転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2458話

「……ふん。この程度の腕で、よくもまぁ、敵を殺したくないとかふざけた事を言えるよな」

「くっ……」

 

 ヤザンの言葉に、マットは悔しそうに呻く。

 やはりと言うべきか、当然と言うべきか、俺が予想した通りこの2人の相性は最悪だった。

 まだシロー達は戻ってきていないが、ひとまず話は纏まったという事で、現在ホワイトベースにいるMSパイロット達にオデッサ作戦の間だけではあるがマット達の小隊が一緒に行動する事になったと、そう告げられた。

 ちなみに、ヤザン達が戻ってきたからか、マット達のMSはホワイトベースの甲板上に置かれている。

 一応シロー達が戻ってきていない分、まだホワイトベースの格納庫に余裕はあるのだが、いざという時の為にって事なんだろう。

 とはいえ、マット達の機体もしっかりと整備や補給はやってあるので、運用は問題なく出来る。

 ……ともあれ、そんな訳でマット達が軽く挨拶をした訳だが……ヤザンがそれに噛みついた。

 まぁ、ここで噛みつかないで、その結果として戦闘の中で騒動が起きるよりはいいだろうが。

 ともあれ、ヤザンが敵を殺す事が出来ない相手に背中を預ける事は出来ないと言い、それから何だかんだと話が進み……どこでどういう事になったのかは俺にも分からなかったが、ともあれヤザンとマットがシミュレータを使って模擬戦を行う事になり、結果としてヤザンが勝った上で出たのが、先程の台詞だった訳だ。

 正直なところ、マットの操縦技術は決して低くはない。

 いや、寧ろ連邦軍全体で見れば、上位に位置するだろう。

 そんなマットだったが、ヤザンとの戦いでは結果として負けた。

 これは純粋にヤザンの操縦技術が高かったからだろう。

 ホワイトベース内での戦いや、ワルシャワ基地で繰り返された模擬戦。

 それらの結果から、ヤザンの実力は本人が思っていた以上に上がっていたのだ。

 俺がヤザンに言ったように、オデッサで訓練をしている間は同等の腕だったモンシアに圧倒的な勝率を叩き出しているのは、伊達ではなかったという事だ。

 

「俺がお前に負けたのは認める。だが……だからといって、己の信念を曲げるつもりはない」

 

 マットが、ヤザンを見ながらそう言った。

 模擬戦で負けたのは悔しいが、それでも自分の信念は曲げないか。

 言葉だけではその辺りを信用は出来ないが……さて、どうなんだろうな。

 

「……ふんっ!」

 

 マットの言葉に、ヤザンは結局何も言わずに鼻を鳴らすだけだ。

 それでもヤザンの顔に少しだけ意外そうな表情が浮かんでいたのは、俺にもしっかりと見る事が出来た。

 ヤザンにしてみれば、マットの信念は決して認める事は出来ない。

 出来ないが……それでも、自分に関わらない場所でそのような真似をするのなら、構わないと。そう思ったのだろう。

 ちなみに……本当にちなみにの話ではあるが、ヤザンの階級は少尉でマットは中尉。

 階級だけで考えた場合、マットの方が上だ。

 そんなマットにこんな言葉遣いをするのは、本来なら決して許される事ではない。

 ホワイトベースだからこそ、許容されていると言ってもいい。

 

「ともあれ……」

 

 色々と危険だと判断し、模擬戦の様子を見に来ていたブライトが何かを言おうとしたその瞬間、格納庫にモーリンの声が響き渡った。

 

『ブライト艦長、至急ブリッジに来て下さい。命令が来ています!』

 

 モーリンのその言葉は、珍しく引き攣っているようにも思える声だ。

 それを聞いたブライトは、何があったのかとヤザンに声を掛けるのを止めて、すぐに格納庫から走り去った。

 当然のように、格納庫の中には微妙な……本当にどこか微妙な雰囲気が残る。

 いやまぁ……うん。

 

「取りあえず、ブライトがああして呼ばれたという事は、何かあったのは間違いない。そうなると、出撃の準備をしておいた方がいいな」

 

 そんな俺の言葉に、皆がそれぞれ自分の仕事に戻っていく。

 何だか最後は締まらなかったな。

 とはいえ、ヤザンは多少なりともマットを認めたのだから、何の意味もなかった訳ではない……と、思う。

 そんな風にしながら、ピクシーに向かっている途中で、ふとユウがアルフと話しているのを目にする。

 ブルーディスティニーに何かあったのか?

