられるのは、当然だった。

 そんな視線に気が付いたのか、それとも単純にブライトの立場としてレビルに頭を下げさせることが不味いと判断したのか、ブライトは慌てたように口を開く。

 

「レビル将軍、頭を上げて下さい。今回の一件は確かに色々と大変でしたが、それでもコーウェン准将を派遣してくれたではありませんか。それにエルラン中将は、レビル将軍をジオン軍から救出する指示をした人物です。そんな相手が裏切っているとは、普通なら思いません!」

 

 そんなブライトの言葉に、レビルは頭を上げる。

 

「すまんな」

「いえ。先程も言いましたが、今回の一件はしょうがないかと。……ただ、オデッサ作戦はこれから厳しくなりましたね」

「うむ。元々のオデッサ作戦をそのまま使うのは難しくなったのは間違いない。現在、皆で新たな作戦を考えているところだ」

 

 そう言いながらも、レビルが厳しい表情を浮かべているのはやはり難しいのだろう。

 

「その件で、アクセルから少し話があるということです」

「……アクセルが?」

 

 レビルが視線をこちらに向けてくるのに、頷く。

 

「そうだ。レビルも先程言っていたが、前々から考えていたオデッサ作戦はそのまま使えなくなったんだろう? そして、今は何とかそれを修正しようとしているが……それもまた、難しい」

 

 その俺の言葉に、ブリッジにいる連邦軍の参謀達が厳しい視線を向けてきた。

 自分達が必死になって考えていた作戦が否定されたのが、面白くなかったのだろう。

 だが、レビルはそんな参謀や軍の将官……以前会ったティアンムや俺達を迎えに来たコーウェンといった者の姿もあったが、そんな者達を抑えたレビルが俺に視線を向け、尋ねてくる。

 

「それは否定出来んな。では、この状況でどのような手段があると思うのかな? もしよければ聞かせて欲しい」

 

 少しだけ挑戦的な視線を向けてくるレビルに、俺は単刀直入に告げる。

 

「全軍が纏まって、オデッサ基地に向けて進軍するだけだ」

「馬鹿なっ!」

 

 俺が言うや否やそう叫んだのは、参謀の1人。

 唖然と……それこそ、馬鹿でも見るような視線をこちらに向けてくる。

 そのような視線を向けてくるのは、1人や2人ではなく、他の者も同様にそんな視線を向けてくる。

 

「馬鹿なと、そう否定したい気持ちは分かる。分かるが……今の状況を思えば、それが最善の選択肢だと俺は思う。エルランは中将という階級だった以上、本来のオデッサ作戦のデータは当然理解しているし、また長い間連邦軍にいた事を考えれば、その作戦の癖も読んでいる筈だ」

 

 その意見には反対出来なかったのか、渋々……本当に渋々といった様子ではあったが、参謀達は俺の言葉に頷く。

 

「分かって貰えたようで何よりだ。そうなると、向こうが思いもしない行動を取る必要がある。だが、ここで問題になってくるのは時間だ」

 

 時間という言葉に、参謀達は難しい表情を浮かべる。

 当然だろう。幾らワルシャワ基地が近いとはいえ、補給物資は無限にある訳ではない。

 ただでさえ、連邦軍の総力を結集していると表現してもいいような戦いなのだ。

 そこで必要とされる補給物資は、莫大な量となる。

 食料や水、薬品……それ以外にも銃器や弾薬、兵器の予備部品や推進剤等々。

 その上でMSを大々的に使っているとなると、そこでまた各種部品が必要となる。

 連邦軍が行っているオデッサ作戦は今日で2日目なのだが、この2日で一体どれだけの物資を消費したのか考えた場合、それはもの凄い量となるのは間違いない。

 エルランも当然それを知っているのだから、ジオン軍は持久戦を行う可能性が高い。

 何しろ、向こうは人数が少ないので連邦軍程に補給物資を消耗したりしなくてもいいし、同時にMSの運用のノウハウという点では連邦軍よりも蓄積がある。

 また、MS以外にも様々な兵器を使っている連邦軍に対して、ジオン軍は基本的にMSを主力として使っている。

 各種予備部品の類も、MSを主力として使っている以上、補充するのは難しくはない。

 ……まぁ、MSはMSで、ジオニック社とツィマッド社でMSの規格が違ったり、場合によっては同じ会社のMSであっても機種が違えば規格が違ったりといった事があるらしいが。

