転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2450話

「っと!」

 

 ダブデに向かっていたのだが、当然のようにダブデに近づけば、それを防御する為の戦力は厚くなる。

 ……いや、もしくはさっき戦ったマゼラアタック隊から連絡でも入っていたのかもしれないな。

 ともあれ、ダブデに行かせまいとして、ザクやグフがこちらに攻撃を仕掛けてくる。

 少しだけ驚いたのは、グフの中にザクマシンガンを使っている機体がいた事か。

 よく考えれば、今までにも似たようなグフはいた……か?

 それに、グフはジオニック社の開発したMSだ。

 ザクがベースとなっている以上、ザクの武器を使えてもおかしな話ではない。

 その辺は、ジオニック社もグフを開発する時にあらかじめ考えてあったのだろう。

 とはいえ……

 

「ピクシーを相手にするには、足りないな!」

 

 パイロットの技量もそうだが、この場合は純粋にMSの性能差が戦力の決定的な差となっている事を教えてやろう。

 ザクマシンガンやザクバズーカが降り注ぐ中で、敵との間合いを詰める。

 向こうにしてみれば、自分達の攻撃が全く当たらない事が信じられなかったのか、少しだけ……本当に少しだけだが、攻撃の密度が薄くなった。

 それは自分の見た光景を信じたくないという思いもあったのかもしれないが、今のこの状況では致命的なのは間違いない。

 攻撃の密度が薄まった方にピクシーを突撃させる。

 両手にはビームダガーを持っており、まずはその間合いの中に入る事が重要だった。

 そうして素早く間合いの中に入ったところで、ビームダガーを振るう。

 突きよりも、横を通り抜ける時にその動きを利用してビームダガーでコックピットのある場所を切り裂く。

 突きの方が敵は回避しにくいのだが、突きの場合はどうしても刺して引き抜くという動きが必要となり、機体の動きを数瞬にしろ止める必要がある。

 それに比べると、動きながらのビームダガーの一撃は通り抜けた時に動きをそのまま次の動きに利用出来るというのが大きい。

 そうしてコックピットを破壊してパイロットを仕留め、ダブデの方に向かう。

 そんなピクシーの動きは当然ながらダブデの方でも理解していたのか、ダブデの持つ機銃がこちらに向かって発射されてきた。

 その動きを把握した瞬間、俺はピクシーのスラスターを全開にしてその場から退避する。

 ルナ・チタニウム製の装甲である以上、ダブデの機銃も効果がないかもしれない。

 だが、効果がなくても命中すれば衝撃はあるし、ピクシーの動きに多少なりとも悪影響が出る可能性があった。

 そう考えれば、やはりダブデの一撃は回避した方がいい。

 ピクシーが回避した数秒後、そこには次々と機銃から放たれた弾丸が着弾していた。

 こちらに向かって放たれる攻撃を回避しつつ、ダブデとの間合いを詰めていく。

 当然ながら、ダブデの周辺にはそれを守るように護衛のMSやドップ、マゼラアタックといった戦力がそこにはいる。

 それらの敵からもこちらに向かって次々と攻撃が放たれるが、俺はその全てを回避していく。

 向こうにしてみれば、まさか自分達の攻撃の全てが回避されるとは思わなかったのか、先程の敵と同じように動揺して動きが鈍り……その隙を突いて、俺は更に前進していく。

 ビームダガーからビームスプレーガンと90mmサブマシンガンに持ち替え、射撃を命中させるのではなく、広範囲に薄く広く撃つ事によって、相手への牽制とする。

 ……牽制とはいえ、別に武器の威力が下がっている訳ではない。

 命中すればMSだろうが戦車だろうが戦闘機だろうが、被害を受けるのは事実だ。

 まぁ、MSなら90mmサブマシンガンは殆ど効果はないのだろうが。

 次々に放つ射撃で敵を牽制しながら、俺は真っ直ぐ前に向かい……やがて、ダブデとの間合いが詰まってきた。

 ダブデも、ここまで来れば俺の狙いが周辺にいるMSではなく、自分だと気が付いているのだろう。機銃を次々にピクシーに向けて撃ち続ける。

 その攻撃を回避しながら、ダブデとの間合いを詰めていく。

 ここまで来れば下手に周囲に攻撃するような真似をするよりも、一刻も早くダブデのブリッジを破壊した方が効率的だ。

 そう考えている間にもピクシーは連邦軍のMSの中でも最高峰の機動性や運動性を発揮し、前に前に、ひたすら前にと移動していく。

 そうして、とうとうピクシーはダブデのすぐ側まで到着した。

 スラスターを最大稼働させ、跳躍。

 ダブデの甲板を蹴って、蹴って、蹴って、ブリッジに向かう。

 ここまで来れば、ダブデはどうにも出来ない。

