転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2459話

 えーっと……あれは何だ?

 一瞬そう思ったが、以前MIP社の情報で見た存在だと思い出す。

 元々、MAというのはMIP社がコンペに出した代物だ。

 結局ジオン軍で採用されたのはジオニック社のMSで、それが後にザクとなっている。

 ジオン軍もMAをコンペでは不採用にしたのだが、それでもMAという兵器の有用性は理解していたらしく、MIP社はMAを開発する事になる。

 そうして開発されたMAの1つが、アッザムだった筈だ。

 とはいえ、正確には何もない場所からアッザムを開発した訳ではなく、月のグラナダで開発されたルナタンクとかいう兵器をベースに改良というか、改修というか、改造というか……ともあれ、そんな風に開発された機体だった筈。

 そのルナタンクという方は見た事がないが、アッザムの方はデータで見た事があった。

 そう判断すると、俺はすぐにブライトに通信を送る。

 うん、こう考えるとまだピクシーがホワイトベースの格納庫に待機したままだったというのは、運がよかったな。

 もし外に出て戦闘が始まっていれば、ミノフスキー粒子の影響で通信出来たかどうかも分からなかったし。

 

「ブライト、見て分かったと思うが、あれはアプサラスじゃない。俺の知ってる知識が正しければ、あれはアッザムというMAだった筈だ」

『アッザム? まぁ、アプサラスじゃないのは助かったが、それでアッザムというのはどのような性能を持ってる?』

「まず、見て分かる通りホワイトベースと同様にミノフスキークラフトを使って飛行が可能だ。それに……」

 

 俺の言葉を遮るように、アッザムからビームが……メガ粒子砲が発射され、数機のジムがあっさりとコックピットや胴体を貫かれ、撃破される。

 陸戦型の機体ではない通常のジムの装甲は、ルナ・チタニウムではなく通常のチタン系の合金だ。

 ……もっとも、相手がビーム兵器ともなれば、ルナ・チタニウムでもチタニウム合金でも、関係ないが。

 

「見ての通り、メガ粒子砲を使う。それに……護衛もいるようだな。グフ・フライトタイプじゃないけど」

 

 空を飛ぶMAということで、当然ながら近接防御用の護衛は必須となる。

 ラサ基地攻略戦の時、アプサラスⅡの護衛としてグフ・フライトタイプに乗ったガトーやノリスがついていたように。

 そしてアッザムにも当然ながらその護衛がいるのだが……驚くべきなのは、その護衛がどこにいるのかだろう。

 アッザムが持つ着陸脚に、護衛のザクが立っているのだ。

 正確には、着陸脚の先端部分。そこにザクが立っており、掴まる取っ手が用意されている。

 ザクは片手でその取っ手に掴まりながら、もう片方の手でザクマシンガンを撃っていた。

 ザクが対空砲火……いや、地上にいるジムに向かって撃っているということは、対地砲火と呼ぶべきか? ともあれ、そうしてジムの中でも何機かが持っているバズーカの砲弾を迎撃しているのだが……厄介だな。

 

『メガ粒子砲は厄介だな。回避するしか手がない。……ホワイトベースのメガ粒子砲を使うべきだと思うか?』

「それは……正直、どうだろうな。効果があるかどうかで言えばあるんだろうが、ホワイトベースだって当然のようにメガ粒子砲を食らうと大きなダメージを受ける」

 

 そう返すも、ホワイトベースの操舵を任されているのがミナトである以上、実は攻撃を回避出来るのではないかと、そう思ってしまう。

 ミナトの操縦センスは、非常に高い。

 場合によっては、ホワイトベースでバレルロールをやる事すら有り得る。……いや、確実に出来るだろう。

 そう思えば、やはり今回の一件においてはアッザムの攻撃を回避出来てもおかしくはないのだ。

 

『ともあれ、味方機がやられるのをこれ以上は見ていられん。アクセル、すぐに出撃してくれ。幸い、向こうもこちらを認識したようだしな』

 

 ブライトの説明通り、地上に向かってメガ粒子砲を撃っていたアッザムは、その攻撃を一旦止め、ホワイトベースの方に向かってきている。

 間違いなく、アッザムがホワイトベースを攻撃しようとしていた。

 ジオン軍の兵士にとって、ホワイトベースというのは多くのジオン軍の兵士を殺してきた憎むべき敵であり、ガルマを殺したという点でも決して許せる相手ではない。

 そんな者達がアッザムというMAを手に入れ、目の前にホワイトベースが現れればどうなるか。

 それは今の光景が表していた。

 とはいえ、それは今まで戦っていた連邦軍のMS部隊にとっては決して悪い話ではない。

 アッザムが移動を開始したので、ダメージを受けた機体も一時的に後退して態勢を立て直し……そこまで考え、ふと思い出す。

 アッザムで特筆すべきはそのメガ粒子砲ではあるが、同時にそれ以外にも武器があっただろうと。

 

