オデッサ作戦の1日目が終わる。
その日は1日目にしてかなり忙しかったが、大きな騒動というのは殆どなかった。
一番大きな出来事は、やはりニムバスを倒した事か。……生きている状態で逃げられたが。
それ以後もかなりの数の援軍として出動したが、生憎と出て来たのはそこまで強くない連中ばかり。
とはいえ、それはあくまでもホワイトベース隊から見ての話であって、普通の連邦軍の面々にしてみれば強敵でしかない。
だからこそ、俺達が出撃するようになったのだろうから。
そんな感じで、文字通りの火消し部隊として多くの戦場に向かった俺達だったが、夜になったからという事で戦闘もある程度は落ち着いてきた。
夜になったからこそ出番だと出撃していく部隊もいるのだが、その部隊の数は日中に比べると、当然のように少ない。
……だが、そうやって連邦軍が休まずにオデッサを攻撃する事により、相手に疲労を感じさせ、物資や精神を消耗させるには十分な効果を期待出来るのも事実。
「よく食えるな、アクセル」
ホワイトベースの食堂の中で食事をしてると、若干の呆れと共にそんな風に声を掛けられる。
それが誰の声なのかは、それこそ考えるまでもなく明らかだった。
味わっていたハンバーグを飲み込み、声を掛けてきた相手に視線を向ける。
「食える時に食っておかないと、いざって時に力が出ないぞ。腹が減っては戦は出来ぬって言うだろ?」
俺の場合、実は食事というのはしなくてもいいのだが、それでもこうして食事をしているのは、単純に味を楽しむという事をしている為だ。
「それでも、こんなに連続で戦い続けたのは初めてなんだから、食欲なんてどこにもねえよ」
はぁ、と。
心の底から疲れたといった具合のカイ。
いや、それはカイだけではなく、カイと一緒にいるハヤトやアムロといった面々も同様だった。
「綾子がここにいれば、呆れ……とは言わないけど、窘められていてもおかしくはないぞ」
綾子も今日は陸戦型ガンダムに乗って、エースと呼ぶに相応しい活躍をしている。
W世界で鍛えたMS操縦の技術は伊達ではないといったところか。
勿論、UC世界とW世界では、MSという名前の兵器を使ってはいても、そのMSの性能は大きく異なる。
当然MSの操縦方法も違う訳だが……それでも、綾子にとってはそのようなものはすぐに対処出来る誤差程度のものなのだろう。
そんな綾子に呆れられたり、窘められたりすると言われ、カイとアムロは言葉に詰まった。
直接言葉や態度には出さないようにしているが、カイやアムロが綾子に好意を……憧れを持っているのは分かっている。
綾子にしてみれば、そんな2人の態度には色々と思うところもあるのだろう。
ともあれ、そんな憧れを抱いている相手の目から自分がどう見えるのかと言われれば、カイやアムロとしても大人しく引き下がる訳にはいかない。
ハヤトの方は、特に綾子にその手の感情を持ってはいないようだったが、それでも男として思うところはあったのか、3人揃って料理を取りに向かう。
そして3人揃って料理を受け取ると、何故か俺と同じテーブルで食事をする。
いやまぁ、それは別にいいんだけどな。
ただ、少し疑問だっただけだ。
ヤザンとかの最初から軍人だった相手ならともかく、アムロ達のような元民間人から、俺はそこまで好かれていないというのは理解している。
アムロは以前と比べると対抗心の類は少なくなったが、それはあくまでも少なくなっただけであって、完全になくなった訳ではないのだから。
それを考えれば、この状況でもそこまで悪くはない、か。
「で? 初めての長時間に渡る作戦だった訳だが、その1日目を終えた感想は?」
このまま黙って食事をするというのも何なので、ポテトサラダを食べながら尋ねる。
普通ならポテトサラダは名脇役といったところなのだが、黒胡椒でピリリとした辛みを与えられて、角切りのベーコンが入っているこのポテトサラダは、メインと言ってもいいような極上の料理となっている。
タマネギの食感が残っているのも、個人的には好印象だ。
戦場だというのに、ここまで豪華な食事が出るのは……ホワイトベースが精鋭部隊だからというのもあるのだろう。
食事というのは、士気に直結する要素でもあるし、美味い食事を食べることが出来れば、それは大きな活力となる。
「疲れたな。ここまで連続して戦闘をする事になるとは、思わなかった」
