「へぇ、あんたがホワイトベース隊の中でも最強のMSパイロットかい」
そう俺に言ってきたのは、手錠をしている女だった。
その背後には2人の男を従えている。
手錠? 一体、誰だこいつ?
そう思って、女……ではなく、女の側にいるMPに視線を向ける。
ワルシャワ基地にある部屋で俺と向かい合っているのは、明らかに何らかの犯罪者と思しき相手。
ブライトから俺と面会を希望している相手がいると聞いてやって来たんだが……こういう相手だというのは、正直なところかなり予想外だったな。
「すみません、アクセル代表。……この方は、本来ならお前が会えるような相手ではないのだ! 言葉遣いに気をつけろ!」
「へいへい、悪いね。こちとら見ての通り犯罪者なもんでね。お偉いさんに対する言葉遣いなんか知らないんだよ」
MPに対して、女は不敵な笑みを浮かべてそう告げる。
そんな女の様子に、MPの方は何かを言おうとしたが……
「別に、無理に丁寧な言葉遣いにしなくてもいい。これが公の場なら問題だろうが、今は私的な場だからな」
「……すいません」
「へぇ、見かけによらず話が分かるじゃないか。さすがシャドウミラーを率いている人物ってところか。……そんなお偉いさんが、何を思ってこんな最前線になるだろう場所にいるのかは、分からないけどね」
「おいっ!」
女の言葉にMPが再び声を荒げようとするが、俺はそれに構わないと首を横に振る。
「そんな風に考えてもおかしくはないが、俺の場合はその辺の心配は基本的にいらないからな」
「は? どういう意味だい?」
「特にどうこうって訳じゃない。それより、何でわざわざ俺に面会を求めたんだ?」
犯罪者であるのを考えると、まさか俺に自分の現状をどうにかして欲しいとか頼もうとしたのか?
けどそんな理由では、ブライトやそれよりも上のレビルだったりが許可をするとは思えない。
そうなると、レビルを含めた上層部やブライトが俺との面会を許可した理由として、何かがあるのは間違いない。
ただ、それが具体的に何なのかは、俺にも分からないが。
その辺の理由については、これからこの女が話してくれるだろう。
「あたしはアリーヌ・ネイズン。こっちは部下のドロバ・クズワヨとミロス・カルッピ。そうだね、陸戦強襲型ガンタンクのパイロットって言えば分かりやすいかい?」
「なるほど」
アリーヌと名乗った女の言葉で、何故囚人であるにも関わらず、俺との面会が許可されたのかを理解する。
模擬戦でホワイトベース隊のMSに勝利した陸戦強襲型ガンタンクに俺が興味を持っていたというのを、ブライトが誰からか聞いて覚えていたのだろう。
実際、陸戦強襲型ガンタンクというのは、俺が知ってる限りでもホワイトベース隊が使っているガンタンクよりも圧倒的に使い勝手がいい。
移動砲台とか、後方からの援護射撃に専念するというだけであれば、ホワイトベースで運用されているガンタンクでも十分な性能を発揮出来るだろうが。
結局のところ、MSの使い方次第ではあるのだが。
「それで、囚人のアリーヌが俺に面会を希望して、何を言いたいんだ? 言っておくが、囚人のお前を自由にするなんて真似は、俺には出来ないぞ?」
いやまぁ、やろうと思えば出来るだろう。
魔法を使って牢獄に忍び込んで自由にしたり、レビルやゴップに解放するように要望したりといった風に。
特にレビルやゴップにしてみれば、俺との間に強い友好関係を築きたいと思っている以上、俺に恩を売るつもりでこちらの要望を聞くのは間違いない。
ただ、この連中にそこまで価値があるかと言われれば……正直なところ、陸戦強襲型ガンタンクの価値を考えても微妙だと言うしかない。
「あたしの要望としては簡単さ。近くに行われるオデッサの攻略作戦で、少し手を貸して貰いたいと思ってね」
