転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2435話

 ホワイトベースがオデッサに向けて出発する。

 本来ならジオン軍に各個撃破されないように連邦軍もある程度纏まって移動するという事になっていたのだが、ホワイトベースの場合は搭載されている戦力が戦力である為か、単独でオデッサに向かう事になった。

 ある意味ではジオン軍を引き付ける囮の役目もあるのだが、この場合はそれだけではない。

 その高い機動力を活かして、移動している最中に襲われている連邦軍がいれば助けるという役目を背負わされる事となったのだ。

 レビル含め、連邦軍の上層部はホワイトベース隊を思う存分使うつもりらしい。

 陸戦型ジムから陸戦型ガンダムに機種変更してくれた以上、このくらいの命令はある意味で当然の事だとブライトは言っていたが。

 

「ほら、あまり気にするなって。俺だってガンキャノンのままなんだぜ?」

「それは、カイさんの乗ってるガンキャノンは十分に活躍してるじゃないですか。それに比べると……」

「カイさんだけじゃないわよ。ハヤトだって十分活躍してるでしょ?」

 

 少し腹ごしらえでもしようと思って食堂の中に入ると、ふとそんな声が聞こえてくる。

 何だ? と思って視線を向けると、そこでは珍し……くもないか。ともあれ、そんな組み合わせがあった。

 カイ、ハヤト、フラウ。

 これがカイとハヤト、もしくはハヤトとフラウならそこまで不思議という訳でもないのだが、カイとフラウとなると、何というか微妙な感じがするんだよな。

 

「どうした?」

「アクセル? そっちこそどうしたんだよ?」

 

 俺の言葉に、カイが逆に尋ね返す。

 とはいえ、俺が食堂に来るというのはそう珍しい話ではない。

 

「俺はちょっと腹ごしらえにな」

「あー、なるほど」

 

 カイも俺が食堂を利用する事が多いというのは知っているので、その件では特に何かを言う様子はない。

 

「で、そっちは?」

「いや、ちょっとハヤトを励ましていたところだ」

「ハヤトを? 何でまた?」

 

 そう疑問を抱きつつ、取りあえず紅茶とドライフルーツとナッツのパウンドケーキを注文してからカイ達の側に座る。

 そんな俺を、フラウが少し羨ましそうに、恨めしそうに見ていた。

 ミナトから聞いたが、ホワイトベースの食糧事情がよかったり、ワルシャワでは色々と美味い料理があったりして、フラウに限らず食べすぎてしまったとか何とか言ってたな。

 つまり、現在のフラウはダイエット中といったところか。

 これが軍人……フラウのように雑用の軍属ではなく、実際に身体を動かして訓練をする方の軍人であれば、その運動量も相当のものになってダイエットといった事は心配いらなくなるのだが。

 それどころか、人によっては無理矢理にでも食べないと痩せていく一方だとか。

 女にすれば羨ましいのかもしれないが、軍人としては痩せるというのはある意味で問題だ。

 ともあれ、フラウの視線をスルーしてハヤトに尋ねると、その問いにはカイが答える。

 

「ほら、陸戦型ジムが陸戦型ガンダムに機種変更されただろ?」

「ああ」

 

 カイの言葉に頷くが、それはぶっちゃけハヤトには関係ない。

 ハヤトの乗っているのはガンタンクであって、陸戦型ジムではないのだから。

 

「その時にちょっと聞いたんだが、ジムにガンキャノンの性能を付け加えた、ジムキャノンってMSが開発されてるらしい」

「らしいな。それは俺もヤザンから聞いて知ってる」

「だからだよ。どうせなら、陸戦型ジムから陸戦型ガンダムに機種変更したのと同じように、ガンタンクからジムキャノンに機種変更して欲しかったらしい」

「いや、それは……色々な意味で無理じゃないか?」

 

 陸戦型ジムから陸戦型ガンダムの機種変更は、それこそ同系列の機体で、操縦方法とかも殆ど変わらなかったからこそ、短期間で終わったのだ。

 下半身がキャタピラで2人乗りのガンタンクと、ジムの系列機であるジムキャノンでは、その操縦方法や操縦感覚は大幅に違う。

 とてもではないが、短期間でどうにか出来るとは思えない。

 ……いや、カイやハヤトはこの世界の主人公たるアムロの友人であると考えれば、もしかしたら、本当にもしかしたらだが、何らかの能力が覚醒するなりなんなりして、いきなり乗りこなせるという可能性もない訳ではないが……そのような小さな可能性に期待するというのは、まず有り得ない。

