転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2460話

 こちらの予想通りと言うべきか、アッザムの着陸脚に乗っている――もしくは掴まっている――ザクは、俺が90mmサブマシンガンを撃つと即座に反撃をしてきた。

 アッザムリーダーでダメージを受けている連邦軍のMSに近づいているホワイトベース隊のMSには気が付いているのだろうが、それよりも今は自分達に攻撃をしてくるピクシーをどうにかすると、そう狙っての事だろう。

 もっとも、アッザムの着陸脚は合計4つあり、こちらに向いている以外の着陸脚はある。

 そちらの着陸脚はピクシーに向かって攻撃するのは難しい以上、攻撃出来る場所にいる敵……この場合は、アッザムリーダーで動けなくなっているMS、もしくはそのMSを助けにいくホワイトベース隊のMSに攻撃してもおかしくはない。

 勿論、向こうにはアムロやユウといった面々がいる以上、そう簡単にやられるとは思わないが。

 ともあれ、戦場に戦えない味方がいるのは、こちらにとっても面倒なのは間違いない。

 本格的な戦いになるよりも前に、何とかして動けないMS達をどうにかする必要があるのだから。

 そういう意味で、俺は……正確にはホワイトベース隊の中でもかなりの活躍をしている俺のピクシーは、敵の目を惹きつけるには十分な存在だった。

 こちらに向かって次々に放たれるメガ粒子砲を回避しながら、アッザムよりもまずはその着陸脚にいるザクを倒した方がいいと判断し、そちらに狙いを付ける。

 収束モードで放たれたビームスプレーガンは、拡散せず真っ直ぐザクに向かって飛んでいく。

 アッザムに攻撃をしないで、ザクを攻撃する。

 それはいいが、これは実は結構危なかったりする。

 いや、純粋にアッザムを撃破するというだけであれば、全く問題はない。

 しかし、出来ればアッザムを可能な限り原型を留めたままで撃破したい身としては、ここでザクを爆破させてアッザムに被害を与えるのは避けたかった。

 ……もっとも、アッザムの原型が留めたままで撃破する事にしても、その所有権が連邦軍に行くのは間違いないが。

 それでも、こちらとしてはある程度の解析結果や、それ以外にもこのアッザムをベースにして連邦軍がMAを開発する際にはどのような方向に進むのかといった情報を得られる可能性もあるし、連邦軍に貸しを作っておくというのは決して悪い事ではない。

 連邦軍にしてみれば、俺達……月やシャドウミラーに借りがあると、そう簡単に迂闊な真似が出来ないというのも、間違いはないのだから。

 いやまぁ、強硬派だったりすれば、月を占領してルナ・ジオンを解体すれば、その借りそのものがなくなるなんて考えるような奴がいる可能性はあるのだが。

 

「よし、まずは1機」

 

 撃破ではないが、腕を破壊されたザクはアッザムの着陸脚に掴まっていられなくなり、その上で攻撃を受けた衝撃によって着陸脚から地上に落下する。

 地上に着地する直前にスラスターを全開にしていたようだが、それでも受けた衝撃は大きい。

 地上に落ちてしまえば、後の処理は特にこちらが考える事もないだろう。

 動力炉を破壊して爆発を起こし、結果としてアッザムが被害を受けることもなく、ザクは排除するという最適の行動が出来た訳だ。

 

「っと!」

 

 着陸脚に乗っていたザクを撃ち落とされたのが面白くなかったのか、アッザムからの攻撃がより一層過密なものになる。

 メガ粒子砲が連続して放たれ、俺はそれを回避しながらピクシーを前進させていく。

 そうしている間にも、ホワイトベース隊から出撃したMSが動けなくなっている連邦軍のMSの救助に取り掛かっていた。

 アッザムが俺のピクシーだけに向かって撃ってきているのを考えれば、今の状況は決して悪くはない。悪くはないが……それでも現在の状況を考えると、より向こうの意識をこちらに集中させておきたい。

