「さて、それで……これからどうする?」
リュウによって動けなくなっていたMSや61式戦車から助け出したパイロット達を確保したと聞かされると、俺はブライトに尋ねる。
本来なら、真っ先に連邦軍……それもレビル辺りに連絡をした方がいいのだろう。
だが、今回襲ってきたのが連邦軍だとすると、迂闊に連絡をする訳にもいかないのも事実だ。
個人的には、よっぽどの何かがなければ、レビルやゴップが俺のいるホワイトベースを裏切るような真似をするとは思えないのだが……ただ、この場合はそのよっぽどの何かが起こった可能性も高い。
「どうすると言われてもな。……迷っている」
ブリッジの艦長席に座ったブライトが、その言葉通りあからさまに悩んでいる様子で呟く。
ブライトにしてみれば、このような状況でどうすればいいのか全く分からずに迷っているのだろう。
元々のブライトは士官候補生でしかない。
それが緊急事態という事で昇進し、中尉となって現在はホワイトベースの艦長を務めているのだ。
そんなブライトだけに、この状況でどうにかしろと言われても難しいだろう。
今までは何だかんだとどうにかなってきたが……まさか、上から裏切られるというのは予想外でしかない。
「このまま疑心暗鬼のままで連邦軍に所属するのが無理だって言うのなら、いっそ月に来るか?」
そう誘ったのは、冗談半分ではあるが……逆に言えば、半分は本気だった。
実際、ホワイトベースはこの世界の主人公のアムロが乗ってるという関係からか、何気に有能な面々が揃っている。
ホワイトベースそのものも、このUC世界においては屈指の高性能艦だし、MSにも色々と興味深い存在が多い。
その辺りを考えると、ホワイトベース隊を月に引き込むメリットは多いのだ。
もっとも、メリットがあれば当然のようにデメリットもある。
連邦軍にとってV作戦の結晶ともいえるホワイトベース隊を月に奪われるのだから、関係の悪化は避けられない。
一応既にジムが量産されているのでV作戦の役目も大体終わってはいるが……それでも、連邦軍にしてみれば高コストの高性能機を奪われたとなれば、黙っていられないのは当然だろう。
「へぇ、それはちょっと面白そうだ。月って興味あったんだよな」
真っ先に賛成したのは、ある意味で予想通りではあったがヤザン。
というか、連邦軍の中でもMSパイロットとして招聘されて、ジャブローで専門的な訓練を受けた中の1人……言ってみれば、エリート的な存在のお前が真っ先に俺の言葉に賛成するってのは、正直どうなんだ?
ただ、この様子だと今は無理でも、この独立戦争が終わったら月に勧誘すれば来る可能性は十分にあるな。
「馬鹿な事を言うな。そんなつもりはない」
ヤザンの言葉に、ブライトは即座にそう告げる。
どうやら色々と迷ってはいたようだったが、実際にはその辺は決めていたらしい。
そういう意味では、ヤザンの言葉はいい切っ掛けになったというところか。
「そんなつもりがないとなると、これからどうするんだ?」
「まずはここから離れる。この近辺はミノフスキー粒子が戦闘濃度……いや、それ以上の濃度で散布されていて、連絡出来ないからな」
俺の問いにブライトが答える。
その判断はそう間違ってはいないだろう。
ここにいては、ミノフスキー粒子が非常に邪魔なのだから。
ミノフスキー粒子というのは、時間が経てばその効果をなくする。
だが、それは様々な条件によって変わるので、いつとは断言出来ない。
出来ないのだが……それでも、10分や20分といった時間ではまず無理だ。
そういう意味では、ここから移動するというブライトの選択は決して間違ってはいない。
「分かった。俺は特に異論はない。それに、俺は結局このホワイトベースでは傭兵だからな。艦長のブライトがそう判断したら、それに従うさ。……それに、俺もレビルがこんな真似をするとは思えないし」
「そう言って貰えると……」
助かる。
恐らく、そうブライトは言おうとしたのだが、それに割り込む声があった。
「ブライト艦長、ミノフスキー粒子のせいで確実には断言出来ませんが、こちらに近づいてくる集団がいます!」
焦った様子で、モーリンが叫ぶ。
とはいえ、そのモーリンの叫びはそうさせるだけの内容だったのも、間違いのない事実だ。
「追撃……いや、向こうが逃げたんだから、これは援軍とか第二波と呼ぶべきか。ともあれ、向こうもこのままでは引き下がれないって事か。……その割には、戦力を送り込んでくるタイミングが少し変だが」
実際、もし第二波を送り込んでくるのなら、もっと早く送ってくるのが普通だろう。
少なくても、今のこのタイミングで送り込んでくるというのは、微妙に違和感があった。
もしかして、スパイにはその辺の能力が欠如しているとか?