「おいっ!」
アリーヌの言葉に、再びMPが怒鳴る。
だが、アリーヌはそれを全く気にした様子もなく、俺の方に視線を向けていた。
手を貸して欲しい、か。
それが冗談でも何でもなく本気で言ってるのは、アリーヌの目を見れば明らかだ。
別にこちらを騙そうとしている訳ではない。
何か、本当に成し遂げたい何かがあるのは事実なのだろう。
とはいえ、それを俺が手伝わないといけないという理由もない。
「手を貸すか。まぁ、俺はホワイトベース隊の中でも基本的には遊撃をする事が多いから、他の連中よりは自由に動けるのは間違いない」
地球上という戦場であれば現時点でトップクラスの性能を持つピクシーと、数多の戦いを潜り抜けてきた俺の操縦技術が組み合わさる事により、俺とピクシーはホワイトベースの中でも突出した戦力を持つ。
他のMSと小隊を組むというのは出来ない訳ではないが、ピクシーの性能を最大限に発揮するといったことが出来なくなる。
結果として、俺とピクシーの能力を最大限に発揮させるのであれば、俺個人で遊撃部隊といった役割をするのが最善となる。
だからこそ、アリーヌが要求するように何か手伝って欲しいと言われれば、手伝う事は出来るが……
「自由に動けるのは間違いないが、俺がお前達に手を貸すメリットは何だ?」
そう、尋ねる。
実際今の俺の状況では、アリーヌに手を貸す理由というのは存在しない。
陸戦強襲型ガンタンクは確かに興味深い機体ではあるが、それをアリーヌに要求したところで、入手は出来ないだろう。
現在のアリーヌは囚人なのだから。
そんなアリーヌが陸戦強襲型ガンタンクを譲渡すると言っても、それをはいそうですかと信じられる訳がない。
それこそ、今の状況では何を言われても信用出来ない。
「あたしが渡せるのは、あたし自身だけだよ」
そう告げるアリーヌだったが、その自分自身を報酬として渡すというのは、別に色っぽい話ではないだろう。
「どういう意味だ?」
「ルナ・ジオンでは、優れた技術者を集めていると聞いた。もしあたしに手を貸してくれるのなら、そしてこの戦いが終わった後で釈放されたら、あたしは月に移住してもいい」
「ほう」
アリーヌから出て来た言葉は俺にとって完全に予想外であったが、同時に相応の魅力的なのも間違いなかった。
……もっとも、それはあくまでもアリーヌが技術者として優秀であれば、の話だが。
「お前は技術者なのか?」
「そうだよ。陸戦強襲型ガンタンクの開発にも関わっている。ルナ・ジオンにとって有益な人材だと思えるんだけどね。それと、出来ればこの2人もあたしと一緒に拾って欲しい。こんなんでも大事な部下だし」
アリーヌがそう告げると、その後ろにいたドロバとミロスの2人が揃って頭を下げる。
にしても……なるほど。
実際、陸戦強襲型ガンタンクを開発したメンバーであるというのであれば、役に立つ人材なのは間違いない。
とはいえ、囚人である以上は何らかの罪で捕まっているのは間違いない。
「一応聞いておくが、アリーヌは何の罪で捕まったんだ?」
アリーヌではなく、付き添いのMPに尋ねる。
そのMPは、アリーヌの提案に苦い表情を浮かべていたが、俺の言葉で我に返ると口を開く。
「彼女の恋人が陸戦強襲型ガンタンクの設計データを持ってジオン軍に亡命したのですが、それに関与した疑いが掛けられています。……本来なら、オデッサ作戦で仮釈放という扱いになる筈だったのですが、上層部の方でちょっとゴタゴタがありまして、現在も囚人のままとなります」
上層部のゴタゴタ?
そう言われると、微妙に思い当たる事があったりする。
例えば、タカ派との一件だったり、ピクシーを運んできた時に聞いた一件だったり。
……うわ、もしかして本当に今も仮釈放になっていないのは俺のせいだったりするのか?
