オデッサ作戦が行われる際の、本拠地。
実際には陸戦艇のビッグトレーが何隻も集まっているような場所になるのだが。
ビッグトレーは分類上では陸戦艇という形式になっているが、実際には陸上戦艦とでも呼ぶべき存在だ。
そんなビッグトレーがこうして何隻も集まっている時点で、オデッサ作戦に対して連邦軍がどれだけ本気なのかというのが分かりやすい。
「で、内通者は見つかったのか?」
ホワイトベースの艦長室。そこに俺、ブライト、リュウ、シローの4人が集まっていた。
俺はシャドウミラー代表、ブライトは艦長、リュウはブライトの腹心、シローはMS隊の指揮官といった立場となる。
正直なところ、本来ならリュウはこの会議に参加する予定はなかった。
それが何故こうして参加する事になったのかと言えば、当然ながらシローの不調が原因だ。
オデッサに来る途中で遭遇した、ジオン軍の各個撃破を狙った部隊との戦い――正確には救援だが――でも、シローの采配はいまいちだった。
それが何故なのかというのは、それこそ考えるまでもないだろう。
……もっとも、アイナにフラれたのと、キキに捕食された事のどちらが主な理由なのかまでは分からなかったが。
そもそもの話、シローだって別にキキを嫌っている訳じゃない。
寧ろ好意を抱いていると言ってもいい相手だ。
それでも、その好意の種類は妹に対するようなものが強かったのだが……まぁ、その辺は2人のこれからに期待といったところか。
「いや。そういう報告は入っていない。ただし、それはまだ他に秘密裏に動いているからという可能性もある」
ブライトのその言葉に、聞いていた者達はそれぞれが微妙な表情を浮かべる。
今回の一件では、間違いなく大きく事態が動いた筈だ。
ホワイトベース隊からの報告や申請を握り潰した奴がいる筈なのだから。
元々ホワイトベースはそのような任務を受けていたにも関わらず、それを握り潰すなどという真似をすれば、当然のように何らかの痕跡が残る。
「その件については、報告が入っている」
「何?」
ブライトの口から出たのは、予想外の言葉。
だが、その言葉を口にしたブライトの表情にあるのは、苦い色。
「何でも、ホワイトベース隊ばかりが活躍して有名になっているのが面白くなかったそうだ」
「……は? それ、何かの冗談か?」
ブライトの説明に、思わずといった様子で尋ねる。
だが、ブライトはそんな俺の言葉に対して、首を横に振る。
「残念ながら事実だ。もっとも、それはあくまでもその本人が言ってるという意味の事実であって、真実という訳ではないが」
「ああ、なるほど。そういう事か。……俺達が有名になって面白くないからと今回のような真似をしたというのと、何らかの理由で誰かを庇ってそんな事を口にした。正直なところ、どっちが理由であっても何だかなと思うけど。後者の方がまだ納得出来るな」
気にくわないからという理由でこちらからの報告と申請を握り潰したというよりは、納得出来る理由ではあった。
「とはいえ、ブライトからの報告を握り潰してる奴がもう捕まってるのなら、そっちから今回の一件の黒幕に繋がる情報を得られるんじゃないか?」
俺とブライトの会話を聞いていたリュウの言葉に、シローも納得したように頷く。
「俺もそう思う。尋問という事は、恐らく連邦軍の諜報部が行う筈だ。俺も話を聞いたくらいだが、連邦軍の諜報部というのは甘くはないらしい」
「まぁ、それはそうだろうな」
連邦軍の諜報部の実力がジオン軍よりも勝っているというのは、ジオン軍の捕虜となったレビルを脱出させた事で明らかだ。
公にはなっていないが、あの件が連邦軍の諜報部の仕事だというのは、半ば公然の秘密に近いし。
……もっとも、レビルを助けるという敵国への潜入や破壊工作と、スパイの手先と思われる人物の尋問を一括りには出来ないが。
「ホワイトベース隊が気にくわないって奴は、実は結構多い」
「何? リュウ、それは本当か?」
「ああ。ブライトには分からないかもしれないが……アクセルなら分かるんじゃないか?」
リュウの視線に、俺は頷く。
「だろうな。連邦軍でも最高の性能を誇るガンダムを始めとして、ピクシーやブルーディスティニーのような高性能機を配備している部隊。その戦歴は、赤い彗星のシャアを撃退し、ガルマ・ザビを倒し、ラサ基地攻略でも大きな力となった。……まぁ、ラサ基地の件はホワイトベースじゃなくて、俺が個人的なコネで呼んできたアプサラスの力だが」