 ともあれ、それでも連邦軍よりマシなのは事実。

 それだけに、連邦軍としては補給がまだ十分に出来る間に、オデッサ基地を攻略する必要があった。

 

「だが、時間がないからといって、全軍で一気に攻めるというのは、幾ら何でも無謀だ」

「何でだ? 元々、数としては連邦軍の方が圧倒的に多い。そうである以上、ジオン軍と正面から戦っても、最終的に勝つのは連邦軍だと思うが?」

「……ここが最後の戦場であれば、その手段も考慮に値する。しかし、ジオン軍はオデッサ以外にも幾つも拠点を持っているし、何よりその本拠地は宇宙にあるのだ。ここで連邦軍の戦力を無為に散らす訳にはいかん」

 

 レビルのその言葉に、他の参謀達も即座に同意する。

 

「そうだ! ここで戦力を消耗したら、サイド3……いや、ソロモンやア・バオア・クーを攻略するのも難しくなるではないか!」

「俺もそう思う。そこで、1つ質問だ。こちらが全戦力をオデッサ基地に向かわせた場合、ジオン軍はどうすると思う?」

「それは……こちらが戦力を揃えている以上、向こうも戦力を集めるのではないか? ミノフスキー粒子がなければ、また違っただろうが」

 

 参謀の1人がそう告げる。

 実際、その言葉は間違っていない。

 ミノフスキー粒子の濃度によっては、離れた相手と連絡を取るのが非常に難しくなる。

 それこそ、最悪の場合は伝令を走らせた方がいいというくらいには。

 だからこそ、いざという時すぐに命令出来るよう戦力を集中させるというのは、当然の事だった。

 

「そうなるな。そして、ここでワルシャワ基地で見たアプサラスⅢを思い出して欲しい。もし敵が固まっている場合、それはこちらにとってこれ以上ない程の標的となる」

『っ!?』

 

 俺の言葉に、レビルを含めて多くの者が息を呑む。

 これは、完全に予想外だったのだろう。

 いや、アプサラスⅢについては当然知っていただろうが、エルランの件だったり、オデッサ作戦の練り直しだったりといった具合で、思い出す暇もなかったのだろう。

 

「どうやら、こっちの狙いは分かったらしいな。アプサラスの攻撃力があれば、ジオン軍が纏まっている状況なら一網打尽だ。……とはいえ、ジオン軍もラサ基地での戦いについては既に情報を掴んでいるだろうから、警戒している可能性が高い」

 

 というか、絶対に警戒してるだろう。

 アプサラスとホワイトベースを繋げて考えていなければ、もしかしたら……本当にもしかしたら、その辺を考えていない可能性もあるんだろうが……ぶっちゃけ、それは甘い考えとしか言えない。

 あ、でもホワイトベースに俺が……アクセル・アルマーが乗っているという情報は……いや、その辺は既に知られている可能性が高いか。

 ニムバスとかは俺を知ってるし、そもそもエルランがジオン軍に寝返った以上、その辺の情報も漏れていると考えるのはおかしな話ではない。

 厄介な。……本当に、非常に厄介な状況になっているのは、間違いのない事実だ。

 

「なので、アプサラスⅢを使う場合は、姿を見せたら向こうが何らかの対抗手段に出る前に、一気に敵を攻撃する。そうなれば、ジオン軍が何らかの手段で対抗しようとしても無駄だ」

「もし、ジオン軍の戦力が纏まっておらず、ある程度距離を空けていた場合はどうする?」

 

 ティアンムの問いに、俺は問題ないと笑みを浮かべる。

 