そう思わないでもないが、それはそれで微妙な気がしないでもない。
「どうする? 連邦軍に連絡を取るのなら、ここで戦うのは不味い気もするけど」
この状況で一体どうするのが一番正しいのか。
ブライトがそうやって迷っていると……
「接近している部隊、停止! ……いえ、1機、戦闘機……ディッシュがこちらに向かって来ます!」
再びモーリンの言葉がブリッジの中に響く。
だが、それを聞いたブライトは、戸惑った様子を見せた。
当然だろう。接近してきた部隊が止まったのは、納得出来なくもない。
だが、その部隊が止まり、近づいて来たのがディッシュだけ。
これで不審に思うなという方がおかしい。
ちなみにディッシュというのは、連邦軍が採用している軍用機の一種でその言葉通り皿のような形をしている。
元々は早期警戒機として採用されたのだが、ミノフスキー粒子のせいで役目を果たすのは難しくなり、現在では高速連絡機や要人の運搬を担っている機体だ。
そのディッシュが1機だけでこっちに向かって来ているという事は、つまり何らかのメッセンジャーなりなんなりがいるという事になる。
そうなると……あの部隊は、俺達と敵対する存在ではないという事なのか?
「どうする、ブライト?」
「出迎える。向こうが何の用事があるのかは分からないが、現在の俺達では状況を知る事が出来ない。だからこそ、今は少しでも多くの情報が必要だ」
はっきりとそう告げるブライトに、俺もまた頷く。
向こうがどのようなつもりでこのような行動に出たのかは、俺にも分からない。
分からないが、それでも接近してきた部隊がこちらに攻撃をするつもりがないというのは、明らかだ。
……まぁ、ディッシュがホワイトベースに近づいたところで自爆させ、それをホワイトベースからの攻撃だとして攻撃をしてくるという可能性は決して否定出来ないのだが。
「分かった。一応MSがあってもディッシュが入るような空間は一応ある筈だ。そう考えれば、ディッシュの件も問題はない。ただ……さっきの一件もあるから、護衛は必須だな。俺が行くか?」
そう尋ねると、ブライトは少し悩んだ後で頷く。
「分かった。頼む」
こうして、俺はブライトと共に格納庫に向かうのだった。
「ほう、君がブライト中尉か」
ディッシュから降りてきて、そうブライトに声を掛けたのは、黒人の男だった。
かなり精力的な様子で、行動力に満ちているような、そんな様子の男だ。
ただし、その階級章は……准将。
とてもではないが、このような場所に来る人物ではない。
「私はジョン・コーウェン准将だ。実は今回、君達に謝らなければならないことがあってな」
ジョン・コーウェン……以前どこかで聞いた覚えのある名前……あ、思い出した。マット達の上司か。
それと、レビルには及ばないものの、相応の影響力を持っているとか何とかという話も聞いた事があったな。
「ブライト・ノア中尉であります!」
コーウェンの自己紹介に、ブライトは敬礼をしてそう告げる。
コーウェンが来たという事は、マット達を呼んできた方がいいのか?