しみじみといった様子でカイが呟く。
カイのガンキャノンも、最前線で戦っていたのだから無理もない。
本来なら、ガンキャノンは中距離からの援護射撃を行うことを目的として開発されたMSなのだが……この辺、俺がガンキャノンを使っていた時に結構な頻度で近接戦闘をやっていたのがカイに影響を与えているのだろう。
ぶっちゃけ、両肩の低反動キャノンがある状況で近接戦闘……格闘をするのは、かなり難易度が高いんだが。
その辺を問題なくやれている辺り、カイの技量の高さを示している。
本人がその辺の事情を理解しているかどうかは別の話だが。
「くそっ、一体上は何を考えている!?」
カイ達と一緒に食事をしていると、少し離れた場所からそんな苛立ち混じりの声が聞こえてきた。
何だ? とそこに視線を向けると、そこでは見覚えのあるメカニック達がそれぞれ不満も露わにしながら食事をしていた。
それこそ、本来なら苛立ちを紛らわす為に酒を飲んでもおかしくないのではないかと思えるような、そんな様子で。
「何があったんでしょうね?」
ハヤトがそんなメカニック達を見て、疑問を口にする。
メカニックの中には、気の荒い奴がいるのも事実だ。
だからといって、このような場所で騒ぐような真似をする奴もそういないのは事実。
「あ、すいません。ちょっとこいつ、苛々してたもので」
自分達に視線が集まっているのに気が付いたのだろう。
叫んだ男の隣にいた別のメカニックが、俺達を含めて食堂にいる他の面々に向かって頭を下げる。
そうして謝られれば、食堂にいる他の者達もそれ以上追求するような真似はしないで、食事に戻る。
これが、もっと余裕のある時であれば若干話は違ったのかもしれないが、今はカイが口にしたように、皆が疲れている。
1日中ずっと戦うというのは、それだけ精神的にも、体力的にも消耗するのだ。
……もっとも、戦場に向かう移動中はある程度休めたので、まだこの程度で済んでいるのだが。
もし本当に、文字通りの意味で1日中戦闘を続けるような事になったりすれば、それこそ食事をする元気すらなくなっていてもおかしくはない。
とはいえ、それでもまだ1日目だ。
明日以降のオデッサ作戦を考えると、1日目でこれというのはちょっと心配だが。
2日目以降ともなると、当然のように戦いは激しくなり、それに伴って火消し部隊としての役目を期待されているホワイトベース隊も忙しくなる筈だ。
その辺の事情を考えると、今日の時点でこれだけ疲れているというのは、先行きを考えると少し不安だ。
それは、カイ達だけではなくメカニック達も同様に危険だろう。
俺達は戦いの中で精神をすり減らしているが、メカニック達もそれは同様だ。
直接戦場に出る訳ではないが、俺達が出撃する度に弾薬の補充やエネルギーの充填、推進剤の補充、それに加えて損傷している場所があれば修理したり、機体におかしな場所がないかのチェック等々。
それこそ、格納庫こそがメカニック達の戦場であると言っても間違いではない。
……だとすれば、今の状況は結構危険、か。
何があったのかは分からないが、メカニックがこうも苛立ちを露わにしているというのは、正直なところ面白くはない。
それこそ、この苛々が原因で妙なミスをしないとも限らない。
そしてメカニック達のミスは、MSパイロットの生死に直結する可能性も十分にあるのだ。
それを考えれば、やはりここで放っておくようなことは出来ないか。
「ちょっと気になるから、あいつらから話を聞いてくる」
そう告げ、食べ終わった食器を持って移動する。
ハヤトが止めておいた方が……といった視線を向けていたが、俺はそれに大丈夫だと軽く手を振ってから、食器を片付けてメカニック達のいる方に向かう。
「どうした? 機嫌が悪そうだけど、何かあったのか?」
「あぁっ!? ……何だ、アクセルか」
さっき苛立たしげに叫んだ男が、声を掛けられた事に苛立たしそうにしていたものの、俺を見ると少しだけ落ち着いた様子を見せる。
まぁ、俺が色々と人外な存在なのはそれなりに知られているので、ここで俺に喧嘩を売っても意味はない……どころか、自分が怪我をするだけだと、そう判断したのだろう。
「お前達には俺達が乗っているMSの整備を任せてるんだ。そんなお前達がこうして苛立ってるってのは、整備にミスが起こる可能性もある。……違うか?」