 機銃は当然ながらここまで近づけば撃つ事は出来ないし、ダブデを守っていた戦力も下手にピクシーを攻撃した場合、それはダブデに大きな被害を与えかねない。

 それを狙っていたからこそ、俺は最速でダブデとの間合いを詰めたのだから。

 そうしてブリッジに到着し、ビームスプレーガンを収束モードにして構え……その瞬間、ふと気が付いた。

 気が付いてしまった。

 ダブデのブリッジにいる者の1人が、アリーヌの恋人たるクライドであるという事に。

 ピクシーの映像モニタに表示されているその顔は、MPから見せて貰った写真と若干の違いはあるが、間違いなくクライドその人だった。

 何故こんなところにという疑問を抱くと同時に、やはりという強い納得を覚える。

 この世界の原作の事を考えれば、このような展開になってもおかしな話ではないのだから。

 とはいえ、この状況が厄介なのは間違いない。

 まず俺がここでやったのは、ビームスプレーガンではなく90mmサブマシンガンをブリッジに叩き込む事。

 ただし、間違ってもクライドに命中しないように細心の注意を払いながら。

 ブリッジに嵌まっていた強化ガラスか? その材質は知らなかったが、ともあれ、90mmサブマシンガンで十分に破壊出来た。

 そして阿鼻叫喚といった様子のブリッジに手を伸ばし、怪我をさせないようにクライドを掴み取る。

 ピクシーの手の中でクライドが何か言ってるのが分かったが、今はそれを聞いているような余裕はない。

 クライドを手にしたまま、今度はブリッジの中にいる者達を殺す目的で90mmサブマシンガンの銃口を突っ込んで、トリガーを引く。

 次々に放たれる弾丸は、ブリッジの中にいたジオン軍の軍人の命を、数秒と経たずに奪いつくす。

 ダブデのブリッジで動く者が誰もいなくなったのを確認すると、そのままブリッジ近くの装甲を蹴ってダブデから離れる。

 ピクシーの手の中のクライドを殺さないように、普通の人間でも耐えられる程度の加速でだ。

 ……当然のように、ダブデの動きが止まった事にジオン軍の多くは気が付く。

 そして、ダブデから離れたピクシーに向かって、次々と攻撃をしてくる。

 だが、俺はそれに反撃をするような真似はせず、ただひたすらに回避しながら、戦場から離れていく。

 ジオン軍にしてみれば、俺の行為は決して許せるようなものではなかったのだろうが、それでも今回に限っては他にも多くの敵と戦っている関係上、ピクシーだけに集中して攻撃出来ないというのも、間違いのない事実だった。

 さて、問題なのは……アリーヌ達はどうしたかだな。

 陸戦強襲型ガンタンクの性能を考えれば、そう簡単にどうにかなるような事はないと思うんだが。

 とはいえ、激戦の真っ最中といった今の状況でアリーヌにクライドを捕らえたといった事を言っても、意味はない。

 それどころか、ここで下手にクライドを捕えたといった事を知らせた場合、間違いなく……ほぼ確実に、絶対、アリーヌは敵前逃亡的な感じでこっちにやって来るだろう。

 アリーヌにとって、クライドというのはそれだけ深い恨みを抱いている相手なのだ。

 だからこそ、今はまだクライドの事を知らせない方がいい。

 また、俺がミケーレから要請されたのは、あくまでもダブデをどうにかする事だ。

 ブリッジを破壊しただけで、まだ砲台が動いているのを見れば、まだ撃破はされていないのだろう。

 ステータスを確認してみても、撃墜数は変わっておらず、ダブデを撃破したという扱いになっていないのは間違いない。

 非常に厄介な事ではあるが、それでもダブデのブリッジが壊滅した以上、敵は主砲を使えない。

 機銃なら何とかなるかもしれないが、残念ながら……もしくは幸いな事に、敵の機銃が連邦軍の戦力に届くかというのは、難しい。

 連邦軍の戦力がダブデのいる場所に近づけば、話は別だが。

 ともあれ、俺は一旦ダブデから……この戦場から離れる。

 

「司令部、聞こえているか? 司令部、ミケーレ。ダブデのブリッジは破壊したので、もう主砲は使えない。後はそっちでやってくれ」

 

 それだけを言うと、相手の返事を聞かないで通信を切る。

 もしこの状況でミケーレからの通信を受けた場合、クライドの説明をどうするかが問題になる。

 場合によっては、連邦軍の捕虜とするので寄越せと言われる可能性すらあった。

 普通ならそんな事を言ったりはしないのだが、ミケーレの性格を考えると必ずしも安心は出来ない。

 そんな訳で、俺はピクシーで一旦戦場を離れ……その後、戦場から少し離れた場所に到着する。

 ピクシーの手の中のクライドの様子を見ると、幸いな事に気絶している。

 ……死んでないよな?