そんな疑問を抱くが、今は取りあえず話を進めた方がいい、か。
とはいえ、ブライトはコーウェン……准将という階級の相手を前にして緊張しているらしい。
そうなると、ここは俺が話を進めた方がいいな。
「それで? 連邦軍はホワイトベースを見捨てた……って訳じゃないみたいだけど、事情を話して貰おうか」
「ちょ、おいアクセル!?」
相手が准将だというのに、そんな態度を取ってもいいのかといったような、驚きの声。
とはいえ、レビルやゴップを相手にしても態度は変わらないしな。
それに今の俺はホワイトベースの傭兵であると同時に、シャドウミラーの代表という立場であるし。
「構わんよ。アクセル代表の立場を考えれば、何も問題はない。……さて、それでだ。ホワイトベース隊に攻撃を命じた人物は、エルラン中将。前々からいるとされていた、連邦軍上層部にいた裏切り者だ」
「……なるほど」
コーウェンの言葉に一応は納得するが、それは同時に部隊を率いてここまでやって来たという事を考えれば、裏切り者のエルランという奴には逃げられたという事なのだろう。
「連邦軍上層部に裏切り者がいるというのは、前々から分かっていた筈だ。それが誰なのか分かったのはいいが、結局捕らえる事が出来ずに逃げられたという訳か」
「申し訳ない」
再び頭を下げるコーウェン。
沈痛そうな表情を見れば、色々と思うところもあるのだが……ぶっちゃけ、連邦軍がダメージを受けるというのは、ホワイトベース隊にとってはともかく、俺にとってはそんなに悪い事ではない。
「では、もしかして先程襲ってきた者達は……」
「エルラン中将の命令だ」
「……何故、そのような真似を?」
「自分が逃げる為の時間稼ぎ、連邦軍の戦力を消耗させてジオン軍を有利にさせる、連邦軍の内部に不和の種を撒く……すぐに思いつくのはそれくらいだな」
「また、随分とそのエルランって奴は有能なんだな」
「そうだな。実際に有能なのは間違いない。ルウム戦役でジオン軍に捕まったレビル将軍を救出する件も、エルラン中将が動いたという話だ」
へぇ。それはまた、随分と有能なんだな。
レビルがジオン軍から脱出してきて行った演説……俗に言う『ジオンに兵なし』という演説は、ジオン軍に降伏しようとしていた連邦軍の態度を一変させた代物だ。
もしレビルの演説がなければ、今頃地球はジオン軍に支配されていた可能性が高い。
そう考えると、エルランという人物は連邦軍にとって功労者であるとすら言える。
そんな人物が連邦軍を裏切るというのは、ちょっと信じられなかったが。
そもそもの話、今の状況であっても連邦軍はジオン軍に対して有利なのだ。
だというのに、何故わざわざそんな有利な連邦軍から不利なジオン軍に逃げ出す?
……不利だからこそ、自分を高く買ってくれると、そう思ったのか?
けど、幾ら高く買ってくれるとはいえ、それを買った先のジオン軍が負けてしまえば意味はないと思うが。
もしくはそこまで有能な人物であれば、自分がジオン軍に行けばこの不利をひっくり返せると、そう思ったとか?
ただ、話を聞いた限りでは、エルランという人物は有能ではあっても、そこまで突出した能力を持っているという感じはしない。
あくまでも一般的な意味においての有能でしかないような気がする。
それでもジオン軍に逃亡したのは……もしかして、自分に捜査の手が迫ってると理解しているからとか?
それなら可能性はある。
大体、ワルシャワ基地から今まで、派手に動きすぎたのは間違いのない事実だ。
だとすれば、今回の一件も理解出来ない訳ではない。
「それで、連邦軍としては結局どうするんだ?」
連邦軍にしてみれば、その相手を見逃すといった真似が出来る筈もない。
だからこそ、こうしてコーウェンがやって来たのだろう。
「出来れば、ホワイトベース隊と戦っている最中にここに到着出来ていれば、エルランを押さえられたかもしれないんだが」
「ん? そのエルランってのは、あの戦場にいたのか?」
コーウェンから話を聞く限り、策略の類はそれなりに得意ではあっても、実際に戦場に出て来るタイプではないと思っていたのだが。
それに、あの戦いでは指揮官機の類は存在しなかったように思えるし、ビッグトレーのような指揮に向いている陸戦艇の類も確認出来なかった。
「いた、と思う。こちらも正確なところまでは分からないが、エルランにしてみればここでホワイトベース隊を叩くという手柄は自分のものにしたかっただろうし」
さっきからそうだが、コーウェンはエルランと呼び捨てにしており、中将という階級を口にはしていない。
エルランという人物は、既にコーウェンの中では裏切り者という扱いなのだろう。
とはいえ、今まで連邦軍が受けてきた被害を思えば、その気持ちも分からないではないが。
「ともあれ、一応こっちでそれなりの数は捕虜にしたが……そうなると、その捕虜もやっぱりエルランに騙されていた被害者という事になるのか」
「……残念ながら」
申し訳なさそうな顔で、コーウェンは俺の言葉に頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:750
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1534