「ま、こんなもんだろ」
ミデアを襲っていたドムの小隊を倒した翌日……俺は前日にカイから聞かされたように、連邦軍のMS小隊との模擬戦を終えていた。
結果は、ピクシーが無傷での勝利。
俺と戦った3機のジムは2機はビームスプレーガンによって撃破扱いとなり、もう1機は90mmサブマシンガンによって撃たれたペイント弾により、装甲に黄色いペイントが大量に付着している。
90mmサブマシンガンの威力はそう大したものではないので、1発や2発当たっても模擬戦用のシステムは撃破扱いとしてくれない。
だからこそ撃破扱いになるまで大量に90mmサブマシンガンを撃ち込む必要があり、その結果としてジムは黄色がパーソナルカラーではないかと思える程の状況になっていた。
うん、取りあえず俺は悪くないという事にしておこう。
『ぐぬぬぬ……』
俺と戦った小隊の小隊長が、通信で悔しげな様子を見せる。
そこまで悔しいのなら、わざわざ通信を送ってくる必要もないと思うんだが。
「連携としては、なかなか悪くなかった。ただ、純粋にMSの操縦技術が未熟だったな」
綾子やアムロ、ユウといった面々以前に、恐らくヤザンにも勝てないだろう。
……いや、今の状況でヤザンはかなりの腕利きだ。
それこそ、連邦軍全体で見ても上位に位置すると思っても間違いないだけの実力を持っている。
毎日のように、アムロやユウ、綾子、そして俺がシミュレータで相手をしていたというのが、この場合は大きい。
それだけ連戦をしても、本人に才能がなければそこまで技術が伸びるといった事はない。
それが出来るのは、ヤザンが高い才能を持っているからだろう。
本能で動きながら、それでいて理性的な行動も取る事が出来る。
言ってみれば、野生と理性の融合といったところか。
勿論、それはあくまでもそういう才能があるというだけであって、実際にそれを活かせるかどうかは、ヤザンのこれから次第だろう。
訓練を行わず自堕落にしていれば、幾ら本人に才能があったとしても意味はない。
『……次は、負けん!』
相手はそう叫び、俺を睨むような視線で見てくる。
フィリップから聞いた話によると、今の通信相手は言葉遣いからも分かるように育ちのいい坊ちゃんらしい。
代々連邦政府の政治家をしている一族の出で、そんな実家に反感があって連邦軍のパイロットになったとか。
その政治家の家も、本来ならこんな戦争が起きるとは思ってなかったんだろうな。
もし分かっていれば、それこそ政治家としての影響力を使って軍を引退させるか、もしくはゴップみたいにジャブローで仕事をさせるなりしていただろうし。
「まぁ、頑張ってくれ」
そう告げると、向こうは苛立ちを露わにして通信を切る。
そこまで頭にくる事はないと思うんだが。
ともあれ模擬戦が終わった以上、ここにいても意味はない。
ミデアに乗って、基地に戻る。
ピクシーの整備をメカニック達に任せて、俺は基地の中を適当に歩き回ろうとしていたところ……
「アクセル、ちょっといいか?」
そう声を掛けて来たのはシロー。
護衛という訳ではないが、側にはサンダースの姿もある。
「シロー? どうしたんだ?」
「さっき模擬戦をやってきたんだが……負けてしまってな」
「へぇ」
シローが負けたというのは、ちょっと意外だった。
シローの操縦技術は決して悪い訳ではないが、それでも平均より上くらいで、ホワイトベース隊のMSパイロットで見れば、ダンケルやラムサスより上といったくらいでしかない。
だが、シローの本領はあくまでも部隊指揮だ。
戦いながら部隊指揮をするという一点において、ホワイトベースのMS隊の中では非常に重要な存在なのは間違いなかった。
何しろ、現在ホワイトベース隊の中でのMS指揮をすることが出来るのは、ユウとヤザンくらい。
ユウはその寡黙な性格から指示をするのが向いていないし、ヤザンの場合は指揮云々よりも前に自分から前に向かって進んでいく。
もう少しMSの操縦技術が上がれば、ヤザンなら敵を倒しながらダンケルやラムサスに鋭く指示する事が出来るようになるかもしれないが、残念ながら今の状況ではそれは難しい。
そんな訳で、シローの指揮を受けたMS隊は本来の実力以上の動きになったりもするんだが……
「それで、どんな相手に負けたんだ? シローが負けるような相手はそう多くないと思うんだが」
シローが乗っている陸戦型ガンダム。正確にはその現地改修型たるEz8は、性能という点では通常のジムよりも上だ。
なによりも大きいのは、やはりルナ・チタニウム製の装甲だろう。
模擬戦のシステムでは、その辺もある程度加味されて判断している以上、通常のジムよりはEz8の性能の方が高い。
……もっとも、ジムもビーム系の武器を持っているので、それを使えばルナ・チタニウムだろうが何だろうが、全く関係ないのだが。
「初めて見る機体だったな。少なくてもジムじゃない。どちらかと言えば、ホワイトベースで使っているガンタンクだったか? それに似ていると思えた。……機動性は段違いだったけど」
「は? ガンタンク?」
シローの口から出て来たのは、俺にとっても完全に予想外の言葉だった。
ガンタンクというのは、言うまでもなく下半身がキャタピラになっているMSで、ホワイトベースにおいては基本的に移動砲台的な役割を任されている。
その最大の理由が、MSに比べて機動力が低いからというのがある。
だというのに、機動力の高いガンタンク?