 そして何より……

 

「ジムキャノンがジム+ガンキャノンの機体だとすれば、その機体特性はどちらかと言えば中距離だろ? それに比べると、ガンタンクは後方からの援護射撃だ。明らかに機体特性が違いすぎる」

 

 そう、それこそがガンタンクとジムキャノンの決定的な差。

 ホワイトベースの移動砲台的な役割だったり、遠距離からの援護射撃だったりと、ガンタンクはそれなりに重要な役割を担っているのは間違いない。

 あまり目立たない、縁の下の力持ちといった感じだが。

 そんなガンタンクがジムキャノンに機種変更されるような事になれば、色々と不味いのは間違いないだろう。

 特にこれからオデッサ作戦があるという、この時に。

 

「俺もそうは言ってるんだけどな。ただ、どうもハヤトの奴はアムロに対抗心を持ってるみたいで」

「……なるほど」

 

 ハヤトのアムロへの対抗心というのは、今に始まった事ではない。

 最近は表に出なくなってきてはいたが、それでもなくなった訳ではないのだ。

 だが、その対抗心がこうも表に出て来ているのは……恐らく、実機の模擬戦が理由だろう。

 模擬戦でアムロは連邦軍のMSパイロットを相手に、無双と言ってもいい暴れっぷりをした。

 連邦軍のMSパイロットは、ヤザンやモンシアのように性格に問題があっても技量が高ければ構わないという、本当の意味で実力主義で集められた者達だ。

 言ってみれば、連邦軍の精鋭に等しい。

 だというのに、そんな者達を一蹴するかのようにアムロは勝ったし、勝ち続けた。

 アムロにしてみれば、UC世界では最高峰の技量を持ち、赤い彗星の異名を持つシャアと何度となく戦ってきたし、俺や綾子、ユウといったような自分と同格だったり、同格以上の存在と模擬戦を続けてきたのだから、その結果は当然かもしれないが。

 幾ら連邦軍のMSパイロットが実力主義で集められた者でも、そんなアムロに勝てるだけの実力を持つ筈がない。

 結果として、連邦軍ではアムロは天才パイロットとしてそれなりに有名になった。

 そんなアムロに対して、ガンタンクのパイロットのハヤトはそこまで華やかな活躍はしていない。

 それによって、ハヤトのコンプレックスが刺激されたとしても、理解出来ない訳ではないが……さて、どうしたものやら。

 取りあえず分かっているのは、ホワイトベースにジムキャノンが配備はされないという事なんだが。

 ガンタンクは地味だがそれなりに役に立っている。

 陸戦強襲型ガンタンクがあれば、もしかしたらガンタンクも前線に出るといった真似は出来るかもしれないが、そうなると後方からの援護射撃が出来なくなるというのは一緒だし。

 

「俺が考えられる限り、ハヤトがアムロに匹敵する活躍をするのなら……現在のMS態勢は変える訳にはいかない以上、ホワイトベース隊の誰か他のパイロットとMSを交換するくらいしか思いつかないな」

 

 現在ガンタンク以外で一番MSの操縦が下手な奴は誰かと言えば、サマナだろう。

 だが、そのサマナもホワイトベース隊の中では下手だというだけで、十分に平均以上の実力を持っているのは間違いない事実だ。

 それに、今はホワイトベース隊として働いているサマナだが、正確にはモルモット隊の一員である以上、こちらで勝手にMSを変える訳にはいかない。

 サマナ本人が希望しても、恐らくは無理だろう。

 ハヤトが何か別の機体に乗るとすれば、それこそ自分で技量を上げて他のMSパイロットからその場を奪い取るといったような事をするしかない。

 これでホワイトベース隊の格納庫に余裕があれば、それこそ誰か他の軍人にガンタンクを任せて、新たにMSを配備して貰うという手段が使えたのだが。

 

「あ、でも。アマダ少尉達ってこのオデッサ作戦が終われば、ホワイトベースから降りるんですよね? そうなれば、ハヤトもMSパイロットになれるんじゃないの?」

 

 フラウの言葉に、ハヤトが希望の視線を向ける。

 シローとサンダースの2人の所属は、あくまでもイーサンの部下だ。

 そのイーサンがラサ基地攻略作戦で思ったような手柄を立てるような事は出来ず、結果として俺達と友好的な関係にあったシローとサンダースを派遣する事で、多少なりとも手柄を稼ぎたいと、そう思っての行動だった。