 そうなると、どうすればいいのか。

 ……こっちから目を離せないような脅威であると認識させれば、アッザムも俺から目を離す事が出来なくなるだろう。

 そう判断し、ピクシーの速度をより一層上げ……地面を蹴る瞬間、スラスターを全開にする。

 アムロのガンダムは、以前そのスラスターを最大限に使って跳ぶのではなく飛ぶという表現に相応しい跳躍をした事があった。

 それを考えれば、地上という限られた戦場においてはガンダムよりも性能の高いピクシーが、それと同じような真似を出来ない筈がない。

 そんな俺の考えは的中し、ピクシーのスラスターが激しく噴射して機体を上空へと持っていく。

 とはいえ、ピクシーの推進剤の消費はかなり激しいので、これからの戦闘が長丁場になる可能性も考えれば、あまりこのような真似は出来ないのだが。

 ともあれ、アッザムのいる高度よりも高い場所まで跳躍した俺は、90mmサブマシンガンをアッザムに向けて撃ち……

 

「何?」

 

 映像モニタに映った光景を見て、思わず声が出る。

 当然だろう。

 90mmサブマシンガンの一撃は、決してそこまで攻撃力が高い訳ではない。

 にも関わらず、アッザムに被害……と言える程に大きなダメージではないが、それでも装甲をへこませるといったようなダメージを与える事に成功したのだ。

 スラスターを使った到達点が頂上に達し、そのまま地上に向けて降下していく。

 そうしたピクシーにアッザムの着陸脚に掴まっていたザクが攻撃してくるが、俺はそれをスラスターを使う事で回避する。

 人間の場合はジャンプするとそう簡単に動けなくなるが、MSは人型機動兵器ではあっても身体中にスラスターが装備されている。

 だからこそ、空中で敵の攻撃を受けても、回避するのは難しい話ではなかった。

 そんなザクに反撃として90mmサブマシンガン……ではなく、もう片方の手に持つビームスプレーガンの収束モードで発射する。

 先程のザクと同様、取っ手に掴まっていた手を破壊され、地上に落ちていくザク。

 そんなザクを見ながら、不意に俺はアッザムが何故90mmサブマシンガンの攻撃によって被害を受けたのかを理解する。

 そう、簡単な話だ。

 戦車というのは、地雷への対処だったりで下の部分の装甲は厚いが、乗り込む時の事を考え、上部の装甲は薄い。

 勿論アッザムの場合は上から乗り込むわけではないのだが、そもそもアッザムはミノフスキークラフトを使って空を飛ぶMAだ。

 ミノフスキークラフトを稼働させるのに、どれだけの出力を必要とするか。

 それは、アプサラスを見れば明らかだ。

 アプサラスは、ゾックの動力炉をベースに改良した物を使っているので、そこまで心配はいらない。

 だが、それはあくまでもギニアスが開発した物であり、アッザムに使われる筈がない。

 そうなると、当然の話だがアッザムに使われている動力炉の出力は、そこまで高くはない筈だった。

 そんな状況である以上、ミノフスキークラフトの負担を少しでも少なくする為に、アッザムの重量を軽くするというのはおかしな話ではない。

 だが、どこの装甲を削って軽くするか。

 空を飛ぶ以上、地上の敵と戦うのだから、下の装甲を薄くするというのは論外だ。

 そうなると、敵の攻撃に晒される可能性の低い上となる。

 ……とはいえ、連邦軍にはセイバーフィッシュを始めとした戦闘機は結構な数いる。

 上部の装甲を薄くすれば、そちらに対処出来ないのではないかと思うのだが……ああ、その為に着陸脚のザクか。

 あれは、一種の対空砲火代わりなんだろう。

 MSである以上、対空だけではなく対地にも使えるし。

 そう考えると、アッザムに乗せるというのは何気に結構使えるな。

 ……もしかしてこれ、ホワイトベースの甲板上にガンタンクを乗せていたのを見て、それを参考にしたとかじゃないだろうな?

 普通なら設計変更をする事になったりするのだろうが、アッザムの場合は着陸脚に取っ手を付けるだけでいい。

 そう考えれば、土壇場でこんな機能を付け加えたと言ってもいいかもしれない。

 この戦術……というか、アイディア? これってアプサラスに流用できないか? ……できないか。

 アッザムでそれが可能なのは、あくまでも着陸脚があるからだ。

 アプサラスの場合は、ⅡでもⅢでも言ってみれば大福か潰れた大福のような形をしているので、アッザムのような真似は出来ない。

 そんな風に考えている間にもピクシーは地面に向かって降下していき、着地の寸前でスラスターを使って落下速度を殺し、着地する。

 

「っと、まだいたのか」

 