正直なところ、俺にはシローの言ってる意味が分からなかった。
「具体的に、そのガンタンクはどんな機体だった?」
「いや、一応言っておくけど、ガンタンクに似てるって言ったのは、あくまでも俺の印象だぞ? 武器とかも色々と違っていたし。……ただ、気になるのなら模擬戦の映像を見てみるか?」
このところ行われている模擬戦は、あくまでも連邦軍のMS隊の技量を上げる為だ。
だからこそ、技量を少しでも上げる為に、模擬戦の映像は残されている。
それを見れば、確かにシローが言っていたように俺が知っているガンタンクと具体的にどう違うのかを確認する事が出来るだろう。
「分かった。もし本当にそんなガンタンクがあるのなら、是非見てみたい」
実際にジムには何度も勝っているシロー達を倒したのを考えると、そのガンタンクは間違いなく強力なMSなのだろう。
であれば、それを見逃すという手段はない。
そんな訳で、俺はシローやサンダースと共に映像を見ることが出来る部屋に向かうのだった。
「へぇ、これは……」
その映像を見て、納得の表情を浮かべる。
映像モニタに表示されているのは、戦車とMSの中間的な存在という意味では、間違いなくガンタンクに似ているというシローの言葉は間違っていなかった。
ただ、他のMSと比べると間違いなくガンタンクと似ているのは間違いないが、同時にガンタンクそっくりかと言えば、そうでもない。
大きな違いとしては、まずガンタンクは両肩に低反動キャノンがあるが、映像で動いているガンタンクは右肩だけにしか低反動キャノンと思しき武器はない。
……いや、右肩というか、頭の上? 明確に顔がある訳ではないので、どう表現すればいいのかは、ちょっと分からないが。
ともあれそんな感じである以上、ガンタンクとの外見的な違いは大きい。
また、ガンタンクとは違って機体の前にもキャタピラがある。
あれは、盾代わりにしても少し意外だし……だとすれば、一体なんだ?