アプサラスという言葉を口にしたところで、シローが一瞬だけ落ち込んだ様子を見せる。
恐らくアプサラスのパイロットをしているアイナの事を思い出したのだろう。
「連邦軍の中でも屈指の……それこそ、俺達以上に活躍している部隊はないだろうホワイトベース隊だが、そのホワイトベース隊の中で連邦軍の軍人は多くない」
実際には、連邦軍の軍人は相応の数がいるのだが、表に出るのはやはり俺のような存在が主だ。
アムロも今は少尉という事になって形式上は連邦軍の軍人という扱いだが、ついこの前まではただの一般人だったのは間違いないし。
艦長のブライトからして、士官候補生が戦時特進で中尉になってのものだ。
しかも連邦軍の総大将たるレビルからも目を掛けられている。
今まで真面目に連邦軍の軍人としてやってきた者達にしてみれば、ホワイトベース隊の存在が面白くないと思う者がいても、おかしくはない。
そう説明すると、ブライトも納得した表情を浮かべる。
この辺の事情をしっかりと理解出来るのは、下士官のリュウと実際に連邦軍の軍人としての行動をしてきたシローくらいだろう。
ブライトは生真面目な性格をしているが故に、寧ろその辺については疎い。
実力のある人物が活躍をして、それが評価されるのはおかしくはないと、そう思っているのだろうから。
「なるほど。そうなると、これからはその辺についても警戒しなければならない訳か。……厄介だな」
憂鬱そうに呟くブライト。
ブライトにしてみれば、そこまで羨ましがるのなら代わってくれと、そう思ってもおかしくはない。
実際にブライトの立場は、普通なら絶対に遠慮したいと思うだろう。
ホワイトベース隊が繰り返してきた戦いの数々を思えば、それは明らかだ。
まぁ、中には一番苦しい状況から抜け出した後でなら代わっても構わないという奴もいるかもしれないが。
「ともあれ、スパイが誰なのかに関しては、連邦軍の諜報部次第か。……上層部にスパイがいるというのは、正直面白くはないが」
ブルーディスティニー3号機の一件を見れば分かる通り、こちらの行動をジオン軍に流されるのは痛い。
「オデッサ作戦についても、ジオン軍に情報が渡っていると思った方がいいのか?」
「シローの予想通りだろうな。ジオン軍にしてみれば、オデッサ作戦への対処は当然しているだろうし、そこに勝算があるのは間違いない。……とはいえ、俺はオデッサ作戦は余程の事がない限り、成功すると思ってるけどな」
「何でだ? 情報が漏れてるなら、ジオン軍も相応に対処するだろ?」
「連邦軍とジオン軍の間にある物量の差は圧倒的だからな。それこそ、作戦が多少漏れてもそれをどうにか出来るとは思えない」
まぁ、ジオン軍の中にニーズヘッグ……とまではいかないが、シャドウミラーで使ってるような高性能機があって、凄腕の、それこそ個人で戦局を引っ繰り返すだけの能力を持ってる奴がいれば、話は別だが。
ただ、何だかんだとジオン軍の異名持ちだったり、異名持ちではなくても実力のあるパイロットはルナ・ジオンが引き抜いたりしたしな。
シャアが何人もいれば、もしかしたら何とかなったかもしれないが……そんな事は不可能だ。
結局今のジオン軍に出来る事は限られている。
もっともラサ基地の件もあるし、連邦軍の戦力を可能な限り誘き寄せてから自爆という可能性は否定出来ないが。
ただ、ジオン軍にしてもオデッサは資源を得る為には必須の場所だ。
ルナ・ジオンから資源購入する事が出来る以上、オデッサがなくなってすぐに資源を得られなくなるといった訳ではないが。
「ともあれ、ジオン軍によっぽどのことがない限り、オデッサ作戦は成功するだろうな。俺達も協力するし」
そう俺の結論が出ると、その話はそこで終わり、次にオデッサ作戦でどう動くかという事の話し合いになる。
基本的にホワイトベースはオデッサ作戦での火消し役……強力な敵や大量の敵がいるような場所に向かって、それを倒すといった風に遊撃として使われる事になっている。
それでも、ホワイトベース隊の中でどのように動くのかというのは、前もって決めておく必要があった。
もっとも、俺の場合はピクシーという特殊な機体だし、パイロットとしての能力も違うので、単独での行動になるが。