だとすれば、このまま放っておくのは心情的にあまりよくない。
ともあれ、若干動揺したものの、それを表情に出さないようにしながらアリーヌに尋ねる。
「で、その逃亡を助けたのか?」
「冗談じゃない!」
即座に叫ぶアリーヌ。
この様子を見る限り、嘘を言ってるようには思えない。
とはいえ、女は全員が女優であるとかいう格言もあるし、完全に信じる事は出来ないが。
「そもそも、あたしが手伝って欲しいのはクライドを殺すことに協力して欲しいって事なんだよ!」
これまでの話の流れから考えると、そのクライドというのが陸戦強襲型ガンタンクの設計図を持ってジオン軍に亡命した男なのだろう。
自分を裏切った男を許せない、か。
裏切りを許せないという気持ちは理解出来ないでもない。
だがそれでも、今回の一件はそれなりに魅力的な内容があるのも間違いはない。
「一連のゴタゴタで仮釈放が遅れてるって事は、いずれ正式に仮釈放になると考えてもいいのか?」
「それは……申し訳ありませんが、私にはそこまでは分かりません。ですが、その可能性はあるかと」
MPの言葉に、改めてアリーヌに視線を向ける。
そんな俺の視線を、真っ向から受けるアリーヌ。
さて、どうしたものか。
有益なのは間違いないし、俺達の行動で仮釈放に影響を与えてしまったというのも間違いはない。
そもそも、この面会が許可されたのは、連邦軍の上層部もその辺を十分承知した上での行動だという可能性が高いのだ。
「もしそちらの要求を聞くとして、何を希望するんだ? 自分を裏切った恋人に復讐をするって話だったが、オデッサ作戦の中でまさか敵を一人ずつ確認しながらお前の復讐対象を見つけろってのか? それはさすがに無理だぞ」
「分かってる。あたしが希望するのは、あくまでももしあんたが奴を見つけたら殺さないで欲しいというだけだ。出来ればあたしの前に連れて来てくれれば、言う事はないけど」
「……なるほど」
恋人を探せと言われれば断ったが、もし偶然にもその恋人を見つける事が出来たら、それを殺さないで自分の前に連れて来て欲しい、か。
そのくらいであれば、こちらとしても問題はない。
陸戦強襲型ガンタンクの開発者が手に入るのであれば、それを拒否するという選択肢はなかった。
「分かった。それでいいのなら、取引成立だ。それで。お前の恋人ってのは?」
「さっきも言ったけど、名前はクライド。クライド・ベタニー。どういう姿をしてるのかは、連邦軍に聞いとくれ」
MPの方に視線を向けると、向こうも俺が何を言いたいのかを理解しているのだろう。
すぐに敬礼をして口を開く。
「は! 上に連絡をして、それで構わないとなれば書類をホワイトベースの方に届けさせて貰います!」
「頼んだ。……さて、これで取引成立という事でいいな?」
「ああ。よろしく頼むよ、ボス」
いや、そのボスって呼び方はどうなんだ?
そう思わないでもなかったが、それで向こうが納得するのならそれはそれでいいか。
俺が特に何かを言う必要もないだろう。
「それで、お前が作った陸戦強襲型ガンタンクについてだが、分類的には戦車という扱いでいいのか?」
「そうだね。分類的には戦車となってるけど、姿形という点ではホワイトベースで使われているガンタンクと、そう変わらないよ」
「……まぁ、ガンタンクもMSとは呼べない姿をしてるしな」
上半身はともかく、下半身がキャタピラのガンタンクはMSと呼べるかと言われれば、正直なところ微妙だとしか言えない。
これが二足歩行なら、まだMSと言い切る事も出来たのだが。
だが、後方からの援護射撃という役目は十分果たせるだけの能力を持っているのも事実だ。
そういう意味では、別に無理に人型に拘る必要はないのか。
とはいえ、もしガンタンクが二足歩行なら、援護射撃をしてすぐにその場を移動といった真似も出来るので、より有効的に機体を使うことが出来るのも、間違いのない事実だったが。
「ただ、模擬戦の結果を見て貰えば分かる通り、正面から互角にやり合えるだけの能力を持っているのは間違いない」
自慢げにアリーヌが告げる。
アリーヌにしてみれば、この陸戦強襲型ガンタンクというのは、自分が開発に関わっていただけあって、信頼に値する機体なのだろう。
そして実際にホワイトベースとの模擬戦で勝利している以上、それは自信もなにもないものではなく、実績を示している。
とはいえ……陸戦強襲型ガンタンクの方面でこれ以上進化していくのは、難しいだろうな。
このUC世界がガンダムの世界である以上、主力兵器は間違いなくMSとなる筈だ。
生き延びたとしても、細々とした感じになると思う。
それでも、特殊な……希少な兵器という事で、技術班は興味を示すだろうし、ディアナの面々も一定の興味を持つのはほぼ確実だ。
「MSと正面からやり合えるか。オデッサ作戦の時、その辺をしっかりと見せて貰うとするから、頑張って戦ってくれ」
「あいよ。きっとボスも気に入ると思うから、楽しみにしていてくれ」
アリーヌのその言葉は、決して大袈裟ではない。
実際、俺は模擬戦で陸戦強襲型ガンタンクの戦いを見て、それなりに興味を惹かれているというのは、間違いのない事実なのだから。
それからも暫くアリーヌと話し、予想外の成果を得る事が出来たのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:690
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1522