戦場に到着した俺達が見たのは、予想外の光景だった。
それも、悪い意味での予想外ではなく、いい意味での予想外。
何故なら、ニムバスが操るブルーディスティニー2号機はそこにいたが、戦っていたMS部隊がまだ1機も撃墜されていなかったのだから。
勿論無傷という訳ではなく、頭を失っていたり、手足を失っていたり、酷いのになると装甲が斬り裂かれて外側からコックピットが見えているといった機体もある。
そんな4機のMSを見て……同時に、送られてきた通信で映像モニタに映し出された相手を見て、納得する。
『アクセル代表、申し訳ありません。手間を取らせます』
疲れたように言ってきたのは、バニング。
そう、ニムバス率いる部隊に襲われていたのは、バニングが所属する部隊だったのだ。
部隊構成として、MSだけではなく61式戦車の類も存在する。
だが、61式戦車は全てが撃破され、現状で生き残っているのはバニングのMS小隊だけだ。
「気にするな。寧ろ、ニムバスを相手によく生き残った。さすが異名持ちが所属している部隊だな」
その言葉に、バニングは一瞬だったが確実に嫌そうな表情を浮かべた。
裸踊りのモンシアという異名は、バニング的に面白くないのだろう。
もっとも、それを一番嫌がっているのはバニングではなく、実際に異名をつけられたモンシアだが。
そんな風に会話をしている間、ニムバスは……そしてニムバスの部下と思われる5機のドムは、一切攻撃をする様子がなく、黙り込んでいた。
今の状況で何故攻撃をしないで待ってるのかは分からなかったが、恐らく正々堂々と正面からユウを……もしくは俺を倒したいといったところか。
「取りあえず、ここは俺達に任せてお前達は後方に下がれ。生き残りは全機、動けるか?」
その言葉に、映像モニタの向こう側にいるバニングは苦い表情を浮かべつつも頷く。
『はい、動くのは問題ありません』
「なら、ここは俺に任せろ。せっかくニムバスを相手に生き残ったんだ。その幸運をこんな場所で使い切るような真似をするなよ」
『ニムバス? それが、あの蒼い陸戦型ガンダムのパイロットの名前ですか?』
「そうだ。特殊なシステムを積んでいて、MSの動きそのものを別次元に変えるだけの能力を持っている。MSという存在を知ったばかりの連邦軍のパイロットが相手にするのは、難しい代物だ」
EXAMシステムの特性を思えば、それこそ連邦軍だけではなく、ジオン軍のMSパイロットであっても、大抵の相手は負けてもおかしくはない。
そのような高性能なシステムを持ったMSを相手に、同道していた他の戦力は全滅に近いが、バニング率いるMS小隊が生き残る事が出来たのは、バニングの指揮能力とモンシア達の操縦技術が高かったおかげだろう。
バニング達の所属は第2連合艦隊第4MS小隊だった筈だから……さしずめ、不死身の第4小隊といったところか。
裸踊りのモンシアに続いて、不死身の第4小隊という小隊の異名を流行らせてみるのも面白い。
裸踊りのモンシアというのをバニングはあまり好んでいなかったように思えるので、不死身の第4小隊というのが異名になれば、バニングも納得するか?
ただ、ニムバスにとってバニング達との戦いは、あくまでも準備運動に等しかった筈だ。
それを考えれば、生き残ったとしても……いや、それでもニムバスを相手に生き残れた時点で凄いか。
『では、ここはお任せします』
「ああ、任せろ。……俺達はニムバスと戦う為にここにやって来たんだからな。もっとも、向こうはユウしか目に入ってないようだが」
そんな俺の言葉に、映像モニタに映し出されているバニングは、少し視線を逸らす。
恐らく、ユウの機体を確認したのだろう。
バニングも、ワルシャワ基地ではホワイトベース隊と多くの模擬戦を行っている。
当然のように、陸戦型ガンダムと戦った事も多いので、どれが誰の機体なのか分かってもおかしくはない。
……ん?