「ブライト、今までアッザムと戦っていたMS部隊をすぐに下がらせろ。万全の状態ならともかく、今のままだと不味い!」

『何? ……分かった。すぐに……』

 

 すぐに連絡する。

 ブライトはそう言おうと思ったのだろうが、既に遅い。

 アッザムは、ホワイトベースが姿を現したからこそ、こちらに攻撃をしようとした。

 だが……それで今まで戦っていた連邦軍の兵士を、あっさりと逃すはずはない。

 移動する途中のアッザムの動きが止まり……そう、連邦軍のMS、それもメガ粒子砲によって多かれ少なかれ被害を受けているMS隊に向けアッザムの下の部分から何かが放たれる。

 カプセルのような何かが空中で破裂し、何かを散布するや否や、再びアッザムから何かが放たれた。

 空中を浮遊しているそれは、MS隊の真上に移動すると何らかの鋼線のような存在を放つ。

 まるで鳥かごか何かのような、そんな状況。

 だが、まともな攻撃ではないので、MS隊の方も戸惑った様子を見せる。

 ……それが、致命的だった。

 次の瞬間、鳥かごの中に高熱の電磁波が放たれ、MS達を襲う。

 あるいは、MSが万全の状況であればジムも持ち堪える事が出来たかもしれない。

 だが、MSの多くはアッザムのメガ粒子砲、もしくはザクの攻撃によって多かれ少なかれ被害を受けており、被害を受けているという事は、当然のように装甲が破壊されているところも多い。

 結果として、放たれた強烈な電磁波は装甲で守られてないジムの内部を破壊し、何機ものジムが爆散したり、内部構造に被害を受けて身動き出来なくなる。

 凶悪。

 まさにその一言が一番相応しい攻撃方法だろう。

 

『アクセル!』

 

 ブライトの鋭い叫び。

 その叫びが何を意味しているのかはすぐに想像出来たので、俺も即座に言葉を返す。

 

「アッザムリーダー。言ってみれば、強力な電磁波で機体にダメージを与える武器だ。……色々と使いにくい兵器ではあるんだけど、今やったみたいに損傷して動きが鈍い相手に追撃の一撃として放つなら有効みたいだな」

 

 装甲が破壊されているので、電磁波によるダメージが装甲を通さずにMSの内部にダメージを与える。

 動き回る事が出来れば、それを回避するのはあまり難しくはないのだが。

 

『そうか。……すぐに出撃してくれ!』

 

 ブライトの言葉に頷く。

 ……アッザムも一応MIP社製なので、入手しようと思えばどうにかなるかもしれないが、それでも可能ならあのアッザムを確保したいという考えもある。

 とはいえ、連邦軍としてもアッザムのようなMAは確保出来れば欲しいと、そう思う筈だった。

 

「アクセル・アルマー、ピクシー、出るぞ!」

 

 その言葉と共に、ピクシーはカタパルトデッキで射出される。

 空中を飛び、そのまま地面に着地する。

 アッザムはこっちの方に気が付き……やがて、俺の存在に気が付いたのか、アッザムリーダーをそのままに、移動を開始する。

 なるほど。アッザムリーダーは、一度使えば放置するような事も出来るのか。

 そう考えれば、それなりに便利な兵器ではあるな。

 使っている間中、その場に待機していなければ駄目ならともかく、これを使えば一定の範囲内に侵入出来ないようにするというのも、色々と使い勝手がいい。

 出来ればアッザムリーダーを解析してピクシーに同じ武器を使わせたいが……ピクシーだと難しいだろうな。

 アッザムリーダーを使うとすると、それこそMAとかでなければ難しいと思う。

 もしくはMAでなくても戦艦とかか?