「部隊によって間合いを空けている場合、それこそ連邦軍にとっては各個撃破のチャンスだと思うが? 最初にアプサラスⅢの攻撃をする。そうすれば、向こうがある程度部隊同士の間合いが空いているのなら、被害そのものは予想したよりも少ないかもしれないが、それでもアプサラスⅢの攻撃を受ければ混乱するのは間違いない。そうなれば、後はそこで全面攻撃をすれば……」

 

 勝てる。

 言葉にはしないが、そう匂わせる。

 とはいえ、それはあくまでも全てが上手くいった場合の話であって、全体的に見れば色々と穴があるのは間違いない。

 しかし、現状では例え穴があっても俺の提案した作戦が一番有効なのは間違いなかった。

 ……連邦軍にすれば、面白くないと思えるのかもしれないが。

 

「分かった。その案をベースとして、作戦を考えよう」

「レビル将軍!?」

 

 参謀の1人が、とても我慢出来ないといった様子で叫ぶ。

 他の参謀も同様だ。

 ……まぁ、作戦を提案したのも、その作戦の鍵になるのも、どちらも連邦軍ではないのだから当然だろう。

 ルナ・ジオンとシャドウミラーの協力を得て、それでようやくどうにか対処出来るのだから。

 その辺の事情を考えれば、不満を抱くのも納得は出来る。

 それがあくまでも感情的なものだというのも、間違いのない事実だが。

 

「君達の気持ちは分かる。だが、今は時間がないのも、間違いのない事実。そう考えれば、やはりここは急いで作戦を立てる必要があるのだ。そういう意味で、アクセルの立てた作戦は実現可能なのは間違いない。だが……この作戦を煮詰めるのは、君達の仕事だ。時間はない」

 

 レビルの様子から考えると、恐らく俺が予想していた以上に補給物資の余裕がないのか?

 自分で言っておいてなんだが、補給物資に関してはそこまで心配する必要はないと思うんだが。

 こういうのは、ゴップがかなり頼りになるらしいし。

 それでもレビルがこう言ったのは……参謀達にやる気を出させる為、とか?

 ともあれ、レビルの言葉で参謀達も俺に突っかかるより、今は自分の仕事をした方がいいと判断したのだろう。

 俺としても、そうしてくれると絡まれたりしないので、非常に便利だ。

 

「それで、アクセル。アクセルの策を採用したとなると、アクセルが言っていたようにアプサラスⅢが切り札となるのだが。その辺は大丈夫なのかね?」

「ああ。問題ない。寧ろ、開発者は出来るだけ早く実戦に出したいと思っている筈だ」

「……ほう。それは期待出来るな」

 

 ギニアスの性格を考えれば、アプサラスⅢが活躍出来るのなら、出来るだけ早くして欲しいというのは、間違いなく本音だろう。

 そのくらいは、実際に話を聞かなくても理解出来る。

 

「ああ。……とはいえ、ワルシャワ基地で公開したんだから、エルランも当然のようにアプサラスⅢについては知っている。そうである以上、少しでも早くアプサラスⅢの攻撃を行う必要がある」

 

 幸い……本当に幸いながら、ジオン軍にビーム兵器を持っている敵は多くはない。

 ルナ・チタニウム製の装甲を持つアプサラスⅢだけに、大抵の攻撃は問題がない筈だ。

 ザクバズーカやジャイアントバズの類は命中すれば被害を受けるが、その辺はグフ・フライトタイプに乗ってるノリスやガトーが対処してくれる筈だし。

 

「うむ。その件は任せるしかないから何とも言えないが……」

「オデッサ作戦に協力するってのは、契約のうちだから心配しなくてもいい。ただ、エルランの件もあるし、報酬の方には色を付けて欲しいけどな」

 

 オデッサ作戦で俺が貰う報酬は、新型MSだ。

 具体的にそれがどういう性能のMSなのかは分からないが、話を聞いた限りではかなり高性能なMSだ。

 ルナ・ジオンの影響で予定していたよりも技術が進歩し、そのおかげで完成した機体らしい。

 そう言われれば、興味を持つなという方が無理だ。

 

「アクセルに……いや、ホワイトベースには迷惑を掛けたからな。その辺は検討しておこう」

 

 レビルの言葉に、俺は笑みを浮かべて頷くのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:750
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1534

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