整備にミスという言葉で、メカニック達が……特に先程叫んだ男が苛立ちを露わにしそうになったが、最終的には黙り込む。
「アクセルの言う通りだよ。……騒いで悪かったな」
「いや、それはそれでいいが、結局何が理由でこんな騒動になったんだ?」
その質問に、メカニックはどうするべきかといったことを少し迷っていたが、やがて不承不承といった形で口を開く。
「MSの整備に必要な各種パーツの予備が届くのが遅れてるんだよ。本来なら今日の夕方には届いてなきゃいけないのに、届くのは明日になるらしい」
「……は? 本当か、それ?」
予備とはいえ、MSの部品の補給が遅れているというのは、俺にとっても看過出来ない。
MSというのは、あくまでも兵器なのだ。
そのような兵器である以上、部品が足りなければ……推進剤の類がなかったり、スラスターの部品が足りなかったり、フィールドモーターが故障したりしていた場合、動かす事は出来なくなる。
オデッサ作戦をやっている上で……それも連邦軍が不利な戦場に駆けつけ、それを引っ繰り返す火消しの役目を任されているホワイトベースにおいて、それは致命的と言ってもいい。
「ああ、本当だ。今はまだ予備部品に余裕があるからいいが、このまま戦闘が続いた場合、最悪MSが出撃出来なくなる可能性もある」
「……何が理由でそんな事に? まさか、何の理由もなくって事はないだろ? いやまぁホワイトベース隊は一部の上官に嫌われているらしいけど」
これは事実だ。
少数の部隊で戦況を引っ繰り返すだけの実力があるホワイトベース隊は、一部の上層部……それこそ、未だにMSではなく戦艦によって戦いの決着を付けるべきだと考えている大艦巨砲主義やら、タカ派やら……それ以外にも色々な場所から嫌われているのだ。
だが、例え嫌われていても、ホワイトベース隊の戦力が有効なのは間違いなく、それを考えれば、補給を滞らせるといった事をするとは思えない。
ましてや、連邦軍で補給を担当しているのは、将軍として前線に出れば全く役に立たないが、後方で補給を担当するという一点においては、他に類を見ない程に有能な人物。
それこそ、出来ればシャドウミラーに引っ張ってきたいという意見が上がるくらいには。
本人はこのUC世界の地球に強い愛着を持っているので、勧誘は断られたが。
ともあれ、政治班のエザリアですら認めるだけの能力を持っているのがゴップだ。
そのゴップが、補給を……それもオデッサ作戦をやっている中で、その大きな戦力として期待されているホワイトベースへの補給を滞らせるというのは、少し信じられなかった。
「それが、何か機械的なトラブルがあったとか何とか」
「……本当か?」
これが本当に、メカニックが言うような機械的なトラブルであるのなら、問題はない。
だが、このタイミングでというのは、やはりどこか作為的なものを感じてしまうのも、間違いのない事実だった。
「ああ。何度も確認したんだから、間違いない」
「……ちなみに、他の部隊には話を聞いたか?」
「勿論だ。他の部隊も似たような場所が多かったよ。機械的なトラブルが起きていないところもあるのか、きちんと補給を受けられる部隊もあったけど」
俺達だけではないとなると、かなり大規模に話が進んでいる訳か。
これはまた、非常に厄介としか言いようがないな。
意図的な、いわゆるサボタージュという奴だったりする可能性もある以上、安心は出来ない。
これは軍事的な意味……破壊工作的な意味でのサボタージュではなく、文字通りのサボるという意味でのサボタージュだ。
場合によっては、明日もまた補給が来ないという可能性は否定出来ないのだから。
「取りあえず、この件はブライトにも知らせておく。そこから上に申請すれば、ある程度はどうにかなる筈だ」
少なくても、これが意図的に行われたものでなければ、の話だが。
とはいえ、一体誰がそのような真似をしたのかという事も考えると、正直微妙な感じがしないでもない。
いや、誰がやったのかと言われれば、やはり上層部にいるだろうスパイなんだろうが……さて、これは一体どうなるんだろうな。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:705
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1525