ふと、こちらを見ている2号機の姿に疑問を抱く。
それは、ユウの3号機ではなく、俺の方を見ているように感じられた為だ。
ニムバスが俺に拘っているのは、これまでの言動から明らかだ。
だが、EXAMシステムの方は俺ではなく、自分と同じEXAMシステムを有するMSとの戦いに拘っていた。
ニムバスにしてみれば、俺とユウ、それとニュータイプのアムロの3人と戦いたいと思っているのだろうが、EXAMシステムの方はそれを許容しない。
正確にはユウとアムロを敵対視はしていても、俺は違うというのが大きい。
そんな状況なのに、ニムバスは俺に敵意を見せている、か。
『アクセル』
ユウからの通信。
3号機に乗っているユウも、ニムバスの敵意が俺に向けられているというのに気が付いたのだろう。
ユウにしては珍しく、少し戸惑ったような様子すら見せる。
この辺り、まだ甘いというか、察せていないというか。……そんな感じだ。
「ああ、分かっている。どうやらニムバスは俺と戦いたいらしい」
本来なら、殺気や闘気といったものは普通の人間に感じる事は出来ない。
ネギま世界やペルソナ世界なら、話は別だが。
そんな状況でこうして感じるのは……これもまた、EXAMシステムの効果か?
ともあれ、今の状況でやるべき事は、俺が戦った方がいいという事だろう。
『すまない』
「いや、別にお前が謝る必要はないだろう? そもそも、ニムバスとの因縁という点で考えれば、明らかに俺の方が先なんだし」
俺は完全に忘れていたが、そもそもニムバスとの因縁という点では、俺の方が先にあったのだから。
なら、俺がニムバスを倒すのが当然だろう。
……もっとも、それはあくまでも俺の都合であって、ユウにしてみればそんなのは関係ない。
自分と同じEXAMシステムの……いや、イフリート改とは違って、今回は乗っているMSまでもが同機種となる以上、本来なら自分が戦いたいと思ってもおかしくはない。
それでもこうして俺に譲るのは、自分よりも俺に任せた方がいいと、そう判断しているからだろう。
「取りあえず、ニムバスは俺に任せろ。ただし、それ以外の連中は、ユウ……いや、他の面々に任せたぞ」
ホワイトベース隊の面々にそう尋ねると、当然といったような言葉が返ってくる。
そんな仲間達の声を背中に、俺はこちらを待ち受けているニムバスに向かってピクシーを進める。
それを受けてだろう。2号機もこちらに向かって歩き出す。
『待っていた……待っていたぞ、この時を!』
オープンチャンネルではなく、外部スピーカーでニムバスはそう告げてくる。
その気持ちも、分からないではない。
俺がグラナダを攻略してから、既に数ヶ月。
ニムバスにしてみれば、自分の拠点を俺に占領されてから、それだけの時間が経ったのだ。
それでいながら、現在も突撃宇宙軍はグラナダを拠点としている。
それも、ルナ・ジオンから借りるという形で。
ニムバスにとって、一体どれだけ俺に対する恨みを抱いた事か。
その上で、EXAMシステム搭載機に乗って俺と戦おうにも、機体側の問題でか、アムロやユウに攻撃を行ってしまう。
ニムバスにとっては、それが余計に恨みを強くする理由なのだろう。
……とはいえ、こっちはそんなのはあまり関係ないのだが。
向こうが外部スピーカーをオンにして通信してきた以上、こちらもオープンチャンネルではなく、外部スピーカーで返事をする。
「俺をご指名とはな。……言っておくが、今の俺は高いぞ?」
『キシリア様に捧げる勝利の為! アクセル、貴様には我が剣の錆となって貰う!』
叫ぶと同時に、ニムバスはビームサーベルを片手にこっちとの間合いを詰めてくる。
ミデアから奪っていった時にビームライフルを持っていった筈だが、2号機の手にビームライフルはない。
もっとも、UC世界において使われている連邦軍のビームライフルは、エネルギーをMSの動力炉から貰うのではなく、ビームライフルそのものにエネルギーを充電する必要がある。
これがジオン軍なら、水陸両用MSのように動力炉直結型のビーム兵器もあるのだが。
ともあれ、そんな訳でニムバスが奪っていった2号機は、ビームライフルを奪いはしたが、それは使い切ってしまえば充電出来ない。
勿論時間があればジオン軍でも充電が可能な装置を作る事は出来るのだろうが、ニムバスが2号機を奪ってから今日まで、時間はそこまでない。
幾らジオン軍の技術力が高くても、この短時間でそれを作るのは無理だったのだろう。
とはいえ、それならザクマシンガンなり何なりを用意出来たと思うんだが、その手の武器も持ってはいない。
ニムバスの趣味なのか、それとも何か別の理由があるのかは分からないが、ともあれ2号機はビームサーベルを構えてこちらに突っ込んでくる。
陸戦型ガンタムをベースとしている以上、90mmサブマシンガンではダメージを与える事は出来ず、牽制程度にしか使えない。
頭部バルカンは論外。
そうなると……ビームスプレーガンを取り出し、そのままの動きでトリガーを引く。
驚いたのは、その瞬間に2号機が射線から逸れたように動いた事だ。
俺が撃つ時は色々と撃ち方があるが、システムに頼るよりも全て俺が手動でやった方がいいから、いわゆる補助機能やアシスト機能と呼ばれる類のものは全て切ってある。
例えば今の場合、ビームスプレーガンを取り出してそのまま動かしながらトリガーを引くといった真似をしたのだ。
それで命中させる事が出来るのは、純粋に俺のステータスの命中と射撃の値が高く、ガンファイトも影響しているからだろう。
だが……ニムバスが操る2号機は、俺のその射撃を回避したのだ。
普通に考えれば、とてもではないが回避出来ないだろう一撃を。
これは、ニムバスの能力……いや、EXAMシステムの力と考えた方がいいのか?