 ユウの乗っている3号機は、現在唯一存在するEXAMシステム搭載機だ。

 それだけに、アルフも当然のように3号機にはかなり気を遣い、几帳面な程に丁寧に整備をしている。

 とはいえ、ユウの操縦技術が高く、3号機が高い性能を持っていても、結局のところMSはMSだ。

 戦場で戦う為に開発されたその機体は、幾ら注意深く戦っても損傷する時は損傷する。

 勿論、ユウの操縦技術を思えば、そう簡単にどうこうなる機体ではないというのは、理解しているのだが。

 若干気にはなるが、出撃出来ないのならすぐにそう言ってくる筈だ。

 それを言ってこないという事は、特に問題がないということなのだろう。

 ただ単純に、EXAMシステムについて何らかの注意事項を口にしているだけという可能性もあるのだから。

 ともあれ、まずはブライトから事情を聞く必要がある。

 そう考え、ピクシーに乗り込む。

 

「ブライト、出撃か?」

『……ああ』

 

 俺の言葉に、映像モニタに映し出されたブライトは頷くが、その顔には深刻な色がある。

 それこそ、何か相当な出来事があったのだろうと、そう思えるような様子だ。

 

「何があった? その様子を見る限りでは、どこかの戦線がジオン軍に襲われたというだけじゃないんだろ?」

 

 もしそうであれば、それこそ言っては悪いがそれは今まで何度も経験してきた事だ。

 ブライトがここまで深刻になるようには思えない。

 

『……通信でしか情報が入っていないが、ジオン軍が新兵器を出してきたらしい』

「新兵器? まぁ、ジオン軍も追い詰められているのを考えれば、そこまでおかしな話じゃないと思うが?」

 

 追い詰められているからこそ、本来ならまだ完成していないような新兵器を用意したとしても、それはおかしくはない。

 寧ろ、ジオン軍が現状を打破する為には、それこそ必須の出来事だろう。

 なのに、何故そこまで深刻そうな様子を見せる?

 そんな俺の疑問に答えるように、ブライトが口を開く。

 

『敵の新兵器は、巨大で丸い……MAらしい』

「な……に……?」

 

 巨大で丸いMA。

 そう言われて真っ先に思い出すのは、当然のようにアプサラスだ。

 特に今回のオデッサで出撃予定のⅢではなく、大福と表現されたⅡの方。

 それが、出た?

 いや、アプサラスⅡはあるのだから、100歩……1万歩譲って、納得はしてもいい。

 だが、それが何故ジオン軍の味方をする?

 ルナ・ジオン軍は、基本的にはジオン軍と戦争状態になっている。

 実際には資源とかを売ったりしてるので、戦争状態ではあっても冷戦に近い形だが。

 ともあれ、表向きには敵対している。

 ましてや、ギニアスは自分の身体を治療してアプサラス計画に多大な金を出したシャドウミラーに、強く感謝している。

 そのような状況で、アプサラスⅡを使ってジオン軍に味方をするとは思えない。

 そうなると、ジオン軍のスパイ辺りが研究所に忍び込んでアプサラスⅡを盗んだ?

 それもまた、考えづらい。

 シャドウミラー肝煎りの研究だけに、ギニアスがいる研究所にはコバッタや量産型Wが厳重に警備をしている。

 ……また、人目につかない場所に研究所がある以上、そもそもどうやって見つけるのかといった事もある。

 いや、本当に……何がどうなってそうなった?

 

「アプサラスⅡだと思うか?」

『分からん。だが、俺が知ってる限りでは、大きくて丸いMAと言われれば、アプサラスⅡしか思いつかん。……それ以外のMAを知らないというのもあるが』

 

 MAといえば、MIP社の専売特許だ。

 MIP社の人間がいれば、分かるかもしれないが……そんな時間はないか。

 

「で、俺達はこれからそのアプサラスⅡを撃破しにいくのか? ……正直かなり厳しいぞ?」

 

 そもそも、空を飛んでいるという時点でアプサラスⅡを攻撃する手段は少ない。

 いやまぁ、ビームライフルとかがあるし、アプサラスⅡはEフィールドのようなバリアの類も存在しないので、攻撃を防ぐ手段はない。

 それでいて図体も大きいので、的としては悪くない相手なのだ。

 ……とはいえ、その防御力の低さとは裏腹に攻撃力は高い。

 ラサ基地攻略戦の時、山肌をあっさりと貫いて敵基地に自由に出入り出来るようになったのを思えば、その攻撃力の高さがどれだけのものかは分かるだろう。

 つまり、こちらの攻撃が命中すれば倒せるが、向こうの攻撃が命中すればこちらも撃破される。

 おまけに、アプサラスⅡを運用しているとなるとグフ・フライトタイプのように護衛用のMSがいてもおかしくはない。

 

『そうだ。上からの命令で、ホワイトベースはすぐに出撃するようにとの事だ』

「すぐにって言ってもな。シロー達はまだこっちに合流してないんだろ? だとすると、置いていくのか?」

 

 まぁ、置いていくって事なら、俺がピクシーで単独行動していた時も同じようなものだった。

 それを思えば、そこまでおかしな話ではないのか?