そんな俺の疑問は、次の瞬間明らかになる。
何と、機体の前にあったキャタピラが地面に倒れ、ガンタンクが……そう、前のめり的な感じになって、全高が低くなったのだ。
そうなった時の機動力は、それこそガンタンクとは比べものにならない。
そして……
「火炎放射器? また、随分と特徴的な武器を」
若干呆れたように呟くが、実は火炎放射器そのものはそこまで珍しい武器ではない。
何しろ、シャドウミラーに所属している五飛の乗ってるガンダムでも火炎放射器は普通に装備されているし。
実際、射程は短くても広範囲に万遍なく攻撃が出来る火炎放射器というのはMSを相手にするには向いていないが、普通の歩兵を相手にするにはこれ以上ない殲滅兵器とでも呼ぶべきものとなる。
だが、それは逆に言えばMSのような存在を相手にする時は、そこまで役には立たないという事を意味してもいた。
五飛のガンダムが持つ火炎放射器はMSにも効果があったが……あれは、ぶっちゃけ特別だろう。
W世界そのものの技術力がUC世界よりも上だというのも、火炎放射器の威力に関係しているのだろうが。
ただし、シロー、サンダース、サマナの3機は、火炎放射器を使われたのは完全に予想外だったのか、映像の中では動きを止めていた。
これが模擬戦である以上、この火炎放射器の威力も実際にはかなり抑えられてはいるんだろうが……正直、どうなんだろうな。
威力が抑えられていても、炎は炎だ。
Ez8を始めとしたMSに、相応の被害が出てもおかしくはないのだが。
とはいえ、模擬戦が行われた以上は、元からその辺りの話はしてあってもおかしくはない、か。
「こうして見る限りでは、あのガンタンクに似ている機体……かなりの性能だな」
ガンタンクと同じようなキャタピラを持っているというのに、その機動力はガンタンクとは比べものにならないくらいの速さだ。
小回りも相応に出来ており、実際にサマナ操る陸戦型ジムの攻撃を素早く動いては回避していた。
「陸戦強襲型ガンタンク。それがこのMSの名前らしい。いや、MSと表現してもいいのかどうかは、分からないが」
シローの声に、だろうなと頷く。
元々、ガンタンクですら下半身がキャタピラという関係上、MSと呼ぶには少し無理があるのだ。
そんなガンタンクと比べても、更に戦車側に寄ってるように見えるこの機体は、素直にMSと呼んでもいいのかどうかは微妙だ。
だが……強い。
実際にシロー達に勝ったのだから、それは間違いないだろう。
とはいえ、少し気になるのは陸戦型だという事か。
出来れば欲しい機体なのは間違いないが、性能が高くても使いどころが難しい。
基本的にルナ・ジオンの本拠地は月なので、こういう陸戦型の機体は使いにくいんだよな。
クレイドルを含めた月面都市の中でなら使い道もあるのだろうが、このような機体が自由に暴れ回るような場所は、そう多くはない。……クレイドルの中なら話は別だが。
そして地球上にあるルナ・ジオンの拠点はハワイだけで、こういう戦車が動かせない……訳ではないが、性能を最大限発揮させられるのか? と言えば、答えは否だ。
せめて、ホバー移動出来るような能力でもあれば、話は別だったのだが。
そんな風に考えつつ、映像に集中する。
結果として、シロー達は機動力や火炎放射器のようなトリッキーな兵器に翻弄されたような形で、負けが決まった。
「かなり強い機体だな。……ぶっちゃけ、ジムとかよりも強いんじゃないか? まぁ、ビーム兵器が使えないのは痛いけど」
とはいえ、ドムのような重装甲のMSならともかく、ザクやグフといったMSであれば、ビーム兵器ではなくても楽に対処出来るだろう。
重装甲のドムにしても、武器の威力次第では撃破出来る筈だ。
ルナ・チタニウム製の装甲を持つ敵が現れれば、話は別だが。
陸専用という事で、地上でしか使えないというのは残念だが……言ってみれば、これは一種の連邦軍製のMAと言ってもいいんじゃないか?
かなり強引ではあるが。
「ビーム兵器はないけど、十分強い機体だったのは間違いないな」
シローがしみじみといった様子で告げてくる。
シローにしてみれば、自分が負けたというのあるが、やはり純粋に陸戦強襲型ガンタンクの強さを思い知ったからこその言葉なのだろう。
「シローがそう言うのなら、間違いなく高性能な機体なんだろうな。……ただ、疑問なのは何でそんなに高性能な機体なのに、連邦軍で量産されていないんだ? 地球上でしか使えなくても、MSとやり合えるだけの性能があるのなら、大々的にとはいかないけど、ある程度量産されてもいいんじゃないか? コスト的な問題とかもあるかもしれないけど」
Ez8、陸戦型ガンダム、陸戦型ジム。
シロー達が小隊として戦ったこの戦力は、ルナ・チタニウム製の装甲を持っているだけに、ヤザン達が使っている普通のジムと比べても明らかに性能は上だ。
それに勝つだけの性能があるという事は、それを量産してもおかしくはない。
ジムはザクよりも性能は上である以上、連邦軍にそれを作らないという選択肢はないだろう。
ジムとかに比べて極端にコストが高いとかなら、まだその辺の話も分からない訳ではないが。
後でブライトを通してレビルに聞いてみようと、そう考えるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:640
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1512