 一応確認するが、気絶しているだけで命に別状はないように思えた。

 移動する時はそれなりに気を遣ったのだが、技術士官でしかなく、前線に出る軍人のように身体を鍛えた様子もなかったのを思えば、この結果は当然だろう。

 ともあれ、騒がれない事に安堵しながらピクシーを空間倉庫の中に収納する。

 その後は気絶したクライドと共に影のゲートを使ってここから結構離れた場所まで移動する。

 林の中に姿を現すと、近くの木にクライドを縛り付ける。

 猿轡をし、身動き出来ないようにしてから再び元の場所に戻る。

 連邦軍の指揮所に向かうが、戦場では未だに戦闘が続いていた。

 ダブデの主砲が使えなくなったが、それだけでジオン軍がこの戦場から撤退するような様子はない。

 ジオン軍にしても、オデッサを失うというのがどのような意味を持っているのか、しっかりと理解しているのだろう。

 だからこそ、この地を連邦軍に渡すような真似は出来ないのだ。

 

「貴様! 一体、何のつもりだ!」

 

 指揮所にやって来た俺を見つけ、ミケーレが思い切り怒鳴る。

 それがどれだけ機嫌が悪いのかは、見れば明らかだ。

 ミケーレにしてみれば、最低限の仕事を終わらせた後で、いきなりその行方を眩ませたのだから、怒鳴りたくなる気持ちも分からないではない。

 とはいえ、ダブデの無力化というのはきちんとやったのだが。

 

「ダブデのブリッジは潰して、主砲は使えなくしただろ。それに、こっちも少し用事があったんだよ」

「どのような用事だ!」

「悪いが、それをお前に教える必要はない。……そっちにとっても、この件は聞かない方がいいと思うぞ。上に睨まれたくはないだろ?」

 

 実際には上にも何も完全に俺の私用でしかない。

 だが、俺がレビルやゴップ直属であるというのを知っているミケーレにしてみれば、こう言えば俺の反応に何らかの行動を起こすような真似は出来ない。

 俺の言葉を完全に信じるような事は出来なくても、もし万が一俺の言葉が本当だったらと思えば、反応出来ないのは当然だった。

 

「ぐっ、分かった。この件については、これ以上何も言わん。……だが、それで一体何の用件で戻ってきた?」

「少しアリーヌに用事があってな」

「……あの犯罪者に?」

 

 嫌そうな表情を浮かべるミケーレ。

 連邦軍の軍人としては、恋人がジオン軍に亡命したというアリーヌは許せる相手ではないのだろう。

 それこそ、アリーヌ本人が特に何かをした訳でもないのだが。

 

「そうだ。この件はレビルからも許可を貰っている」

 

 これは、正しいかどうかは微妙なところだ。

 一応MPを通して上に話は通じてる筈だが、返事は貰っていない。

 なので、取りあえずはこっちが勝手に動いてもいいという黙認という風に俺は自分を納得させた。

 

「……もう少し待て。あの陸戦強襲型ガンタンクは、まだこの戦場には必要だ」

「分かった」

 

 ミケーレの言葉に素直に頷く。

 ミケーレにしてみれば、アリーヌの陸戦強襲型ガンタンクが活躍しているという光景は、面白くはない。面白くはないのだが……それでも戦力になるのは事実である以上、ここでアリーヌ達を俺に預けるといった真似は出来なかったのだろう。

 ダブデを失ったジオン軍ではあるが、それでもダブデは爆発した訳でもないので、まだそこにある。

 主砲は使えなくなっているが。

 ともあれ、そうやってダブデがいる以上、ジオン軍としてはまだ自分達は負けていないと、そう思っているのだろう。

 その気持ちは分からないではない。分からないではないが……出来れば早めに諦めて欲しいところだ。

 そんな風に考えながら、俺はミケーレの相手をするのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:735
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1531

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