最終的には、ヤザン小隊とモルモット隊、ガンタンク隊はそのままで、綾子、アムロは個別に動く事になり、シロー、サンダース、カイという具合になった。
MS隊の指揮を執る自分にカイをつけるのは勿体ないのでは? という意見がシローから上がったが、ブライトから最近のシローの様子を見れば安心出来ないと言われてしまえば、シローも現在の自分はとてもではないが調子がいいとは言えない以上、その言葉に素直に頷く事しか出来ない。
まぁ、MSの指揮を執るシローが撃破されてしまえば、MS隊の動きも混乱する。
それを思えば、やはりカイを護衛につけるというのは悪い話じゃない。
……カイはそういう使い方をしていないが、実際にはガンキャノンは中距離支援型のMSで、近づいてくる敵を射撃で倒すという意味では護衛に向いていると言えない事もないだろうし。
ただ、カイの実力を考えるとオデッサ作戦のような大規模な作戦でその実力を最大限に発揮出来ないというのは、非常に残念なのは間違いない。
それこそ、俺を含めた連中のように個人で行動させる事が出来れば、相応に活躍すると思うんだが。
だが、シローの護衛も重要なのは間違いない以上、これはしょうがないか。
「基本的にホワイトベースに乗って移動する以上、シローの護衛といっても、カイの実力なら相応の活躍は間違いない。……寧ろ、普通に戦うよりも高い戦果を叩き出すかもしれないな」
ブライトのその言葉に、そうか? と多少の疑問を抱く。
だが、基本的にガンキャノンの武器は両肩の低反動キャノンと、ガンダムが使っているのよりも高性能なビームライフルだ。
……頭部バルカンもあるが、それは取りあえず置いておく。
元々中距離からの攻撃に向いている機体だが、カイが使うと何故か格闘も交えた戦い方になる。
いや、何故かと言っても俺がガンキャノンで戦っていた時にそうやって戦っていたのが理由なんだが。
それにガンダムよりも厚いルナ・チタニウム製の装甲を持つ以上、それこそ中途半端な攻撃は全く通用しないのも事実だ。
そういう意味では、盾役として前戦で戦うのも決して間違っている訳ではない。
もっとも、前線でガンキャノンを使うのは、相応に難易度が高いが。
ともあれ、俺がそういう戦い方をしていたせいか、カイもそれに習って前線で戦うといった真似をする事も多い。
勿論、実際には低反動キャノンやビームライフルを使った戦い方が多いのは事実だが。
「俺達の出番が少なければいいんだけどな」
リュウのその言葉には同意するが、それは恐らく難しいのは間違いない。
最終的に連邦軍が勝つにしても、やはり質ではジオン軍に負けているのは間違いない。
ジムはビームスプレーガンとかビームサーベルとか、場合によってはビームライフルを持っている機体もあるらしいので、MS戦では有利になるのは間違いなかった。
とはいえ、MSの数ではやはりジオン軍に劣っているのも事実だ。
そうなると、61式戦車や戦闘機の類でどこまでジオン軍の数を減らす事が出来るのかが問題になってくるだろう。
そうなれば、当然のように連邦軍の中でピンチになる者も多く、その火消しとしてホワイトベースが最大限働かされる事になるのは間違いない。
問題なのは、ここでもスパイだよな。
ホワイトベースがどこに向かうのかの情報がジオン軍に流れて、そこで待ち伏せをされるというのは避けたい。
……連邦軍にとっては、考えようによってはそれはそれでありなのか?
もしジオン軍がホワイトベース隊を待ち伏せするとすれば、当然のように多くの戦力を集中させるだろう。
そうなれば、オデッサ作戦に参加している他の連邦軍の受ける被害は少なくなる。
もしかして、レビルはそれを狙ってまだスパイを泳がせている?
レビルの立場になってみれば、そんな風に考えるのも決しておかしな話ではないだろうが。
「ともあれ、だ。まずはオデッサ作戦を無事に完了する事を目標とするか」
そう告げると、他の面々もそれは当然だというように頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:700
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1524