 ただし、それはあくまでも俺とピクシーだからだ。

 シロー達がそんな事になった場合、色々と不味い事態にもなりかねない。

 ブライトもそれは知ってるのだろうが、上からの命令には逆らえないらしく、頷きを返してくる。

 

『そうなる。マット達の部隊もいるから、戦力不足という事はないだろう。……ホワイトベース隊での行動となると、MSの指揮をどうするかが問題だが』

 

 今日のように小隊単位で動く時はともかく、ホワイトベース隊として纏まって動く時は、基本的にシローがMSの指揮を執っていた。……まぁ、そのシローも最近はキキとの一件で本調子ではなかったのだが。

 それでも指揮を執る能力という点で言えば、シローが頭1つ飛び抜けているのは、間違いのない事実なのだ。

 その辺の事情を考えると、ここにシローがいないというのは痛い。

 

「リュウに任せるしかないんじゃないか? もしくはブライトとか」

 

 シローの前にMS隊の指揮を執っていたのは、リュウだ。

 もしくは、艦長としてブリッジからより広い場所を確認出来るブライトか。

 だが、どちらもMSの指揮という一点においては、どうしてもシローに劣ってしまう。

 そうなると、やはり今回の一件については悩みどころとなってしまう。

 とはいえ、アプサラスと思しき存在と戦うというのに、万全の状態ではないというのは、ブライト達もそれなりに不安そうだ。

 ラサ基地での戦いをその目で見ているからこそ、余計にそう思えるのだろう。

 ……うん。まぁ、山肌を破壊して、その内部にあったラサ基地と直通の通路を作るなどといった真似をしたのだ。

 それを見て驚いたり脅威を抱くなという方が無理だろう。

 

『いっそ、アクセルだけで突っ込んで貰うか?』

「馬鹿を言うな、馬鹿を」

 

 ブライトが冗談半分でそう告げるが、遠距離攻撃の手段が乏しいピクシーでそのような真似をした場合、一体どうなるのか。

 ……ビームスプレーガンの収束モードを使えばダメージを与える事が出来るかもしれないが、もし本当にアプサラスだとすれば、そこには間違いなく護衛がいる筈だ。

 幾らビームスプレーガンの威力が強力であったとしても、威力という一点で言えば結局はガンダムやガンキャノンが持つビームライフルの下位互換だ。

 敵の護衛が守っている中でそれを貫き、アプサラスにダメージを与えるのは難しい。

 ……あ、でも護衛のMSがいる可能性が高いとはいえ、まさか完璧に守っている訳じゃない筈だ。

 そうなると、敵MSの隙間を縫うようにしてアプサラスに……いや、だから何で俺が1人で特攻するのを前提で考えてるんだよ。

 

「ともあれ、今回の指揮はそっちに任せる。時間があればもっと相談したりも出来るんだろうが……そんな時間はないんだろ?」

『ああ』

 

 俺の言葉に短く返事をするブライト。

 こうしている今も、ホワイトベースはアプサラスがいると思われる戦場に向かって移動中だ。

 そんな状況だからこそ、現在はこうして話をしてるような余裕が若干ではある。

 

「ともあれ、そっちは頼む。もし相手が本当にアプサラスだとしたら、こっちでも色々と手を打つ必要がある」

 

 取りあえず、現状ではもしアプサラスが奪われたとしても、それはⅡの筈だ。

 Ⅲの方はギニアスが厳重に保存しており、日々調整を行っている。

 そんな状況で奪われるような事になるとは、正直思えなかった。

 であれば、恐らく……本当に恐らくではあるが、盗まれたとすればそれはⅡの筈だった。

 そんな風に考えている間にもホワイトベースは戦場に向かい……戦闘をしている様子が格納庫のピクシーの映像モニタにも転送されてくる。

 そこで戦っているのは……丸いという意味では間違っていないが、どちらかと言うとタマネギ型の胴体に4本の足……というか着陸脚か? そんなのがついている、MAだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:745
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1533

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