以前イフリート改と戦った時に比べると、その反応速度は明らかに違っている。
当然か。元々クルストはジオンではEXAMシステムを完成させる事が出来ないからこそ、連邦に亡命したのだ。
それを思えば、EXAMシステムの完成度がイフリート改よりもブルーディスティニー2号機の方が上がっているのは、寧ろ当然だろう。
その結果が、今のビームスプレーガンの回避。
「面白い」
呟き、ビームスプレーガンの代わりに、ビームダガーをピクシーの両手に装備させる。
そうしている間にも、2号機は俺との間合いを詰めてきた。
振りかぶられるビームサーベル。
だが、その動きは通常の機体の速度とは明らかに違った。
それこそ、2倍速……いや、3倍速くらいの速度。
真っ直ぐこちらに向かって振るわれるその一撃を、スラスターを使って機体を強引にその場から退避する事で回避する。
当然こちらも回避しただけではなく、一旦地面に足を突いた瞬間、再びスラスターを全開にして前に出る。
ビームダガーを両手に持ってのその一撃は、2号機のコックピットを狙っての一撃だったが、2号機はその動きを読んでいたかのように先程のピクシー同様、後方に跳躍して回避する。
いや、読んでいたようにじゃなくて、実際に読んでいたんだろう。
俺がピクシーを操縦する中で敵のコックピットをビームダガーで貫くといった真似は、何度となく行われている。
だからこそ、ジオン軍のニムバスはそのデータを豊富に持っており、それに対応する事が出来たのだろう。
一応、攻撃をする際にもパターンを変えて攻撃していたんだけどな。
この辺は、EXAMシステムの効果が最大限に発揮されたといったところか。
「やるな」
『当然だ。この程度でやれると思うな!』
その叫びと同時に、再び2号機がビームサーベルを手に襲ってくる。
今度は、突き。
俺がビームダガーでコックピットを貫こうとした仕返しだと言いたげなその一撃は、ビームダガーとビームサーベルの違いもあってか、特に攻撃の間合いが長い。
こちらに向かって最短距離で真っ直ぐ放たれた一撃を、俺はビームダガーを振るって弾く。
ビームダガーとビームサーベルで切り結ぶ事が出来るからこその、行動と言ってもいい。
『ちぃっ!』
若干の苛立ちを見せるニムバス。
ニムバスも、この攻撃で俺を殺せるとは思っていなかったのだろうが、それでもここまで完全に防がれるとは思ってもいなかったのだろう。
振るわれるその一撃は、鋭い一撃ではあった。
EXAMシステムの効果を存分に発揮しての一撃。
それこそ、その辺のパイロットであれば、防ぐ事も出来ずにコックピットを貫かれていてもおかしくはないような、そんな一撃。
だが、2号機はEXAMシステムで性能を上げているが、ピクシーは元々陸戦型ガンダムの上位互換と言ってもいい性能を持っている。
だからこそ、今の一撃にも対処は出来た。
……とはいえ、機体の反応速度を考えると、今のような動きは出来るだけ避けた方がいいのだろうが。
ともあれ、その一撃を弾いた事で一旦俺は2号機から距離を取り……お互いに武器を構えて相手の様子を見るのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:700
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1524