 だからこそ、オデッサ作戦が終わった後にはシローとサンダースは原隊に復帰する訳で、そうなるとホワイトベースの格納庫には2機分の余裕が出来る。

 もっとも、MS15機というのはかなり詰め込んだ数なので、出来ればもう数機少なくして欲しいというのは、メカニック達の要望らしいが。

 ただでさえ15機ものMSの整備というのは大変らしいし。

 

「それに、オデッサ作戦が終われば、俺と綾子、ミナトも降りる。そうなれば格納庫には更に余裕が生まれるだろうな」

「あ、そう言えばアクセルも降りるんだったか。すっかり忘れてた。ホワイトベース隊の一員だと思ってたよ」

 

 カイの言葉に、フラウとハヤトの2人も頷く。

 まぁ、何だかんだと俺はサイド7からずっと一緒だったし、綾子とミナトも月からは一緒だったから、そんな風に思ってもおかしくはない。

 とはいえ、俺達はあくまでも傭兵。

 オデッサ作戦が終わった後は報酬としてMSを貰ってホワイトベースから下りる事になる。

 ……何だかレビルの様子を考えると、そこから更に報酬を用意して俺達を傭兵として雇い続けようとする可能性もあるが。

 連邦軍の新型MSを入手出来るのであれば、こちらとしてはそれは悪い話ではない。

 ただ、そろそろ月の方にも戻っておきたいんだよな。

 何だかんだと、もう結構長期間月から離れてるし。

 俺が処理する書類……一体、どれだけ溜まってるのやら。

 基本的には政治班に任せているのだが、書類に関してはどうしても俺が読んでサインをする必要があったりもするのだから。

 

「ともあれ、アムロについてはそこまで気にしなくてもいいんじゃないか? 何も、ハヤトの全てがアムロに負けてる訳じゃないし」

 

 これはお世辞でも何でもなく、歴とした事実だ。

 例えば、MSではなく生身での戦闘となれば、柔道をやっているハヤトは明らかにアムロよりも強い。

 また、柔道をやっていたのが関係しているのか、ハヤトは礼儀正しく人当たりもいい。

 この辺はアムロよりも明らかに優れているところだろう。

 もっとも、ハヤトも当然それは分かっているのだろうが……それでも、やはり現在の状況に色々と思うところがあるらしい。

 

「分かってますよ。ただ、それでも……やっぱり思うところはあります」

「ハヤト……」

 

 フラウがハヤトを心配するようにその名を呟き、背中を撫でてやる。

 フラウにとっては、ハヤトもまた大事な友人という事なのだろう。

 

「まぁ、取りあえず……どうしてもガンタンクではなくて、ジムとかのMSに乗りたいのなら、このオデッサ作戦が終わった後でブライトに進言してみたらどうだ? そうすれば、もしかしたらMSの新型機が配備される事になるかもしれないし」

 

 これは希望的観測という訳ではない。

 オデッサ作戦後に俺達やシロー達が下りる以上、ホワイトベース隊の戦力はどうしても下がってしまう。

 そんな戦力を補うべく、連邦軍の方で戦力を追加するというのは間違いなかった。

 オデッサ作戦後にホワイトベースがもう激戦区に向かわないとなれば話は別だが、例え俺や綾子、ミナト、シロー、サンダースといった戦力が抜けても、それでもホワイトベースの持つ戦力は強力だ。

 ガルマがいなくなっても未だに抵抗を続けている北米か、ジオン軍が広く展開しているアフリカか、もしくはオーストラリアに派遣されるという可能性もある。

 場合によっては、再び宇宙に……いや、これはどうだろうな。

 戦力的に陸戦型ガンダムが多くなっているとなると、宇宙での戦いをするとなれば、当然陸戦型ガンダムはそのまま使えなくなる。

 ブルーディスティニーのように、陸戦型ガンダムでも宇宙で戦えるように改修するという方法もあるが……正直、どうだろうな。

 

「戦力補充、ですか。なら……そっちに期待します」

 

 ハヤトは俺の言葉を聞き、自分に言い聞かせるように告げる。

 実際のところ、今のハヤトが出来るのはそれだけなのだから、当然かもしれないが。

 少なくても他のパイロットのMSを勝手に奪って戦場に出るといった真似はしない様子なので、少しだけだが安心した。

 そんな風に思いつつ、俺はカイやハヤト、フラウと会話をしながら少しだけ……オデッサ作戦発動前の、残り少ない平穏な時間を楽しむのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:690
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1522

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