 うん。このアッザムはMAとしては色々と欠点も多いが、同時に見るべきところも多い。

 アッザムリーダーのデータをMIP社に要請して取り寄せてディアナで研究して貰おう。

 ……ただし、鳥かごのような状態に展開するには地面が必要だ。

 それを考えると、宇宙空間では使いにくい……もしくは使えない武器と考えた方がいい。

 地球上や月といった場所でなら使い勝手はそこまで悪くはないだろう。

 

「っと!」

 

 予想外の収穫に喜びながらピクシーを進ませていたのだが、それを向こうに察知され、メガ粒子砲を撃たれる。

 アッザムのメガ粒子砲は、アプサラスⅡのような強力な……それこそ一撃で戦況を左右するような攻撃力はない。

 だがそれでも、メガ粒子砲はメガ粒子砲だ。

 ルナ・チタニウム製の装甲を持つピクシーであっても、その攻撃を受ければ当然のように被害を受ける。

 シールドの類でもあれば、場合によってはどうにかなる……いや、ならないか。

 このUC世界において、ビーム兵器というのはそれ程までに凶悪な代物なのだ。

 MSという兵器のバランスが悪いと表現してもいい。

 ビームを防ぐ事が出来るシールドか、装甲の類は必須だ。

 いっそ、SEED世界からラミネート装甲の技術を……いや、それだと無意味にこの世界に干渉する事になり、このUC世界独自の兵器の発展が歪む可能性がある。

 ビーム兵器を無力化出来るラミネート装甲は、かなり有益なんだが。

 とはいえ、ラミネート装甲も完全にビーム兵器を防げる訳ではない。

 あくまでもビームの排熱が可能な限りであって、その一定のラインを超えると普通にダメージを受ける。

 そういう意味では、完全にビームを防げる訳ではないのだが……それでも、現在のUC世界の状況を考えると、色々と有利な点は多かった。

 とはいえ、攻撃力に特化しているというのはこの世界の人間も当然理解しているだろうから、わざわざ俺がラミネート装甲を持ってこなくても、自分達である程度対処はするだろうが。

 

「危なっ!」

 

 アッザムから放たれたメガ粒子砲……それも同時に2発の攻撃を回避しながら、俺はピクシーを前に進める。

 この点は、アプサラスⅡよりもアッザムが優れているところだな。

 アプサラスⅡは、アッザムより圧倒的に強力なメガ粒子砲を持つが、それでも結局のところ1門しか存在しない。……まぁ、アプサラスの攻撃力を考えれば、その一門のメガ粒子砲だけで十分だという思いがない訳でもないのだが。

 アプサラスⅢになると拡散メガ粒子砲で擬似的に複数のメガ粒子砲を放てるが、それはあくまでも擬似的だ。

 ともあれ、そんなアプサラスとは違い、アッザムのメガ粒子砲は複数ある。

 つまり、同時に複数の場所を狙う事が出来るのだ。

 ……とはいえ、その辺りはアッザムを操縦している者の技量にも関係してくるのだが。

 結局、幾らMAの性能が高くても、それを操縦する者の技量が低ければ、そこに意味はない。

 とはいえ、アッザムを任されているだけあって、向こうも決して操縦技術が低い訳ではない。

 実際にこうして動き回っているピクシーに向かって攻撃の至近弾があるのが、その証拠だろう。

 とはいえ……それは、あくまでも敵が俺1人、ピクシーが1機だけの場合だ。

 敵の攻撃を回避しながら、一瞬だけ後方を確認すると、そこではホワイトベースから出撃したMSがこちらに向かっている。

 こうなると、アッザムも複数あるメガ粒子砲の全てをこちらに向けるといった事は出来ず、それぞれに標的を狙うだけだ。

 ただし、敵の攻撃手段はメガ粒子砲だけではない。

 アッザムの着陸脚の先端に掴まっている、ザク。

 こちらを向いていない方のザクは攻撃出来ないが、ピクシー側に向いているザクは普通にザクマシンガンで攻撃をすることが出来る。

 そんなザクマシンガンの攻撃に紛れるように、アッザムの下の部分から見覚えのあるカプセルが姿を現し、何かを散布する。

 続いてアッザムから再び何かが放たれ……

 ちっ、アッザムリーダーか!

 ジムと違ってダメージを受けておらず、装甲が破壊されてもいないピクシーではあるが、それでもダメージを受けないかと言われれば、その答えは否だ。

 ましてや、装甲の上からでも電子機器に多少なりともダメージを受ける事を考えれば、可能な限りその攻撃を食らいたくないと考えるのは当然だった。

 くしくも、敵の行動を制限するという俺が思いついた使い方をしている訳だ。

 だが、考えてみれば俺が思いつくような事は当然のように開発者達も思いついているだろうから、ある意味で当然の事なのかもしれないが。

 

「こっちでアッザムの攻撃を可能な限り引き付けるから、敵の攻撃を受けた連中を何とか退避させてくれ!」

 

 背後から来る味方機にそう告げると、俺はアッザムの……そしてアッザムに乗っているザクの意識をこちらに向けるべく、90mmサブマシンガンを連射するのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:745
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1533

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