 地面に着地して周囲を見回すと、そこでは先程アッザムから叩き落とされたザクのうちの1機がいた。

 恐らく着地する時にスラスターの制御を失敗したのだろう。

 ザクの両足が破壊されており、胴体から上だけが地面に横倒しになっている。

 それでもまだザクのパイロットは無事なのか、ザクマシンガンの銃口をこちらに向けてきた。

 残念だが、それは食らってやれない。

 向こうがトリガーを引くよりも早くビームスプレーガンのトリガーを引き、コックピットを貫く。

 撃破したかどうかを確認するでもなくアッザムの下に潜り込もうとするが……それを察したのか、アッザムはこちらと距離を取る。

 アッザムの巨体を考えれば、それこそ真下に潜り込む事が出来れば、向こうにとっては致命的だろう。

 向こうもそれが分かっているからこそ、こうして距離をとっているのだ。

 ……上の部分は90mmサブマシンガンで多少なりとも傷をつけることが出来たんだが、やはり下の部分はどうしようもないだろうし。

 そんな風に考えつつ、視線を連邦軍のMSがいた場所に向けると、既にそこにMSの姿はない。

 どうやら俺がアッザムと戦っている間に、動けなくなったMSを運んでいったらしい。

 アッザムリーダーもずっと動いてる訳ではないということか。

 

『アクセル、こっちは終わった。そっちはどうだ!?』

 

 ちょうどブライトからの通信が入る。

 ブライトにしてみれば、連邦軍のMSを確保出来たというのは、大きいのだろう。

 それでこっちが不利になっていれば、話にもならないが。

 とはいえ、今の状況であればピクシーは殆ど被害を受けていないので、そこはある意味でブライトの狙い通りなのかもしれないが。

 

「こっちは特に問題はない。ただ、アッザムをどうする? ……メガ粒子砲を持ってるとなると、ホワイトベースでもまともに当たれば問題だぞ」

 

 メガ粒子砲もそうだが、アッザムリーダーもホワイトベースにとっては厄介だ。

 MSも大概だが、ホワイトベースはそんなMS以上に多数の電子機器を使っている。

 そんな状況でアッザムリーダーを使われようものなら、それは恐らくホワイトベースに致命的な被害をもたらす。

 

『分かっている。だが、あの化け物をそのままにしておく訳にはいかないだろう』

 

 苦々しげなブライトの声。

 その気持ちも、分からないではない。

 連邦軍のMSでアッザムに対抗出来るかどうかというのは、それこそ俺達が来た時に一方的にやられていた連邦軍のMS部隊を見れば明らかだろう。

 なにより厄介なのは、上空を飛びながらメガ粒子砲を撃てる事だ。

 ある意味では、アプサラスと似たようなコンセプトなんだよな。

 とはいえ、アッザムとアプサラスのどっちが好みかと言われれば、俺は間違いなくアプサラスと答えるだろうが。

 アッザムは最初に見た時はかなり驚くが、言ってみれば初見殺しに等しい。

 動力炉の出力の問題からか、移動速度はそこまで速くはない。

 前もってそのような存在がいると知っていれば、それに対処するのは難しい話ではない筈だった。

 

「そうだな。ただ、俺としては可能ならばアッザムは出来るだけ無事な状態で欲しい。……これは我が儘か?」

『我が儘だ』

 

 即座に断言される。

 そう言われるというのは予想していたので、特に驚くべきことではないんだが。

 それでも、今の状況ではアッザムを……

 

「っと!」

 

 再び放たれたアッザムのメガ粒子砲が、地面を爆発させる。

 どうやら、アッザムの上部装甲に多少なりとも被害を与えた事が、許せないらしい。

 アッザムはMAとして、オデッサで初陣を遂げた。

 ……いや、もしかしたらオデッサ以外の場所で既に初陣を飾っていた可能性もあるが。

 ただ、その場合はアッザム程に目立つ存在だ。

 当然のように、連邦軍で噂になっていてもおかしくはない。

 もしくは、アッザムと遭遇した連邦軍の部隊は全滅したとか。

 アッザムリーダーのような広範囲攻撃がある事を考えると、その可能性も十分にあるんだよな。

 とはいえ、今はそのような事を考えていられる場合ではない以上、アッザムを何とかする必要があるか。

 こちらに向かって連射されるメガ粒子砲を回避しつつそう考え……不意にメガ粒子砲の連射が止まる。

 何だ? 何故ここで急に?

 そんな疑問を抱くが、アッザムはそんな俺の考えは全く気にした様子もなく……ミノフスキークラフトで空を飛びながら、この場から飛び去るのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:750
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1534

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